ただ淫らに ― 逢瀬 #3 ―
わたしはそっと舌を伸ばす。 不浄なところ――菊門と呼ばれる兄さんの肛門へ。 そっと目を閉じて。 ちろり 舌が触れた。 羞恥の炎が身を焦がす。熱く焦がす。 なんていうことを。 なんて、はしたない。 なんて、淫らな。 なんて、いやらしい。 なんて――あぁ。 理性が悲鳴をあげる。 でもそれはすくに淫蕩の波間に消え去り――。 舌でそのまま兄さんのおしりを舐める。 顔を兄さんの股間にうずめ、お尻の穴をぺちゃぺちゃと舐めている牝――それがわたし。 学校のみんながみたらなんというか――。 眉をひそめるだけでなく、非難する視線を浴びて――。 でもその視線を思うだけで、躰が疼く。 もっともっとと舌が大胆に動く。 兄さんの不浄なところの皺を丹念に舐める。 舌でつつき、そして周辺部を音を立てて舐める。 兄さんにわかるように音を立ててなめ回す。 自分がとれだけ淫乱な牝か、兄さんを求めてせがむ女なのかを示すために――。 そして舌を中に入れる。 くにゅりとした感触。 外へと押し出される。 でもかまわず舌に力をいれて、中に入れる。 いれた途端、兄さんの体はびくんと揺れる。 ちょっとだけはいった舌を動かす。蠢かす。 舌を上に下に、右に左に、奥に前に、兄さんのを味わう。 ねっとりとした腸液が舌を伝わって口に入ってくる。 それでもかまわず、舌を動かす。 兄さんの膝ががくがくいっている。 わたしを感じてくれている。 わたしが兄さんを愉悦に導いている。 あのやさしい兄さんがどんな顔をしているのであろうか――。 歯を食いしばって耐えているのであろうか? それとも悦楽に蕩けているのであろうか? それとも――。 舌はそう思えば思うほど、淫らに動く。 ただ兄さんの悦楽を引き出すがために。 強く、弱く、甘く、ひそやかに舌が動く。 自分で動かしているのか、それとも勝手に意志を持って動いているのか――。 その区別さえつかない。 そしてわたしは舌を入れたまま、そこに口づけて、吸う。 「あ」 兄さんの声がする。 その声は歓喜に、快感に震えていた。 その声にせがまれて、誘われて、わたしはもっと吸う。 あってはいけない、やってはならない禁忌の場所をわたしは舐め、しゃぶり、舌を入れ、そして啜るのである。 ひとしきり不浄なところをねぶると、わたしは前に戻る。 兄さんは感じきっていて、肩で息をしている。 無論、わたしもそう。 躰は火照り、牡を求めてやまない牝の獣。 なんて淫乱な。 なんて淫蕩な。 でもこれがわたし。 兄さんの女、いやらしい遠野秋葉の姿。 わたしはわざと脈打つそれにはふれず、兄さんの胸板まで手を伸ばし、乳首をいじる。 そして乳首をなめ回し、わざとじらす。 ――これは今さっきのお返し 兄さんがわたしがわざと惚けていた事への仕返し。 わざとあれには触れず、耳や首筋に舌を這わせる。 兄さんが感じてわなないている。 ――兄さんの無力な様がとてもそそって――。 ついもっと苛めたくなる。 「……秋葉」 「なんです、兄さん」 乳首を転がしながら、答える。 ――わかってますよ、兄さん。 答えを待たず、兄さんのそれを握る。 熱いそれは触れただけではじけてしまいそうで――。 舌なめずりして、胸板、おなか、へそとそのまま舌や唇を這わせていく。 てらてらと濡れた道がとてもいやらしく輝いて。 そして兄さんのモノの前までくると、そっと口にする。 口に入れただけで、気持ちいい。 嬲っていた今さっきまでの気持ちは消え、ただこのものを愛おしく頬張る。 舌をすぼめ、唇でしごき、啜る。 兄さんはわたしの頭を抑えると、まるでわたしの口を性器のように腰を揺らす。 喉を逞しいものがつく。 けれども―― わたしはそれを受け入れ、なすがまま。 兄さんのそれに舌を絡め、唇をすぼめ、唾液をすすり上げる。 まるで口がそのまま穴になったかのようで。 淫らに溶けていって。 兄さんのをもっともっとと飲み込んでいく。 口端から涎が泡だってしたたっていくが、かまわない。 ぬらぬらとした涎が雫となってしたたり落ちるが、かまわない。 舌を絡めたそれが少し大きくなり、兄さんは奥へと突き入れる。 もうすぐ達する。 あの白い粘液がくる。 そう思うと、わたしはさらにねぶり、啜る。 くぐもった歓嬉の声がわたしの喉を震わせる。 びくん。 舌で包み込んでいたそれが押し広げる様に膨らんだ時、躰は歓喜に打ち震える。 腰の奥の甘くねっとりとした疼きが全身に広がっていく――。 口の中で何かが爆発したようだった。 押さえつけられて動けないわたしの口の中で、もの凄い勢いで爆ぜた様に暴れ、舌に、喉に、口の中にまき散らされる。 白い粘液が。 精液が。 牡の液が。 粘ついてしつこく、喉にからむ――出来の悪いゼリーみたいな触感――のそれは、生ぬるい温度でわたしの口の中に広がっていく。 兄さんの迸りをすべて口で受け止め、 そして――。 ご……くん…… 喉を鳴らして飲み干す。 喉に絡みつき、飲み干しづらいが、それでも 大切な兄さんのものと思うと、愛おしくて かまわず、何度かに分けて、飲み干す。 たっぷりと味わう。 幾度も喉が鳴る。 口の中でなおビクビクと痙攣し続けるそれを、そのまましゃぶり続け、吸い尽くし、最後の一滴まで絞り出した。 兄さんのそれ堪能しきった後、兄さんは口から引き抜いた。 いやらしい音と、いやらしい糸が唇とそれの間を繋ぐ。 わたしは湯気がたちそうなほどの熱い息を吐くと、胡乱な目つきで兄さんのそれを見つめるだけであった……。 …… |