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夢を見るときは、調子が悪いときばかりだ。
いつもは夢を見ることはない。うつらうつらとすると意識に黒い幕が下り、
何にもない時間がしばらく続いたかと思うと朝になって目が覚める。それがい
つもの味気ない睡眠であった。
夢を見たのは――シキと秋葉の夢を見たときぐらい。
だけども、今日もまた夢を志貴は見ていた。
――身体の調子が悪いと、こんな風になるんだな、俺は
志貴はそんなことを変に冷静に感じながらも夢を見ている。
その夢は――不思議な淫夢であった。自分の上にショーツも付けない翡翠が
跨ったかと思うと、腰を振って志貴の肉棒を味わっている。だが、翡翠は嬉し
そうな顔はしていなかった……むしろ寂しげで、切なげで、抱きしめたくなる
ような痛々しさ。
泣きながら腰を動かす翡翠に、もう止めろ――と志貴が呼びかけようとした
その時。
不意に瘧のように身体が震えたかと思うと、どろりと腰が融ける。翡翠と志
貴の腰は融けて接合し、熱い奔騰が志貴の中に流れ込む。
――これは……いったい……
そう思う間もなく、かさかさに乾ききった枯木ような志貴の身体に、迸る樹
液のように翡翠が流れ込んでくる。
そして、股間に走る甘いうずき。
ちゃぷりちゃぷりという水音、そして――
「ん……あぁ……」
「志貴さま……お目覚めですか?」
すぅ、と夢の世界が醒めて、志貴の視界が暗くなる。
それが瞼を閉じていたことにようやく思いがめぐるとゆっくりと志貴は瞳を
開いた。まだ夜中らしくカーテンは落とされ、ベッドサイドのランプ一つでほ
のかに照らし出された暗い部屋であったが……
ちゅぷり、ちゃぷ、という水音は、夢から覚めてもなぜか続いている。
志貴が重い瞼を上げて見いだした光景に、思わず息を呑む。
「琥珀さん……それに、翡翠?」
「はぁ……志貴さま……」
二人の少女は、裸で志貴の腰にうずくまっている。
双子の顔を見間違えない標識のように、翡翠の頭の上にはカチューシャが、
琥珀には青いリボンが付いている。
その二人の双子が顔を寄せ合って、志貴の――小さいながらを佇立したペニ
スを舐めていた。
まるで、二人が女の子同士でキスする間に、志貴のペニスが挟まっているか
のような感じがする愛撫だった。琥珀が舌を伸ばしたかと思うと、それに翡翠
も舌を絡め返す。その間に挟まれた志貴の半剥けの亀頭が舌と唾液に絡められ、
揉みしだかれる。
ぬちゅりぬちゅり
その度に、志貴の腰骨に響くような階間の甘い波濤が、幼い志貴の身体に走
り抜ける。まだ成熟しきっていない身体には痛くすら感じるほどの強い快感で
あった。
……わからない
「なんで……二人とも……そんなことを……うぁっ」
「志貴さん……ご説明を差し上げますね」
志貴の股間の座を翡翠に譲ると、熱にうなされたような瞳の翡翠は股間の性
器を独占する。口に含み、舌でなで回し、指で擦り上げる。空いたもう片方の
翡翠の手は、まだ淫液の名残を残した自分の秘部をくつろげ、まさぐっていた。
その様子を笑って琥珀は見つめると、ベッドの上を進んでいく。
ペニスをフェラチオされ、押し寄せる官能の渦に必死に堪える志貴に琥珀は
近寄ると、顔を志貴の傍らに寄せた。
「志貴さんのお体のご容体ですが、日増しに悪くなられるばかりで……」
「ああ……ん……あう……こはく、さん……」
「志貴さんをお救いするために、翡翠ちゃんと私が……共感の力で……」
共感、の言葉を聞いたときに志貴は眉を顰める。だが、それは琥珀の言葉を
不思議に思うよりも、終わることのない翡翠の愛撫から耐えているかのような
顔つきであった。
琥珀は頷いて話を続ける。
「はい、七夜と並ぶ巫浄の家柄の力です……それは、契約によって魂を共感さ
せて、傷つき病んだ者を癒す力……志貴さまは、病んでおられました。八歳の
身体と一六歳の魂の差に……」
「でも、それが……これと……っ、翡翠、ああぁ……」
「はい、契約というのは――性交なのです。契約者の精を胎で受けることで初
めて共感の力は成立します……志貴さま、お体の調子は如何ですか?」
そういわれて、志貴は自分の身体をあれだけ苦しめていた、重い戒めのよう
な病が薄らいでることに気がついた。まだ体は重いが、大分楽になってはいる。
志貴は身を捩りながら尋ねる。その度に、翡翠の愛撫でびくんびくんと肩が
震える。
「じゃぁ……俺は……もう?」
「はい、志貴さんがお休みの間に……翡翠ちゃんと……」
そういわれた志貴が身体の上を見下ろすと、そこには――上目遣いに酔った
瞳を向ける翡翠がいた。口は愛おしげに志貴のペニスを加えている。
翡翠がこくん、と頷くと志貴は顔を両手で覆い、声にならない呻きを漏らす。
「そんな……また、俺は……秋葉を裏切って……」
「いいえ、志貴さん。志貴さんは悪くありません
秋葉さまを思えばこそ、とお考えくださいませ」
きっぱりと琥珀は言う。だが、志貴は腕で顔を隠したまま仰向けで動かない。
「志貴さんがあのまま……御不慮の事態になられましたら、私たちは秋葉さま
に申し訳が立ちません。それに、私も翡翠ちゃんも志貴さんの使用人です。私
たちをモノだと思っていただいて、お情けを掛けていただく資格などありま……」
「そんなことはない、でも……」
わからない。
自分を救ってくれたのは、確かに翡翠と琥珀だった。
だが、救うことで秋葉を傷つける。なぜそうなるのかが、そうならねばなら
ぬのかが――わからない。
志貴は言葉に窮した。ちらり、と腕の下から琥珀を覗く。
琥珀は仕方なそうに笑っている……ように、志貴には見えた。
「まだ、お体の調子は悪いのですか?」
「大分よくはなったけども……でも、完全じゃないかも……」
「では……翡翠ちゃん?」
琥珀に声を掛けられ、翡翠はぴくんと頭を動かす。
そして、口を開いて唾液に濡れた志貴のペニスを解放する。さんざん口舌愛
撫を繰り返され、唾液に濡れてる志貴の性器は、どくどくと脈打っている様に
すら感じられた。
「はい、姉さん……では……」
「やはり、今の志貴さんのご容体では、翡翠ちゃん一人だと持ち直すのが精一
杯みたいですね……それでは、私が今度は志貴さまと」
「……え?そんなっ、琥珀さんまで!」
慌てて志貴は起きあがろうとするが、まだ病み上がりの身体の悲しさが言う
ことを聞かない。その間にも、志貴の細い身体の上に、琥珀が載っている。
足を開いて跨る琥珀は、手を伸ばして軽く志貴の肩を押さえる。琥珀は大し
た力を入れていないにも関わらず、志貴は抵抗をまったく封じられてしまう。
「うぁ……」
「ほら、まだ志貴さんは御病気なのですから……私たちにお任せになって、お
くつろぎくださいね」
志貴の視界の中に、女性らしい曲線に彩られた琥珀の身体が広がる。首筋は
細く、鎖骨の細いラインの下にある胸は奇麗な脹らみを見せている。腰はきゅっ
と細く締まり、その下には豊かな腰と、足の隙間に繁った女性らしい茂みと、
熟れた女性の秘部。
まったく欠点のない、豊穣な女性の身体を琥珀は持っていた。
「志貴さん……如何ですか?私と翡翠ちゃんの身体は……」
「奇麗……だ、けども……そんな……琥珀さんまで」
「私のことは気になさらずに、どうか……ひゃ!」
言葉の途中で琥珀が悲鳴を上げる。
一人ベッドの上に残された翡翠が、潤んだ瞳で琥珀のお尻に顔を当ててきた
からであった。琥珀は開かれた内股を舐め上げ、そのまま舌を琥珀の秘唇に当
てる。
「ひゃ……翡翠ちゃん、そんなことしなくても……」
「うふ……姉さん、お返しです」
そんなことを呟きながら、翡翠は琥珀の後ろの蕾を集中的に舐め回す。舌を
差し込み、硬く窄まったさんざし色をアナルをくりゅくりゅと舌でつつく。
そして、空いた手はというと……
「あっ、うっ……翡翠ぃ……」
翡翠のしなやかな白い指は、ベッドの上の志貴の股間のペニスを擦り上げて
いた。
しゅっ、しゅっ、と細く硬い軸をしごき、志貴の逸物をいきり立てようと擦
り続ける。指でまるで、欲望を絞り上げるかのように……
「翡翠ちゃん……あ、そこ……もっと……前の方も……」
「翡翠……あああ……駄目だ、そんなに強くしたら……」
「ああ、姉さんの前のあそこもとろとろに……姉さん、お尻の穴を感じるんで
すね?ちょっと舐められただけでこんなに……」
そういいながらも、翡翠は志貴を責める手を止めない。琥珀は舌で上から下
へと舐められながら、荒い息を付く。責められると弱い琥珀の身体を、あたか
も知り尽くしたかのような翡翠の舌技であった。
「やっ……あああ……翡翠ちゃん、うんっ!」
「姉さんも……志貴さまもどろどろで……どうされたいのですか?」
二人の突起と秘部を責め続ける翡翠が問うた。
琥珀はとろんとした眼をしていたが、それでも羞恥の色を浮かべる。
「や、やだ……翡翠ちゃん……そんなこと……」
「おしゃって頂かないと……このまま姉さんをイカせます」
「志貴さんの……志貴さんのおちんちんが欲しいのっ、志貴さんのおちんちん
かき回してくださいっ……!」
そう口にすると、琥珀は身体を倒して志貴に被さりかかり、顔を支えて密や
かに尋ねる。
「あは……言っちゃいました……志貴さんのおちんちんが欲しいって。翡翠ちゃ
んの中を志貴さんが行ったり来たりしているところを見ていて、私もあそこを濡
らして志貴さんのことを欲しいって考えてたんですね……
志貴さんはどうされたいのですか?」
耳から囁きかける琥珀の声が、股間を指で、時には舌を搦めて愛撫される志貴
は、琥珀の身体の下で抵抗もままならず呻く。
声にならない嬌声まじりの志貴の息を聞いて、琥珀は嗤った。
「しっかり仰って下さい、志貴さん……こう言えばよろしいんですよ?
『琥珀お姉ちゃんと翡翠お姉ちゃんの中にたっぷり出したい』って……」
(To Be Continued....)
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