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「志貴さん、やだ、そんな……、あああっ」

 晶の声にむしろ志貴は動きを強める。
 乳首の先で舌先を素早く動かしたり、指で摘んではピンと弾いたり、痛くな
い程度に押し潰したり。
 敏感な胸のみを重点的に攻める行為を何度も繰り返し、その都度晶のあげる
嬌声を楽しむ。
 毛布を掴んだ晶の手がきゅっと縮まり、上半身をくねらせる。

 けっこう感じているんだなあ。
 少し意外な思いを抱きつつ、志貴はそうした晶の様が嬉しくてさらに行動を続ける。
 もっとソフトに優しくするつもりだった。
 晶が嫌がったり怖がったりしない様に気を遣うつもりだったが、既にそんな
事は忘れて熱が入り、あらん限りの刺激を与えたいと思っている自分に気づく。
 胸だけでこんなになってしまうのなら。
 そんな事を志貴は考える。
 じゃあ、その下を攻めたらいったいどうなるのだろうか?

 つつーっと指を滑らせる。胸から白いお腹のラインを経て、晶に残された最
後の一枚に到る。
 しかしそこをあえて外して下へ向かい、太股の合わせに手を差し入れてその
肌触りを確かめる。
 柔らかさより硬さが勝っていたが、静脈か薄く透ける様な白い滑らかな肌だった。

 最初はぎゅっと脚を閉じて志貴の手を拒む動きをしていた晶であるが、志貴
の手が軽く撫ぜさする動きだけを丹念に繰り返していると、力を抜き、僅かに
脚が開かれる。
 突如志貴の手が太股の奥、薄布一枚で隠された秘処の中心へと伸びた。

 ふにふにと柔らかい感触。
 ぴちゃと湿り気が伝わる感触。
 指を押すと濡れ布が貼り付いてくる感触。
 晶のそこは、既に今までの刺激で潤い溢れ出していた。

 さっきびしょ濡れになった名残りもあったかもしれない。
 だが、それだけではない。
 晶の中からこれだけ溢れ出たものだ。
 志貴はそう判断し少し頭を傾げる。

 初めてでもこんなに濡れるものなのかな?

 さっきからもやもやと感じていた疑問が形になる。
 体中を探られ愛撫されていれば、その気がなかったとしても生理現象として
異性を迎える準備を取る。
 今は晶も望んでこうしているのだ。志貴の手で晶が感じて反応を示すのは自
然な事であり、志貴としても喜ばしい事である筈であった。

 でも、と一抹の違和感を覚える。
 男と女では、いや人によって様々に違いはあるだろう。
 例えば痛みもリスクも少なく、それでいて直接的な快感を享受しやすい男の
自分でも初めての時には……、と志貴は思い出す。
 あの時には未知の快美感に浸り、夢中で年上の、自分にとって初めての女の
人を求め、肉の快感に酔いつつも、ガチガチに緊張していたのも事実だった。
 それに比べると今の晶はあまりに馴染みすぎている様に思う。
 そのリラックスできているという事実は、自分への信頼の証だと思っても、
その違和感は拭い取れなかった。
 
 頭の片隅を妙な疑問に支配されつつも、手はさらなる探求を続けていた。
 まだショーツは脱がさずに、太股の裾から指を潜り込ませる。
 熱いそのぬかるみに浸り、ゆっくりと動かしてみる。足や胸や手とはまった
く違う感触の濡れた柔肉の感触に酔う。
 
 中途半端な刺激がもどかしいのか晶はもじもじと腰を動かしている。
 その期待に答えるべく、志貴は両手を晶のショーツにかける。

「アキラちゃん、少し腰を上げて……、よしっと」

 あっけなく最後の一枚が取り除かれる。
 今まで濡れ布を透してうっすらとしか見えなかった晶の秘処が志貴の目に晒
される。
 呼吸をするのも忘れて志貴はそこを凝視した。
 そう何人も比較対象がある訳ではないけれど、晶のそこは幼いと言うか未成
熟な様に感じられた。
 薄い恥毛はささやかに恥丘を彩っているにすぎなかったし、その下の唇も大
人の女性のそれとは何か違っている気がする。
 もっとこう複雑な形状で、もっと濃く色づいていたような……、そんな事を
志貴は思い起こす。
 しかし、そのどこか未成熟な青さを感じさせる秘裂が、まだほとんど手も触
れていないというのに志貴を迎える用意を整えている。
 普段は内側に閉じていてほとんど縦の棒線にしか見えないであろう大陰唇が
開いている。
 その奥の秘めやかな柔肉の花は自身の花蜜で滴り落ちるほど濡れ光り、完全
に開花しようとしている。
 じっと見ていると何もしていないのにひとりでにヒクヒクと動いている。
 それは志貴の心を奪うには充分すぎる魅惑的な光景だった。

 すぐにでももう痛いほど猛っている自分のものを突き入れたくなった。
 喉がからからになっているのを意識して唾を分泌させて飲み込む。
 落ち着け、と思った。
 ここまで来て乱暴に晶を奪うのは意味が無かった。
 それに、何だかもったいないと志貴は思った。
 もう少し、この魅惑的なアキラちゃんを味わってから。
 さっきまで体を横にしていたが、今は晶は仰向けになっている。
 完全に一糸まとわぬ姿を志貴の前にさらしているのが恥かしいのか、片手で
目を覆っている。

 志貴はしゃがみこんで晶の秘処に顔を寄せた。
 目の前に晶の一番大事な処があからさまになっている。
 恐る恐る指を近づけ、晶の濡れた秘裂に触れる。
 初めは外の唇から。そしてより繊細な粘膜に。
 軽く指が触れただけなのに自ら沈む様に、そこは形を変える。
 力を加えたら破れてとんでもない事になりそうな程柔らかい。
 そろそろと指で弄ると、とろりと新たに愛液が奥から溢れ出す。

 やっぱり感じているのかな。そう思うと、その証を受け止めようと自然と顔
が近づき舌が伸びる。
 ぺろりと舌が愛液を掬い取り、晶の味が志貴の口に広がる。
 甘いとも酸っぱいともなんともつかない不思議な味。
 
「え、やだ、志貴さん、そんな処……」

 手とは違った感触に晶は頭をもたげる様にして見る。
 志貴が自分の足の間に入り、自分の濡れ汚れた一番恥かしい処ををくっつき
そうな程間近で見つめている。
 いやそれどころか舌を触れさせ、あふれ出る分泌液を舐めている。
 晶は両手で志貴の頭を押す。

「だめ、そんな処舐めちゃ。そんな、汚いです」
「美味しいよ、晶ちゃんの」

 志貴は意に介さず、太股を手でがっしりと抑えながら夢中で舐め啜った。
 後から後から愛液が止め処なくあふれ出る。
 少しツンとするような酸っぱい匂いが鼻を刺激する。
 それだけでも興奮させられる。
 奥の粘膜の襞を、ピンク色の柔肉を舌で愛撫し、指でも周辺を優しく可愛がる。
 薄く萌える恥草の舌の小さな突起を覆われた皮ごと指で突付き、ぐりぐりと
擦り刺激する。

「あ、ああン」
 驚くほど大きな声を晶は出す。
「やっぱりここが気持ちいいの、アキラちゃん?」

 志貴は確認するように訊ねながら舌でクリトリスをつんつんと突付く。
 あまり強くしない様にと気をつけながら包皮をめくる。
 濡れて光った小粒の真珠のような肉芽。
 触れるか触れないかという強さで舌を接触させる。
 そのままなぞる様に舐めあげる。

「ひゃん、ダメ、ダメーッ」

 悲鳴に近い声を晶はあげる。
 あまり刺激が強すぎると苦痛にすらなる。
 こうした行為に慣れてないアキラちゃんにはあんまり無理強いできないな。
 そう判断して最後に少しだけ強く舌でなぶると、志貴は顔を上げた。
 幾分放心したように、突然やんだ刺激からの静寂を受け入れている。
 もしかしてかなり感度よく反応していたし、今ので軽くイッたのかな?  
 でも、こっちはまだだから、このまま続けるよ。

「あ、アキラちゃん、こんなに感じているんだ」

 少し意地悪げに志貴は言うと、指を晶の秘裂に潜らせ、掻き出す様にして晶
の目の前にかざしてみせる。
 指を擦るようにして広げると濡れた指先が糸を引く。
 晶の上気していた頬がさらに真っ赤に染まる。

「はい。私、志貴さんの指で感じています」
 泣きそうな声で晶は認める。
 ちょっと恥かしがらせようとしただけなのにな、と少し志貴は慌てる。
 一方で晶が自ら認めた事にどきどきしていた。

「あ、苛めるつもりじゃなかったんだ。でもこれだけ感じてくれているのなら、
大丈夫かな」

 いよいよだな。
 これだけ濡れてれば、大丈夫だよな。
 志貴は晶を見つめて覚悟を決めた。

「アキラちゃん、入れるよ。力を抜いて」
「……」
「痛いと思うけど、少しだけ我慢して」
「……」
「我慢できなかったら言って。そうしたら絶対に止めるから」

 晶は押し黙ったまま、返事が無い。
 無理もないなと志貴は思い、そのまま行為を続けた。
 痛いほど反り返り、硬くなった肉棒を手で無理に倒して、晶のそこにあてがう。
 力を加えようとした時、泣きそうな顔で晶は言葉を口にした。

「軽蔑しないで下さいね……」

 そう言うと何かに怯えた様に顔を横に逸らせる。
 ……?
 志貴にはその言葉の意味がわからなかった。
 しかしこれ以上躊躇していられなかった。
 体が早くと急かしている。
 先触れにまみれた志貴の先端が、濡れ光る晶の秘裂に触れる。

 ああ、気持ちいい。
 小陰唇に肉棒の先が触れただけで信じられないほどの快感が起こる。
 じゃあ、もっと奥までアキラちゃんの中に入ったらどうなんだろう。
 穴の位置を探り、当たりをつけてずぶと突き進む。

 きつい。
 予想はしていたけど、それ以上進むのがためらわれる程入り口からしてきつい。
 晶から痛みや中断を求める声が上がらないのでそのまま体重をかけていく。
 どうにか頭がすっぽりと入る。
 まるで手で握られている様だった。
 力をかけ続けていないと、そのまま押し戻されそうだった。
 より深く進もうとすれば、進入者を拒む障壁もある事だし、より強く力をか
けなければならない。

 凄く痛いんだろうなあ。
 晶が受けるであろう激痛を思うと、躊躇いがまた生じてくる。
 志貴の躊躇いを感じ取ったのか、晶が顔は背けたまま口を開く。

「志貴さん、大丈夫ですから、そのまま……」
「わかった。……いくよ、アキラちゃん」

 ずんと力をかける。
 みしみしと肉棒が晶の中に入っていく。
 ひょいとその結合面を見て、志貴は切れそうなほど押し開かれた、晶の秘裂
の無惨な様を見て自分も痛みすら感じた。
 大丈夫だろうかと晶の顔を窺うが、不思議なほど痛みを露わにしていない。

 あれ、変だな。
 志貴の肉棒はもう半分以上晶に収まっている。
 そしてその隘路は入れるのが困難なほどきついのだけど、予期していたもの
がなかった。
 志貴の入るのを拒む筈の粘膜の存在が。
 幾分訝しげに思いつつも、目先の快楽に全てを奪われる。
 一瞬動きを止め、渾身の力で腰を打ちつける。
 それで晶の奥底まで、志貴の根元まで完全に埋まった。

「ああ、大きい。志貴さんのいっぱい」

 熱に浮かされた様に晶が呟く。
 それが契機だった。
 
 事の始めから感度良く手に唇に舌に触れられる度に反応を返してはいたが、
晶の方からはほとんど動く事はなかった。
 それが、志貴が奥深く入った途端に変わった。
 突然、スイッチが入ったような変化が晶に起こる。

 腕が志貴の背に回され、小さくはあるが柔らかい胸を、白いすべすべとした
お腹を、全体に小さく引き締まった腰を、ぎゅっと押し付け、志貴のそれにこすり
つけてきた。
 触れた処に快感が走る。
 柔らかい胸とその先で尖った乳首が志貴の胸を刺激する。
 薄く恥丘を彩る萌草が志貴のそれと擦れて不思議な感触を与える。
 細い足が志貴の脚に絡む様に動く。
 そして、下にありながら、志貴の肉棒を捉え翻弄するように、腰が上下し、
また円を描くように動く。
 
「え、なん、ああっ」
 
 こうした事に不慣れな少女の不安を取り除き、年上の男としてリードして少
しでも自分と同じ快感に導く……。
 そんな事を考えていた志貴には天地動転の如き驚きだった。
 どう考えてもこれは、未経験の女の子の取れる行動ではない。
 相手に喜びを与える事に徹したこの動き、かなり熟達したものすら感じさせる。
 リードするどころか、気を抜けばあっさり自分だけ昇天してしまいそうだった。

 なんで、アキラちゃんが……。
 あ、でもさっき処女膜みたいのって無かった……、よな。
 入れるのが苦しいほどきつかったけれど、挿入を拒む障害自体は無かった。
 でも運動したりすると自然と破れてなんて事もあるそうだし。
 ……アキラちゃん初めてにしては、慣れてるよな。いやでも……。
 志貴は混乱した。

 とりあえずこのまま与えられる快楽の波に流されるのではなくて、こちらか
らも同じ、いやそれ以上のお返しをしないと。
 それだけを思って晶の動きに呼応させて、志貴もゆっくりと動き始めた。
 だが、一度失ったペースは取り戻せなかった。
 意に反して体は急激に高まっていく。

「もう、駄目だ、アキラちゃん」

 避妊具も何も用意していない。
 最後は外でと思っていたが、下手をするとタイミングを間違えそうだった。
 慌てた顔で晶から離れようとしたが、それを晶は許さなかった。
 晶はぎゅっと志貴の背に回した手に力を込め、そして足も志貴のそれに絡ま
せるようにして、よりいっそうの密着を高める。
 力づくで晶の体を引き離そうとしたが、晶の肢体だけではなく中までが志貴
を逃がさないと言う様にぎゅっと縮む。

「ああっ」
 耐えがたい快楽を与えられ、志貴は堪えようもなく……、果てた。

 快楽の余韻と脱力感、頭が真っ白になるような「しまった……」と言う思い
とで、志貴はすぐには動けなかった。
 そうしてしばらく抱き合ったままでいて、志貴はアキラから物憂げに身を離した。
 今までつながっていたそこを、さりげなく見る。
 奥深くに放った自分の白濁液が晶の愛液と混ざり、こぼれ出している。
 でもそこに混じる紅の色は無い。
 そして、やっぱり出血はしていないみたいだな等と考えてしまい、志貴は慌
てて首を左右に振る。

「気づいちゃいましたよね、志貴さん」
「なにが……」
「私……、初めてじゃないんです」
「うん……」

                                     《つづく》