「…………………!!!!!!!!!!!」
肺腑の限りの絶叫が不発に終わり、なにやら得体の知れない感情を無言で爆発させた蒼香であった。もはや言葉と声の次元を超えて、スピリチュアルな世界での絶叫を響かせているような、そんな蒼香の身もだえ。
なにしろ、熱いペニスが顔面に乗っかっているのである。
おまけに馬乗りにされて、抵抗も出来ない姿勢で。
それは熱い血液の通う肉の棒で、生々しすぎるソーセージというか、汗の煮詰まったような香りすら逃れようもなく花に香ってくる。
視界の内側に入ってしまってぼんやりとした影しか見えないが、肌の上では疑いようもなくどくん、どくんと脈打打っている。
体の上に乗っかった大柄な羽居の体よりも、この鼻の脇に横たわる羽居のペニスの方が重く感じられた。
「……!」
「もう、なんど言っても蒼香ちゃん見てくれないから、私のおちんちんー」
そんな、品がないことには耐性がある蒼香ですら赤面しそうな隠語を口にする羽居。敏感な新しく生えたペニスの感触を確かめるように、ずず、と腰を動かすと蒼香の顔の上をツチノコのような肉棒が、ゆっくりと動く。
「蒼香ちゃんに、しっかり見てもらわないといけないのー」
「見る、見るっていったってお前……そんなっ!」
羽居は笑うと、ゆっくりと手を股間の、蒼香の顔の上のペニスにのばす。
そして、竿の脇を掴むと頼りなさそうな手つきで、握る。
「な……何をする気だ……」
「まだ……まだいっぱいに、カチカチになってないから……んんっ」
羽居はそういいながら、かるくさするように握った手を上下させる。
その肉棒のサイズは、なにかの間違いじゃないかと思うほど大きくグロテスクであった。羽居の拳二つを縦にしてもまだ余るくらいであり、その皮の先端には半分剥けた、粘膜の先端――亀頭が聳え立っている。
羽居は目を閉じて、微かな声を上げる。
「あっ……ん……ん……」
「お……おい……」
瞬きをすることも忘れたような蒼香の文字通りの目の前で、むくむくと羽居のペニスは佇立し始める。その手が上下すると、それにつれて皮がめくれ、雁首までの亀頭がむき出しになる。
蒼香の眉間の上にある鈴口はぴくぴくと動き、その尿道の中から今にもあふれそうな予感がする。この位置からこぼれ出ると、間違いなく顔いっぱいに羽居の精液を受けることになる……と蒼香は思う。
いや、今朝突然生えたであろう異様な逸物が本当に噴射能力まで備えているのかどうかを蒼香は知らない。だが、ここまで――ここまで迫真に迫った性器であれば、出ない方がおかしい、という気すらしていた。
……私はいったい何を考えて居るんだ、早く羽居から逃げ出さないと……
頭の中は二つに割れ、一つはそんな理性的な意見を返してくる。そもそも今日からしておかしいのだ、早くこんな間違った時空を正さねばならないと。
だが、もう一つの頭は蒼香の目を支配していた。焦点を合うギリギリの近さで、羽居の暴力的なペニスが踊っている。
「はぁ……どう、蒼香ちゃん……見てるぅ?わたしのおちんちん……」
耳ももう一つの頭に支配され、熱い吐息の中に混じる隠語を頭の中に送り込む。
その言葉は麻薬のように蒼香の中に染みこむ。ドラッグの経験はないが、それでもなにかおかしいと思えるほどの感触。
鼻に香る栗の花の香りは、濃すぎる香水のような。
じっと見つめ、聞き、香りを嗅ぐと頭の中がくらくらと蹌踉めく。むしろ胸の上に乗っかっている羽居の体重の重さすら気持ちよく感じ始め、上に乗っかられている苦しさも浅く早い興奮した息づかいを促進するような。
……おかしい、どうしちゃったんだ、私。
何よりも、目のピントをずらすとそこには――
羽居の柔らかい髪が動き、ほやっとした相貌はむしろ匂い立つような色気を放ち始めて居るようにも思える。そんな羽居は、ペニスを握りながら……
「蒼香ちゃん……蒼香ちゃん、これ……これ、大きくなってぇ……ああんっ!」
ごしごしと握力を強く握ると、羽居のペニスは送り込まれた血液を圧縮されてより一段とふくらみを増す。すっかり包皮は竿の胴にめくれ返り、雁高の亀頭がそそり立ち、鈴口からは先走りの透明な液をぽたりぽたりと流し始める。
それはまるで涙のように、蒼香の頬の上に落ちる。
まるで羽居の肉棒が泣いているような――そんなことを蒼香は考えてしまう。
羽居の指は輪を描いて竿を締め付け、ぐいぐいと海でも絞り出すかのように強くしごき上げる。それはまるで男性の自慰のようであり、羽居の本能がそうさせているかのような。
「蒼香ちゃん……ああん……」
「羽居……」
やっとの事で声が蒼香の口から漏れる。
羽居は強くリズムを刻んでいた指をゆるめ、がちかちに硬くなったペニスを改めて蒼香の前に翳す。腰は浮き気味で、今度は蒼香の顔の上に直接付けないようにしている様であったが……
「蒼香ちゃん……私のおちんちんが……蒼香ちゃんをほしがってて……」
「…………」
「どう、蒼香ちゃん、私の……蒼香ちゃんがほしくて、指だけで我慢できなくて……だから……」
羽居は顎を引いて体の下の蒼香を潤んだ瞳で見つめながら、先走りの液でぬるぬるになった指をそっと蒼香の頬に付ける。
その指の動きに、蒼香は逃げなかった。指は蒼香の頬にこぼれた粘液をつたい、そのまま唇に触れると……
「蒼香ちゃぁん……おねがい……」
「なんだ、羽居……もう……」
「指だけじゃダメなの……私のおちんちんを……蒼香ちゃんに……」
蒼香の唇に、濡れた羽居の人差し指が掛かる。蒼香の開き掛けた口にその嫌らしい液体で濡れた指が忍び込み、蒼香の舌にさわる。
変な、わずかに塩気を感じる蒼香。だがその指は蒼香の口の中をこじ開けるように動いていく。
「な……あが……!」
「蒼香ちゃん……お口で……してぇ……」
蒼香の半開きになった口の上の、羽居のペニスが乗っかる。
腰を上げ、蒼香の顔の上に被さるように体を動かす羽居。蒼香の唇はやおら羽居のペニスに口づけを強要され、むちゅりとなま暖かくぬるっとした、不可思議な感触が広がる。
変な感触だった。男性器に口づけをする……それはなぜかルームメイトの女の子の……という初めての体験なのに、頭と感触が付いてこないというような……
だが、そんな感慨に耽ることが出来たのはわずかの間だけであった。
「…………んむぅ!!」
それだけならまだしも、羽居の腰の動きをは止まらなかった。
腰が蒼香の顔に被さるように下がっていき、それに従って亀頭もずるずると蒼香の口腔に侵入する
小振りな蒼香の口にハムほど、と言わないまでも優にフランクフルト以上の太さがある肉棒が割り入ってくるのである。歯で噛んで抵抗するなどということも思いもよらず、顎をめいっぱいに開かされる羽居のペニスの侵入。
「あっ、あったかい……蒼香ちゃんのお口がぬるぬるして……」
「ふんー、んー、んんんー!」
羽居は蒼香の顔の上に四つん這いになると、腰をぐっと押し込む。
蒼香は息が詰まる思いで口の中をずるずると押し込まれる肉棒を飲み込む、舌の上につるんとした亀頭が乗っかり、その上をのったりと進んでいく。
舌いっぱいに羽居のペニスを味わわさせられる蒼香。苦しい羽居と引き替えに、敏感な性器の粘膜をざらざらとした舌の上にこすりつける羽居には、そのめくるめく快感は――
「いいっ、あ……あああ、蒼香ちゃんの舌の上で……おちんちんがおちんちんがぁ、もう、びっくんびっくんしちゃって……あああんっ!」
羽居の腰がさらに進み、根本まで蒼香の口に押し込まれる。
視界を体で塞がれた蒼香は、ほとんど窒息寸前であった。ペニスは容赦なく喉の奥に侵入し、ほとんど口腔の奥まで塞いでしまっていた。
「ん……んんっ、ああ……どぉ、蒼香ちゃん……私のおちんちんの味……ん……」
肘をベッドの上について、腰だけ高く上げるような四つん這いの格好。それで羽居はじりじりと腰を動かし始める。
奥まで口の中に押し込んだ肉棒をずるりと引き抜き、ほっとした蒼香を期待を裏切るかのようにまたずぶりと腰を沈める。蒼香の口の中を羽居のペニスは蹂躙し、そのぬるりとした締め付ける口の感触を羽居は堪能していた。
口を犯される――身動きも鳴らず、まるで性器のように口を犯される蒼香は半狂乱であった。頭を振って逃げようとするが、口から杭を打ち込まれて頭を固定されているかのような気すらする。そして口や舌を動かしてはき出そうとしても、それはかえって羽居を楽しませるだけだった。
「んんー、んーっんー!」
苦しく、今にもはき出しそうなのに……
この被虐の苦しみが、徐々に苦い快感になって蒼香の体を酔わせ始めていた。
ルームメイトの暴虐な肉棒によって口を犯され、窒息させられそうなこの体制……だが頭はこの被虐の苦痛から逃れるために快感に転じさせており、むしろ心のどこかで蒼香はこの野太いペニスによって喉の奥の奥まで犯され、窒息させられ、そして犯し殺されることすらも快感に――思い始めている。
羽居の体の下に組み敷かれ、そのペニスをほおばる自分はどんな顔をしているのだろう?きっと嫌がっているとかいっても私は喜びに顔をゆがめ、まるで淫乱な娼婦みたいな顔で美味しそうに頬張って居るのだろう。淫らだ。月姫蒼香という女の子はいつの間にこんな、ペニスを喜んでくわえる様になりはててしまったのか?
それも、ルームメイトの腰から生えた異形のモノを――
蒼香の頭の中を、立ちこめる阿片の煙のような妄想の甘い香りが充満する。
それはくらくらと蒼香を酔わせ、顎いっぱいに開いて涎をたらし、口の中を入ったり来たりする肉棒をくわえ、あまつさえそれに舌をぬらりと這わせたりする。
ちゅぱり、と音を立てて……
「ひゃっ……ああっ、蒼香ちゃん……そんなに……先っぽは……ああんっ!」
蒼香の舌が震えると、その根本にある羽居も腰をびくんびくんと震わせる。
そしてその口舌愛撫は羽居のピストンモーションを促進する。ぐちゅっぐちゅっと先走りと唾液を混ぜ合わせ、泡立てながら羽居のペニスは蒼香の口を突く。
時には喉の奥さえも蹂躙する、羽居の肉棒。
「あんっ、あー……うっ、ああ……」
蒼香は目をぼんやりと開き、もはや犯されるばかりの自分の口の快感に酔いしれていた。こんなに激しく突かれると、体がうずき出す……蒼香は手を自分の体の上に宛う。
手の平の下には、パジャマ越しに熱い胸がある。つん、と乳首が尖って触ると痛くすら感じる。
「んぅ……ああ……」
手を体にさらに下げていく。
きゅっと締まったお腹の上を通り、パジャマのズボンの上に掛かる。
そして肌とパジャマの間に手をそっと忍び込ませる。汗ばんで肌に張り付いたショーツの間に指をそわそわと這わせると、そのままつるんとした女の子の丘の上を指が通る。
「んぅ……ううっあうぁっ!」
喉の奥を激しく突かれ、蒼香は噎せるような悲鳴を上げる。
だが蒼香の指は、その弾みでずっぷりと割れ目の中に埋め込まれていた。指先につるりとして柔らかい襞の感触と、それがぬるりと内側から果汁をしたたらせていて――
蒼香は足をぎゅっと締め付け、その快感に腰をすくませる。
「ふっ、ああっ、いいよ……蒼香ちゃんー、蒼香ちゃん……はぁぁっ!」
《つづく》
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