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「んー、ようやく昼か。長かったなぁー」

 俺はひとつのびをする。教室は適度にざわめき、それぞれが思い思いの場所
に構え、食事を開始しようとしていた。

「さて、そろそろ秋葉ちゃんが来る頃だな」

 有彦は待ってましたと言わんばかりの表情で、秋葉の到着を待っていた。

「そうだな、今日はパンでも買って中庭にでも……」

 そう言いながら、ごった返すパン売り場をふと考えた瞬間だった。

「兄さん」

 稟とした声が、教室の入り口から聞こえた。

「ん?」

 いつもならしずしずと入ってくるはずの秋葉が、こんな声を出すのは珍しい。
 クラスメイトは秋葉の存在に慣れっこの筈なのに、水をうったように静かに
なっている。
 俺は、その静寂に一瞬不思議な感覚を覚え、その方向を見やった。

 秋葉は、そこにはいない。

 あるのは記号化されたウチの学校の制服の羅列。
 そして、その中では異端ともとれる秋葉の制服は、そこにはなかった。

 ……が、俺は重大な間違いを犯していた。
 秋葉を、制服という記号で理解しようとしていたことだった。

「兄さん」

 すぐ近く、それも目の前で聞こえたその声に、俺は驚きを覚える。

 と同時に、むんずと自分の袖をつかむ腕があった。

「あ……」

 初めて、思い出した。

 秋葉は、ウチの制服を着ていたんだっけ。

「あ……きは?」

 制服に付けられていたフィルターを外し、ようやく顔というものを認識する
ようになった俺は、目の前で袖をつかむウチの制服の少女を見やる。

「兄さん」

 秋葉は、いつもの遠野秋葉の表情でそこに立っていた。凛とした表情で、一
点の心の曇りも感じさせないそれ。

 ただ違う事と言えば、周りの空気だっただろうか。
 皆、完全に凍り付き、言葉を失っていた。

「……」

 有彦までもが、口をぱくぱくと金魚のように開けたまま、秋葉を指差して硬
直している。

「兄さん」

 何度目だろう、秋葉は俺の袖をつかむと、引っ張る。

「ちょ、ちょっ……」

 俺は引っ張られるままに立ち上がる。そしてそのまま、秋葉は俺の袖をつか
んだままに歩き出した。

「あ、秋葉……?」

 訳もわからず、廊下に出て、それから階段にさしかかる。そこでようやく俺
の教室から地響きが鳴り響いていた。

「……」

 つかつかと、無言で秋葉は俺を引っ張って階段を上る。
 俺はただ、それにされるがままになる。
 4階に着いた……と思えば、更に階段を上る秋葉。

「おい……」

 ここは、と言おうとするが秋葉は振り返ろうともしない。歩みを緩める躊躇
も見せない。
 4階を越えて階段を……
 その瞬間、そこだけが異世界になったような静けさを見せる空間に、俺は突
入した。

 屋上までの、階段。
 平常は入り口が閉ざされるその屋上に向かう人間なぞいない。だからここは
生徒の存在空間としての機能を失い、完全に冷えた空気が支配する空間。

 階段を上り、更に折り返すと、完全に音が遮断された。すぐ階下にあるはず
のノイズは今や俺の耳には届かない。
 そうして、光も澱むかのような空間。昼だというのにあまりにも薄暗く、湿っ
た空気が支配するそこは、建物の死臭を漂わせる冷たい世界だった。

 ツカツカ……カツカツ……ポツ……

 そうして、ふたりの足音だけが聞こえるような場所。
 その半分ほどに足をかけ、ようやく秋葉の足は止まった。

「……」

 秋葉は、何も言わない。

「おい……秋葉……」

 俺は呼びかけ、声を発する。

 ポツ……

「兄さん」

 秋葉は、ゆっくりとこちらを振り向きながら

「責任、とってくださいね」

 そう、嗤った。

 ポツ……ポツ……

「……」

 ワカラナイ
 どうして、秋葉はそんな貌をしているのか。
 ……そして、この音はナンダ。

 秋葉の表情は、言葉に出来ぬほどいろんなものを含みすぎて、俺は返す言葉
を失っている。
 更に、先程から耳を打つその音が、まるで俺を狂わそうとするように恐ろし
いほど的確に聞こえていた。

 スッ……と、袖をつかんだ腕が放され、俺の手はすとんと落ちる。
 そのまま、秋葉は最上段の手前に来ると

「私をこんなにした責任、とってください」

 そう言って、階段に腰掛けた。

「おい……」

 埃被ったその段に直に座る秋葉に、俺は声をかける。
 が、秋葉は不適な笑みを浮かべたまま、俺を見つめていた。

 座った秋葉の膝が、美しく合わさっている。そして腿が。
 いつもは隠されているその部分が露わにされていて、俺は朝のように息をの
んでいた。

 だがしかし、それは欲情のためではない。
 狼に見すくめられた子犬のように、俺は萎縮して息をのんでいた。

 美しさと、そして恐怖の入り交じった姿。

「ふふふ……」

 秋葉は、最後にひとつ妖悦に笑うと、その閉ざされた膝を、ゆっくりと開い
ていった。

「……」

 俺は目を逸らす事が出来ず、その一点を注視してした。


 ワカラナイ

 どうして、秋葉は下着を付けていないのか。

 目の前には、秋葉の秘部を隠す筈の白い布……などというものは存在しなかった。
 膝の間、陰になるようにして、しかしはっきりとそれを見る事が出来る。

 開かれた部分。

 白い肌にまるで抗うかのように、でも控えめに陰毛がある。しかしそれは今
や、ふさりと空気を得ているのではなく、ぴちゃりと完全に肌に張り付いている。
 会陰部は、奥に潜むすぼまりへの陰を引きながら、どろどろとした液体を垂ら
し、はしたなく階段に液だまりを作っている。

 そして……その中心に、真っ赤に狂った華が咲いていた。
 大きく華開き、ひくりと蠢くそれは、奥から大量の密を流し、見られる事に最
上の喜びを得ているかの如く、大きく呼吸をした。

 複雑な花びらが、折り重なって目の前に晒されている。
 あまりに淫靡で。生々しくて。そして……美しい。
 その光景に俺は言葉を失い、示されるままに最奥を射抜くように凝視するだけ
だった。


 ビクン

 秋葉が大きく震えた。それと同時に

 ゴポリ……

 秋葉の体の奥から、押し出されるように愛液が零れ落ちて、床を濡らした。


「あき……は……」

 理性が、考える事を拒否している。
 脳幹が痺れ、俺はその光景から受け取る信号を、理解できていない。

「俺は……」

 しかしゆっくりと、意識が深くから引き戻されると、その意味を見つけだそ
うとした。

「おまえに……誘われて……いるのか?」

そう口にした時、ようやく何かが解りかけてきた。

「ええ、その通りですわ、兄さん」

 秋葉はさも当たり前のように答える。

「私にこんな格好をさせて、こんなに辱めたのですよ」

 ゆっくりと、秋葉は陶酔したように口を開く。

「ああ、なんて恥ずかしい女なのでしょう、私は。兄さんにこんな制服を着せ
られ、下着を抜き取られ、なのに満たして貰えずに登校して、皆の視線にここ
を濡らし、そうしてずっと、はしたなく涎を垂らしているのです……」

 秋葉が、そう言って自分のそこに手を添えると

 ニチャ……

 人差し指と中指で、ぱっくりとそこを開いた。まとわりつく粘液の音が、こ
だまのように静寂の空間に響き渡る。

「ああ……兄さん、見て。私を見て」

 その異常とも言える秋葉の目の光に、ゆっくりと理解が追いついていった。

 つまり、秋葉は……

 朝、この服で俺に襲われた時、脱がされたままに下着を穿いてこなかった、と。
 そうして、恥ずかしさと満たされぬ想いが、秋葉に羞恥と興奮を与えていて。
 先程の謎の音は、俺を連れてくる間に流した秋葉の愛液の雫が、床に落ちる
時の音だったのか。

 成る程……とは思わず、俺はぞっとした。
 そんな異常な興奮の中、秋葉が俺を誘っている事を。

 しかし、俺の中の回路も、朝満たされなかった想いには正直だったようだ。
 全てが繋がった瞬間、俺も嗤っていた。

「ああ……秋葉、綺麗だよ……」

 俺も、それを見せられているうちに、どうにかなってしまったらしい。
 秋葉の淫唇を舐めるように見ると、そこは更に愛液を溢れさせ、洪水となっ
ていた。

「秋葉……こんなにしちゃって……悪い娘だ」

 俺はそう呟くと、秋葉のすぐ横に腰を下ろして、体を横にしながらかがめ、
スカートの中に頭を突っ込んだ。

 目の前に、秋葉のヒクつく花びらがある。俺はそこから発せられるむっとす
る秋葉の性臭に興奮した。

 ぴちゃぴちゃ、ぴちゃり……

 俺は啜りつくようにそこに唇を寄せると、早速秋葉の味を堪能し始めた。

「ああ……兄さん……!」

 秋葉はぎゅうと頭を押しつけてきて、俺を股の間に閉じこめてしまおうとする。
 じゅるるるる、と大きな音を立てそこを吸ってやると

「ああああ……」

 秋葉が今までにないような艶のある声を上げ、すすり泣いた。びくびくと体
は痙攣し、内股に入る力が大きくなる。

「気持ちいいかい、秋葉……」

 俺はすぐに指をあてがうと華を開き、周縁部を舐め取りながらクリトリスを
いじり、3本併せて膣奥にねじり込んだ。

「ああっ!いい!!」

 もはやここが学校だと言う事を忘れて、二人は行為に没頭していった。
 ふと、俺の股間にさわさわと撫でさする感触。
 見れば、秋葉が服の上から俺の怒張をしきりに愛撫していた。

「ほら……」

 俺はそれを認めると、空いた手でチャックを下ろし、その中に秋葉の手を導く。
 秋葉は要領よくトランクスの釦を外し、熱くいきり立ったそれを解放してきた。

「兄さんの……兄さんの……」

 秋葉はそれ以上の言葉が無く、俺のそそり立ったペニスにうっとりとした表
情を向けながら、丹念にしごいていった。
 しゅ、しゅっと、秋葉の柔らかい手が俺を包み、見せられている時から知ら
ぬ間に興奮していたソレは、それだけで早くも先走りを滲ませる。
 それを嬉しそうに手のひらに塗りつけると、秋葉は亀頭を包み込むように刺
激する。秋葉の絶妙な手首のスナップ加減が、まるで膣に飲み込まれているか
のように俺を刺激していた。

「くうっ……」

 それに一瞬行為を休めていた俺は、反撃すべく秋葉の最奥に指と舌を押し込
み、クリトリスを噛む。

「きゃぁ!きゃあぁん!!」

 秋葉は、たまらず手を離して俺の上にどさりと倒れ込む。押しつぶされて窒
息しそうな中、それでも俺は口を休めなかった。
 膣壁上部、秋葉が感じるところを熟知したその舌でズリズリと一気に刺激した。

「ああああっ!!」
 
 秋葉が、俺を抱きしめながら達する。
 最奥から、無味無臭な奔流が勢いよく俺の顔にかかり、立て続けにぴゅ、ぴゅ
と潮を吹いていた。

「……あああ」

 秋葉がくたっとなったところで、俺はその体を持ち上げ、自分の真上へと移
動させる。

「兄さん……我慢できません」

 秋葉は待ちきれないと、腰を艶めかしく動かし、花弁を何度もヒクつかせな
がら俺を迎え入れたがっていた。

「ああ」

 俺は秋葉の体を下ろすと、そのままペニスは秋葉の膣に吸い込まれていった。

「あああああ……」

 入れただけで、すぐにさっきみたいに秋葉は陥落する。
 ぎゅうぎゅうと膣が異常な収縮を続け、イキっぱなしだった。
 
「凄いな、秋葉……」

 動かなくても、滅茶苦茶気持ちいい。秋葉にはその言葉さえも届かないらし
く、ただ腰だけを振り動かし、俺から樹液を貪り取ろうとしていた。

「兄さん……兄さん……いい……」

 譫言のように、秋葉はそう弱々しく繰り返すのみ。しかし体は俺を喜ばせ、
自分を喜ばせ、失神寸前に陥っていた。

「ほら秋葉、膣に出すよ……」

 俺はその絶技にこみ上げてくるものを、一度強くため込むと

 びゅるるるるるる

 止めどなく、秋葉の膣に打ち込んだ。

「ああ、ああ。あああああああああぁぁぁぁぁ……」

 秋葉は、その放出で完全に気をやり、俺にしがみついたままピクリとも動か
なかった。

 何度も、何度も。秋葉の膣目掛けて打ち出される精液の固まりは終わりを知
らず、気を失った秋葉を認めても尚、止まる事を知らなかった。
 そして何回分とも思える放出を終えて、ようやく収まった。


「秋葉……秋葉……」

 俺は、肩に顎を乗せ気を失ったままの秋葉の顔を眺めるため、自分に向かい
合わせる。
 深呼吸のように深く呼吸する秋葉の、汗ばんで髪が額に張り付いて、それが
美しい。珠になる汗を舐めると、ちょっぴりしょっぱい味がした。

「……ん……」

 しばらくすると、秋葉がようやく意識を戻す。満たされた表情、嬉しそうな
笑顔、女の貌がそこにはあった。

「兄さん……愛してます……」

 そこで初めて、俺たちは舌を絡めて今日初めてのキスを交わしたのだった……。


                                      《つづく》