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 目が覚めると、俺は壁に背中を預けて腰を下ろしていた。
 足を投げ出して、それも股間からぺろん、と逸物を垂らしたままで。
 路地裏の天辺の淵から差し込む光が斜めに走り、僅かに吹く風が埃っぽいこ
の袋小路の空気を揺する。

「ああ、目を覚ましましたか?遠野くん」

 俺はそう、呼びかける声を聞いた。俺は首を上げて声の主を仰ぎ見る。
 そこには、腰に手を当てて困った顔で俺を見下ろしている、先輩が居る。
 ……なぜ?

「……先輩?ここは……」
「遠野くんが引っぱってきた路地裏ですよ。私と秋葉さんを。思い出しましたか?」

 そういわれて、俺は空白だった意識を取り戻す。
 俺は秋葉と先輩を何とか宥めようとして、ここまで連れてきて……そうした
ら先輩が秋葉を――そして、俺も秋葉を後ろから貫いて。
 そこまで思い出すと、俺は文字通り飛び起きた。

「せ、先輩、秋葉は!」
「あー、遠野くん、お宝出しっぱなしですよ。ハイこれ」

 先輩は眉を寄せて俺の股間に手を回すと、すっと俺に箱入りのティッシュを
差し出す。
 今更気が付いたが、俺の股間はぬるりと精液と愛液にまみれていて、それが
冷めていて如何にも気持ち悪い。ああ、と俺は先輩に頭を下げながらティッシュ
を抜く。

 二三回それを繰り返し、がに股になりながら股間をしまい込むと……俺は改
めて先輩の手元を見つめた。なんで、先輩は部屋に置いてあるようなティッシュ
箱を持って居るんだ?
 俺が辺りを見回すと、先輩は足下に見慣れないスポーツバッグを横たえていた。
そして、その横にはぐったりとして横たわる秋葉が――

 地面の上に横向きに倒れた秋葉は、目を閉じて気を失っている。
 それも、腰のミニスカートはめくれてしまって、覗いたお尻には俺の陵辱の
跡が印されている。どろりと内股に垂れる白濁液――

「あ、あ、秋葉!」
「さて、遠野くんも目が覚めたことなので、手伝って下さい」
「え?」

 俺が慌てふためいているのに大して、ひどく落ち着いた先輩。怒っている訳
ではなく、「仕方ないですね遠野くんは」と言いたそうな諦めと呆れの混じっ
た様な顔。先輩は俺に手短に秋葉の身体を起こすように指示する。

 俺が秋葉の身体を後ろから抱き起こすと、先輩は手にティッシュを取って秋葉
の足の間にに……

「……見ないで下さいよ、遠野くん」
「わ、わかった……その、先輩……一体何が?」

 俺は先輩に命じられるままに目線を逸らして路地裏の壁を見つめながらも先
輩に尋ねる。
 何度もティッシュが抜かれる紙音がして、さわさわという音が……きっと俺
のさんざんにした跡をぬぐっているんじゃないのか?と思うけども見る訳には
いかなかった。
 本当は俺がやったんだから俺が片付けるべきだったのかも知れないけども……

「……はぁぁぁ、もう、遠野くんも秋葉さんも無茶しすぎですよ。こんなにし
ちゃって、一体どうやって町中通って帰るつもりだったんですか?」

 溜息混じりに聞かれると、俺は赤面して言葉に詰まるだけだった。
 それはそうだ。ミニスカートの秋葉のお尻に散々履き散らしてしまったのに、
その後どうするかなんか考えても見なかった。秋葉をノーパンのままで連れ歩
くよりも、もっと激しい恥辱プレイになったに違いない。

 ――間違いなく、その後警察にお世話になるほどの

「あ……その……」
「だから、遠野くんと秋葉さんが倒れ込んで仲良く気絶している間に、ひとっ
走りして遠野くんの家から秋葉さんの服とかを借りてきました。もっとも……」

 そこで言葉が切れるが、俺は先輩が苦笑しているように思えた。
 生憎と目線を逸らし続けていたので、確かめることは出来なかったけども。

「琥珀さんは概ね予想していたようで、ちゃんと用意をしていましたけども」
「……琥珀さん、止めてくれればいいのに……」
「それはそうと、なかなか激しいものを見せつけてくれましたね、遠野くん?」

 その言葉に、うわぁ、と俺はうめき声を上げるのが精一杯だった。
 それはそうだよな、先輩の目の前で秋葉をバックでやっちゃったんだから……
それも中出しするまで。そう思うと、今からでも秋葉を放り出してうずくまり
たいほどの恥ずかしさに駆られる。

「だ、だってアレは先輩が秋葉を……」
「私はスカートめくっただけ……じゃぁないですね、唆しもしてみましたし。
でも、予想外のものを見られたので満足としましょう……遠野くん?秋葉さん
の身体を持ち上げて下さい」

 俺は先輩の言葉に応え、腕を秋葉の脇の下に回して秋葉の身体を持ち上げる。
 先輩は秋葉のスカートを脱がせて、持ってきたバッグの中の替えのショーツ
をスカートを履かせているみたいだった。俺は中腰の苦しい姿勢だったけども、
秋葉の身体を支えて先輩の作業を手伝う。

「……先輩、その、御免。俺達の後始末をお願いしちゃって」
「御礼には及びませんよ、遠野くん……私が変なコトしちゃったから、こんな
コトになったんですし。それにしても」

 ごそごそと秋葉の着せ替えをしながら、先輩は話を続ける。

「……まぁ、遠野くんも妹さんになら、あんなに激しいえっちをするんですかー」
「せ、先輩、そ、そのそれは!」
「いえいえ、世間では鬼畜外道といわれるかも知れませんが私は遠野くんが妹
とえっちをしていても構いませんよ。気になるのは、私にはあんなに情熱的に
えっちをしてくれたかなーと」
「……こ、今度はきっと、先輩を気絶するほどに埋めあわせをさせていただき……」
「お尻はいやですよ、遠野くん」

 青くなったり赤くなったり忙しい俺と、嘯くように話し続ける先輩。
 ただ、俺と先輩が喋りあっていると、秋葉の気絶したはずの身体に弱いなが
らも反応が戻ってくるのを感じた。

 胸元に後ろから抱き留めた秋葉の頭が、んぅ、と小さく声を漏らす。
 そして、もぞもぞと秋葉の身体が動き出して……

「はい、これでおしまい……っと」

 俺は秋葉を抱き起こすと、足を地面に着ける。
 先輩が最後に秋葉の身体に付いた埃を払うのと、秋葉の膝に力が蘇って自立を
始めるのは、ほとんど同時に感じた。秋葉は俺に胸元を抱きしめられたまま、項
垂れた首が少しづつ上がってくる。

「さて、遠野くん?」

 先輩は俺の顔を見つめて、苦笑する。
 俺が訳も分からずに曖昧な笑いを浮かべて、先輩を見つめると……

「そろそろ秋葉さんが目を覚ましますので、お任せしました」
「え?先輩?そんな……」
「……シエルさん?兄さん?ここは一体……」

 秋葉がようやく目を覚まし、頼りない足元で立ちながら辺りをきょろきょろ
と眺める。
 そんな秋葉を抱いていた腕を離すと、俺はぽんと秋葉の肩に手を置く。秋葉
はその長い髪を靡かせて振り返る。
 秋葉の驚き惑う顔を見つめて、俺はなにを尋ねようかと思った。なんでこん
な事をしようかと思ったのか、それともあんな事をされて怒っているのかどうか。
でも、咳払いと共に俺の口から出て来たのは……こんな言葉だった。

「秋葉……今度俺を誘うときは、人様に迷惑が掛からないように」
「な、何を言うんですか兄さん……あ……」
「そうそう、ショーツ履かないでお出かけなんか、危なっかしいですよ。幸い
秋葉さんがお尻丸出しで走っている時に、周りの人間に催眠暗示掛けながら走
れる私がいたから良いようなものの」 

 ――え?

 しれっとしながら、何気なく重要なことを宣う先輩。
 秋葉は目覚める前のことを思い出したようで、顔色は真っ青だったが先輩の
言葉に驚愕の色を隠せない。
 俺も目を剥いて先輩を見つめると、先輩は如何にも得意満面、という顔で頷く。

 ――じゃぁ、先輩は痴態を秋葉のことを見られないように……

 俺の動揺は、秋葉にも感染していた。秋葉は俺の腕をしっかり掴んで、先輩
を凝視している。

「……まぁ、今日の所は可愛い後輩である秋葉さんの無茶と遠野くんの無茶を、
面倒を見て上げましたので……ああ、私って優しい先輩ですねぇ、本当に〜」
「そ、その、シエルさん……私は……」

 俺は、口をぱくぱくさせて、何とか言葉を吐き出そうとする。
 だが、漏れてきたのは……感謝の言葉や謝罪ではなく、またしても意に反し
てこんな――

「じゃぁ、今度はお返しに先輩に俺と秋葉で身体でご奉仕するとか」
「兄さん!なにを馬鹿なことを言っているんですか!」
「あ、それいいですね。ふたりともあんなにはげしくエッチしているのに、私
だけお預けを食らいましたからねぇ……そうそう、遠野くん?秋葉さん?」

 先輩は、不敵に笑う。

「今度はたっぷり、お返しにサービスしてもらいますから」

                            《おしまい》


《後書き》

 どうも、阿羅本です。
 今回の秋葉のーぱんの首謀者でございますが皆様、お楽しみ頂けましたでしょうか?

 えーっと、私のノーパン秋葉SSなんですけども、秋葉と志貴のらぶらぶバカップル
でノーパンで濡らしてはぁはぁ、という王道を考えていたんですが、何か足りない……
そこで私の頭に戦慄が走りました。

        「そうだ、だーくシエルで辱めさせよう」

 ……と。いや、腐ってますか私の脳は(笑)。
 ダークシエルというか淫乱シエルというか、可愛い顔してひどいことをするシエルと
いうのはカレーと眼鏡と尻、と言われて類型化されるシエルの一面として結構阿羅本は
好きです、ええ、原作にはそんなに明確にないんですけども、シエルならやるな、という
……カソリックなのに(笑)

 と言うわけで、触媒にシエルを使うとうことでこのお話をスタートさせました。
 結果、なんかシエルが志貴ちんがガンガンやってる中で静かにしているというシュミュ
レート不足の部分もありましたが、ある意味お話の展開とまとまりが付けやすく「ありが
とうシエル先輩!」と言う感じでした……お陰で秋葉がすっかり陵辱されるお嬢様に(笑)

 というか、お尻丸出しで走っている秋葉というのはいいですね、ええ、なんかもー!
 でも翡翠と琥珀は二人で「秋葉さま、ノーパンで志貴さんを誘おうという計画ですね」
「ですが秋葉さま……それはすでに姉さんと私が通過した点に過ぎません」とかっ(爆)

 ああ、何となくシエルに奉仕させられる秋葉の話も書きたいような(笑)

 それではどうも、お付き合いいただき有り難うございました。
 でわでわ!!

                              阿羅本 景