「しっかり仰って下さい、志貴さん……こう言えばよろしいんですよ?
 『琥珀お姉ちゃんと翡翠お姉ちゃんの中にたっぷり出したい』って……」
「そんなことは……うっぁぁ!」

 ぎゅっと玉袋を握られ、空いた指で肛門を押されて志貴は堪らぬ声を上げる。
 琥珀の指も志貴の小さな乳首を摘み、くりくりといじり始める。琥珀は顔を
上げて志貴に向かい、唇と下で志貴の口唇を貪る。

 ぴちゃくちゃ、という淫猥な音だけが部屋に満ちる。
 二人掛かりの愛撫に弄ばれ尽くした志貴は、細く掠れるように喋り始めた。

「……入れたい」
「もっと、翡翠ちゃんに聞こえるほどしっかりと仰って下さい」
「入れたい!おちんちんを琥珀さんの中に入れさせて!このままじゃ、で、出
ちゃう!」
「はい、それでは……姉さん、志貴さま」
「うぁあああ!」

 ぬるり、と襞の寄った粘膜の肉壺に志貴のペニスは飲み込まれる。
 琥珀は志貴の腰の上に腰を深く下ろすと、そのまま腰をぐるりを回す。

「はぁっ、志貴さんのおちんちんが……私の中に……どうですか?志貴さん」
「琥珀さんの中は……熱くて……ぬめってて……締め付けて……あああっ!」
 
 ギシギシとベッドを軋ませて、琥珀は腰を振り始める。
 それは翡翠のようなひたむきなものではなく、快感を知り尽くした女性なら
ではの、快感を貪り、また与えようとする動きであった。ダンサーのように琥
珀は腰をくねらせ、志貴の一物を締め付ける。

「うぁぁぁ!すごいぃ……はぁぁっ、うっ、あああ!」
「姉さん……姉さんったらこんなに嬉しそうに……あそこの襞が志貴さまのお
ちんちんをくわえ込んで……」
「志貴さん……あは……どうですか?このまま……琥珀の中で行っちゃって下さい」

 翡翠に見つめられながら、志貴と琥珀の秘め事は続く。
 志貴が恣に貪り尽くされる。少年の身体とまだ無理の利かない身体の為に、
琥珀にリードされるままに騎上位を許している。琥珀はその膣肉で志貴を締め
付け、絞り上げる。

 少年の性器であっても、琥珀の女性の中心は容赦はなかった。

「志貴さん……あはは……びくんびくん言ってます……もう、無理せず出しち
ゃってください」
「こはく、さん、もう……うぁぁあ!」
「いっちゃえっ、このまま、中に……中にぃ!」

 一際強く琥珀の秘肉が締め付けると――
 どくりどくりどくり、と志貴のペニスは白濁液を吹き出していった。
 琥珀は深く腰を落とし、子宮の口で志貴の生を受けようとする。顎を突き出し、
かくかくと軽く震えながら――彼女も達していた。

 琥珀が崩れ落ち、ベッドに横たわる。
 そして、その身体の下から、むくりと起きあがる少年の身体。

「志貴さま……」
「ああ、よくなった……二人のお陰だ……ん?」

 中腰になった志貴の身体を見つめて、翡翠は手を内股に当てたままもじもじ
している仕草を見逃さなかった。まだ琥珀の中から抜かれて体液に濡れたまま
のペニスが、固さを帯びて志貴の腰に佇立している。

「翡翠……?」
「まだ、志貴さまのが……硬そうで……お願いです、姉さんの淫液に濡れたま
まのおちんちんを、私にもくださいませ……」

 翡翠は脚を起こし、股を開いて志貴を誘う。
 志貴に哀願しながら、指は翡翠の女陰をくつろげていた。透明の液に濡れた
翡翠の秘部は、指を動かすたびにくちゅくちゅと恥ずかしい音を立てる。

 翡翠の指の間で、ピンクの秘裂が志貴を誘っていた。

「……翡翠は、大丈夫なのか?」
「はい…志貴さまにも、私の恥ずかしいあそこをもう一度味わっていただきた
くて……姉さんと私をどうか、楽しまれて下さいませ」

 翡翠は、さらに――膣口まで志貴の目に晒す。
 まだ破瓜から時間が経って折らず、血が滲む痛々しい性器であったが、翡翠
が足を開いて誘う光景は志貴を興奮させるにはあまりあった。

「じゃぁ……次は翡翠に……」
「うふ、志貴さんったらもうすっかり元気にになられて……お手伝いしますねー」 

 ふらり、と琥珀はベッドから身体を起こすと、志貴の後ろに回り込む。
 そして、志貴のペニスを掴み、身体をうしろから翡翠に向かって押す。

「はぁ……志貴さま……うぁぁ!」
「翡翠……翡翠っ!ああ……キツくて、琥珀さんとちがって……これは……」
「では、志貴さん……こういう風にスライドさせて……翡翠ちゃんを楽しませ
て上げて下さい」

 琥珀はぴったりと腰を付けると、志貴の腰を後ろからコントロールし始めた。
 まるで、志貴を通して翡翠を突く様な恰好であった。少年の志貴の身体に
押し敷かれ、姉の手によって突かれる翡翠は、甘い叫びを上げる。

「姉さん……志貴さま……はぁぁっっ、いいっ、ううううぁぁ……」
「翡翠ちゃんも気持ちよさそう……志貴さん、頑張って下さい」
「こ、琥珀さん……まだ出したばっかりで……そんな、あああっ、うへぁあ!」

 ズンズン、という腰を打つ音。
 二人の姉妹と一人の少年の淫行は止むことが無く……

             §           §

「姉さん?」
「何?翡翠ちゃん」
「……幸せなの……姉さんは。志貴さまと私、こんな風に一緒に関係を持っても」
「私は幸せよ。翡翠ちゃん、なぜなら」
「姉さん?」
「これで、私も……面白い人生を送れそうだから。翡翠ちゃんと、志貴さん、
それに秋葉さまも一緒に」
「……はい、姉さん」

 闇の中で声は絶え、やがて安らかな寝息に変わる。
 そう、朝が来るまで――
             §           §

「おはよーございまーす!」
「おはようございます、志貴さま」

 二人二洋の朝の挨拶で志貴は目を覚ました。
 しゃっと音を立ててカーテンが引かれ、早春の朝の光がまぶしく射し込む。
 志貴が目を覚まして見回すと、そこには……

 翡翠はメイド服姿で、てきぱきと志貴の朝の支度を進めている。
 琥珀はワゴンを引いてきて、テーブルを用意して朝食を広げていた。クロワッ
サンと珈琲、サラダとジャム。そんな朝食を三人分テーブルに並べていく。

 志貴はしばしぼーっと眺めていたが、やがておずおずと口を開く。

「……琥珀さん、翡翠」
「はい、何でしょう?志貴さん」
「今日のこれは……一体何?」

 志貴が指を差すと、そこにはすっかり用意された朝食が準備され、クロワッ
サンの甘いバターの薫りと珈琲の香ばしい薫りが混ざり合い、得も言われぬ薫
りを立てている。
 
「……もちろん御朝食ですね、志貴さん?」
「いや、なんで三人分?」
「あ、それはですねー。志貴さんのご快癒をお祝いして、ささやかながら朝食
会をしたいと思いまして」

 そう言われて志貴は、ようやく己の身体に振り返る。
 昨夜まで意識不明の重体だった身体は、嘘のようにぴんしゃんしている。お
まけに朝から寝覚めは快調で、すぐさまテーブルに飛び乗ってがつがつと朝食
を貪りたくなるような食欲まで溢れている。

 そして、はたと思い出す志貴であった。
 昨夜、一体何があったかということを――

「こ、琥珀さん、翡翠、その、昨日の夜は……」

 志貴がついそう口走ると……
 翡翠は真っ赤な顔でうつむいてしまい
 琥珀は心底嬉しそうな顔で「そのとおり」と言いたげに頷いた。

 つまりは――志貴を巡っての、共感の能力のために性交があったということ
は事実だった。
 それも、最後の方は3Pの乱交状態だった。

 志貴も記憶を掘り出していって、赤面する。
 琥珀を騎上位で、翡翠を琥珀に押される様にして正常位で犯した後、三人と
も我を失ってベッドの上でお互いを求め合った。翡翠も琥珀もカチューシャも
リボンも飛び、生まれたままの姿でそこにあるのが誰彼構わず唇を寄せ、愛撫し……

 それは――融け合うエロスとタナトスの夜。

「志貴さんー?」

 おもわず恥ずかしい記憶を反芻してしまった志貴は、琥珀の声で我に返る。

「朝食が冷めてしまいますから、早くお着替えくださいねー
 はい、翡翠ちゃんもテーブルについてー」
「はい、姉さん。志貴さまのお支度が終わりましたらすぐにでも」

 はにかむ様な笑顔に変わると、翡翠は優しく志貴を起こし、寝間着を脱がせ
て衣装を改める。眼鏡までしっかり載せられるままの志貴は、呆然とした態の
ままでされるがままになっていた。

 ――わからない

 それが、志貴の結論だった。でも、今は二人の使用人が自分を待っていた。

「やれやれ……それにしても、まったく……」
「はい?如何されました?」 
「秋葉が帰ってきたときにどう言ったかと思うと気が重い」

 むすり、と志貴が懸案課題を口にする。
 その言葉を聞くと、琥珀も……それに翡翠も笑っていた。

「志貴さま。秋葉さまには……ぜひともご内密に。姉さんとそうしようと決め
ましたので」
「そうです、志貴さんには秋葉さまがいらっしゃいますから……でも、たまに
で良いから私たちにもお情けを掛けていただけると、素敵ですねー」
「もう……姉さんったら……さ、志貴さま。こちらに」

 翡翠に手を引かれて、テーブルに着けられる志貴。
 翡翠も琥珀も、椅子を寄せて朝食の席に着く。
 志貴は口をへの時に結んで難しそうな顔をしていたが……

 ぐきゅるぅ

「……志貴さん、召し上がれ。そのような難しい顔をされていては、おいしく
ありませんよー」
「では、どうぞ……」

 腹の虫に鳴かれてしまった以上、志貴は抵抗するのを止めた。

 わからない
 でも、今はいい。

「じゃぁ、頂きます、琥珀さん、翡翠も」
「それでは私も……いただきます、姉さん」
「どうぞたくさん召し上がれ!おかわりもありますよー」

                                                  《fin》

 


【後書き】

 どうも、阿羅本です。今回のSSもお楽しみ頂けましたでしょうか?

 今回のSSは、ショタ志貴シエル押し倒しモノこと(笑)「Curatio vulneris
gravior vulnere saepe fuit
」の続編という形になっておりますが……SSの
SSという分かりにくいお話で申し訳ないです。
 前作に続き、ショタ化した志貴がおねーさんたちにやられてしまう、というお話
のコンセプトで、とりあえずこれで阿羅本版「タナトスの夜」をやってみたかった
なー、と……

 というわけで、ダークシエル&阿羅本の愛する琥珀さんの暗躍というかなり
楽しい話に……あのパートは書いていて楽しかったりしました、ええ、ダーク
シエルいいなぁ、とか思いながら(笑)

 このSSですが、実は前作「Curatio....」の設定を継いだSSを西奏亭のしにを
さんが『Omnia fact aetas,animun quoque.』として書かれていま
て、それならば阿羅本も書いてみるかなぁー、と……いろいろ触発されるのは
よろしいことでございます。

 なんか、どんどん秋葉の立場がなくなってくるお話を書いているような気がして
仕方有りません(笑)。次書くとしたら、きっと琥珀さんの術中に堕ちた秋葉が志
貴を……とか考えてみたりしています。

 それでは皆様、どうもわかりにくいSSでしたが、お付き合いいただきまして
有り難うございました。感想をお待ちしております〜

                                     2002/1/26 阿羅本