回路5>>>翡翠に接続
どうしてこんなことになったのかと言えば、志貴さまが「ちょっとひっかけ
てさ」と苦笑いをしながら血の滴る指をわたしの目の前に突き出したのが悪い
のだ。
「救急箱がどこにあるか知らない?」との問いかけに、わたしはその指をくわ
えてることで答えてしまっていた。
そして今、わたしは洗濯室の片隅で志貴さまのペニスを頬張っている。
壁に背を預けている志貴さまの前に膝をつき、一心にしゃぶる。
とても大きくて、長くて、そしてグロテクスナ外観のそれを口に含むなど考
えられないことだが、それが志貴さまの身体の一部だと考えただけで、なんと
もいとおしものに感じられる。
髪の毛をなでてくださる指の感触にわたしの身体もわななく。
「翡翠はいつも一生懸命だね」
そうやって、お褒めの言葉を頂くだけでわたしは幸せな気分になれる。わた
しはこの人のそばにいるだけで、お仕えさせて頂けるだけで幸せなのに、こう
して優しい言葉をかけてくれ、そして、戯れでは合っても身体を求めてくれる。
わたしはこの感謝の気持ちを表すために、一層、心をこめて愛撫を続ける。
すでに口の周りはわたしの唾液と志貴さまの腺液でべとべとになっている。
「翡翠、ちょっと苦しいかもしれないけど、我慢してね」
首肯するより先に志貴さまはわたしの後頭部を掴み、激しく前後させる。口
内がむちゃくちゃに侵されるが、わたしは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
また志貴さまの手をわずらわせてしまった。
料理の腕と同じようにいつまでたっても上手にならないわたしの奉仕に、志
貴さまはたびたび自ずから快感を得るための行動を取る。そのたびにわたしは
自分の至らなさを思い知らされて、申し訳ない気分でいっぱいになる。主人に
手伝われるメイドなどなんの価値もありはしない。
せめてものお役に立とうと、わたしは激しく出入りするおちんちんに必死で
舌を絡ませ、必死に先端を吸い上げる。
「行くよ、翡翠。・・・全部飲んでね」
言葉と共に志貴さまの動きは速くなり、わたしは只その動きを受け入れるだ
けになってしまう。
「うっ、うう」
うめき声と共に動きが止まり、代わりに喉の奥でペニスが爆ぜた。
熱い脈動が食道を打ち、わたしの心をとろけさせる。次から次へと打ち出さ
れる迸りを決してこぼすことのないよう、わたしは必死で嚥下する。ごくりご
くりと喉が脈打つ。
夢中で飲み込んでいる間に、いつのまにか脈動は収まっていた。わたしはす
ぐに尿道の奥に残った液を吸い出す。吸い出し終わると、その先端をペロペロ
と優しく愛撫する。
「そんなことされたらまた大きくなっちゃうよ」
髪をなでながら志貴さまが笑う。わたしはペニスから口を離し、顔を上げた。
つーと引いた細い糸が切れて、口元を濡らす。
上気してぼぉとした意識の中、本当にわたしの口の中に入っていたのかと疑
いたくなるぐらいに雄雄しく反り返っているペニスを見つめていると、胸が高
鳴り、体全体、特に下腹部の熱が上昇していく。
ああ、あれが欲しい・・・。
「どうして欲しいの?」
ああ、また先を越されてしまった。本当はわたしからお願いしなければなら
ないのに、志貴さまに促されてしまうとは!
「あ・・・」
言い淀んだのは、恥ずかしかったからではなく、また、自分があの身体がバ
ラバラになりそうな感覚に溺れてしまいそうだったから。また、そうなってし
まうことを期待している自分を志貴さまが嫌ったりしないかという不安から・・・。
「志貴さま・・・、志貴さまのをわたしの・・・中に、下さい」
「うん、じゃあ壁に向かって手をついて立って」
手は髪から頬へと伝わり、優しく撫でてくれる。
「はい」
わたしは立ち上がり、志貴さまと場所を交代して壁に手をつく。今度は言わ
れる前に、脚を開き、お尻を高く突き出すことができた。
「スカートを上げて」
そう言ってわたしの手の届く範囲までスカートの裾を持ち上げて下さる。そ
れを受け取ってゆるゆると上方へ引き上げていく。ひんやりとした空気があた
って、お尻と脚が露わになったことが知れ、志貴さまの視線が集中しているの
を感じる。
「ん・・・」
はずかしさと、・・・快感がごちゃまぜになって、小さく息がこぼれる。
「なんだ、もうぐちょぐちょじゃないか」
「はうっ」
下着越しにスリットをなぞられて背中をそらす。
「オレのを舐めていただけでこんなに感じていたの?」
「はい・・・申し訳ございません」
「なんで謝るの、そんな翡翠もオレは好きだ・・・よっ」
「ひゃう」
いたぶっているかのように、下着の上からの愛撫は執拗に続いた。幾度とな
く走る快楽の波にわたしの膝はがくがくと笑い始め、とうとう立っているのも
限界に近づいてきていた。
「そろそろいいかな」
しかし、わたしが崩れ落ちる直前に唐突に愛撫の雨がやんだ。
「あっ・・・」
いききれなかったことに、思わず不満の声を上げてしまう。しかし、下着を
横にずらして秘部に触れる熱い肉の塊に、不安はすぐに打ち消された。
志貴さまの腕がわたしの腰をがっちりと掴み、がゆっくりと挿入されてくる。
「ああ、あああああああああーーー」
内臓がひっくり返るようなこの感触にはいつまでたっても慣れない。初めて
のときほどではないとは言え、未だに痛みを感じる。
でも、その痛みを感じることこそが、わたしにとって何よりの幸せだった。
「んんんー、あはああああーーー」
奥まで差し込まれたものが、ゆっくりと引き抜かれていく。カリで内襞が削
り取られていくような感覚に、大きな声を上げてしまう。秋葉さまはおでかけ
になっておられるが、姉さんとシオンさまは屋敷にいるはずだ。
しかし、そんなことを思い出させるわたしに僅かに残された理性は、次から
次へと送られてくる快楽に打ち破られ、更なる嬌声をあげてしまう。
幸いなのか・・・、志貴さまの動きが激しくなるにつれて声を上げる余裕は
なくなってきた。突き上げられるたびに、息を弾ませるたびに、肺の中の酸素
を全部吐き出してしまって空っぽになってしまったかのように息苦しくなる。
それでもわたしの身体は一息を付くことを許してくれず、ただ、更なる快楽を
得ようと気を発散する。
意識は朦朧とし、世界はふいに暗くなったり、白くなったりを繰り返してい
る。
じゅぷり
だから口の中に突然飛び込んできたそれも、何がなんだか分からないままに
しゃぶりついた。しゃぶっていることでなんとか意識を保つことができた。
「翡翠行くよ」
「は、はい、中に下さい」
だから志貴さまの言葉にもなんとか答えることができた。
しかし身体はすでに快楽を受け止めきれず、上半身がするずると下へ滑る。
身体中から力が抜けていき、がっくと膝を落とす。
しかしそれでも膣は激しくなる志貴さまの動きを受け止め、口全体で志貴さ
まの指を受け入れる。
「くぅ、いく」
その喘ぎを聞きながら、わたしは快楽の渦の中へずぶずぶと沈みこみ、意識
が遠ざかっていった。だから子宮をうつ熱い濁流に喜びの声を上げることもで
きなかった。
ただ、自らの内を打つ愛しい人の生命に幸せを感じながら、ゆっくりと落ち
ていった。
《つづく》
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