月姫 SS またデート前(4/20)#3 (Side : Seven) ……マスターの横暴です。 アルクェイドさんが、横暴だとわめき立てる理由がよくわかりますよ。 人参禁止だなんて、あああマスター。 でも意志が弱いマスターが悪いんですよ。 わたしはあえてビシっというつもりです。 わたしはただの守護精霊でないところをみせないと、いつまた改造されるかわかりませんからね。 ここはビシっと。 だいたいマスターは志貴さんには弱すぎますよ。甘すぎますよ。 年下のホストにはまってしまってサラ金地獄に堕ちた主婦みたい…… ベコギ ああああああああ、ゴメンなさい。ゴメンなさい。まるで堕ちていくようだなんていうなんて…… あああ、手を挙げないでください。ゆるしてください。 ちゃんと加護しますから、お願いマスターぁ。 わかりますか、セブン。 恋している時は、誰しもが乙女なんですよって そんなことを言われても――。 マスターもいい加減、自分のこを乙女だなんていうのはヤメた方がいいですよねー。 乙女という年齢はせめて20歳前でないと――。 ゴキッ …………(涙) マスターの馬鹿力でこれ以上殴られたら、パレルがまがっちゃいますぅ。 もぅ乙女っていったらわたしですよ。 え、千年以上前の人間にいわれたくないですって? でもマスター、わたし守護精霊ですし――ほら精霊って乙女って相場でしょ? それに人間は死んだら歳をとらないんですよ、知らないんですかマスター。 それに、わたしは男性の方を知らないで……純潔のまま捧げられましたし――マスターみたいに前も後ろもという人には……。 …………ゆるしてユルシテゆるしてユルシテゆるしてユルシテゆるしてユルシテゆるしてユルシテゆるして。 もう言いませんからゆるしてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。 でもマスター。大丈夫ですか? 何がって、何、ですよ。 え、わからないんですか……そう……わからないのですか…………くす。 あぅ、ゴメンなさいぃ。 言います、言いますってば。 マスターが気にしている生活費のことですよ。 え、切りつめるから大丈夫でしょうって、――やっぱり気づいていないんですよ。 ほら、志貴さん――あぁ拳を振り上げないでください――えっとえっと、マスターの思い人の方に、ケーキを作るんですよね。 え、なぜ知っているんですかって――わたしはこれでもマスターの守護精霊ですよ。マスターがわたしに隠し事はできませんよ。 マスターが耳とうなじが感じるとか、志貴さんの前では楚々として誤魔化しているけど性技はもっと上手だとか、実は淫乱だとか――。 言いませんから、えぇ、そのねじ回しとか取り出すのはやめてくださいってば。 改造はヤなんですよ。 助けてぇぇぇぇぇ。 はぁはぁはぁ マスター……もう、こういうパターンは……やめましょうよ。 マスターの時ぐらいですよ。これでもわたしはきちんとした力ある守護精霊として、代々のマスターからお褒めの言葉をいただいてきたんですよ。 なのに、今代のマスターったら。 でも、マスターと一緒にいると、お話できたり、世界が伺えるから――人参も食べれますし――あとは暴力で物事を解決せずに、改造好きでなければとってもよいマスターなんですけどねぇ……。 え、話の続き――あ、はい、わかりした。 えっとですねぇマスター。ケーキを作ってパーティをやるんですよね。 厨房も借りられるし、場所もOKですよってそんなに自信満々にいってますけど――ケーキの材料費はあるんですか? ……………… ………… …… … ……そんな情けない顔をしないでくださいよ、マスター。 ほらケーキのスポンジを焼いただけじゃダメですよね。生クリームとかチョコとか、あとはトッピングのフルーツとか飾りとか……。 だ、ダメですよ、内引なんて犯罪ですよ。 それは乱用できる特権ではなくて、犯罪ですよ! 堕ちた真祖のようなことをいわないでくださいよ。一度でも堕ちたらもうダメなんですよ、わかってますか? あーあマスターったら、ため息ついちゃって。 ため息をよくつくマスターですけど、肩を落として――ああそんなに情けない顔をしないでくださいよ。 ねぇマスター。 もぅマスターったら……。 莫迦、なんですから……。 ! う゛う゛ 耳だけはしっかり動いているんですねマスター。 耳も止めてくださいよ……。 あぁそうため息をつかないでくださいよ。 失敗は成功の母というじゃないですかー。 マスターはいつも失敗ばかりですけどね。 ……はい、もぅいいません。 |