志貴は、渡されたメモを片手にふらふらと館の中を探していた。
建坪にして九〇〇坪をなんなんとするこの遠野邸、閉鎖された部屋は多いと
はいえその広大さには変わりがない。おまけに、閉鎖された部屋故に、志貴は
琥珀に教えられた部屋が何処にあるのかを探すのも一苦労であった。
メモの部屋は翡翠に聞けばすぐに分かったかも知れないが、流石に今日だけ
は翡翠に頼るのは憚られた。おまけに、翡翠も今日ばかりは早く部屋に戻って
休んでいるとのことで、薄暗い遠野邸の中を志貴はふらふらと彷徨っているの
であった。
メモにあるには、使用人区画の倉庫であった。旧大厨房の裏にある窓のない
部屋で、地下のカーヴとちがって、ここは古い言い方で言うと蒸留室であると
いう。もっとも、琥珀の話によるとこの部屋がその目的で作られたのではなかっ
たというが、そもそも蒸留室が何を示すのかが分からない志貴には、それが秘
密の部屋、ぐらいの認識しかない。
事実、それは秘密の部屋であった。そこに、琥珀は先回りして準備している
という。志貴はいろいろと入り組んだ通路を巡り、メモを覗き覗きようやく問
題の部屋にたどり着く。
それは、重厚な樫のドアであった。真鍮のドアノブは鈍く輝き、蝶番にも施
された意匠が見て取れる。それは志貴の僅かに残った幼い日の記憶にも全くな
い部屋であり、こんな部屋があったのか、とむしろ感心する思いであった。
志貴は、ドアをノックしようかと考えたが、無粋なのでやめておくことにし
た。そして、ポケットの中から渡された古風な鍵を取り出し、薄暗い手元を確
かめながら差込み、捻る。
鍵は、かちゃりと音を立てて開く。志貴はノブを掴むと、一回深呼吸をして
からその重いドアを押し開ける。
ギギギー、と軋む蝶番の音と共に、中の光景が志貴の目に飛び込む――
「お待ちしておりました、志貴さま」
灯されたランプの明かりの中に、浮き上がる琥珀の姿。
いつもの和装の姿の琥珀であり、落ち着いた仕草を見せているが、その目が
嬉しそうにきらきらと輝いているのを志貴は見る。そして……
そこには、後ろ手に縛られ、目隠しをされた秋葉が床に転がっていた。
志貴は無言で秋葉を見つめる。あの、気が強く気高いお嬢様である秋葉が、
肌襦袢一枚という恰好で赤い絹縄に縛られていた。縄は後ろ手に秋葉を縛り付
け、それから首と胸を縛り付けて秋葉の抵抗を封じている。また、別の縄が秋
葉の足首を縛り上げている。
志貴は、思わず秋葉の緊縛姿に見とれていた。秋葉の顔は大きな布の目隠し
がされており、長い黒髪は軽く裾の方で縛って止めてあった。物音に反応し、
志貴に向けられる秋葉の顔は、目隠しで隠されているので妙に痛々しく、なお
かつ奇妙なくらいエロチックな感じがする。
「兄さん?どうして……」
秋葉の弱々しい声と共に、身を捩らせて秋葉は立ち上がろうとしたようであっ
た。だが、全身の緊縛がそれを許さず、床の上で惨めに身を蠢かせるだけに留
まった。
秋葉は緊縛され、そして力の源である目を封じられていた。さらに琥珀の薬
が数種類盛られており、今の秋葉には抵抗する力は無きに等しい。
志貴は、部屋に目を走らせる。そして、こんな部屋があったのか、と呆れる
ような気分で思わず溜息を盛らす。
壁は荒い肌の御影石が積まれており、その中に金属環などがつり下がってい
る。天井には滑車が何種類か設けられ、手動のウィンチまでご丁寧に設置され
ている。そして、背の丸い木馬のようなものや、十字架のようなものもござご
さと置いてある。
まるっきりお城の中にある、囚人を責める取調室のような様相であった。
「これは、まるっきり拷問部屋というか……」
「先代、いや、数代前の遠野家の当主がここで仕置きを行っていたと聞いてお
ります……地下の座敷牢とは別に、こういう部屋が設けられておりました」
琥珀はこの陰鬱な部屋の来歴を何事もなかったかのように志貴に説明する。
はぁ、そーですか、と気の抜けた答えを返す志貴であったが、すぐに足下の秋
葉の抗議の声が耳に響く。
「兄さん、助けに来てくれたんですね?琥珀に謀られて監禁されて……早くこ
の縄を切って下さい……」
「……あー、秋葉、その……」
そう秋葉の必死の声に答えかけた志貴は、言い淀んで口を閉ざしてします。
だが、そんな語尾不明瞭な志貴の言葉を、くすくす笑う琥珀の可笑しげであり
ながら、人を小馬鹿にしたような口調が後を繋げる。
「秋葉さま、志貴さまもお仕置きをされる側なんですよー、今日は」
「……うそ?嘘でしょう?兄さん?」
「……まぁ、琥珀さんの言うとおりだ……」
志貴の歯切れの悪い答えに、秋葉は衝撃を受けて思わず黙り込んでしまう。
それよりも、自分の使用人と兄が自分をこの部屋に押し込み、お仕置きと称し
て何をやるのかが秋葉には不安でならなかった。
肌襦袢一枚の姿で、秋葉は震える。すでに下着は脱がされており、襦袢越し
に食い込んだ縄が染みるように秋葉の身体を苛んでいる。
「秋葉さまの過日の沙汰に関して、私たちで一度秋葉さまに身体で思い知って
いただこうと思いまして……安心して下さい、愛しい志貴さまもご一緒ですよー」
「こ、琥珀……なに言ってるの……それに、私をこんな恰好にして……」
琥珀は笑いながら秋葉に告げ、ウォールナットのサイドテーブルに足を向け
る。その上にはトレイに様々な責め道具が広げられていたが、琥珀はそれでは
なく、そこに置いてあったブランデーの瓶を開け、ブランデーグラスにとくと
くと飴色の液体を注ぎ、慣れた手つきで袂から薬包を取り出し、その中にさら
さらと溶かし込む。
「兄さん!兄さん!お願い!助けて!」
「……ふふ、志貴さまの仏心を起こそうといっても、そうはいきませんよー」
琥珀は、ブランデーグラスを片手に志貴の元に寄る。そして、足下の秋葉を
眺めてどういう言動を取ったらいいのかを判別付けかねる風情の志貴に、そっ
とそのグラスを握らせる。
胴の太いグラスに指を絡める志貴は、琥珀の意図を察しかねて目で尋ねる。
「志貴さま、これを召し上がって下さい……そうすれば、より深くお楽しみに
なられますわ……」
志貴は、琥珀に勧められたブランデーグラスと琥珀の妖しい笑い、そして足
下の秋葉の哀れな姿を順繰りの眺めていく。そして、この手に握ったグラスの
中に琥珀が入れた薬のことを考える。これを飲めば、きっといつもの自分では
いられなくなるのだろう、と思う反面、ここまで来た以上、もう引き返すこと
は儘ならぬという焦りに似た思いもある。
――ままよ
志貴は、ぐい、と一気にブランデーグラスを煽った。
濃厚なアルコールと、液体に封じ込められた濃い香気が喉から胃に駆け下り、
そのまま鼻にまで刺激が走り志貴はむせそうになったが、なんとか一気に琥珀
の杯を干したのであった。
それは、志貴にとっては正気の世界との、決別の水杯であった。
慣れないアルコールを一気飲みして、げほげほと咽せている中で、琥珀は秋
葉の背中に回り、腕と背中の繰って天井からつり下がっているフックに延ばし
て引っかけ、秋葉を無理矢理釣って立たせようとしていた。
やがて、キリキリキリという耳障りな音と共に、秋葉の背中がつり上げられ
て床から持ち上がる。やがて、頭を垂れた秋葉が膝立ちの状態になると、満足
したようにウィンチから琥珀は離れ、秋葉の側に寄った。
――ほう、これは……
志貴はその様子を見て、我知らず興がそそられるのを感じる。
縛られ、吊された秋葉は白無垢の襦袢の裾も乱れ、痛々しくもあったがその
半面、食指が動かずに入られないモノがああった。そして、目隠しによって隠
された顔と、その下の目の色を想像するだけで、志貴は己の血が滾るのを感じる。
もはや、志貴は秋葉に対して気後れを感じる志貴ではなく、琥珀の薬によっ
て酔わされた、より攻撃的で淫らな別の人格に転じつつあった
「秋葉……」
口の中にそう小さく呟くと、志貴は秋葉の側に寄る。そして、指を伸ばして秋
葉の顎を掴み、顔を上げさせる。
目隠しを掛けられた秋葉の顔を自分に向け、志貴は密かな興奮を隠しきれなかっ
た。すでに、志貴はいつもの志貴とは異なる存在になりつつあった。
「兄さん……どうして……」
「それは、秋葉がね……悪い娘だからさ」
志貴は考えるともなくそう言うと、指で顎を開かせて、その中に人差し指を
差し込む。 ぬるり、という熱い口腔内のぬめる感覚が指先に感じる。人の体
の中の、紅い、液体にまみれた熱い粘膜。志貴の指が秋葉の舌を嬲り、秋葉の
舌もおずおずと志貴の指を舐める。
ぴちゃり、と湿ったイヤらしい音が秋葉の口から漏れる。
――なぜ、俺はこんな事をしているのだろう
志貴の脳裏にふとそんな考えが過ぎるが、脳の随から尾てい骨までを駆ける
熱い衝動の前に、そんな理性のカケラも融け去っていく。
「そうだ……秋葉が悪い娘だって、分からせて上げるよ」
志貴は秋葉の口を嬲る指を外し、唾液にまみれた指をつぅ、と糸を引かせな
がら引き抜いた。秋葉は名残惜しそうに舌を伸ばすが、その熱い肉から冷たい
志貴の指が離れると、う、と小さく声を発する。
志貴は、顎を戒める指を離すと、ポケットに入れた小さなナイフを取り出し、
唾液に濡れた人差し指の側面を切る。傷はすぐに血を含み、紅い雫が脹らみ、
雫となる。
指を切る痛みに志貴は僅かに顔をしかめたが、すぐに不敵な笑みを浮かべて、
再び顎を開かせると、人差し指を秋葉の口の上に垂らす。
ぽたり、ぽたりと秋葉の赤い舌に、志貴の血が垂れる。
「あー……」
秋葉は、舌で何が垂れたのかを確かめたが、それが血であることを知ると、
陶然とした声を上げる。そして、ぽたぽたと垂れ続ける血を、貪欲に舐め取ろ
うとする。志貴はそんな秋葉の舌の動きを眺め、そして秋葉に囁く。
「美味いか?秋葉?」
「はぁ……兄さんの血……兄さんの……」
ぴちゃぴちゃと血を舐めながら、秋葉は夢見るような口調で繰り返す。さら
に、秋葉の口の中に志貴の指が忍び込むと、秋葉はさも愛しそうにその指を舐
め、一滴も余すとこなく血を舐め取ろうとする。
「兄さんの血……美味しい……」
「そう、それが悪い娘の証拠なのさ、秋葉。普通の妹は、兄の血なんか飲まな
いよな……でも、おまえったらこんなに美味しそうに俺の血を飲むんだから」
志貴の嬲る声に、秋葉はびくり、と背中を震わせる。だが、縄に縛られ吊さ
れた秋葉は身動きすることもままならない。志貴の言葉に一度は指を吐き出そ
うとした秋葉であったが、志貴の血と指に未練は断ち切れず、はしたなくも血
のわき出る指をしゃぶり続けている。
「お前は悪い娘だよ、秋葉」
志貴の片手が頤から離れ、秋葉の喉を撫でる。
「ほら、お前はこんなに美味しそうに、喉を鳴らせて俺の血を飲むんだもんな」
そのまま指は秋葉の首筋を撫で、胸を戒める絹縄を撫でる。
そして、薄い襦袢の上から秋葉の胸を撫で、縄の間にある突起を指で探る。
しばらく胸をまさぐっていた志貴だが、硬い指さわりを見いだすと、酷く満足
した顔で嗤う。
「秋葉……おまえ、興奮してるのか?乳首が立ってるぞ」
「そんな、兄さん……んぅ」
秋葉の抗議の声は、指で舌を押さえつけられて封じられる。志貴は、胸の中
にある僅かな脹らみと、その上にあるサクランボの種のような小さな乳首を指
で摘み、弄ぶ。
指を舐めながら、秋葉は胸の突起を弄られるくすぐったいような、それでい
て背筋が震えるような快感に身を任せていた。
「悪いだけじゃなくて、イヤらしい娘なんだな、秋葉。お前は兄の血を飲みた
いと思っていた上に、こうやって乳首をいぢられて感じているんだから……」
志貴は言葉で秋葉を弄びながら指を秋葉の薄い胸から離した。襦袢の上に、
秋葉の乳首がくっきりと立っているのを見ると、志貴の中に邪な陰謀が浮かぶ。
志貴は指を這わすと、そのまま指をすべやかなお腹、そして襦袢の裾を割っ
て無防備な秋葉の股に差し込む。指が秋葉の密やかな陰毛にさわり、かさかさ
とした僅かな指の感覚を伝えたあとで――
「ひゃうっ!」
「秋葉……濡れてるな」
志貴がそう断じる。志貴の指は、秋葉の秘所を前から犯していた。
志貴の指が、秋葉の大淫唇を押し割り、数本の陰毛を巻き込みながらぬるり
と湿った女性器の中に割り込んでいた。そして、志貴の指はつるりとした秋葉
の尿道のあたりと盛り上がった淫唇を撫で、お尻の方の窪みと膣口の入り口を
探る。そのたびに、くちゃり、くちゃりという湿った音がする。
「兄さん、違うんです、それは……」
「違うもんか。秋葉は縛られて吊されて、おまけに俺の血を飲みながら乳首を
立てて、アソコを濡らして興奮しているんだ。あの、つんと澄ましたお嬢様の
秋葉は、血を飲みながら興奮するイヤらしい娘なんだよ、これで分かったろう?」
志貴の指が、秋葉の秘唇の前の方にある包皮の上をぐい、と撫でる。
「んぁーっ……」
「ホラな、こんなに感じている。女学院の同級生達にも知らせてやりたいよ、
生徒会の遠野秋葉は兄の血を飲みながら欲情する淫乱な娘ですって。さぞかし
面白いだろうな……」
志貴の嬲る声は止むところを知らない。そして、指もくちゃくちゃと秋葉の
陰部を嬲り続け、内側から出る淫液をあたかも絞り出そうとするかのように嬲
り続ける。
「兄さん……違うんです……」
「ふーん、こんなにアソコがぐちゃぐちゃだ……琥珀さんも見てみるか?」
志貴は後ろで控えている琥珀にそう言うと、秋葉の上と下の両方の唇から指
を抜く。どちらも粘液でぐちゃぐちゃであったが、志貴は構わずにもう一度ナ
イフを取って、秋葉の足首を戒める縄を解いた。
そして、無言で指図をして秋葉を膝立ち状態からつり上げ、普通に立ち上が
るほどの高さにする。だが、秋葉はほとんどつま先立ちで立ち上がるような姿
勢になり、体重が縄に掛かって苦痛のうめき声を上げる。
すかさず志貴は秋葉の背中に回り込むと、その膝を裏から手に取る。
そして、片足を――高く持ち上げさせ、秋葉の股間を露わにする。
「ほら、琥珀さん……濡れてるだろう?」
「い、いやっ、琥珀っ、見ないでっ!」
秋葉の悲痛な声が響くが、琥珀はそれを意に関さず、といった風情で秋葉と
志貴に近寄り、剥き出しの秋葉の女性器の前に跪く。そして、息も掛かるぐら
いに顔を寄せて、淫液に濡れたピンクの肉襞に指をつける。
「あは、秋葉さまったら、どろどろですね。きっと、いつも自分で慰めてらっ
しゃるから感じやすいんですよねー」
「そ、そんな……琥珀!」
「それに、秋葉さまは志貴さまの血を飲まれて興奮されているんですよね。い
つもこうしたいと考えてらっしゃったのですよね。それで毎晩慰めておられた
んでしょう?」
琥珀も言葉嬲りに参加しだし、秋葉の剥き出しの陰部をなで始める。琥珀は
両手で秋葉の肉付きの薄い陰部を広げ、奥まった入り口に人差し指を添える。
「秋葉……毎晩していたのか?お前はイヤらしい娘だ」
「そ、そんなことありませ……ひやうっ」
琥珀の指が秋葉の中に滑り込み、入り口の辺りの締め付けるような、肉の壁
の感覚を確かめる。指にからみつく秘肉の感触を確かめながら、琥珀はもう片
方の指で秋葉のクリトリスを覆った鞘の上を撫で続ける。
「あ、あは……うん……」
「秋葉さま、中もしっかり感じておられますね……志貴さまをこの肉襞で包む
なんて考えて、毎日慣らしてていたんですか?それとも、寄宿舎時代にここで
感じることを教えられたのですか?」
琥珀の指は、ぐりぐりと秋葉の中で回転し、秋葉の肉襞をなで回している。
そして指をぐ、とお腹の曲げて感じるスポットを探り出そうとする。琥珀の指
が秋葉の膣内のある点を探り当てると、秋葉が堪らないような嬌声を上げる。
「琥珀、そ、そこは……はぁぁ……」
「秋葉さま、こんなところまで感じるように……いやらしいですね」
琥珀は指でそのスポットを揺するように刺激し続ける。
志貴は、後ろから秋葉を抱き留め、片足を掲げさせるポーズを取らせながら
琥珀の晒し出す痴態を眺めていた。秋葉は縛られたまま、白い腿を襦袢からは
み出させ、目隠しをされた顔をのけぞらせながら感じている。
「……今の秋葉は、すごくイヤらしいよ……ほら」
志貴は空いている腕で、無防備な秋葉の乳首をつまみ上げる。
秋葉の悲鳴にも似た声に構わずに、秋葉の耳に甘い声で淫らな毒を流し込む。
「ほら、さっきより硬くなってる……琥珀さんの指で感じているんだね。それ
も、アソコの中から……ずっとこれが欲しいと思ってたのかい?」
そう言いながら志貴は、既にズボンの下で硬さを増した股間の脹らみを、秋
葉の肉付きの浅いお尻に押し付ける。そして、まるで痴漢行為を働くように秋
葉にその脹らみを腰を振って押し付ける。
秋葉は、押し付けられる志貴の股間の感触に身を震わせる。
嬲られ、辱められ続けるままの秋葉の開かれた口から、血混じりの唾液が一
筋、糸を引く。そして、内から外から身体を弄ばれ、喘ぎ声を上げ始める。
「うふふ、でも秋葉さま、志貴さまのおちんちんはあげませんからね……その
かわり、これを銜えているのが、自慰好きの秋葉さまにはお似合いです」
琥珀は指を秋葉の中から抜き、中座してテーブルの上のトレイから、いくつ
かの責め具をもって来る。志貴が見守る中、その中の一つを琥珀は妖しく笑い
ながら取り上げた。
志貴の目に映ったのは、白いシリコンで出来た模造の男性器であった。琥珀
はそれに軽く唇を寄せると、下で模造性器の先を一舐めする。
志貴はその姿を見て、まるで己の逸物を舐められたかのように、腰を震わせる。
「さぁ……ぬるぬるの秋葉さまのアソコは、こんな物でもすぐに飲み込んでし
まわれますね……あは」
「あっ、ああっ、ああああーー!」
琥珀は秋葉の晒された女性器に指を当て、落ち窪んだ所に白い模造ペニスを
宛う。そし。て秋葉の下の膣口は、愛液でぬらぬらと濡らしながら肉の襞の中
にそれを飲み込んでいく。琥珀の指は白い模造ペニスの根本を掴み、抵抗を押
しのけながら秋葉の中を犯していった。
「や、やぁぁ……中に、中に入れないで……」
「そうですかねー?中に入れて貰いたいからこんなに濡らしているんですよね、
秋葉さま?でも、これでも志貴さんのおちんちんよりもちょっと小さいぐらい
ですから」
秋葉の悲鳴とよがり声の混じり合った叫びに動じない、琥珀の陵辱。
志貴は秋葉の脚を掴む腕を外し、後ろから秋葉の胸を鷲掴みにする。そして、
その胸板に浮かび出る乳首と僅かな乳房を手荒く揉み始める。
「でも、志貴さまにはこんな事は出来ないかも知れませんね。すいっちおーん」
そう、いかにもおかしげに琥珀は言い放つと、模造ペニスの底のスイッチを
入れる。
たちまち、うィんうィんうィんというモーターの気怠げなリズムが刻まれ、
秋葉は内側から柔襞を刺激され、声にならない叫びを上げる。
「ひぁぁぁぁぁ、うぁぁっ、うー、琥珀ぅ、とめてぇ!」
「嘘ばっかり。お仕置きとか言いながら感じているんですよね、秋葉さま」
琥珀は片手で震動するバイブレーターを掴みながら、抜き差しする様に動か
し続ける。秋葉は縛られた身体を震わせて抵抗しようとするが、志貴に後ろか
ら抱き留められているのでそれもままならない。さらに志貴の腕は秋葉の胸を
責め続けている。
「いやっ、あああ……う、ああ、そんな、だめぇっ」
琥珀に下から、志貴に後ろから責められる秋葉は身悶えする。秋葉の下の口
がバイブレーターを飲み込み、その蠕動に従って腰を震わせ、快感に打ち震える。
やがて、秋葉は大きく体を反らせ、脚を突っ張るような仕草を見せる。志貴
の腕の中で甘い叫びを上げると、秋葉の身体は一度、二度と震える。
「あ、イってしまったんですね、秋葉さま……」
琥珀の声を秋葉は聞いていない。そして、力の抜けた秋葉の下半身から、ずる
り、と愛液に濡れたバイブレーターが抜き出される。
志貴は胸を抱きしめながら、絶頂に達する秋葉の甘い呻きを聞き取っていた。
《続く》
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