「ふぁ……っ!」
俺と同じもので出来ているとは俄に信じられないほど、遠坂の皮膚は白い。
ただでさえ色素が薄いのに、周囲の真っ白なカーテンの色が反射して、よけい
にその透明感が強調される。乳房に浮かぶ血管を流れる、血の赤さまでが透け
て見えそうだった。
「あ……はぁ、ん……」
汗ばんだ素肌は、こちらの手のひらにぴったりと吸いついてくる。ぷるんと
したミルク色のゼリーのようなそれを、力のままに握り潰してしまわないよう
自制しながら、丹念に両の手でほぐしてゆく。
「ふぁ……あ、やだ……士郎、そんなの……」
「ん──だって、遠坂の胸、気持ちいいし」
本番の為の前振りと
言うより、前戯そのものが目的のような愛撫。体操服を身につけたままの遠坂
を翻弄するこの状況に、脳が異様な興奮を覚えている。
「は……あ、ん……だめ、ぇ……わたし、こんな恰好なのに……」
遠坂もそれは同じようで、こちらの手に柔らかく胸を揉まれるたび、羞じら
うような甘い吐息を漏らす。
もっとこうして彼女の胸の手触りを味わっていたかったけれど、このままで
は魔力を感応することが出来ないし──何より、俺の方が我慢出来ない。せき
立てられる欲望は渦を巻いて、今にも暴発しそうに張りつめた下半身を刺激す
る。
「は……あ、ああ、……んっ! 士郎、ダメっ……!」
強く握りしめた乳房の先端に舌先を這わせると、微かな悲鳴がすぐ耳元で響
いた。それを無視して、薄く色づいたピンク色の蕾に口づけする。
「ふぁ……っ!」
ちゅる、と唾液を舌に絡ませて、膨らみ始めた小さな乳首を舐め上げた。芯
があって固く尖っているのに、舌先でつつくとどこか頼り無く柔らかな感触も
する。それはまるで、萌え出した早春の若芽のよう。
「ん……ほんとに、ここって固くなるんだ」
乳首を口に含みながらそうひとりごちると、視界の隅で、かぁっと遠坂の胸
元に薄い朱が散るのが見える。
「い、今更何言ってんのよ! 大体、最初の時だって、その……士郎、こんな
ふうにしたじゃない……っ!」
「まあ、それはそうだけど」
初めての時は、すぐ直後に命懸けの戦いを控えていることもあって無性に昂
っていたし、それ以上に、あまりにも無我夢中で所々頭の回線が飛んでいた。
いや、眼前の彼女の体に夢中になっているのは今だって同じだけど、今はあ
の時より遠坂の抵抗が少ない分、幾らかこちらの方に余裕がある。
顔を動かして、左右交互に薄紅の乳首に口づけを落とした。甘い飴玉を舐め
るように、舌全体で赤く染まる先端をさすり上げると、震える遠坂の指が、こ
ちらのシャツをきゅっと掴んでくる。
「……やだ……舐め、ないで……わたし、汗──」
「まだ気にしてるのか? 平気だって言ってるのに」
「もう……せっかく士郎とこうするんなら、ちゃんとキレイにしたわたしを抱
いて欲しいのに……そのくらい察しなさいよ、ばか」
「─────」
ああ、うん。その気持ちはとても嬉しいけど。
今そんな健気な事を言われたからって、こっちが止まる筈が無い。というか、
ものの見事に逆効果だ。指先を食い込ませ、白い柔肉を絞り上げると、舌で舐
めていただけの淡い尖りに、かりっと軽く歯を立てる。
「ひ……っ!」
思わぬ刺激を受けて、遠坂の背がのけ反った。噛みごたえのある、粘り気の
強い芯の感触が歯肉の根元を刺激する。
「や、だ、士郎、噛まないで……怖い、んっ……あ……!」
傷つけるのと紙一重の愛撫。僅かでも力を入れ過ぎれば、彼女に苦痛を与え
てしまう。そのぎりぎりのバランスの上で、怯える遠坂を乱すのがたまらない。
くらくらする目眩を耐えながら、前歯の間にピンク色の乳首を挟み込んで、執
拗に舌先でこねくり回した。
「はぁ……あ、ん……んぅ……あ、は……」
指先の跡が乳房に残るほど、吸い跡が皮膚に刻まれるほど散々に彼女の胸元
を愛してやる。膨らみを寄せた谷間に顔を埋め、その素肌を味わうようにじっ
くりと舐め回す。白絹にも似た穢れない彼女の皮膚が、こちらの唾液に濡らさ
れててらてらと光っている。
「あ、あん……士郎……」
彼女の喘ぎ声に促されるようにして、唇は次第に下へと下りていく。きゅっ
と縦に入った細い切れ込みにぬらりと舌をもぐり込ませると、
「きゃあ……っ!?」
あの夜とまったく同じように、戸惑いを帯びた高い声が遠坂の唇から漏れた。
「や……っ! 士郎、だめぇ……っ、お臍は……わたしっ、ん……っ、」
「なんでさ。遠坂、ここ弱いんだろ? 最初の時も凄かったもんな」
「……ば、か、なんでそう、よけいな事だけ覚えて……あ、ああ……っ!」
舌先を尖らせて、上下に切れ込みをなぞる。唾液で出来た熱い雫を、彼女の
しなやかな腹部に刻まれた小さな窪みに、音を立てて塗り込んでいく。液体と
空気の泡の混ざり合う、ぶぢゅぶぢゅという淫らな響きが、俺の唇と彼女の臍
の間で奏でられる。
「やだぁ……っ! 変な音立てないでよ、士郎のばか……っ!」
体重を預けている遠坂の太股が、ふるふるとわなないた。こちらの口淫から
逃れようと、懸命に身を捩る遠坂の体を自分の重みだけで押さえつけて、尚も
しつこいくらいに少女の中心に口づける。
「あ、あ……う、ん……はぁ……あ、士郎……」
──ゆっくりと、甘くなる声。
──ゆっくりと、溶けていく肉。
──ゆっくりと、潤んでいく瞳。
その妙なる変化が、直にこの耳に、この手に、この目に映る。捉える。感じ
られる。遠坂凛という少女が、衛宮士郎のものになっていく過程を、文字通り
今俺は味わっている。
「……遠坂……」
最初に抱いた時は、遠坂のことを『感じにくい』なんて思ったけれど、きっ
とそれは間違いで。何層もの固い殻に包まれた、その奥にある白い果肉は、こ
の手に触れただけでも震えて落ちそうなくらい柔らかくしどけないものなんだ。
ただ、どんな時だって毅然とした自分で在り続けた少女は、こんなに脆い素顔
をさらけ出すのがただ怖くて、あの時も、今も必死に自身を守っていたんだろ
う。自らの魔力を失って限界を超えても、素直に助けを求められないほどに。
──だけど。
「遠坂。もっと、声出していいから」
「やだ……やだ、ぁ……」
「誰も来ないよ。俺と遠坂だけだから……お前の可愛い顔、もっと見たい」
「……う……ばかぁ……」
「ああ、バカだ。バカだからもう止まんないし、もっと遠坂とこうしてたい。
他のことなんか今全然考えられない」
はぁ、と言葉の合間に取りこぼす吐息が熱い。頭の奥ががんがんして、渇き
切った舌が口蓋に張りつく感触がした。
「遠坂が苦しんでたのに、俺、バカだから気づかなくて、お前のこと泣かせて
……だから、遠坂の感じてること、バカな俺にも分かるように、ちゃんと教え
て欲しい。──ダメか?」
「……そんなの……そんなふうに言われたら、ダメ、なんて言えるわけないじ
ゃない……ずるい、士郎」
拗ねたように呟いた遠坂の目元が赤い。少しだけ顔を起こし、乱れた彼女の
髪を梳いてやろうと手を伸ばすと、ふと遠坂の指先がこちらの手首に回ってき
た。
「……遠坂?」
寝乱れたシーツの上。横たわる彼女は、僅かに首を傾け、俺から視線を逸ら
している。先程まで紙のように白かった彼女の顔は、今は羞恥と興奮の所為か、
ほんのりと色づいていた。濡れた唇を一度強く噛むと、彼女は殆ど聞き取れな
いほどの微かな声でささやきを落とす。
「言っとくけど……わたしはこんな恥ずかしいこと、ほんとはしたくないんだ
から。でも、士郎が……教えて欲しいって言うから、だから……」
そのまま、きゅっと俺の手首を握りしめて。
そろそろと、遠坂の指先が、こちらの手を『その場所』へと導いていく。
「こんな……こんな、こと、わたしにさせるなんて……でも、士郎が言うんな
ら、しかたないんだから……」
──ごくり、と喉が鳴った。
俺の体の下で、スローモーションのように、しなやかな両足がゆっくりと開
いていく。
目にも鮮やかな赤いブルマの、その奥に眠る濡れた熱源に、遠坂は自ら俺の
手をそっと触れさせた。
ぷつん、と。
脳のどこかで、僅かに稼働していた最後の理性が弾け飛ぶ。
──熱、い。
「と──お、さか」
「うう……だって、士郎が言ったんじゃない……わたしの感じてること、教え
てほしい、って……だから、だからわたし……っ」
あまりの恥ずかしさにか、今にも泣き出しそうに歪む彼女の唇を強引に塞い
だ。噛みつくようにその口を貪りながら、彼女が触れることを許してくれた柔
らかい感触に、今度は自分の意志で指を添わせる。
「あぁ……んっ!」
途端、下着はおろかブルマにまで染み出した粘液の滴りに、指先の皮膚がぬ
るりと絡め捕られた。覗き込むと、ちょうど彼女の入り口がある部分を中心に、
楕円形に黒っぽい染みが広がっている。
「遠坂──めちゃくちゃ、濡れてる」
「あ……ん、だって、士郎があんなにするからぁ……」
添えた人指し指を布越しに亀裂に這わせると、布地の表面にじゅぷりと白っ
ぽい泡が立つ。二度、三度と繰り返しているうちに、じっとりとした染みはど
んどん広がっていって、湿り気を帯びた布地は、ぴったりと遠坂のそこに張り
ついていた。
「う──」
こ──れは。
ちょっと、うん、本当に──シャレにならないほど、トンデモなくいやらし
い光景だ。ぐびり、と何度も空唾を飲み込んで、指先でこね回していたその部
分を改めて凝視する。
「は……あ、う……遠坂、」
ブルマもその奥にあるはずの下着も、溢れ出した遠坂の体液でぐちょぐちょ
に濡れてしまって、直に彼女の内壁の熱を伝えてくる。赤い布地は、未だ包み
隠された少女の秘部のカタチをくっきりと浮かび上がらせていた。
ブルマの中央に走る深いクレバス。その左右に、柔らかそうな隆起がふたつ、
ふっくらと盛り上がっている。膨らみに挟まれた亀裂を下に辿っていくと、ぐ
っと窪んだ部分があって、そこの周囲には、粘液質の泡が生まれてはつぷつぷ
と弾けている。
──はっきり言って、それは裸よりも煽情的に過ぎる姿だった。
「うぅ……やだ、士郎……べとべとして、気持ち悪い……」
遠坂が潤んだ目でそう訴えてくるけど、まだ脱がせてはやらない。倒錯した
興奮が、脊髄を電流のように駆け登る。添えていただけの人指し指をぐっと押
しつけ、第一関節から折り曲げて、その爪先でひっかくように、かり──と遠
坂の亀裂を掻いてやると、
「やぁ……っ!」
嬌声と共に、長い両足がこちらの腰に蛇のように巻きついてくる。
「遠坂、すごい──ブルマの上からでも、遠坂の形が分かる」
「やだっ、ばか……士郎のヘンタイ、こんなの……あ、は……んっ、んぅ……」
親指で柔らかい周囲の肉をほぐしながら、尖らせた指先でクレバスの頂点を
軽く幾度も引っかく。そうしていると、何かコリコリした感触が爪の間に引っ
かかってくる。
「や──士郎、だめ……そこは、ダメだってば……っ、」
自分をかき乱す指先を、必死に止めようとする遠坂の手。俺のシャツに這わ
される彼女の指が、小刻みに震えている。のけ反った喉の白さが、噛みついて
やりたくなるほど凶暴な征服欲を煽り立てた。
「ひぁ……っ! あ、ん……んぅ、あ、あ……」
ずぶずぶと、柔らかい肉に挟まれた亀裂に親指を埋めていく。胎内に続く穴
に、淫らな体液で濡らされた布地ごとねじ込むように、容赦なく指先を押しつ
けた。その間も、人指し指は休むことなく彼女のクリトリスを刺激し続ける。
技巧なんて知らない。どうやったら遠坂を悦ばせてやれるか、なんて分から
ない。ただ本能が教えるままに、欲望と興奮で彩られたピンク色の螺旋回廊を、
どこまでもひたすら上へ上へと昇り詰めていくだけ。
「ああ、ん……あ、あ、しろ、……あっ、は……あ、」
無闇に前後運動を繰り返す、単調なだけの不器用な愛撫にも、遠坂はこんな
にも甘い反応を返してくれる。それが純粋に嬉しくて、俺の名前を呼ぶその唇
に何度も口づけた。
「遠坂──とおさか、」
「んん……士郎……っ、」
じゅぷじゅぷという水音が、カーテンで遮られた白い密室にこだまする。耐
えきれなくて、ブルマの脇から指を突き入れ、直に遠坂の粘膜に触れた。
「あ──」
そこはもう、どこまでが体液でどこまでが肉なのか分からないほど、どろど
ろに溶け合って溢れ返っている。秘部を覆う二枚の布地が無かったら、ベッド
のシーツは今頃、遠坂の体液で染みだらけになっていただろう。指先を闇雲に
動かして、熱い肉襞をデタラメにかき混ぜる。
「あっ、あ──士郎、ダメっ、お願い、やめて……っ!」
刹那、遠坂の声が不意に切羽詰まった響きを帯びた。きゅうっとシャツの袖
を強く引き絞られて、沸騰しかけていた頭が僅かに冷静さを取り戻す。
「ご、ごめん……痛かったか?」
そう言えば、高揚する気持ちのままに、随分乱暴な愛撫を与えてしまった気
もする。女の子の体は、男のそれよりもずっと敏感で傷つきやすいものなんだ。
慌てて指を抜くと、眉根を寄せた遠坂の面に視線を落とす。青い瞳の中に映っ
た自分の顔は、情けないほど困り果てた表情をしていた。
「ん──ん、違う」
だけど彼女は、ふるふると小さく首を振って、俺の言葉を否定する。
「こんなふうにされたら、わたし、先にイっちゃうから……そしたら、士郎と
魔力感応出来ないし……」
「あ……そ、そうだよな、うん」
やばい。あまりに刺激的な状況に、そもそもの目的を忘れるところだった。
何度も繰り返した口づけや、汗や体液の混交で、僅かずつ遠坂の魔力が回復し
てきているのは分かるが、それはあくまで微々たるものだ。お互いに理性の殻)
を外して繋がらないと、俺の魔力をちゃんと遠坂に受け渡すことは出来ない。
額に浮かんだ汗を拭うと、遠坂はその大きな瞳で、まっすぐに俺を見上げて
きた。
「パス自体はあの時作ってあるし、わたしも今度は行為に集中できるから。士
郎もあの時みたく、わたしと一緒に達することだけを考えて」
「う──うん」
「……でも、あんまり乱暴にしないでね」
最後に、ちょっとだけ拗ねたようにそう小声で付け加えて。遠坂は握りしめ
ていた俺の袖を解放し、皺になったシーツの上にとさりと腕を落とした。横に
なっても潰れない柔らかな膨らみが、たくし上げられた体操着の下で息づくの
を見つめながら、ゆっくりと遠坂のブルマを下着ごと脱がせていく。
「……ん……」
つぷり、と張りついた布が剥がされる感触に、遠坂が羞じらいを見せて僅か
に震えた。片足ずつ、濡れて丸まる赤い布を引き抜いて、鞄の上にそっと置く。
下着ごとまくられた体操着と、白い三つ折りのソックスだけを残して。
──すべてをさらした遠坂の姿が、そこにあった。
「んん……」
清潔な保健室のシーツは、遠坂凛という清廉な少女の裸身を際立たせるにぴ
ったりの舞台装置だ。本来はノリが利いてピンと張り詰めている布地が、今は
ぐちゃぐちゃにかき乱されているその様さえ、彼女の姿を模しているかのよう。
あちこちに赤い吸い跡や噛み跡をつけて、尚本来の白さを損なわないその素
肌。透きとおる白魚のような下腹は荒い呼吸に波打ち、そこから続くふっくら
と盛り上がった恥丘には、白皙の肌とは対照的に、濡れた漆黒の恥毛が慎まし
げに密集している。その奥にあるものの熱さを思って、下半身の強張りがびく
ん──と大きく鼓動した。
「遠──坂」
邪魔なベルトを緩めようとするが、気持ちが先走る余り、指が緊張して巧く
動かせない。カチカチと苛立たしげに留め金をいじくっていると、すうっと遠
坂の手が伸びてきて、俺の手に添えられた。
「……わたしが、外してあげる」
そんな言葉を恥ずかしげに囁かれて、抵抗出来るわけが無い。うん、と子供
みたいに頷いて、彼女の指先にベルトを委ねた。器用に動く遠坂の両手が、な
めらかに留め金を外し、するりとファスナーを引き開ける。
その途端、今の今まで押さえつけられていた昂りが、勢い良く弾けるように
中から顔を覗かせる。
「あ……すごい、士郎の……」
「そりゃ、遠坂のあんな姿見せられたら、こうなるに決まってる」
「う……」
頬に朱を散らし、乳房を抱くようにして、──ばか、と呟く遠坂は可愛い。
だから──もう一瞬だって我慢できない。我慢しない。
「──は、」
自分の手でペニスを握りしめると、とんでもない熱が手のひらに伝わってき
た。まったく、仮にも学校の中でこんなになるなんて、信じられない有り様だ。
一度上下にすり上げて馴染ませると、膨れ上がったその先端を遠坂の粘膜に押
しつける。
「遠坂。体の力抜いて」
「……ん、」
はぁ、と意識的に深呼吸を繰り返す遠坂の両肩。二度大きく息を吸って、深
く吐き出すと共に、彼女の筋肉から緊張が抜けていくのが分かる。
柔らかく全身が弛緩する、その一瞬を見逃さずに。
「ふぁ……っ! あああ……っ!!」
遠坂の腰を抱いて、濡れた肉の門を突き破るように、強くペニスをねじ込ん
だ。
(To Be Continued....)
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