セイバーは身体を硬くするが、すぐに美綴に転がされる。
目の前には、なだらかな曲線を描いている背中とお尻があった。きゅっと締
まった綺麗なお尻に、こくんと美綴の喉が動く。
うつ伏せの格好になってしまったセイバーは、慌てて背中を振り返る。裸で
被さっている美綴は楽しそうに笑うと――
「ここ……舐めたらどうなるかな――」
「なっ、私の背中など舐めてもなにも――あああああっ!」
つぅーっと、
首筋から肩胛骨の間に、伸ばされた美綴の舌が伝う。
シーツを握りしめてセイバーが、その感触に耐えた。身を翻したくなるほど
にくすぐったいが、それでも――柔らかな舌に舐められて、唾液の跡を付けら
れるのはまた違う、背中に染みる様な快感が、あった。
皺になるほどにシーツを握りしめ、背中をぶるぶると震えて耐えるセイバー。
それはどこか、美しい囚人を責め苛むような、サディスティックな快感を覚
えさせる。
結い上げた金髪を解れさせ、白い首筋を揺り動かし、なだらかな背中を波打
たせるセイバー。それは美綴の目を楽しませ、伝う舌に快感の味覚を味合わせ
る。
美綴が囁き、笑う――こんなセイバーがどうしても楽しくて堪らないみたいな。
「かわい……い……アルトリア……もっと楽になっていいの……」
「綾子、私……は、はぁ……ううっ、く……や、はぁ……んん……」
指で背筋を触り、舌で撫でていく。その度にセイバーの身体はふるり、と可
愛らしく震えていった。脇を締めてシーツを握るのは、まるで快感の鞭に打た
れてるような堪え方であった。
何度も舌を触り、美綴はセイバーの一番感じる場所を見つける。
「ん……わかった、ここが……いいんでしょ、アルトリア……」
「や、やめ……そこをされたら、わたしは……はっ、あああ……」
一番手の届きにくい、肩胛骨の出っ張りと、脊椎の交差点。
肩と腕を曲げないと届かないそこに、後ろから抱きつき口づけを浴びせかけ
る美綴。
そのまま、回した手をささやかなセイバーの両胸に宛い、指で弄びながら―
―
「すき……アルトリア……感じて、すごく……」
「あああっ、は、ああ……んんー!」
びくんっ、っとセイバーの身体が痙攣する。
唇は背中の一番感じるところを撫で、柔らかなスポンジみたいに拭っていく。
指は青く熟す途上の胸を触り、シーツに擦りつけている先端の突起を摘む様に
して――
後ろから抱きしめる美綴の愛撫。それは、快感にねじれるセイバーを逃がさ
ないように、抱きしめているかのようであった。
目を閉じ、セイバーの身体に没頭する美綴。
可憐な唇から、舌を覗かせるほどに喘ぐセイバー――
「はっ、わた、し……そんなっ、ああ……く、はぁ――――」
「あ……びくびくしてる、アルトリア、すごく……ん、いい……ね、はぁ、ん
――」
くにゅりくにゅりと舌が、背中を練る。
それだけでは止まらず、指はセイバーの胸を揉み、撫でている。美綴の両手
の指に触れる胸の突起は痛いほどに張っていて――数ミリ動かしただけで、セ
イバーの身体が折れそうな程の快感を伝えているのかと思うほどに。
「ああっ、綾子――私、そんな……おかしい、ですこんなのは……はああっ!」
「いい、いいから――ん、私も――わかる、アルトリアの、どきどきしてるの、
熱いのが――だから、いいの、んんっ!」
きゅう、と胸を絞り上げる指。
美綴がセイバーの背中に、潜る様に顔を埋める。
抱きしめられた若鮎のようなセイバーの身体が、ふるふると震えた。
やがて、青いリボンと後れ毛が夕陽の中で赤金に溶けるように、大きく降れ
て――
「はああああっ――――――ん……んぁ……」
ぶるん、と張った弦を弾く様に震えて――セイバーの身体がくったりと垂れ
る。
美綴の腕には、しっかりと快感に響くセイバーの音が伝わっていた。自分の
攻めた技にちゃんと、むしろ健気なほどに全て反応していたセイバー。
今こうして、腕の中で荒い息をしているセイバーが、可愛らしかった。これ
ほどに自分で感じてくれるのが、嬉しいと。
ちゅ――と、名残惜しく唇を、セイバーの肌に記す。
白い肌は、吸えばその跡がしっかりと残りそうなほどに繊細だった。
「あ……はぁ………あ……こ、これは………私は……」
「ん、軽くイったんだと思う……あれ、アルトリア、その……」
身体を起こして、セイバーを驚いてみる美綴。
漏れる息に、まるで怪我をした様な当惑の色を感じ取っていたからだった。
自らの体に起こることは自分が一番分かる、であればセイバーは何がどうなっ
たかを分かってもよさそうだったのに。
もしかして――と、一つの考えが美綴に浮かぶ。
まさか今時の女の子にそんなことはない筈、とか思いながらも訊ねずにはい
られない。
「アルトリアって、イッたこと……ない? 自分でして、とか?」
聞いて、うつ伏せのままで動かないセイバーに逆に動揺する美綴。
セイバーの横で動揺のあまり何故か正座になっていると、ゆるり――とどこ
か色っぽく、快感のあとの気怠さを漂わせてセイバーが体を起こす。
「ん……あ……」
その、艶めいた滑らかな動きに、美綴は息を飲む。
軽く快感に浸ったあとで、まるでセイバーが脱皮して別の姿を現した様で。
そんなことはないのだが、振り返る拗ねた緑の瞳の向こうに、くらりと来る
ほどの色気を秘めている様で――ぱちくりと瞬きをする美綴に、セイバーは低
く呟く。
「……その、私は殿方を喜ばせる方法は存じていますが、自らをその……慰め
る方法は知りません。ですので、そのイく、というのもよく分からないのです
が……もし、今の私が感じたのがそうだとしたら」
ゆるりと身体を起こすセイバー。
白い裸身が、僅かに汗ばんでしなやかだった。裸で立っていた時には可憐で
あったが、今はこのまま襲われて、身も心も彼女にうばわれる様な妖しい美し
さを感じる。
「そうだとしたら……?」
「……お返ししないと、失礼です。綾子に」
すう、とセイバーの手が伸びる。
胸の動悸を感じながらも、美綴はその手から逃げることはない。お返ししな
いと、その言葉が耳朶の中で響き、頭の中の理性を溶かしていきそうだった。
セイバーにイかされる。
それはどんな甘美な体験なのだろうかと。自分で触ってイッたことはあった
けども、この可憐な少女の指に、舌に、唇で味あわされる快感がどんなものな
のか――一度味わってしまえば、もう二度と戻れないかも知れない。
「あ………」
迫るセイバーの唇を、微かに顎を伸ばして迎える。
もう、セイバーはイってしまって変わっていた。愛する少女の手で別の世界
を見せられた金髪の異邦人が、愛してくれた少女にその蜜の溢れる世界に誘お
うと――
唇が、優しく触れた。
その唇が、いきますよ――と、小さく告げる。
あの、竹刀で激しく攻め込まれた時に感じた、背筋の震えを殺せない美綴。
あのときから、この勝者である少女――アルトリアに身も心をも奪われたの
だと、一敗地にまみれた私はなすがままに彼女に蹂躙されるのだと。
「あ、アルトリア……やさしく……」
ぞくぞくと震える身体を抱きしめ、美綴が小さく囁いた。
凛々しくすらある顔で頷くセイバーは、離した唇を親愛の情を示す様に額に。
「もちろん。綾子がしてくれたほどに、優しくあなたに――尽くしてあげます」
唇が、腕が、身体が離れる。
今、何も纏っていないことがこれほどに心細く感じたことはない。セイバー
の瞳の前にこんな感じやすく欲求に満ちた身体を持て余しているのが、恨めし
かった。指がつうと肌に触れるだけで、悲鳴を上げてイってしまうのではない
のかと。
「あ……あああ……」
セイバーの笑いは涼やかだが、目を合わせられない美綴。
胸か、背中か、首筋か、お尻か、それとも一番敏感な部分に直接にセイバー
は触ってくるのか。一秒が、心臓の打つ一拍が、美綴を痺れさせて。
空気を分けて、進む指。
それが美綴の剥き出しの膝頭に触れた――
「ん――――んんぅ!??!」
膝を割り開かれるのかと思ったが、違った。
セイバーは膝をもつと、そのままころりと美綴を倒す。
倒されて転がされても、セイバーはのし掛かりはしない。むしろ、下敷きに
なっていた何かを探すために動かしたみたいに。
「なっ、なに、アルトリア………あ…………」
それ、を取られて美綴の顔は青ざめた。
足をセイバーに向けて、はしたない格好になっている。それは、仕方ない。
だが、セイバーの手にはしっかりと、自分の足が握られている。
靴下と靴の中にあって剥き出しになることのない素足が、セイバーの手に。
それは背中の比ではなく敏感な箇所で――
「綾子……」
「だっ、だめっ、アルトリア、足なんか汚いから駄目ーーー!」
「そんなことはありません、こんなに綺麗な綾子の足が汚い筈などない」
そんな、笑いすら含んで応えるセイバー。
じたばたと暴れて外そうとする太股を、がっしりと膝で固定される。両手に
握られた足は長く、筋肉がよく発達した無駄のなく、綺麗な形であった。その
先にある複雑な足の指を、キスするほどにセイバーは顔を近づける。
――足を舐められる。
もっと恥ずかしい場所はたくさんあるのに、美綴には限りなく今、為されて
いることが恥ずかしい。セイバーの美貌の前に、自分の足を晒している。それ
は何よりも綺麗で尊い愛する人の顔を踏む様な、そんな我慢できない冒涜の香
りすらさせて――
「ああ……ふふ、震えてます、可愛いですね、綾子の足は……」
「だめ……ああ、そんな……は……んんぅーーー!」
ちゅぷり、と。
セイバーのピンクの唇に、美綴の足の指が吸われた。
顔を覆う美綴。見なければ無かったことにはならない、でもセイバーが自分
の足なんかを、あんなに美味しそうに舐めるのを見るのはどうしても、彼女には――
「はあああっ!」
ぞくりと。
足の先から脳天までを痺れる様な快感。
美綴の身体は、敏感な感触が伝える呪わし迄の快感に、震えた。
「ああっ、そんなの……そんなの、あ……ああぁ、はぁ……く……」
舌による、丹念な愛撫。
指でもそこまで念入りにしないほどに、セイバーの唇と舌は指を舐める。
親指を加え、くちゅくちゅと舌で濡らす。床に触れる親指の指紋に舌がざら
っと触るのまで分かる、そしてそのまま、舌が指の股まで潜り込む。
セイバーに、舐められいた。
添える指は土踏まずをマッサージする様に撫でている。片足を持ち上げ、セ
イバーに差し出して舐めさせている。舐めさせる快感にこんなに痺れてしまう
自分が、どうしても淫らで――
ぎゅっと、顔に手を押しつける美綴。
「あ……うう、くぁ……あ、あはぁ、ああああ……」
「ん……美味しいです、綾子の指……はぁ、ん……んちゅ――」
目を閉じ、飴を舐める様に美綴の足を愛撫するセイバー。
足を高く取り、それを舐める少女の姿はあり得ぬほどに綺麗で、また淫らで
あった。それが天上の響きを思わせる可憐なセイバーであり、大地の強さを現
す様な健やかな美綴だからこそ、倒錯した行為は耽美で、毒の様に快感で――
「ひっ、いい……ああ、アルトリア……私こんなの……はぁ、ああ……」
「ん……はぁ……ああ、いい……綾子……私も……この味で……あ、あは……」
親指から人差し指、中指と舐めていくセイバー。
人の足を舐めるという行為に、また彼女も昂奮と快感を覚えていた。その目
に見えるのは、柔らかく赤く映えた美綴の身体であった。
胸は豊かに盛り上がり、先端がつんと尖っているのも分かる。
腹筋のしっかりと形の見えるお腹は荒い呼吸で、時に肋骨までぽこりと凹む
のが見える。
そして、陰毛に繁る股間、伸びる足、そしてこの唇に含まれて――
くん、と甘噛みする。
軽く噛んだ敏感なこの美綴の指が、どれほどに彼女を快感に染め抜くのか。
顔を隠したまま、まるで電流を流された様によじれる身体。
「あああっは………噛まないでぇ……ああ……ん……」
「綾子……気持ちいいですか……ん……ああ……」
「いい、いいの……でも、私……アルトリア、あ、はぁ……んんぅ……はぁ……」
少女達の、戯れ。
足を舐める、それだけで美綴はどうしようもなく乱れていた。
敏感な箇所であるのは確かで、その快感以上にココロが、彼女を惑わせて。
「やぁ……ああ……私……アルトリアに……こんなことされて……はあ」
「もっと……もっと、ああ……綾子……ん……」
顔を覆っていた美綴の手が、ゆるりと離れる。
その手が頬に、顎に、胸元に進む。足の指をくわえたまま、思わせぶりな美
綴の手の動きを、セイバーは見守った。
「私……や……私、こんなふうに……」
胸をつるり、と撫でる指。
でも、それだけで手は止まりはしない。滑らかな美綴の肌の上を、這う様に
進む。
舌を動かすのも忘れ、それに魅入るセイバー。赤く染まった肌が、匂い立つ
様に美しい。セイバーを見つめる瞳も、甘美に酔って――
「だめ……こんなの、私、アルトリアに……嫌われちゃう……あ、で、も……」
お腹を進み、臍の窪みをつっと撫でる指。
その動きに、セイバーは項が逆立つほどになにかの予感を感じた。美綴の身
体が、心が、 まるでぬぶりと淫らに自分を取り込んで濡れそぼつような。
指が、下腹部に伸びる。
そのままゆっくりと陰毛の繁る丘を撫でる。しゃり、と鳴る軽い音が聞こえ
た気がセイバーにはした。
だが、それはすぐに、くちゅりと湿った音に取って代わる――
「駄目、アルトリアに、舐められて――こんなに、感じちゃって……あ、ああ……」
「綾子……ん……う……」
「見て、アルトリア……恥ずかしいわたしのここ、こんなになっちゃっ、う……」
足が、開く。
その奥に閉ざされた美綴の秘所に、指が這う。
自らの身体にも同じ箇所があるにも関わらず、セイバーはそれをしげしげと
見つめる。
人差し指と中指が、漏れだした液にぬれながら、口を閉ざした襞を掻き分けて――
「あ……やっ、ああ………」
くぱり、と。
掻き分けられた美綴の襞が、蜜をたらりたらりと垂らした。
複雑な襞は、透明な液体に濡れていた。それは蜜の香りを濃厚に薫らせてる。
「こんなに、駄目、私いやらしい……アルトリアに舐められて、こんなにして
るの……嫌い、に、なっちゃ……」
「綾子……ああ………」
(続く)
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