「ふっ、ああっ、いいよ……蒼香ちゃんー、蒼香ちゃん……はぁぁっ!」
蒼香の上で腰を振り続ける羽居の、狂おしいよがり声。
ふくれあがってもなお敏感な性器を、蒼香の口の中に突き刺し嬲り尽くす快感に身も心も酔いしれている。シーツを握りしめ、本能的に快感を得ようと腰を繰り出す。
それは時には蒼香を苦しめるが、受ける苦しみも脳髄を痺れさせる快感となる。
ぢゅぽぢゅぷ、という淫らな水音と、ぎしぎしというベッドの軋み。
蒼香は言葉を発しなかった。発する喉を塞がれいるのと、秘裂に潜り込ませた指をくちゅくちゅと蠢かせ、その眉肉の快感にも身をゆだねていた。
アタシ……嬲られものにされて……羽居の前でオナニーして……
そんな淫らな考えだけが蒼香を支配する。今にも喉を突き破りそうなこの肉棒から絶えず脳を狂わせる毒を流し込まれ、自分が淫らな快感に耽る肉人形になりはててしまったかのような。
蒼香の指が、包皮に隠された慎ましやかなクリトリスに触れた。
「んんぅぅぅぅ−!」
蒼香の体が弓なりに撓る。敏感になってしまった体に強い刺激があり、身悶えする。
そしてそんな蒼香の体の上の羽居も、耐えかねたように体を震わせながら……
「あっ、蒼香ちゃん……でちゃうよ、でちゃう!!」
そんな呻きを上げ、ラストスパートを疾走するかのように腰のグラインドをさらに早く、短くする。絶えず喉の奥に亀頭と竿を詰め込まれ、鼻でも息が出来なくなる窒息寸前の状態の蒼香。
口の中に頬張った肉棒が、どくん、とひときわ高く脈打った――様な気がした。
「でちゃうよ、蒼香ちゃんのお口の……お口の中に、おちんちんからっ、ああああああああ!」
羽居はぐん、と腰を突っ張らせると――
その肉棒を、高まった感情のまま爆発させた。
蒼香は喉を、舌を、その上をどっくどっくと何かが流れ込むのを感じる
息が出来ない。目の前がだんだん霞んでくる。
それなのに、喉の奥に、口の中に熱い――血液のように熱い液体が噴射される。ねばっとした液体で、それはすぐに口の中から逆流して――
蒼香は、口の中に目一杯射精され、そのむせかえる液体の中で……
口を塞がれ、息も出来ず、口の端からだらだらと液体を流しながら……
目を開いたまま、すうっっと体が浮くような、エクスタシー。指に触れるクリトリスがまるで発射スイッチのように、自分と世界との間を離脱させる最後の信号を――
「んっ、あっ、あぅ……ぅ……」
ベッドと羽居の体に挟まれているはずなのに、まるで宙に浮くような。
そんな浮遊感のある、オルガイスムの中で蒼香は――目をつぶった。
……アタシ……このまま……どうされちゃうんだろう……
それっきり、蒼香の中の信号がぱったりと絶える。
「ふぅあ……あっ、ああ……」
羽居はようやくのことで長い射精を終えると、腰を名残惜しそうに引き上げる。
蒼香のぽっかりと開いた口から、先ほどの激しい怒張が嘘のようにしぼみつつある肉棒が引き抜かれる。羽居がよっこいしょ、とばかりに腰をずらすとそこには。
白濁液で口元をべっとりと汚し、目をつぶって動かない蒼香。
まるで陵辱を受けたかのような……いや、実際の所はその通りなのだが。
羽居は体を下げると、そんな蒼香の顔をじっと眺める。
そして、肘を突いて顔を寄せると、舌をのばして――
「蒼香ちゃん……私の出したのでどろどろ……こんなにたくさん……」
羽居は頬にたれた白濁液を舐め取っていく。
親猫が子猫の毛繕いをするように、少しづつ丹念にキレイしにしていく。その間蒼香は身動きひとつせず、羽居のされるままになっていた。
舌に覚える不思議な味も、羽居には気にならなかった。ただ、蒼香の事を見続けている。そして舐め終わると一つ蒼香の唇にキスをして、囁く
「今度は……こんどは蒼香ちゃんの処女をもらってあげるね……」
羽居は蒼香の体を下がっていく。
そして、パジャマの中に差し込まれたままの手を見るとあは、と笑う。
「蒼香ちゃんも気持ちよかったんだ……うふふ」
よいしょ、と両手で蒼香のパジャマを掴むと羽居は、病人の服を脱がすかのようにゆっくりと持ち上げながら引き下げていく
ショーツもいっしょに掴んでいるために、膝まで下げると剥き出しの下半身が露わになる。無毛の蒼香の股間には手が添えられて、その愛液に濡れた手を羽居はほほえましく見つめる。
そして、羽居はそんな蒼香の足からパジャマを引き抜くと、足の間に体を割り込ませる。ここまでされていても、蒼香は無抵抗だった。
無抵抗もそのはず、すでに蒼香は窒息状態で気絶していたのだから――
もはや羽居の行く手を遮るモノはなかった。
蒼香の足の間に腰を割り込ませ、わずかに隠すような格好になっている蒼香の手を外す。綺麗な割れ目のが羽居の目に晒され、そこはわずかに割れ目がくつろいでいる。
「いくね……蒼香ちゃん……」
羽居はその肉棒を手に、蒼香の割れ目の上に宛う。そして蒼香の両膝の裏を掴んで、体重を掛けて押し込むとめりめりと蒼香の狭い肉を割って処女の花を散らしながら――
――挿入するはずであった。
だが、その第一段階の異常を羽居はすぐに知った。
股間にあれほど自己主張いっぱいにぶら下がっていた逸物が、すでに……なくなっていたのであった。蒼香の手が股間で空振りする。
「あれ?」
羽居は腰を見下ろす。
そこにはつるんとした蒼香の恥丘と、柔らかい陰毛の生えた自分の股間、それ以外に何もない……一番重要なアイテムだった、たくましく聳え立つペニスが、ない。
「あれ?あれ?」
羽居は手を自分の股間を探ってみるが、すでにあの肉棒は……無くなっていた。
発射の後にしぼむような感覚があったけども、こんなにすぐにしぼみきって無くなってしまうということは予想すら出来なかった。
首をかしげて羽居は呟く。
「……無くなっちゃった」
しょぼん、としょげかえる羽居。
「せっかく蒼香ちゃんの処女をもらってあげるはずだったのにぃ……どうしよ?蒼香ちゃん?」
羽居は手を伸ばして蒼香の肩を揺する。
がくがく揺すってみても、蒼香の首が動くだけで反応がない。
先ほどは気絶していて好都合だと思ったこの状態も、羽居にとっては今は残念でしかない。なおも未練深く肩を掴んで揺すりながら……
「どうしよー、蒼香ちゃん、蒼香ちゃん、ねぇー、起きてー」
己の身の貞操が守られたことを知ってか知らずか……
蒼香の意識は虚空を漂っていた。今となってはかえって幸せそうに。
§ §
蒼香は食堂で一人、意気消沈しながら昼食を取っていた。
端から眺めると首が垂れていかにも覇気がない。端を動かす手ものろく、いつもは快活である蒼香らしくはなかった。
蒼香の身に降り掛かったことを考えれば、それは至極当然と言えた。
なにしろ同室の羽居に押し倒され、口いっぱいにペニスを銜えさせられ、それを射精されて……気絶してしまったのである。
幸いその後には何もなかったようであったが、もしかすると気絶したまま羽居に貞操を奪われていたのかもしれない。朝起きると自分が破瓜していないかを念入りに確かめていた蒼香の行動を笑うことは出来まい。
それに、そんなことをしでかした羽居の肉棒も、一晩にして消え去っていた。
羽居は寂しそうに「一回だしたら無くなっちゃった」と肩を落として呟いていた。だが「せっかく蒼香ちゃんのももらってあげるはずだったのに……」と続いて口にしたときには、とうとう蒼香も一撃を呉れて黙らせたのであるが。
昨日一日、まるで狐か狸に化かされているようであった。
羽居のペニスが消えたので、事は一応の落着を見た……と思いたくはない蒼香だった。
なにしろ原因もなにも分かっていないし、私の心の貞操を返せ、と空に向かって叫びたい蒼香であった。もっとも人前で吠えるわけにも行かず、そんな鬱屈を抱えて一人居たわけであるが。
「あ、あの……月姫先輩……」
おどおどとした声が自分の背後に感じ、蒼香はゆっくりと顔を起こす。そこにはトレイを手に半ば怯えたような感じがする、ショートカットの瀬尾晶が経っていた。
中等部の生徒もこの食堂を利用する以上、居ても当然だったわけであるが……
蒼香はこの、いかにも居心地が悪そうにしている晶を見上げていたが、それが自分の今纏っている邪険なオーラのせいだと気が付く。いつも一緒の羽居はさすがに今日ばかりはつきまとっていない……それに鬱々としたモノが蒼香にさらに話しづらい雰囲気を纏わせていたのであるが。
「ああ……瀬尾か、どうした?」
「その、あの……昨日先輩は、卒業生の香山先輩のことをおたずねになられましたよね」
蒼香は椅子を片手で示すと、憂鬱そうな瞳の色を変えて瀬尾を見つめる。
香山先輩。それはあの羽居の怪異のキーとなる名前だった。
「な、何か分かったのか!」
思わず声が大きくなる蒼香は、咄嗟に口元を押さえて驚く晶を見る。
周囲はちらりと蒼香を見るが、すぐにその注意は逸れていく。晶は言いづらそうにしばらくフォークでサラダを触っていたが、やがて……
「はい、ちょっと調べたんですが香山先輩という卒業生は居ません。でも、裏庭の社の由来は分かったんですけども、その……それできっとそんな伝説が生まれたんじゃないかと思うんですけども」
言いながら晶は語尾を濁らせる。こんな歯切れの悪いしゃべり方は蒼香の好む所ではない。蒼香が頷きながら一瞥すると、晶はとうとう意を決してしゃべり出す。
「その、月姫先輩は……神社仏閣にはお詳しいですよね」
「……一応実家が宗旨筋だからな。何か問題があるのか?」
「えーっと、そんな先輩にこの事を言うとゼッタイに……あうー」
一旦はそんな風に気力の萎えた所を見せていた晶は、しょぼしょぼと……
「その……金山神社ってご存じですよね」
「は?」
蒼香は文字通り目を見開き絶句した。
彼女は知ってた金山神社……金山様は、陽物崇拝で有名な神社である。ご神体は男性器であり、ピンクの男性器の御神輿を担いで祭礼をするのである。
何でそんなことを、清純に見える晶が口にするのか。だが晶もその神社のことを知っていると見えて、顔を紅くして話を続ける。
「あ、あう……その……恥ずかしいから金山神社の説明は……」
「知ってる、で、金山様がどうかしたんか?」
「何でか知らないんですけども、裏庭の社は金山神社と祭っているものが同じで、それがカナヤマサマからいつの間にか『カヤマ先輩』に鳴ったんじゃないのかと思ったんですけども……」
蒼香は呆然としていた。呆然としていたのは、いろんな事実の要素が適合していて、謎が解けたように思えるがその実全く何も解けていないのだから。
なぜ、この学校の中にそんなものがあるのか、そしてそれがなぜ男性の陽根を生やすという力があるのか、なぜ羽居がそんなことを知っているのか。
秋葉がいれば分かる――というものでもないのかもしれないが。
「でも、どこからそういう話が出て来たのかも私には分からなくて……実際に行ってみたらわかるかなぁと思ってその、さっき行ってきたんですけども……」
そう声をフェードアウトさせるように低くしていく晶。ちらっと上目遣いに顔を覗かれると、蒼香はそんな何かを言いよどんでいるような蒼香の仕草に気が付く。
ただでさえ分からない物事ばかりなのに、これ以上何があるのか……溜息を吐きたい蒼香は黙って頷き、話を促す。
「その……三澤先輩に会いまして……社から帰ってくる途中の」
「なにっ!」
蒼香は箸をテーブルの上にたたきつけ、腰を上げる。
バシーン!と激しい音と共に蒼香の和定食の食器がダンスし、その音に食堂の全員がしばし音を殺し、蒼香の方を顧みる。
いきなり感情を激した蒼香の変わりように、晶は顔を隠すように怯えて構える。
「せ、せんぱい、そんな私は悪いことしてませんー!」
「お前は悪くない瀬尾、本当に居たのか?羽居が!」
「はい、その……スキップしながら笑ってました……」
羽居が笑いながら、スキップまでして社から帰ってくる。
その社は金山様で、すでにその顕現あらたかなのは身を以て体験している。
蒼香の背中に、冷や汗が流れる。
「……せ、先輩……どうしたんですか?」
「あっ、あっ、あっ、あんにゃろー!瀬尾!どこだ!それは!」
女子校の中ではその言葉一つだけでも「まぁ、粗野な」とひそひそと後ろ指を差されかねない罵声を口にして、蒼香は……すでに周囲の注目を集めていることを忘れていた。
そんなものは屁でもない。羽居がしでかしたことが我が身に降りかかるのに比べれば。
「きゅ、旧校舎の奥です……せっ、先輩!お、落ち着いてくださいー!」
半泣きになる晶を尻目に、蒼香はまるで打ち出されたロケット花火のように――駆けだした。
まるで開放されたレンズの中を走る流れる姿のように、蒼香は全速力で疾走した。下級生も上級生も教師もシスターも当たる幸い吹き飛ばし、恐ろしい顔でスカートもまくれよと渾身の力で駆け抜ける。
校内、廊下、階段、玄関、中庭、体育館、旧校舎と風景はめまぐるしく変わる。
そしてこんもりと茂った森の中の獣道を、上履きのまま失速する蒼香の目には、黒木の小さな、稲荷様のような社が目に入った。
普段ならそれを見るだけで敬う心がある蒼香だが、今ばかりは違った。
観音戸が、半分開いている。それに飛びかかるや中を漁ると――
紫色の封筒が蒼香の手に握られた。
もどかしげにそれを開くと、ピンクの便せんに癖のある丸い字で……
『今度は蒼香ちゃんの処女を奪えますように 三澤羽居』
「うっ、うっ、うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
《おしまい》
《あとがき》
どうも、阿羅本です。
……やってしまいました、+凸……もうあの純情だった頃に戻りたい、戻れない、
太陽の牙だぐらむー(笑)
ほ、ほら!やっぱり言い出しっぺはまず隗より始めてみないと万人に示しがつか
ないじゃないですか!とか苦しく言い訳してみるのもみっともないので、まぁとりあえず
はこんなところで勘弁して下さい……というか、これを越えて下さい、皆さん激しく
高く!(笑)
というか、えろまんがでは常套の+凸ですが、いざ書いてみるとなんというのか……
なかなか難しかったですね。いや、結局はギャグにしてしまったんですけども……
あと、羽居がちんちんをはやして蒼香の処女を奪うことにちょっとこう、心理的抵抗
が(なぜ?:笑)
あ。あとあれです、金山神社はぴんくのちんこの御神輿はありますが、お祈りしても
ちんちんは生えません、言うまでもなく……おまけになぜそれがあるのかを聞かないで
ください、道祖神みたいなもんだと(笑)
というか、本番無しのフェラチオSSになってしまったのは……ちょっと不本意なので、
次は秋葉当たりに生やしてみるかなー、とか……(爆)
みなさま、お楽しみいただけましたでしょうか?
それではどうか、感想などをお願いいたします〜
でわでわ!!
2002/11/19 阿羅本 景
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