逃げないんだね――。 その言葉が甘くそして痛く疼く。 少し驚いていると、彼女は笑う。 「また逃げられると、思ったわ」 そして彼女は俺の頬に手を伸ばす。 「――よかった」 触れられた頬が熱い。 彼女のこの言葉に、うぬぼれていいのだろうか――。 月姫18禁SS 狭間に 逃げないの? また逃げられると思ったわ ――よかった 彼女の言葉が頭の中に渦巻く。 どういう意味なのか。 いや、それよりも、いや、でも今は彼女を、どういう意味で……あぁ。 何がなんだか――わからない。 混乱する。混乱していく。 でも、俺は彼女の唇を奪った。 唇と唇が触れ合う程度の軽い口づけ。 俺のファーストキス。 なんて簡単。 そして何の感慨もわかないうちに、すぐに二度目、三度目も唇を重ねる。 彼女は嫌がらず、俺を受け入れてくれる。 なんて柔らかく、くらくらする香りがするのだろうか。 初めて抱きしめた女の体に痺れていた。 都古ちゃんがタックルしてきたときには何にも感じない。 この、女の香り――。 溺れていく。 「志貴君――初めてでしょう?」 朱鷺恵さんがそっと囁く。 その言葉の意味がわかると、かぁっと熱くなる。 彼女は下から俺の胸を触りながら言う。 「わたしの初めての時は、すごくメチャクチャだったから」 今度は彼女の方からキスしてくる。 「志貴君のは、いい『初めて』にしようね――」 そして彼女は服を脱ぎ始める。 カーティガンを脱ぎ、ブラウスのボタンをその指で外す。 一つ外れるたびに見え隠れするその白い柔肌に、視線は釘点けだった。 そしてその下にあるキャミソールが、透けて見えるブラジャーがとても色っぽくて――。 彼女は振り返って、それ以上見せてくれない。 首だけこちらをちらりちらりとうかがっている。 そのまなじりはかすかに恥じらいの色を浮かべていた。 そしてブラウスを脱ぐ。 キャミソールから透けて見える曲線が艶めかしい。 首から肩のラインがなだらかで、艶やかで。 そしてスカートを脱ぐ。 「さぁ志貴君」 そういって微笑んで彼女は近づいてくる。 その柔らかな曲線に その淫らな肢体に わからない。 ただ何となく手を伸ばす。 すると彼女はそれをつかむと、そっと自分の胸に押し当てる。 柔らかくて、それでいて弾力のある感触がまとわりついてくる。 どうしていいのかわからない。 「どうしたの、志貴君」 あの甘い声が響く。 「まずはそっとね」 そして指を動かし始める。 柔らかい。 なんて柔らかい。 有彦が言っていたことがわかる気がする。 ――女ってさ、柔らかくて、暖かくて、とてもいい香りがして。 そうだな、有彦。 ――で、とてもしなやかで、美しいんだよ。その曲線がさ。 得意げに語る有彦の言葉を軽く聞き流していた俺は初めて、アイツの言っていることが理解できた。 それはとても柔らかくて。 暖かくて、いい香りがして。 しなやかで、こんなにもくらくらさせる。 体の芯からくらくらさせる。 「そぅよ志貴君」 あぁ甘い声が天から降りそそぐ。 「さぁ脱がして」 どきどきしながら、そのキャミソールに手をかける。 町中でファッションでみかけた時はそんなんでもなかったのに。 こうして直接、二人っきりの時に見ると、なんて――ソソる。 震える手をなんとか鎮めながら、そっと脱がせる。 彼女はブラとパンティーいや今はスキャンティ? それともショーツ? 胡乱な頭でそんな愚にもつかないことを考える。 「まずはブラを外して」 言われたままに手を伸ばす。 「これはフロントだから、前からよ」 そう言われても、前から……あぁここだ。 詰め襟のようなフックがついた、それを折って外そうとする。 が、なぜかうまくいかない。 簡単だというのに、なんで外せないんだ。 「あわてないの、そうゆっくりと手順を踏んで」 その言葉になんとか落ち着きを取り戻した俺は、少し手間がかかったものの外した。 何の音もなく、ブラは彼女の胸から落ちた。 肩ひももおちやすいように、彼女が両手を下にしたのも原因だろうけども、それよりも初めて直接見る乳房に心奪われていた。 いや、乳房などその手の雑誌にはよく載っている。 どおってことない。 この世の中に氾濫しているもの。 なのに。 どうしても目はそこから動かなかった。 まあるい乳房の上に可愛らしい乳首がのっている。 朱鷺恵さんも興奮しているのか、肌は薄桃色にそまり、なんというか扇情的でいやらしい。 おそるおそる乳房に手を伸ばす。 彼女は止めないし、嫌がらない。 そしてゆっくりと揉み始める。 キャミやブラの上から触ったのとは違うその感触に、ドキマギしてしまう。 肌のあのしっとりとした感触、そして少し汗ばんでいるのか掌に吸い付くようで、たまらない。 そして揉む。 「そう、もっとゆっくりとね」 そう言われてもとまらない。 ただただ男の本能のままにこねくりまわし、舐め、そして触る。 その唇よりも濃い桜色の乳首に吸い付き、舐める。 そのまま鎖骨、首筋、てのひらと至る所に 口づけする。 舐める。 触る。 そしてこねる。 聞こえるのは、自分の荒い息だけで。 あとは彼女のしなやかで柔らかな躰しか見えなかった。 「……じゃあ、次ね」 どれくらいの時間がたったのでろうか――。 無我夢中で愛撫を続けていた俺は彼女の声に正気づく。 あの、凛、と澄んだ声。なのにどこか卑猥な響きで。 ふと彼女を見ると、そっと首に手を絡めてくる。 「ふふふ、志貴君って思っていたとおり」 あの茶色の大きな瞳はかすかに期待で潤み、そして挑発していた。 それが俺の男を刺激する。 「じゃあ、下よ」 その声にある淫蕩な響きに、生唾を飲み込んだ。 下――それは女性自身のこと。 おま×こ、花びら、女陰、花弁――いろんな卑猥な言葉が頭の中を駆け回る。 「さぁ……脱がして」 耳にそっと囁かれる。 その言葉に導かれて、今さっきの愛撫でもけっして触れることがなかった場所へ手を伸ばす。 ショーツに手をかけ、ゆっくりとずらしていく。 目はそこに釘点けで。 心臓はばくばくといっていて。 頭の中は真っ赤で、まるで息を忘れてみたいに苦しい。 ちらりと恥毛が見えたとき、どきりとする。 ヘアヌードなどといって、そこらへんにある……いやいやこれは前考えたことで、あぁ……でも、しかし…… どんどん胡乱になっていく。莫迦になっていく。 柔らかく、ほっそりと生えた恥毛にドキドキする。 そしてその奥にあるものを想像して、息が詰まっていく。 そしてその先にあるものを見たとき、頭が真っ白になった。 どう表現していいか分からなかった。 ――これがそうなんだ……。 それが素直な気持ちだった。 花がひっそりとそこにあった。 食い入るように見つめた。 「……どう、志貴くん。これが女よ……」 淫らに響くあの澄んだ声に躰が震えてしまう。 あまりにも男のものとは違う形状に、脳まで痺れるほどの興奮を覚えた。 目と鼻の先にある『女』の、その複雑さに驚いた。 なんて卑猥で、美しいんだろうと――。 あまりにも艶やかで、匂い立つような、そそられる美しさがあった。 すると、そっとあのピンク色の爪と白い指が視界に入ってくる。 その指はゆっくりと、女を開いていった。 なんて、いやらしい――。 目の前に真っ赤な蘭が花開いた。 くらくらする。 その鮮やかな色にめまいを起こす。 なんて淫猥で、誘われるものだと――。 ただただ見つめてしまう。目をそらすと消えてしまいそうで、すべてが夢になってしまいそうで、見つめてしまう。 ふと下を見ると、肛門が見える。 コウモン その言葉がか頭の中で理解できると、なんだか恥ずかしくなっていく。 明らかにそれと分かるすぼまりから目をそらそうとするが、どうしてもそらせない。 上の花と違ったそれに魅入られてしまう。 こんな身近でみるのはもちろん初めてで。 そこには汚いところというイメージしか持っていなかった。 なのに、そこのすぼまりにはそんな感じがない。 そして上のあそこは、真っ赤に充血して、男を誘っていた。 淫らに 淫蕩に そして艶やかに ここまで男を誘うものが 誘えるものがあるのかと しっとりと濡れ、咲いていた。 蜜がじんわりとにじみ、そしてとろりと雫がこぼれる。 熟れきった果実を見ているようなそんな甘い感じ。 「じゃあ」 今度は少し媚びるような甘えた声。 すると彼女は俺を胸元に抱え込む。 まるで逃がさないように。 そして耳元で囁く。 「今度は本番ね」 |