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「遠野さん……どうして嫌がるの……私はこんなに貴女が欲しいのに……」

 譫言のように囁きながら、環はスカート越しに秋葉の太股に股間を押しつける。
 普段であればそこには女性のなだらかな丘があるはずなのに、まるで巨大な
癌の痼りでもあるかのような、硬い異物が秋葉の身体に押しつけられる。

 その感覚を秋葉は知っていた。これが男性の逸物であると……兄が自分を抱
きしめるときにはこんな風にしてくるのだと。
 兄――志貴であればその感覚すらも心地よいのだが、環のあり得ない肉の感
覚は秋葉の心を恐怖と不安で蝕もうとするかのような……そんな、ありうべき
世界のありうべからざる異物。

「環……おねがい、正気に……あっ、ん……」

 環の手が秋葉の薄い胸の上をまさぐる。ソファーに押さえ込んだ秋葉と自分
との隙間に、環は腕を差し入れ撫でる。ブラ越しに環の指が蠢くのを感じるが
……心地よさと戦慄の混じる、困惑した肉感。

「遠野さん……遠野さん……こんなに可愛いのに……胸も……腰も……ああん……」

 環はただ、文字通り無我夢中で秋葉の身体をむさぼっている。こんな行為に
不慣れなのかぎこちなさがあるが、それでも秋葉の身体を押さえつけ、積極的
に愛撫と睦言を浴びせかけている。

 アルクェイドは秋葉の力を、己の空想の鎖で縛る。琥珀には簡単そうに言わ
れ、簡単そうにやっては見せたが秋葉の抵抗は生半可ではない。ただこの力の
拮抗劇は第三者の目には分からないのが難点であった。
 微かな焦りをアルクェイドは目端に浮かべて、指揮官である琥珀を見やる。

「で、どうするの?これから?」
「そーですね、環さまが実際に挿入されて、その体液のサンプルがあればいろ
いろと分析できるのですが」
「……そういう汚れ仕事は私たちの役目ということですか、はぁ」

 琥珀の言葉にシエルは溜息を吐く。琥珀は相変わらず喜色満面で腰をうごめ
かしながら秋葉の身体にからみつく環を見下ろしていた。
 今や環は秋葉の身体をヘビのようにしっかりと押さえ込み、あられもない言
葉を囁き迫っていた。そしてらしくなくしおらしく、その愛撫を受け入れる秋葉。

「……遠野さん?分かる……私のここは……遠野さんを思うだけでこんなに…
…硬く」 「環……もう……そんな、ああっ……」
「遠野さんのここも……ここも……ずっと見ていて……いつか……あああ……」

 秋葉の身体が反転し、環は後ろから秋葉の身体に抱きつく。
 手がわさわさと秋葉の身体をはい回り、セーラー服の裾から中に忍び込む。
白と青のセーラー服を内側から盛り上げ、うごめく

 その光景は目の当たりにするアルクェイドは、つと顔を逸らした。女性同士
の濡れ場に興味がないと言えば嘘になるが、やはり覚える初な気恥ずかしさは
どうしようもない。
 一方、琥珀とシエルは冷静に見守っている。

「……遠野さん……遠野さんのここを……」
「やっ、やめて……環、お願い……んっ」

 秋葉は指を噛む。
 環の指は、スカートの上から秋葉の足の間を撫で回している。そしてその手
は秋葉の足の付け根を円を描くように撫で、指先でつつくように跳ねる。
 大事な秘所を撫で回される感触に、秋葉は疼痛にも似た快感を覚えてしまう。
親友に犯されるように触られ、それでも感じてしまう自分が恨めしい。

 ――もしかして、琥珀は私のお茶にも一服……

 秋葉はあり得なくもない考えを浮かべる。アルクェイドに抑えられているの
は分かる、でもこんな風に感じてしまう自分の身体をあり得ないものと信じた
かった――

 だが、そんな思いを知ってか知らずか、秋葉の秘所は環の指に探られ、内側
からはしたなくも溢れてしまうような。
 くちゅり、とそんないやらしい水音を自分の身体が立てることを秋葉は知った。
 感じてしまっている――それをシエルに、アルクェイドに、琥珀に知られた
くはなかった。

 秋葉は指を噛みながら必死に耐える。
 しかしそんな健気な秋葉の努力をあざ笑うかのように……

「あー、秋葉さま、感じ始めちゃってますねー」
「ちょっと環さんが荒っぽすぎる気もしなくはないのですが、初体験であれば
無理もない」
「……ふーん、んー、んー、志貴もあんな感じだよねー」

 ギャラリーの面々は、そんな秋葉の身体のことをお見通しであった。
 秋葉は口々に漏れる言葉を聞き、自分の尊厳の生えた根を揺さぶられるかの
ような衝撃を受ける。こんなはしたない姿を見られているだけで死んでしまい
たいのに、向こうはこちらのことをお見通しで……

 悔しかった。身に染みる屈辱であった。
 でもそんな毒のような悔しさが、何も知らずに己の身体を責め立てる環の手
によって別の……身を焦がす毒々しい快感に変わってくる。

「やっ……あっ……あああ……んんぅ!」
「こんなに感じてるの……遠野さんも……あ、ん……ん……いい……」

 環の指は執拗であり、まるでねっとりと蜜のようにからみついてくる。
 胸に忍び込んだ指は、秋葉のつんと尖った乳首をつまむように動いている。
指が通り過ぎるたびに痛みにも似た快感が身を走る。

 そんな痛みと苦しみの混じったような感覚に比べると、股間をまさぐる指は
どろどろと熱を持って身体を溶かしそうだった。指が突き、つねり、撫で、爆
ぜ、撓う。その度に幾種類もの官能が腰を突き上げて、お漏らししてしまった
かのようにどろどろと内側から溢れてきて。

「やっ……あああぅ、ん……環……こんなの……」

 言葉では抗う。だが身体は心と言葉を裏切る。
 秋葉の身体は淫らに環を求め始めていた。それも、お尻に押し当てられた熱
い肉棒で、兄の志貴にしてもらうように貫いて欲しいと。

 それが兄さんを裏切ることに――その心の痛みが。
 なぜか己の脊髄を戦慄させる快感になる。

 ――こんなのは、いったい……

 環の手がスカートの中に入り、ショーツの布を越えた。
 指が襞に絡みついた蜜にくちゅりと音を立てて動く。そのダイレクトな快感
が、我が身を狂わせるかのように……

「こんなに濡らして……遠野さん……どろりって中から溢れて……」
「環……ああっ、そこは……こんなの……んふぁ……」

 秋葉は手をお尻に回し、身体に触れる環の股間を触る
 そこには確かに硬い肉棒の感触があった。それを撫で、擦るように動かす。

「ひゃぁぁうう!」
「環も……ここをこんなにして……ああ……」

 秋葉はもはや、ギャラリーの存在を忘れかけていた。
 目の前に三人の人影が見えるが、もうそれはどうでもいいような。
 この身体の熱い、背徳の官能の毒。

 それを冷ましてくれるのなら、誰でも、もう……
 
 秋葉と環、二人はその手でお互いの敏感な箇所をいじり、弄ぶ。秋葉の手は
スカートの上からだが、インナーからはみ出た環の肉棒の先端を擦り揚げる。
環の指は秋葉の膣口に忍び込み、中から蜜を掻き出しショーツをべったりと汚
すことに夢中で。
 この二人は、その度に……

「ああっ、んぅ、あああ!」
「環……もう……いい……ああっ、ん!はぁっ……」

 その嬌声も、お互いの耳を刺激する愛撫の一つとかしたかのように。

 その時、琥珀はシエルの小脇を肘でつついた。
 この二人の少女のいつ終わるともしれない交わりを見つめていたシエルは、
不意につつかれた驚きを浮かべて振り向く。

「シエルさん、今ならお二方ともガードが低いので、暗示を……」
「どうするんです?琥珀さん」
「とりあえず、スカートを下ろしてもらいましょうー」

 琥珀の提案に、シエルはうなずく。頷きながらもこうも楽しそうな琥珀の振
る舞いに一抹の疑問を覚えなくもなかったのだが……
 シエルの口が動いた。言葉を唇は刻むが、声がない。

「あっ……ああっ……遠野さん……」

 秋葉の身体に縋り付く、環の腕が動く。
 すべらかな胸を撫でていた手がもぞもぞとおりると、秋葉のスカートのホッ
クを外す。そしてそのまま、もどかしそうにショーツごと押し下げる。
 秋葉は脱がされることにあまり抵抗を覚えなかった。いやむしろ脱ぐことが
至って当然にすら感じ始めており、環の手によってスカートを下げられたこと
にむしろ爽快感すら覚えていた。

 秋葉の白い腰が剥き出しになり、セーラー服の上着のだけ残ったひどくいや
らしげな格好になる。
 環は膝まで秋葉の服を脱がせると、手を離してソファの上に膝立ちになる。
そうして秋葉のスカートにしたのと同じように、すとんと落として――

「……ん」

 見守る誰ともなく、微かな声を立てる。
 膝立ちになった環の股間の膨らみは見て取れたが、実際にスカートを落とし、
小さな女性用のショーツから溢れだした肉棒の先端を目にすると――

 環は荒く息を吐きながら、ショーツの腰に指を差し込む。
 そして、またしても惜しげなく股間を晒すべく……こうしなければいけない、
自分の望みを叶えるためには。そういう己の内側の声に従って。

 ぶるんと

 なだらかなはずの女性の股間に、醜悪な肉棒がそびえている。
 それは満々と内側に血液を貯め込み、ガチガチに硬く膨れあがっていた。根
本は陰毛に覆われ、その先端からは鮮紅色の粘膜の突起が覗く立派な男性器が。

 アルクェイドも、シエルも、琥珀も固唾を呑んで見守る。
 環はそんな己の身体に生えた肉の凶器をつまみ、虚ろに呟く。

「遠野さん……もう……我慢できないの……だから……」

 しゅるしゅると皮をつるませるよう動く、環の指。
 だがソファの上に俯せになり、脱力したように動かない秋葉にはそれが見え
ない。

 環が見せつけるように肉棒を擦る様子を見せつけられ、シエルはなんとも言
いようがない興奮と悲哀の混じりあった複雑な感情に眉を歪める。だが、こん
どは琥珀の脇をつつき返して。

「……次はどうするんですか?」
「どうもこうも、環さんにはイきつくところまでイってもらいますねー」
「……怖い事言うわね」

 ふんふふんと嬉しそうに鼻息を漏らしかねない妖しい琥珀を目にした、偽ら
ざるアルクェイドの感想であった。
 だが、そんな止めるでも煽るでもない不思議な雰囲気を漂わせているギャラ
リーとは違い、環と秋葉は夢中であった。

「遠野さん……これで遠野さんに……してあげる……」

 そんな呟きを口にする環。環は再び秋葉の身体に被さる。
 環の手が前から秋葉の秘所に伸び、指を粘膜の内側に、菊門の窄まりに宛わ
れる。

「やぁぁぁ!」
「こんなに……こんなに濡らして喜んでるのね遠野さん……嬉しいわ……」

 ぐちゅぐちゅと秋葉の身体はあられもない淫音を奏でる。
 指が肛門の窄まりに浅く忍び込む様に振るえるたびに、秋葉は背筋に走る官
能の戦慄に打たれる。そして前を責める指は秋葉の包皮から顔を覗かせかけた
陰核を撫で、楽器のように秋葉を歌わせる。そして、二本の指がぬめりと……

「んんぅ!あっ!ああああ!」
「暖かいわ……遠野さんの中が……私の指をぎゅっと噛んで……んぅ」

 第二関節まで入り込んだ環の指が、秋葉の体の中をかき回す。
 環は指を呑み込む秋葉の身体に疑問を覚える余地もなかった。ただ入れたい。
その一心が環を支配している。

 むしろ指を締め付けながらもぬるぬると悦びの唾液をしたの口から垂らし続
ける秋葉の身体に、歓喜すら覚えながら、夢中に――

「やっ、はぁぁ、んぅ……あぁぁん!環い、もう……もうぅ……あああ!」
「欲しいのね?遠野さん……私のこれを入れて欲しいのね……

 縋り付き、必死なほどに秋葉の身体を責め立てる環の熱に魘されたような叫び。
 そして秋葉もまた押し寄せる快感の小波の前に、我を忘れたように。

「いいっ、いいの……だから……環、おねがいぃ……兄さんみたいに私を……」
「遠野さん……その願いを私が……だから……あげる……」

 断片化を起こした環の言葉。でもそれだけで全てが通じる。
 環は腰をずらし、秋葉の腰に自分の位置を合わせる。そして後ろから硬く腫
れ上がった肉棒をつかみ、どろどろに融けた秋葉の女性の中心に宛う。

 慣れない食器を使うかのような、ぎこちない環の動き。
 だが先走りの透明な液にまみれたその異形の性器は、うすいお尻ゆえにむし
ろ無防備な秋葉の後ろから確実に……

 秋葉は足を閉ざして抵抗はしなかった。
 むしろ自分の後ろから触れてくる肉棒の感触だけに全神経を集中させていた。
今抱いているのは兄であると積極的に誤解することを、秋葉の脳髄に染みこん
だ毒が命じている。
「はあっあ……そこ……やだ、中から……熱いのが……ああああ……」

 秋葉が爪をソファーに立てながら、喘ぐ。
 環の肉棒は秋葉の膣口に侵入を果たしていた。そこには純潔の抵抗はなかっ
たが、強くかむような筋肉の締まりに環は、腰から脊髄の神経を掴まれたかの
ように身震いをする。そして、ずずずと腰を前にグラインドさせると……

「遠野さんの……中……あっああ……んんぅあああああ!」

 髪を振り乱し、環は叫ぶ。
 両手で腰をつかみ、その生えた男性器が本能に命じる様にゆっくりと、だが
秋葉の柔肉を内側から蹂躙するように動かし出す。」

「ひっ、うっ、う……ああ……んんぅ!やぁぁあぁ!」
「いい……いいの……こんなの初めて……遠野さんのあそこがこんなに気持ち
よくて……癖になりそう……やっ、ああっ、ああうぁあ!」

 腰のストロークを突き出す環の、半狂乱の叫び。
 それはいままでに無かった器官から、未知であり、なおかつ強烈な快感が押
し寄せる事へのパニックだった。どろどろに融けたかとおもうとぎゅっと唇を
締め付けるように絞る秋葉の秘口に、環は魅入られていた。

「はっ、ああ、うぅあっ、ああ……あん……やぁぁん!」
 
 腰を後ろから突かれ、蹂躙される秋葉もまたその長い黒髪を乱れて身をよじ
る。兄に力強く犯されるのにも勝るとも劣らない環の運動に、ともすると挫け
かける心を精一杯に支えながらも、その腰が融けるような快楽を前にすれば……

 秋葉は顎を突き出し、背筋を反らして喘ぐ。
 その細くたおやかな腰を環はつかみ、後ろから、下から突き上げるかのように。

 何回、何十回と。

「遠野さん……もう……ああっ、ううう……あああ!」
「きてぇ……来てっ、私の中に……中にたっぷりと……うっ、あああ!」

 環は身体をのけ反らせながら、ただ夢中に腰をたたきつける。
 ぱつんぱつんと腰の肉が当たるたびに弾けるような音が響く。環のペースが
次第に狂奔にも似た熱狂的なペースとなり、ほとんど息をしていないかの様な
苦しげな叫びと共に。
 秋葉もまた、我を忘れたかのように。

「はぁぁ!出ちゃう、出ちゃうの……あああああ!」
「ひっ、やっ、ああああああ!」

 二人の身体が痙攣するかのように震える。
 そして、環の腰が最後に秋葉の子宮を突き上げる。

「あ……ああぅ……ほ、ぉぅ……」

 どくんどくん、と。
 秋葉は己の胎内に、情熱の迸りを注がれるのを感じている。
 環の声は快感の絶頂から、急激にそのボルテージを下げていく。満足した、
これ以上もなく満足した喉を枯らした吐息。
 身体の奥底に、その中心に注ぎ込まれる感覚――秋葉は子宮で、その快感を
爆発させていて……

「あああっ、あ、ああ!」

 秋葉と環の身体がくたっと力が抜ける。環に秋葉の背中に倒れ込み、その長
い髪に顔を埋める。秋葉も俯せになったまま、目の前が白銀色に埋め尽くされる。
 親友の身体に生えた異形の性器に犯され、射精され、あまつさえイってしまった。

 秋葉は目を閉ざした。信じられないこの出来事を、夢であればいいと信じたい。
 一度閉じた瞼は縫い合わされたようで、その暗闇の中に疲労を感じた秋葉は
身体の力を抜く。背中に環の体重を感じ、抜かれた秘門からはあふれ出る液体
の感触が。

「あぁ……はぁぁ……」

 どちらともなくそう吐息を漏らすと、起きる気力も体力もなくそのまま――

 そして、秋葉と環の身体が動かなくなると、沈黙の呪縛に捕らわれていたか
のように息を潜め、身じろぎもせず見守る人々が動き始めた……


                                      《つづく》