遠坂の手が離れると、尻餅をつきそうになる。
 太股の筋肉は力を使い果たして、胸にべっとりと汗を掻いていた。自分では
何にもしてないのに、こんなに疲労感を覚えるのは気持ち悪い。だって、身体
はまだ元気だった。
 呼吸を収めようと天井を向き、息を吸い、長く吐く。その傍らを遠坂が過ぎ
ていくのが分かった。

「セイバー……ふふ、精液まみれね、その顔……」
「凛……私は……シロウに……あ、ああ……」

  射精の興奮に、身体は覚めやらない。でも精神がまだ重くて、身体と同調
していない。顔を下げて俺は、思わず顔に出してしまったセイバーに謝ろうと
する。
 腕はまだ後ろ手に縛られたままで、肩が痛くなってきていた。そろそろこれ
も良いんじゃないのか遠坂、と言おうとした矢先に――

「あ……凛、そんなことを……シロウの精が……」
「ふふふ、一杯だしてもらったわね。セイバー……はぁ……」

 裸の遠坂が、セイバーに抱きついている。
 そして、顔を寄せて俺の放った粘っこい白濁液を、その舌で唇で拭っていた。
遠坂の唇にちゅるち、と俺の精が含まれて……そのままぼーっとふやけたよう
な力無いセイバーの唇に、口移しで俺の精液を飲ませている。

「ん……ん……はぁ……ん、ん」

 股間が、また痛くなってくる。ここから出た液体がセイバーの顔を汚し、そ
して遠坂の唇で拭われ二人の美少女の口に絡んでいた。それを間近で見てしま
う。セイバーと凛の精液まみれのキス、そしてセイバーの喉が動いて、俺の青
臭い欲望の樹液を飲んでいる――

 今、セイバーが俺のペニスを舐めしゃぶり、底からにじみ出る液体を飲んで
いるような妄想快感。結果としては双であり、その想念が俺を駆り立てる。遠
坂の唇にも俺のペニスが乗り、あの柔らかな唇の上にぶちまけている、と。

「あ……ああ、あああ」

 言葉と言うより、身体の立てる軋みが喉から漏れるみたいだった。
 そんなふうに俺を飲んでいる。だから今度は俺自ら飲ませてやりたい、どこ
でも良い、セイバーの唇でも、膣でも、肛門でも、腹の上に垂らして指でなめ
てもらうのだっていい、なんならその鼻に発射して噎せさせてやりたい、なん
ていつも考えもつかない倒錯が蠢く。
 まだペニスは硬く、なんどでも射精できそうな気がする。

「おいしい……です、シロウの精は……ああ……ん……」
「そうね、サーヴァントはこういう力には敏感だから……私にはちょっと馴染ま
ないんだけど、でも……士郎の力を感じるわ……セイバー?」

 唇を絡め合いながら、物語る少女達。
 白い百合の花と紅い彼岸花が共に絡んで咲き誇るような、目眩がするほどの
美しい身体の光景。それなのに、二人は俺の生臭い精液を漂わせていて、それ
がもう狂おしい。

「士郎の……もっと飲みたい?力が欲しいんでしょ?セイバー」
「は………はぁ……」

 セイバーはその言葉が最初、理解できないようにぼんやりしていた。
 俺だってそうだ、飲みたいって今度は口に直に出すのか、とか考えてもすぐ
に頭の中に思考が繋がらない。でも、これで、これだけでお預けというのはあ
まりにも厳しい。

 凛が唇を頬に寄せる。
 そして、セイバーがやがて何かを悟ったように頷く。そして、舌を伸ばして
凛の唇を求める。まだ飲みたいんです、凛。無言でそういい聞かせているよう
な、艶めかしい舌の動き。

「はい……ください、凛。シロウの精液をもっと……飲ませてください……」

 聞き間違いがなく、セイバーは俺を求めていた。心が逸り、踊る。心臓が早
鐘を打ち、全身に欲望の熱い血潮を送り、その精気がふつふつと俺を再起させ
る。現金だったけど、でもセイバーを抱けるし、抱きたいというのはこの上も
ない望みの結実だった。

 俺は、誰にするもなく頷いた。まだ、俺は出来るって言うように。

「じゃぁ……セイバー、こうして……うん……ほら。もっと」
「そんな……そんな格好ではシロウに私の恥ずかしいところが……あ、ああ…
…」

 寝室の薄闇の中で、白い二人の身体が動く。
 遠坂はセイバーを俯せにして何かをやるみたいだった。俺はその様子を見守
り、何が起こるのかを心待ちにする。セイバーの頭が動き、俺に向かってお尻
を向けるような格好になる。
 遠坂の目はその間中、熱く輝いていた。はぁ、はぁという息が聞こえ、その
手がセイバーの身体の上を這い、動く。そして俯せにされたセイバーの白く、
綺麗で、まるで何かの過日を思わせるようなお尻が俺に向けられた。

「凛……み、見えてしまいます、シロウに……恥ずかしい……」
「あら?まだ序の口よ?これからセイバーの恥ずかしいところを全部士郎に見
せて上げるんだから。ん……」

 遠坂の言葉に、胸の中が壊れそうになる。
 俺とセイバーが遠坂の掌の上で弄ばれているってわかって、それに興奮しな
いではいられない……セイバーのはずかしいところ、という言葉に股間が反応
し、頭をもたげる。

 セイバーは俯せで、その身体に横から遠坂が乗っかっている格好だった。遠
坂の両手が白く綺麗なセイバーのお尻を摘む。きめの細かい、水を弾くような
セイバーのお尻に指が食い込み、マッサージするように揉まれる姿は如何にも
柔らかそうで、手が伸ばせないのが悔しい。
「ん……ん、はぁ……凛……これから、ど、どうするのですか……」
「は……ん……そう……ね、セイバーに士郎の精液を飲ませて上げるんだけど
……ふふふ」

 遠坂の流し目が、俺を射る。

 どっちに飲ませたいの、士郎は、士郎のいやしいおちん○んは、とその瞳は
俺の淫らな欲望を唆すような視線だった。乾いた喉で唾を飲み、俺はどっちに、
どこに、とも答えなかった。股間は熔けた鉄を流し込んだみたいに熱くて、弾
け出さないとおかしくなってしまいそうだった。それが、目の前にあのセイバー
と遠坂の裸体があるんなら尚更に……

「ああ……セイバー、俺……」
「ちゃんと考えてるから安心しなさい、ほら……」
「あ……っ!」

 遠坂の手がぐっとお尻を掴んで、腰を持ち上げる。
 セイバーの膝が進み、腰が掲げられる。お尻の丸みの線と太股に繋がる輪郭
が姿を変え、そして俺の目の前に、セイバーのお尻、というかセイバーの隠し
ておきたい秘密の場所が、露わにされてしまう。

 はぁ――と遠坂の、淫らな笑いが聞こえる。
 セイバーの身体の芯から、むわりと濃厚な雌の獣の薫りがする。
 俺の身体の中で、はやくはやく、と欲望が脊髄を駆り立てて妬く。

「あ……シロウ、シロウに私の……ああ……」
「ほら、見える?これがセイバーのお○んことお尻の穴よ、こうしたらもっと
……」

 足の隙間に見えていた、セイバーの秘所。
 女性の身体は後ろから屈むとその性器の部分が見えてしまうけど、それは足
とお尻の間にちらっと割れ目と陰毛が覗くだけの密やかな見え方だった。

 でも、遠坂の手がお尻の双丘を割り開く。
 ぐいっと肉が外に押し広げられ、肉の谷間に隠れていたくすんだ朱の窄まり
が露わになる。それはセイバーのお尻の穴で、明かりは少なくてもその綺麗な
菊門の皺の数まで数えられそうだった。セイバーの体の中に隠されている、一
番奥の恥部。

 セイバーの身体にこんな、俺たちと同じ形をした穴がある。それが何か美の
神様に対する反逆や裏切りのようにも感じてしまう……

「あ……あああ……」

 それだけならまだしも、遠坂は知り尽くしたように指を繰り、お尻だけでは
なく太股とお尻の間の肉も掻き分けていた。ここを拡げると、当然見えてしま
う。
 後ろ向きに拡げられた、セイバーの女性の部分が露わになっていた。目でそ
の筋を捉えて、見て、本当にそれがセイバーの女性器だと知る。あってもおか
しくないけど心のどこかでセイバーは綺麗なんだから、こんな割れ目もお尻の
穴も無いんじゃないのかと思っていたのに。

 セイバーの秘裂の中は、綺麗なピンク色の襞があった。
 陰毛は金色で、本当に柔らかそうにその縁を飾っていた。透明な液体に濡れ
た秘唇はすらっとしてて、如何にもセイバーらしく清純で綺麗だった。遠坂の
指に拡げられ、ふるふると震える蕾で、まだ少女から女になりきる前の、可憐
な割れ目の中――

「く……あ、ああ、ああ……」

 綺麗だと思っても、それが俺の劣情を煽らない筈はなかった。
 目と神経が、身体を加速させていく。血液の量が増えるけども、それは筋肉
を熱くして股間を硬く、背中を震わせ脳を奮い立たせて攻撃的にしていく。肺
は空気を吸い、どんどんと高まる身体を冷やそうとする。でも、湯気が立ちそ
うなほどこの身体は熱い。

「士郎がまじまじと見てるわよ、セイバーのお尻とここ……」
「や、止めてください凛……ああ……そんな、士郎の目の前に……」
「か、隠さないで、セイバー……セイバーの身体、綺麗だから……ああ……」

 セイバーにとっては、遠坂に拡げられて俺に見られるのは堪らなく恥ずかし
いんだろう。
 でも、その羞恥心がセイバーを感じさせているみたいだった。セイバーの割
れ目はとろり、と愛液に濡れて滴るのが見える。このまま俺と遠坂の瞳に晒さ
れると、見られたままで快感の絶頂にセイバーは達してしまうんじゃないかと
思う。

 それは俺も同じで、こんないやらしくて綺麗なセイバーを見ていたら、触れ
ないままで発射してしまいそうだった。遠坂の指に拡げられたお尻の穴も女性
器も、ピンクで濡れて粘膜の淫らな形を呼吸にひくひく蠢かせてる。

「ねぇ――士郎?見てて……セイバーのどこに入れたい……の?」

 誘惑の問いかけを投げかける、遠坂。
 何となく正気じゃなく、快感に我を見失っているような危険な薫りが声色に
感じる。でも、それでも遠坂らしくある種の傲然としたところが俺を従わせず
にいられない。
 遠坂が舌を伸ばし、顔を下げる。その舌の先にあるのは、指で割り広げられ
たセイバーのピンク色の襞たち。

「あああっ、んっ、あああは……はぁ……」
「ん……ここ……セイバーのここに入れたい……それとも……」

 鮮紅色の舌が、セイバーの秘唇を舐める。
 それを見ているだけで、感じるはずのない粘膜の感触に身体が竦み上がる。
 遠坂の舌が身体を上がっていく。クリトリスの突起から膣前庭のつるりとし
た部分、そして襞の多い膣口の中につぷりと舌を差し込み、そこから溢れる蜜
をすくう。

「ん……あ、ん……」

 そして舌がそのまま身体を上がり、会陰部のなだらかな丘を伝ってセイバー
のお尻の穴に達する。遠坂の舌がセイバーの肛門を舐め、湿らせていく。

「お尻の穴……士郎?」
「それは……………」

 俺がどっちに入れたいんだろうか?

 正直どっちでも良いし、どちらでも頭がおかしくなるくらいの快感が得られ
るだろう。でもセイバーの処女を奪っていいのか、それとも肛門性交なんかで
きるのかとか、こまかい疑問が残る。オーソドックスにセイバーの前でしたい、
いや、ここまで来たらセイバーの後ろの穴を開発してしまいたい、頭の中が千々
に乱れる。

「シロウ……私は……ああ……んっ、ん……」
「ふふ、悩んでるようね、士郎?でも……士郎がしてもいいのはここしかない
のよ」

 遠坂の声に、顔を上げる。
 俺がしても良いのはここしかない、という宣告。俺の選択を聞いているよう
でいて、遠坂は最初からそれを聞く気はなかったのか……それに怒りを感じる
のではなく、むしろほっとしたものを心の中で感じてしまっている。遠坂の言
われるとおりにすればいいんだ、という後ろ向きな、安堵。

 でも、遠坂はそんなことを俺に言って――セイバーの肛門を舐めている。
 遠坂の舌が伸び、菊門をつつく。お尻の肉を拡げて舐めているその姿は耽美
で、許されない魅惑を放っていた。遠坂の髪が白いセイバーのお尻の上に垂れ、
遠坂の瞳が俺を、立ち膝になったままの股間を捉えていた。

 そう、その奴隷○んぽを入れても良いのはここだけなの、と言うように――

「遠坂……」
「士郎?士郎のそのお○んちんをその、前に入れて良いのは私だけなんだから」

 その台詞を口にした遠坂が、ひどく可愛く、恥ずかしそうにしているのが見
えた。
 ぽっと頬が紅くなり、瞳に酔った淫らな色が消える。

 俺の恋人が遠坂の訳だから、セイバーと普通に性交するのは許さない……っ
て、嫉妬と言うよりも女の子のがんばりというか、俺の領有権の主張というか、
なにか俺もそれに反感を覚えることなくああ、と納得してしまう。

 こんなところで乙女の純情を見せられると、心臓が変な動きをしそうになる。
 つい顔を背けて、こほん、と咳払いをした。

「それは……そ、そうだろうな」
「だから、士郎のお○んちんを差し込んでセイバーにたっぷり精液を飲ませて
上げるのは……ここの穴しかないわ」
「凛……ああ」

 再び目を向けると、遠坂が唾液をたっぷり含ませてセイバーの肛門を舐めつ
づけている。お尻を高く持ち上げた格好で、顔が隠れてしまっているセイバー。
その被虐的なポーズにそそられ、遠坂の舌の動きに翻弄される菊門のひくつき
や、手を着けられないままにとろりとろりと淫液を滴らせる秘裂が、そんな液
体にしとどに濡れた太股が、晒される。

 俺のペニスが、あんなに小さなセイバーのお尻の中に入る……んだろうか?

「で、でも遠坂……その、入るのか?セイバーの、お尻に……」
「……ここまで来てだらしないこと言わないでよ、士郎」

 む、と目が怒って俺を見ている。良い雰囲気なのにかなり情けないことを言
って遠坂を怒らせてしまったような気がしたけども……でも、そんな俺の言葉
に答えるように、凛の人差し指がお尻の上に宛われる。

「ひ……あ……」

 ひく――と、セイバーのお尻が震え、竦み上がった。
 透明な唾液を絡みつかせ、その菊門に触れた指が曲がる。ゆっくりと、じわ
りじわりとセイバーの肛門を遠坂の指が犯していく。まるでなにか未知の生物
の口に、指を差し込んで調べているような――でもそれがあの可憐で美しいセ
イバーの卑しい肛門で、それを遠坂が指を差し込んでいるのだと思うと……自
分の尻の穴に入れられるようにむずむずする。

「凛……あっ、ああ……そこに……指を、入れては……ああ……」
「セイバー、息を抜いて?私の指でこんなに締めてたら、士郎のが入ってきた
らあなた壊れちゃうわよ……ほら……ん、はぁ……」

 遠坂の言葉が、俺に妄想させる。この剛直をセイバーの肛門にめり込ませて、
彼女に甘美な悲鳴を上げさせながら壊してしまうと言う――そんな破壊的な欲
望が心のどこかで疼いてしまう。

 セイバーの僅かな悲鳴をよそに、遠坂の指が少しづつお尻の穴に飲み込まれ
ていく。皺が伸びてしまっていかにもきつそうだったけど、指の関節が飲まれ
て進んでいくのが分かる。第二関節まで飲まれたところで、遠坂は俺を見て妖
しく笑った――ほら、セイバーのお尻なら大丈夫よ?といわんがばかりに。

 指が――ぐるっと、音を立てて回った。

「はぁー……ああっ、あああ、ふああ……」
「セイバー?セイバーが緩めてくれないと士郎が痛くて千切れちゃいそう。い
くら士郎の奴隷○んぽだからといっても、壊れちゃって私が楽しめなくなるの
はいやだし……うふふ、たっぷりセイバーのお尻、ほぐして上げる」

 遠坂の言葉が、セイバーの肛門調教を宣言した。
 そんなことを俺に聞こえるように言わなくても良いのに、と思う。俺は足は
動くけども腕はまだ後ろ手に縛られたままで、膝立ちで股間だけをがちがちに
勃起させている。こんな屈辱的な姿では遠坂の奴隷○ンコ呼ばわりされても言
い返しできない。
 それを口にしながら、セイバーの肛門を指で掻き回し、唾液を垂らしてもみ
ほぐそうとする遠坂。そして、お尻を掲げた格好で遠坂の恣に任せているセイ
バー。

「あっ、ふあ……ああ、変です、そんなのは……私のお尻に、凛の指が……あ
あ……」
「もっと鳴きなさい、セイバー。あなたが感じれば感じるほど士郎もあなたも
気持ちよくなれるんだから……あ……ん、はぁ、ぐちゅぐちゅいってる、セイ
バーのおしり……聞こえる?」

 指が、ピストン運動している。それはセイバーのはしばみ色の肛門に埋め込
まれ、引き抜かれ、ずちゅりずちゅりと水音を立てる。セイバーの甘いうめき
声と、戦慄く下半身が、そして遠坂の喜悦とその熱っぽい口付けが網膜に焼き
付く。

「ん……セイバーのお尻の穴ってやわらかいのね………もしかして、一人でし
てた?」
「そんなことは……ありません、凛。ああ、でも……んっ、あああ……」
「こんなに私の指に絡みついて……ほら……ここまでしても……」

 ずぽずぽっと指が肛門に埋め込まれる。
 遠坂の指が肛門に沈むと、セイバーの秘裂からとろりとろりと蜜がこぼれ落
ちる。中を掻き回され、指の体積の分だけ身体から液体が漏れだしてくるかの
ようだった。

 そんな遠坂のセイバー苛めを見ていると、我慢できなくなりそうだった。
 今すぐにでも膝でにじっていって、指に塞がれていない秘裂にこの熱いペニ
スを突き立てたくなる。それは遠坂を怒らせるかも知れないけど、俺とセイバー
は身震いするほど悦ぶだろう。でも、遠坂が導いてくれるあのセイバーの尻の
穴に挿入できるとしたら――挿入できるとしたらどんなにそれは気持ちいいの
だろうか?

 遠坂の膣はすごく小さくてまるでお尻に入れているんじゃないかと錯覚する
ことはあったけども、本当にお尻、それも処女のセイバーのアナルにするだな
んて……そんなに小さな穴なのに、それに差し込む俺の肉棒は醜く、硬く、太
く腫れ上がっている。

「ふ……ん……ん……ああ、凛……中が……熱いです、凛……」
「ん……くちゅくちゅいってるわね、セイバーのお尻……これだけ柔らかけれ
ば士郎の……ふふ、入るかしらね……」

 遠坂の声が甘く響く。部屋の外の雨音は、もう聞こえない。
 膝立ちになったまま、遠坂を見つめる。もう、このまま硬く腫れ上がらせて
いるのが辛い、お願いだ遠坂だとお願いするように。腕が縛られていると、ど
うにも態度が卑屈になる。
 首が曲がり、項から陽炎を立てている気がする。目の奥、鼓膜の底、首の神
経と脊椎、そして尾てい骨の上の熱い固まり、そして身体の中で唯一立ち上が
り、抗議して上がる拳のように。

「はぁ……ああ……遠坂、もう……」
「士郎ももう我慢できないみたい、準備は出来ているわね……セイバーのお尻
の穴も……良い感じになっているわ。ん……」

 ゆびがくちゅくちゅとこねている。入れたばっかりの時の締め付けるきつさ
が緩んできたのか、俺の目にもセイバーのお尻を犯す遠坂の指が滑らかに動い
ている気がした。その指は遠坂の垂らされた唾液と、セイバーの中から滴る液
に濡れて輝いている。
 ぬちゅり――と、指が抜かれた。ひくり、と震えてセイバーの肛門は締まろ
うとするけども、ほんの少し口を開けてしまう。僅かに口を開けて震えるセイ
バーのお尻の穴は、濡れてわななく秘所よりも官能的な姿だった。

 そんなセイバーの締まらない後ろの口に、遠坂が唇を寄せてふっと息を吹き
かける。

「ひぃー……うっ!」
「こんなになっちゃうんだ、私の指だけで……士郎のお○んちんが入ったらす
ごいことになりそうね……だってあんなに太いんだもの、ふふふ……」

 セイバーのお尻がびくり、と緊張する。彼女も間近で、精液を噴射する俺の
肉棒を見ているのでどうなるのかを想像してしまったんだろう。怯えるのも無
理はない。
 でも、そんなセイバーを可哀想だと思う反面、そこまで震えるセイバーを、
セイバーのお尻の穴を犯したいという欲望を禁じることは出来ない。ペニスは
硬く、締め付けるであろう肉の道を望んで止まない。

 遠坂の舌が紅く、拡げられた肛門を舐める。潤滑液としてたくさん濡らして
おくように、唇までぬらりと光らせて……そして、手は優しく俺を差し招く。
 まるで、禁断の快楽の園の美女に誘われ、二度と返ることの出来ない海を渡
るように。俺は膝でにじりながら、二人に近づく。
 波を蹴立てる舟の舳先は、定めしこの奮い立つ股間の肉棒か。まるでそれは
醜悪で逞しい船首像の様に上下に揺れながら、待ち構えているセイバーに向か
っていく。

「セイバー……どう?今からあなた、士郎のお○んちんにお尻の穴を犯されち
ゃうの……怖い?」
「は……ああ……怖くないわけはありません、でも……」

 微かなセイバーの声。声は不安に震えているのではない。
 彼女の中の押さえきれない何かを、声を出すことで押さえようとしているよ
うな。でも、その言葉がその欲望を解き放つ呪文の役割も果たす、この快感の
中の矛盾――

「お願いです、シロウ……私を、私を犯してください。前でも、後ろでもどち
らでも……そうしてくれないと、この身体の熱さを……シロウの精を受けたと
きから宿った疼きで、私が私でなくなりそうです。ですから……」

 セイバーの切々とした、声。
 それは哀切にも響き、そして淫らな願いを宿している様にも聞こえる。膝で
進む俺の身体を、まるで逆巻く波のようにセイバーの声が切り裂かれ流れてい
く。波は逆でも、風は俺の背を押している。

「苦痛はいくらでも我慢できます。ですから、シロウの思うままに私を……貫
いてください」

 セイバーが望んでいる。その言葉が、俺の中の最後の制御を外す。
 遠坂の手が、俺のペニスを摘む。指が冷たく心地良い。でも、この指は快感
の目的じゃなくて、これから始まる快感の絶頂の誘導にすぎない。

 遠坂の熱い瞳が、俺の下腹部に注がれる。遠坂も興奮して、その肢体を妖し
くくねらせている。手が、俺のペニスを進める。もう片手はお尻の穴を、人差
し指と中指で拡げている。
 目一杯拡げられた、セイバーのアナル。白いお尻の奥に隠されていた聖所が
露わにされて、遠坂の指と舌に嬲られ、まるで神聖な巫女が淫猥な娼婦にされ
てしまったような、そんな背徳的な悦びを感じさせるたたずまいだった。

 は、は、とセイバーの息が荒れるたびに、菊門が窄まり形を縮ませる。
 間近に見ると、セイバーのお尻の穴は如何にも小さくて、本当に入るのか、
それに入れて良いのかが不安に思う。入る入らないの問題よりも、入れてしま
うことが許されざる罪であるかのように、心にこびり付く。

 罪であっても、この燃える身体を、俺もセイバーも持て余している。だから、
遠坂の言うとおりに獣以下の交わりでも、しなくちゃいけない……考えが痺れ
る後頭部に差し込まれる。二次元の刃で切り開かれ、差し込まれ、一次元の糸
で縫われて塞がれるように。
 差し込まれた考えが多次元的で、時間も感覚も超越している。ただその中心
には熱く、燃えて、熔ける欲望がぢんぢんと、星の深奥の輝きのようにあって。

「さぁ……士郎の奴隷○んぽを、セイバーのいやらしいお尻の穴で絞り上げて
上げなさい――」

 遠坂の言葉で、その燃える固まりが身体を下り、丹田を掻き上げ、肉棒の先
端に宿って何もかもを溶かして進む衝角になった気がした。指が俺のそれを窪
んだ先端に宛い、俺は背中を、腰を、身体をめり込ませるようにその先端に掛
けた――

「ああああぁああああっ!」

 上がる悲鳴、身体の下の身体が跳ね上がる。
 でも、遠坂の腕に押さえ込まれているので、俺の身体をはねのけるほどには
至らない。それでもセイバーの背筋の力で、一瞬身体が崩れて尻餅をつきそう
になる。

 いや、そんな事はどうでもよかった。
 俺の亀頭に覚えたその、衝撃的と言っても良いほどの抵抗に比べたら……

「お、おおお、ああああ……」

 俺の喉から、声にならない声が上がる。つんざく叫びになり損ねた、横隔膜
の痙攣。
 舌が口蓋から飛び出る、喉が迫り上がる、腰が熱く燃えて、それでもその締
め付けるきつい穴の魅惑に惹き付けられる。座礁するとわかっていても、その
海峡にしか梶を切れない舟のように、俺は腰を進める。

「ひぃ……ああ、ああ……んん、ああああ……ううう……」
 
 セイバーの悲痛な声が聞こえる。止めたい、こんな苦しみを与えてしまうの
なら止めてしまいたい。今ならまだ間に合う、彼女を傷つけるくらいならこの
身体が千切れてしまい、血が流れて止まらなくなるほうがまだましだ。でも、
でも俺の身体はそれを是としない、だって今こうしている間にも、ペニスがセ
イバーのアナルを少しづつ、確実に犯しているんだから。

「あ……すごい、本当に……入ってる。士郎の……ん……大丈夫?セイバー、
はい」

 遠坂も余裕を失っている。俺がこんな風で、セイバーもこんな風だから仕方
ない……って冷静になれない。遠坂が慌ててセイバーの手を握っているのが見
えたけど、それを最後に俺の首が仰け反ってしまって、見えるのは天井の羽目
板ばかり。
 それなのに、見るモノ聞くモノがその刺激に比べればどうでも良い物になる。
セイバーのアナルは今までに感じたどんなモノとも強さが違う、根本的に、間
違えたところに入れたとんでもない緊迫があった。

 みちみちと、肉がちぎれてしまう気がする。
 それはセイバーのお尻の穴なのか、それともひねり潰された俺のペニスなの
か分からない。でも、セイバーがそんなことになってしまうなら、いっそ俺の
ペニスが頼りなく圧壊してしまえとおもう。たとえセイバーの中で潰れても、
俺が壊れそうに気持ちいいことだけは変わらないんだから――

「あああっ、あああ……うう、ああ……セイバー……すごく……あああ」

 腕を戒められているので、身体に押さえが効かない。
 腰を体重をかけて、ずぶずぶと進める。セイバーのその窄まりが目一杯広が
って、俺の醜い性器を飲み込んでいく。本来吐き出すことが主の器官は挿入さ
れる苦しみに悲鳴を上げ、その苦痛がセイバーの喉を震わせる。

 でも、でもセイバーは……

「あ……入って……入ってきていま……す……シロウのものが……熱い、こん
なに太くて……う、あ、はぁ……」

 健気にも、俺を怖じ気づかせる悲鳴を上げようとしなかった。
 触れる腰がぶるぶると、危険なほどに震えているのが分かる。膝もこうやっ
て、俺の腰と合わせて立てているのが辛いと思える。だって、お尻の穴に入ら
ないような太いモノを挿入されているんだから、泣き出したっておかしくない
のに。

 でも、布団に着いて振り返ることなく震える、セイバーの頭。
 金の髪が解れ、不謹慎なほどに色っぽい。首が戻ってきてまず見えたその光
景と、根本まで埋まりつつあるアナルセックスの快感が、この腰を動かそうと
する。

 凛はセイバーに被さるのを止め、その手を握ってはらはらしている。
 セイバーの苦しみ方に同情したのか、それとも……分からない。ただ、止め
てと彼女の口から言って欲しくはなかった。それは責任とかそういう事じゃな
くて、俺がそれに満足できないから。

「セイバー……本当に、あなた……うん……いえ、頑張って……」
「はい、凛……それに、シロウも……動いてください……はぁ、ああ……」

 呼吸の度に、体腔内が、硬い肛門が締まり、また緩むのが分かる。
 セイバーの背中に汗が浮いている。肩胛骨の波打つ様が、目に焼き付く。そ
れだけで何か訳が分からない世界の中に俺がいるのに、セイバーの顔が上がっ
た。

 遠坂が驚き、そして瞬時に頷く。
 それが何を意味するのか俺が理解できるわけもなく、そのまま振り返ったセ
イバーの瞳と俺が交差した。俺の視線はただ苦しく、このまま、セイバーの身
体を貪りたいという欲望に燃えていただろう。獣以下の奴隷の瞳で、セイバー
に軽蔑されてしかるべきだった。
 だって、今こうしてセイバーのアナルを犯しているんだから、セイバーに許
されなくて当然だ。遠坂に唆されたなんて言えない、だって、こうしたのは俺
の選択であり、俺の行為なんだ。

 けど――

「シロウ、私を……私の中に、シロウの熱い精を掛けてください……お願いで
す、ああ……」

 碧緑の瞳は、涙すら湛えていた。

 瞳は優しく、潤み、そして俺を求めていた。こんな瞳は誰にも向けられたこ
とが無く、まるで無限の深淵に落ちてゆく誰かが手を差し伸べて縋る瞳だった。
それを見た、射られた瞬間に神経が全て、あり得ぬ力を身体に出させる。腕の
腱と肘の関節を抜き、腕を伸ばし、あり得ぬ伸張を可能とするように――身体
を動かす。

 肺が止まった。心臓は残りの脈拍を決める。
 血液の中は全てそれに向けて動き出し、脳も動きを止める。もうその必要は
ない。

「セイバーっ!」

 ただ、着いた。100m走の速度で800mを駆け、それを1500m走にする
無謀な突進。
 股間が灼けた。セイバーの肛門はきつく、この身体のリズムを押しとどめよ
うとする。でも、俺の身体はもう決められたそのゴールラインにむかってのス
プリントを始めていた。

「あっ、はっ、ああっ、あああっ」
「うっ、ああっ、シロウ、ああー……あんああんああっ!」
「はっ、はっ、ああっ、ああああーうっ!」

 耳が捉える音が鼓膜まで来ているけど、意識に伝わらない。
 でも、ずんずんとセイバーを着く音だけ、そしてお互いの漏らす息だけは骨
と髄が効いている。セイバーは腰を突きだし、健気なほどに俺を受け入れてい
る。
 ペニスが着く。セイバーの中は温かく、こんなペニスを入れられるのが初め
ての世界で、ぎゅうとした締め付けも中の、どこまで突いたら底になるのか、
天井になるのか分からない。ただ、出来ることならこのままどこまでも深く犯
して、内臓全てに俺の味を染みこませてしまいたい。

 腰がはち切れそうで、太股と腰の筋肉が焼き切れそうに動く。
 背中に回された腕の筋肉が、みしみしと悲鳴を上げる。脊髄はすでにひび割
れて髄液を漏らして俺を冷却しようとしているけども、肝心の脳がもう壊れて
いる。

「あああっ、はぁっ、あああ、ああ、セイバー、セイバー……」
「ふ、はあ、ああっ、シロウ……シロウ、私は……シロウにお尻を犯されて…
…はぁっ、ああ、ああああああああ!」

 セイバーの身体が痙攣する。遠坂が仰け反った身体を抱きしめる。
 そして俺は背を折り曲げ、セイバーの身体に被さる。腕が付けないのでびた
っと頬に濡れたセイバーの背中が当たり、なにがなんだかわからないまま突き
続けて――

「あああっ、あああああうあああ!」

 射精の限界をどこで超えたのか、俺には理解できなかった。
 でも、一瞬の空白がとつぜん意識の中にカットインされて、その白さが見開
いた目とセイバーの肌の白さなんだと気が付いた頃には、もう股間の堰が決壊
して、精ではなく血が噴き出していくような、与えるよりも奪われるような激
しい射出を――

「ああ、あああああー!」
「シロウ……あっ、シロウのが……私の……中に……ううっ、ああっ、く……
ぅ……」

 セイバーの、俺の身体の力が抜ける。
 セイバーは身体を遠坂に支えられて、俺はその背中にべったりと倒れ込んで
いて。
 ペニスは硬くセイバーの肛門を押し広げ、中に俺の精を放っている。どくど
くと、真っ白い液が中を際限なく満たして口から零れていくんじゃないかって
思うほど。

「はぁ……あ、シロウ……」 
「すごい……シロウも、セイバーも……はぁ……」

 失血しすぎたような、心地よい失神の予感がする。
 せめてセイバーのお尻から抜いてやらないと可哀想だな、とかか弱く思い、
筋が伸びてしまったような腰を少し引く。

 ぬぷぁ――と絡みつく、肉と蜜の響き。

「あ……シロウ、今抜いては……ああ、んん……」

 そんなセイバーの声を聞いて、閉じた目の中で頭の中が遠くなる。
 セイバーの身体の温もり、それを腕で抱きしめられないのが惜しかった。で
も、次にはと……


(To Be Continued....)