「お兄ちゃん……大丈夫だよ、最後まで……して……」
「でも……都古ちゃんはまだ……
……分かった」
志貴は都古の願いを聞き、ゆっくりと頷く。
腕をさしのべて都古の身体を起こし、胸に向かい合わせにして抱き合うよう
な恰好にする。そして膝を開かせて志貴の身体を上を跨らせる。
志貴の前で足を開いて立膝になる都古に、志貴は下から硬くなったペニスを
股間に宛う。
まるで串刺しの串のように、股間にそそり立つ志貴の肉棒。都古は志貴を見
つめながらその恥ずかしい恰好に赤面する。
「志貴お兄ちゃんのが……当たってる……」
「ゆっくり腰を下ろして……痛くて我慢できなかったら無理しなくて良いから」
「ううん……する。」
都古は志貴の首筋に腕を回すと、ちょっと怒ったような顔をする。
志貴は出来るだけ優しく笑いながら、手を背中に回す。都古は唾液と愛液に
濡れたシンプルな秘裂に亀頭の先を宛われ、しばし躊躇する。
自分の指も奥まで入れたことがないのに、こんな太いものがはいるのか――
そんな怖れがあるが、首を振って自分を勇気づける都古。
――志貴お兄ちゃんとえっちしなきゃ、お兄ちゃんの『特別』にはなれない
『特別』ではない人間には驚くほど冷淡な態度がとれる志貴を、都古は知っ
ていた。今までは妹に近い扱いをしてくれたが、優しくて好きだった志貴に
『特別』じゃない扱いをされるのは都古はいやだった。
その為には、身体を裂かれても構わない――都古はぎゅっと唇を噛んだ。
「んぅ……ううう……ああぅ……」
秘芯の周りの肉まで巻き込む様にしながら、都古は腰を下ろしていく。
自分よりも遙に太い志貴のペニスを受け入れることは、都古には苦痛だった。
だが、潤滑液の力を借りて都古は腰をなおも下ろそうとする。
「志貴……お兄ちゃん……ん……ああああ!」
「都古ちゃん……凄いきつくて……ぉあああ……」
志貴はまるで握りしめられるかのように、きつい肉の壁で男性自身を締め付
けられるのを感じていた。だが、それよりも向かい合わせに抱えた、都古の苦
しみの様の方が気になる。
はぁはぁと浅い息を吐きながら、顔を苦痛に歪める都古が哀れでならなかっ
た。だが、ここで止めるのは彼女の意志に反することを志貴は知っている。
志貴が出来ることは……
「都古ちゃん……」
志貴はぎゅっと都古の身体を抱き寄せ、唇を奪う。
そして、そのまま身体を己の中に沈ませる――
「ひゃぅあああああああ!」
ずぬん、と肉を広げて志貴の肉棒は、都古の中を進む。
指を入れることもままならないと思っていた都古の秘所は、女体の神秘を見
せて志貴を飲み込んでいた。だがその代償は都古の身体に降りかかる。
「あああ……いた……入ってるよぉ、お兄ちゃんのが……ああ……」
志貴は、苦痛に呻く都古の顔を見たくはなかった。
ただ目を瞑って唇を貪り、もたれ掛かる都古の汗ばんだ身体と薫りを感じる。
背中に回していた手を離し、そのまま下げて肉置きのうすいお尻の上で組む、
そうして都古の身体を下から掌握すると、目を瞑ったままで都古の名を呼ぶ。
「志貴お兄ちゃん……」
「……動くよ、都古ちゃん……大丈夫だよね?」
「うん……お兄ちゃんが感じるとおりにして……」
喘ぎ喘ぎ都古が口にするのを聞くと、志貴は都古の腰と己の腰を動かし、脈
動のリズムを作り上げる。ただ、いつもの熟成した女性達の身体を堪能するの
と違い、慣れない行為の苦しみを早めに取り除こうと、意識して動き出す。
ゆさゆさと下から揺さぶれて、突き上げられる都古はただぎゅっと志貴の首
を抱きしめ、肩口に顔を当てて、違和感と苦痛に耐えている。
「ぁん……ああああん、あん、お兄ちゃん……んぅ……」
志貴は言葉もなく、ただ一身に都古の身体を繰る。
意識しなくても、強い力で締め付ける都古の膣道によって、志貴はたちまち
に上り詰めそうになる。だが、その中でも都古の身体の反応を気にする志貴で
あったが……
動きをしばらく続けていると、都古の口から次第に甘い声が漏れ始めてくる。
「……感じてるの?都古ちゃん」
「わからないよぉ……でも……あそこが……じんじんして……ああんっ!」
都古の奥にぐっと志貴の先が押し込まれ、浅い洞穴の奥にあるつるりとした
奥の口に志貴が押し当てると、ぶるりと都古の身体が震える。
その瞬間、ぎゅっと噛むように都古の秘肉は志貴を締め付け、絞るように……
「う!」
思わず噴出させそうになった志貴が一物を引き抜き、外に出そうとする。
だが、都古は反対に腕を腰で払って奥に突き入れる。
「出して……お兄ちゃんのを都古の中に出して……」
「そんな、都古ちゃん……ぁああ!」
「大丈夫、まだ来てないから……ひゃぁぁん!」
どくりどくり、と志貴の肉棒は激しく欲望を迸らせる。
自分の奥底に精液を注ぎ込まれる瞬間を、都古は背筋を反らせながら感じて
いた。胸を振るわせ、眼を見開いて吐息を漏らす。
「入ってくる……お兄ちゃんのが沢山……ぁあああ……」
そして都古がふたり、と身体をベッドに倒れ込ませる。
志貴も身体を動かすと、きつい都古の秘洞の中から、白い精液にまみえた志
貴のグロテスクな肉棒が引き抜かれる。破瓜の血と精液が混じり、如何にも淫
らがましい。
志貴もそのまま、疲れて仰向けにベッドの上に倒れ込んだ。行為はいつもの
セックスよりも蛋白だったかも知れないが、精神的な疲労感は並大抵の物ではない。
そのまま二人が頭を入れ違いにしてベッドの上に横たわっていると、小さく
都古が聞いてきた。
「志貴……お兄ちゃん……」
「……なんだい?」
「……これで、私……お兄ちゃんの『特別』になれたかなぁ……」
志貴は黙って真っ暗な天井を眺めると、ぽつりと答える。
「なれたさ、だから……」
「……?」
「……『お兄ちゃん』っていうのも卒業しないと」
志貴がそう言うと、都古はごそごそとベッドの上を動き、志貴の横に並ぶ。
そして、肩に肘を付いて髪の張り付いた身体を支え、志貴の顔を覗き込む。
志貴が首を傾けて、都古の顔を見つめる。都古は小さく口を開く。
「志貴…………お兄ちゃん」
「こらこら、もうお兄ちゃん、じゃないだろう?」
志貴が微笑んでそう指摘すると、都古はくっと状態をベッドの上に立てる。
そして、やおら――
ドスッ!
「うぐふっ!」
「だめ。志貴お兄ちゃんはお兄ちゃんなのー」
「……だからそのゼロ距離タックルも一緒に卒業してくれ……頼むから」
胸に頭から突っ込んだ都古を、受け止めながらそう呻く。
そんな志貴の胸に頬を付けた都古は、目を閉じて志貴の胸板に手を触れる。
汗で吸い付くように感じる、厚い男の人の肉体だ……と思いながら。
「志貴お兄ちゃん……」
「なに?」
「……大好き」
《つづく》
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