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「ッッ……」

 ビクビクと秋葉の体が跳ねる。
 軽くイッたかな?
 まだ指先を軽く震わせながら、ゆっくりと指を抜いた。
 ぐっしょりと濡れた手。
 ぺろっと、滴る秋葉の名残りを舐める。
 秋葉が声をほとんど洩らさないのが、異様と言えたかもしれない。

 秋葉は荒く息をついて突っ伏している。
 少し休ませてやろうと、刺激から解放する。
 直接的な刺激からは。



 秋葉の体に悪戯するよと宣言してから、既に大分時間が経つ。
 その間、一方的に秋葉の体を可愛がってやった。
 いつも以上に熱を入れて、とにかく秋葉に快感を与えるのを主眼にして。
 我慢できなくなってのおねだりどころか、ただの声すら抑えようと懸命にな
っている秋葉の体を弄りまわすのは、この上無い楽しさだった。

 ゆっくりとキスして、舌と唇でありったけの技巧を用いて秋葉の口を蹂躙し、
唾液も吐息も何もかもを味わい尽くし、首筋へ、鎖骨の作る線へと舌を這わせ
るのからスタート。
 直接的な快楽はどうかわからないが、くちづけという行為はいつも秋葉を喜
ばせ、そして高ぶらせる。
 これだけで秋葉は体を震わせ、しっかりと感じ始めていた。
 耳たぶを甘噛みしながら、囁く。

「もっと、他の処も舐めて欲しくない、秋葉?」
「……」

 答えない。
 当然だ。
 舐めて欲しいなどとは答えられない。
 答えが無いので、秋葉の口元を最後にぺろり舐め、これみよがしに舌を引っ
込めた。いつもならこのままさらに舌を這わせるのに。

 そして秋葉の体を横たえ、代わってブラウスの上から手で胸とお腹を弄った。
 ボタンの一つも外さず、あくまで布越しで小さな秋葉の膨らみを揉みほぐし
た。軽く、ゆっくりと。
 手を這わせているうちに硬く突き出し始めた乳首にはわざと触れない。
 もぞもぞと秋葉が体をくねらせて擦ろうとするが、手に触れそうになるとす
っと離す。

 恨めしそうな秋葉の顔。
 無視して、こちらのペースのまま、秋葉には軽くて物足りないであろう動き
を続けた。
 胸から手を動かしお腹をまさぐる。
 そしてまた上へ。
 ノースリーブの利点を活かして、脇のところから指を差し入れ、胸のささや
かな稜線を探る。
 直接触れた指に、ピクンと秋葉の体が反応する。

 顔を右の脇下へ寄せた。
 手で、生地を摘み体との間に隙間をつくる。
 白い肌、秋葉の胸を覗く。
 乳首の興奮している証が見て取れる。
 甘い匂いがした。
 鼻を動かすと、少し汗ばんだ秋葉の匂いが感じられる。甘く興奮を誘う雌の
匂いが。

「やだ、兄さん。そんな処の匂い……」

 あやうく「嗅がないで下さい」という言葉を呑み込む秋葉。
 して下さいじゃなくて、しないでというのもお願い事になるからな。
 でも目はやめてと言っている。

 秋葉はここに限らず、濡れた秘裂とかの匂いを嗅がれるのを嫌がる。
 髪の匂いくらいかな、抵抗ないのは。長い髪を手にとって綺麗だねと褒めな
がら手にとって顔を近づけるのはむしろ嬉しそうだ。
 でも他は駄目。前なんか嫌がるのに構わず続けて、克明に秋葉がどんなにい
い匂いかを解説したら本気で泣き出したものなあ。
 自分は、兄さんの匂いとか、ここが大きくなると全然匂いが違うんです、と
か平気で口にするくせに。

「わかった、やめるよ」

 とりあえず秋葉の意を汲んだ。
 嫌がる事をするのは反則だろうから。
 極端な話、秋葉に痛みを与えて、やめてと言わせれば形の上では秋葉の負け
になってしまうが、そんなのは駄目だ。
 あくまで秋葉を気持よくさせて、おねだりを引き出すのが目的なんだから。

 上半身はそこそこ堪能したので、次へ向かう。
 最初からのーぱんな下半身へ。
 布越しに愛撫して、すっかり濡れて透けてしまったショーツを脱がせるとい
うのも楽しいけど、スカートの下は裸というのも心を震わせる。

 剥き出しになったここへは、胸にしたような長く弱い愛撫ではなく、逆の動
きをとる事にした。
 指と舌を的確に秋葉の感じやすい急所へと攻め込ませ、秋葉の反応を見つつ
僅かに火が点り燃え広がろうとしたら、未練なくすっと離れる。
 そんな意地悪を、執拗に何度も何度も繰り返した。

 花びらを擦られ、内腿を舐められ、花唇を軽く広げられ、つぷりと浅く指を
突き入れられ、膣口のほんの入口だけを弄られ、僅かに快感の波を起こされて
は、すっと消される。

「気持ちいいかい、秋葉?」
「はい……」

 絶え間ない快感に秋葉は喘いでいる。
 すっかり勃起した肉芽を、包皮の上から指の腹で撫ぜる。
 ここはあまり強くせず、触れているだけの軽さで指を動かす。
 さっき触った時と全然違う。
 硬く大きくなって、簡単に指の力に屈せずにはね返す。
 

「もっと強いの欲しくない?」

 言いながら少しだけ、力を入れて押す。
 皮を少し動かす。

「うんん……」
「秋葉が欲しがったら、もっともっとここ可愛がってあげるよ?
 指でくりくりしたり、はさんで擦ってあげたりしてさ。こんなになってるけ
ど、今日はまだ皮を剥いてないし、舐めてもいないだろ。
 秋葉のいつも悦んでせがむ事何もしていないけど、いいのかな?」
「……答えません」
「そうか、残念」

 すっと指を外す。
 秋葉は切なげな表情で、目ではもっとしてと訴えるが、口は閉じたまま。
 そういう顔をされるとちょっぴり可哀想になるが、あえて意地悪い顔をする。
 そのうえ、本来なら秋葉を悦ばせていた筈の指の動きを、目の前で再現。

「くぅっっ」

 口惜しい、そう秋葉の目が告げる。

 さらに、秋葉のそこかしこを楽しむ。
 そして、小陰唇の小さくはみ出たびらびらを指で摘みながら、蟻の門渡りを
舌で突付きながら、さらにその下の可愛い肛門のすぼまりを指でほぐし、舌先
で皺の一つ一つをまさぐり唾液を塗りつけながら、同じ質問を繰り返した。

 しかしその度に秋葉は必死に、もっともっとと望むのを我慢した。
 その度にあっさりと指や舌が消え去り、与えられている快感を奪われる。
 それに泣きそうな顔で耐える姿は、俺に歪んだ喜びを与えてくれた。

 秋葉は愛撫のことごとくに反応していながら、それを抑え込んで忘我の状態
になるのを食い止めようとしている。
 吐息を洩らし、喘ぎ声をあげているが、いつもよりずっと押し殺しているの
がわかる。
 怖いのだ。完全に俺の指や舌に浸り、快楽の波の中で想いを口走るのを、秋
葉は恐れている。
 肉の喜びが責めとなり、中でそれを拒む為に必死になるという、普段とはま
ったくベクトルの異なる状態に堪え、泣き顔になる秋葉。
 必死な余り、普段の冷静さを完全に喪失している。
 三十分間なんて時間はそんなに長いものでは無いという事実に、まったく気
づかないほど。
 残り時間を確かめる事すら頭に浮かばないらしい。

 とっくの昔に指定時間を過ぎているというのに。
 もう存分に快感を受け入れて、なんでも好きなようにおねだりして構わない
と言うのに。
 それを黙ってる自分の非道さを棚に上げて、必死な秋葉の姿が可哀想にすら
なってくる。

 でも、秋葉が気づくまで教えないけどね。

 少し指を深く入れ、秋葉を長く楽しませてあげた。
 長いこと高められては落とされていたため、こんな指での刺激だけで秋葉は
感じまくっている。
 すぐにまた、すっと抜かれると思って警戒していたのに、ずっと指の動きが
止まらずどこか違和感を抱いたのだろう。
 四つんばいの格好で、顔だけこちらに向ける。
 軽く頷くと、俺もどうやら止める意思はないと察して、秋葉は素直に身をゆ
だねる。
 嬉しそうな顔をして、シーツに顔を埋めた。

 指を震わせて膣内で動かす。
 そしてそのまま円を描くように襞をこする。 
 しばらくそうして秋葉の為に動いて、その甲斐あって秋葉は高まり……。



 そんな行為の名残りを今の秋葉は身にとどめている。
 軽くイッて放心状態の秋葉。
 何もせず、その秋葉の肢体を舐めるように眺めた。
 あまりにじっと何もせずに眺めているので、秋葉が不安そうな顔をする。
 そろそろ休憩は終わりかな。

「兄さん、あの……」
「秋葉」
「は、はい……」

 声に力が無い。
 だが媚態を含んだ声は、甘く答えている。

「立ってみてくれるかな」

 少しふらふらとしながらも、秋葉は言うとおりにした。
 何だろうと言う顔でこちらを向いている。
 着衣したままの姿。
 ブラウスとスカートはまだ身につけている。
 しかし、先ほどまでの痴態の痕が色濃く残っている。
 くしゃくしゃに皺が寄ったブラウス。
 スカートから覗く腿に残るぬめぬめとした粘液。
 荒い息。
 とろんとした目。

 じっとその姿を見つめる。
 なんでこういう時の秋葉ってこうも可愛いんだろう。
 
「けっこう秋葉は我慢強いな。すぐに降参すると思ってたのに。それとも、い
つも秋葉の事を悦ばせていたと思ってたけど、あれは演技だったのかな。俺の
愛撫なんかじゃ、本当は全然物足りなくてさ」
「そんな……」

 秋葉が言いかけたが、構わず、手を伸ばした。
 スカートの裾を掴んで、無造作に上へ手を動かした。

「きゃっ」

 慌てて手で抑えようとする秋葉。
 おかしなものだ。
 さっきまで、何もかも俺の目に晒していたのに。
 反射的な行為なのだろうか。

 秋葉の抵抗に構わず、谷間を剥き出しにしたままにして、顔を近づける。
 指で荒らされ、花弁は乱れている。露で濡れて下まで滴っている。
 目の前でまたとろりと新たな蜜液をこぼす。
 
 顔をさらに寄せ、舌を長く伸ばす。
 触れるか触れないかというところで止める。
 あまりの近さに、舌に濡れた感触、秋葉の味が感じられそうだが、まだ紙一
重で離れている。
 秋葉も舌の感触、唾液のぬめりと生暖かさを感じているかもしれないが、そ
れは過去の経験と想像力がもたらす錯覚。
 これ見よがしに舌をうごめかせる。
 左右に、上下に。

「秋葉、舐めて欲しくない?」

 今日はまだ指で触れただけでいっさい、舌や唇はそこに触れていない。
 後ろの穴はいつも以上に、ふやけるほど舐めてあげたけど、前は意図的に外
して舌先でちょんと触れる事すらしていない。
 秋葉のいつも悦ぶ舌戯を、今日はまったく行っていない。

「……いりません。いら、ない……、もの」
「残念だなあ、秋葉のここ、こんなに蕩けて美味しそうなのに。秋葉のこぼし
たの全部舐めとって綺麗にしたり、根元まで突っ込んで感覚がなくなるまで舌
を動かしたり、クリトリスを舌で転がしたり、甘噛みしてあげようと思ったの
になあ。
 おしっこが出そうになるまで、尿道口ちろちろされるのも秋葉好きだよね。
 それからさ……」
「……」

 行為を、言葉を、俺が口にする度に秋葉の体が反応する。
 いつもされている事を、その快感を、思い出しているのだろう。
 いや秋葉だけではない。言っているうちに、こっちまで我慢できなくなりそ
うだった。
 実際さっきから一方的に秋葉の体を弄んでいるけど、こつちもそれに応じて
興奮してるんだから。痛いほどに。

「まあ、秋葉がして欲しくないなら仕方ないな。
 でも、さっきから秋葉ばっかり悦んでて不公平だから、少しはこっちも楽し
ませて貰おうかな」

 言いつつカチャカチャとベルトをバックルから外した。
 もどかしくファスナーを下ろす。
 下着ごとズボンを脱ぎ捨て、秋葉の体に手を伸ばした。

「ああ、兄さん」

 既に臨戦態勢のペニスにちらりと目をやり、秋葉は嬉しそうな顔をする。
 あいにくだけど、まだ挿入じゃないぞ、秋葉。
 まあ、秋葉も楽しませてあげるけどね。

「秋葉、また膝を立てて四つん這いになってくれるかい。そう、それでいい」

 後ろから秋葉の腰を掴む。
 俺も膝で立って、片手でペニスの向きを調整する。
 また、新たに分泌された愛液が垂れて太股まで滴っている。

「いくよ、秋葉」
「はい、兄さん」

 ずりゅり……。
 濡れに濡れた秋葉の秘裂の感触。
 ペニスは潤滑油めいた蜜にまみれ、抵抗無く隘路をくぐる。
 包み込む快感がペニスに……。
 
「え、兄さん、それは」
「気持ちいいよ、秋葉」

 ゆっくりとペニスを前後に動かす。
 ぬちゅぬちゅと糸引く濡れ音。
 ああ、これはいい。
 これはいいよ、秋葉……。

 膣内のような圧倒的な締め付けはないけれど。
 秋葉の太股の間にペニスを差し入れて、秘裂にこすりつけるのは。
 そう、今しているのは、膣内への挿入ではなくて、素股だった。
 
「挿入れてくれないんですか?」
「秋葉がお願いしたら、すぐにでもしてやるよ。でもどうせ秋葉はしてくれな
いだろ? 
 ああ……、秋葉、もっと太股を閉じて、締め付けてよ」
「……はい」

 失望した声で、それでも健気に秋葉は言いつけに従う。
 ペニスが太股に挟みこまれる。
 ぎゅっと締まる。
 弾力のある柔らかさ。
 滑らかな肌の太股の感触を存分に味わっていた。
 
 秋葉も、最初は望んだ処への刺激は与えられず失望の色を浮かべていたが、
だんだんと声を洩らし始めた。
 太股を前後する熱いペニスの感触。
 濡れた花唇や、敏感な肉芽を時に強く、また弱くペニスが擦りあげる。
 それは秋葉の官能をだんだんと燃え上がらせていた。
 目に見えて感じて、押し殺すことの出来ぬ喘ぎ声をこぼす。

 感じてるなあ。
 よし、それならもっと感じさせてやろう。
 一旦抜いて、秋葉の体を引っくり返す。
 仰向けにして、腰から折り曲げるような形をさせる。
 性器も後ろの穴も、何もかもを曝け出す恥かしい姿に。
 完全にスカートは捲れ上がって、少しも無防備な下半身を隠す役目を果たし
ていない。

「まだ、物足りないだろう? そら、続きだ」

 膝を曲げさせ、手で脚を閉じると、その隙間に再びペニスをねじ入れる。
 ずりゅ、ずりゅとさっきと上下逆の素股を楽しむ。
 こちらの方が、より的確に秋葉を攻められる。
 自分も秋葉の太股を楽しみつつ、亀頭と幹を秋葉の秘裂に擦りつける。さっ
きより的確に強く。
 秋葉の目が、自分の太股から覗くペニスを見つめている。
 視覚的な興奮も加わっているようだ。

 ああ、気持ちいい。
 秋葉もかなり自分を抑えきれず乱れているが、こちらもその波に呑まれてま
ずい処まで高まっている。

「秋葉、もう、俺も限界近いけど……、どうする?」
「どう……、くぅッ……って、何、ううん」
「秋葉が欲しいって言えば、このまま秋葉にたっぷりかけてやるけど、どうす
る、欲しくないか?」
「兄さんの……、兄さんの精液。……ほ、ほし……、いりません」
「顔にいっぱいかけられて精液の匂いにつつまれるんだぞ。上からだからどろ
どろに飛び散って」
「あああ。下さ……、いいです…………、私……」
「そうか、これは本気で残念だよ」

 嫌々、秋葉の脚を離す。
 そしてペニスを引き抜く。
 自分でも何を意地張っているんだろうと思ったが、何とか秋葉におねだりさ
せたかった。
 
 少し間を取って、絶頂寸前になったペニスを落ち着かせようと思った。
 今度は、何をしよう。
 お尻を責めてあげようか、それとも。
 気を逸らそうとしたが、あいにく従わない奴がいた。
 いきなりおあずけを喰らった分身である。
 あまりに興奮しすぎていた。

 秋葉の太股と秘裂のぬめり、その快感の源泉から遠ざけられたのに、十二分
に堪能した記憶を濃厚に思い出し反芻でもしているのか。

 突然、ペニスは意志によらずビクビクと凄い勢いで頭を動かした。
 まずい、暴発する。
 必死に、秋葉の頭上から向きを変えた。
 半秒ほどの差で、堰が切れた。
 すぐさま止めようと踏ん張ったが、秋葉の目の前で、こらえきれなかった分
が噴出した。
 いや、噴出と言うには弱く、飛沫というより雫のような状態だったが、慌て
て栓を締めたにもかかわらず、それなりの量がぼとぼととこぼれ落ちた。

 秋葉が起き上がり、シーツを濡らし粘性を持って浮かぶ精液を見つめている。
 砂漠で湧き水を見つけた放浪者のような渇きを見せて。
 しかし、秋葉に構わず、ティッシュを手にとってそれを拭った。
 丸めたティッシュが濡れて重みを増す。

「ああ……」

 哀切すら感じる声を洩らし、俺の手を見つめる秋葉。
 差し出せば躊躇う事無くティッシュを口にして、染み込んだ精液をちーちゅ
ーと吸い出しそうな顔。
 さすがにそんな秋葉を見たくないので、新たに数枚のティッシュで包んでぎ
ゅっと潰して、念の為にポケットにしまった。
 秋葉が呆然として、そして顔をくしゃくしゃにした。

「兄さん、酷いです……」
                                      《つづく》