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 バサッとベッドに横になるも、プリンセスの姿が脳裏に焼き付き、眠ること
ができない。
 アンバーは、プリンセスからセヴンスナイトの話を聞かされていた。かつて
プリンセスが共に戦い、そして愛し合ったその勇敢な男。
 それを話すプリンセスは本当に嬉しそうで、恋する少女のそれであった。
 図らずもアンバーもその話だけで……セヴンスナイトに、恋をしていた。

 だから……プリンセスにいけないと思いながらも

「ああ……」

 気付けば、アンバーの手が和服の裾に延び、その胸と秘部を優しく撫で上
げていた。

「くふっ……マスター……」

 左手で自らの胸の突起をまさぐると、そこは既に痛いほど張りつめていて、
触られることに至上の悦びを感じていた。

「あっ……」

 自らのその行為に嫌悪しながら、それでもアンバーは一人遊びをやめること
ができない。
 
 いけない、こんなこといけない……

 そう思っても、溢れるまだ見ぬその人への想いは止まらない。

「くうっ……マスター……」

 そのまだ少し小さな胸をまさぐる腕がマスターのものだと思いながら、アン
バーは深みに沈んでいく。
 自らの乳首を優しく摘み、そして擦り上げるようにすると

「ああっ……!」

 アンバーはたまらず喘ぎ声をあげ、よりきゅっと乳首を愛撫した。

 同時に、今度は掌で優しく胸を包み、揉みしだく。

「んふっ……あはぁ……」

 形を変える自分の胸が、優しくマスターに触られてると想像すると、そこか
ら波のように、電気のように快感が全身を走り抜けた。

「マスター……こっちも……」

 自分の手をそう誘い、アンバーは太股を撫で上げた。総毛立つ様な気持ち良
さに、思わず足に力を込め、股間を摺り合わせてしまっていた。

 クチュ……

「あ……いや……マスター……」

 濡れた音が部屋に響き、アンバーは恥ずかしさに震えた。
 下着を付けぬそこは既に妖しく蜜を滴らせ、迎え入れたいとわなないていた。

 マスターを思い、一人遊ぶ自分が時折恥ずかしくなってしまう。
 でも、愛しい想いがそれを消し去り、またこうして快楽に身を任せていた。

「あはぁん!」

 入り口付近でずっと淫唇を擦っていた指をたまらず差し込むと、アンバーは
ひときわ大きく喘いだ。
 指は、何の抵抗もなくするりと襞の奥まで入り込み、熱い蜜壷の中をまさぐ
り始めた。

 くちゅ……ぐちゅ……

 すぐに自分の指に愛液がまとわりつき、泡立つようないやらしい音を立てる。
それに呼応するかのように中が更に熱くうねっていくのが分かった。

「ああっ……いいっ……もっと」

 指を2本揃え、更に奥目指して突き続ける。同時にクリトリスを摘み、ひく
ひくと痺れているそこを擦りつけた。

「ああっ!」

 体の中から溢れ出す快感に、ひときわ大きく声を上げるアンバー。しかし、
心の中では物足りなさを覚えてしまっていた。

「あ……だめ……」

 自分でも抑制が利かなくなり、遂に自分の大事なアイテムであるほうきに目
をやってしまった。

「……」

 そのほうきを見ても最後の正気を何とか守ろうとした。しかし……


 グニャリ


 アンバーの意志に従ってしまうかのようにほうきは音もなくベッドの脇まで
寄り、そうしてその先端が形を変えた。

「あ……」

 それは、自分の手で握るに丁度良いように設えたステッキ状のほうき。そし
て、今その先端には明らかに男根を思わせる括れが形作られていた。

 それは、張り型と呼ぶにふさわしい、立派な男性器そのものであった。

「……」

 その形に、熱にうなされるかのように意識が動く。
 最後の堤防は、自ら手向けてしまったそのほうきによって決壊させられた。

 すっとほうきを手にとって、アンバーはいやらしく股を開いた。

「ああ……」

 抜き出された指は湯気を立てるが如く熱く濡れそぼり糸を引いていた。そし
て、悦の手段を失った花は食虫華のように蠢き、ひくりと震えて愛液を外に零す。

 引き寄せ、股間に男根と化したほうきの柄を見せるようにする。それだけで、
膣内がきゅっと締まるような快感に襲われた。

「あああ……」

 アンバー激しく貫きたい衝動を必死で押さえ、それをゆっくりと入り口に当
てる。その亀頭部が軽く外側の淫唇に触れるだけで

「ああっ!」

 ぞくりとした快感が全身を走り、震え上がった。

「行きます、マスター……」

 息も荒くどうどうにかなりそうな中、アンバーはマスターに己を捧げること
を想像し、ゆっくりと柄を沈めていく。

「あ……ああ……」

 ずぶ、ずぷと、少しずつ自分の中を埋めるその感覚に、アンバーが妖艶な声
を漏らす。
 自分の襞は恐ろしいまでに自制を振り切り、それを待ちわびたかのように包
み込んだ。

 まとわり、絡め、吸い取る。
 そんな本能の知る全ての快感を引き出す作用がほうきに与えられ、奥に進む
柄をぎゅうぎゅうと締め付けた。

「あはっ……ああっ!」

 自分の最深部までそれが到達すると、子宮口を付くその先端の刺激にたまら
ず声を荒げる。
 どくどくと、自分の中でも大量の蜜が溢れてしまっているのが分かる。

「ん……動いて……」

 自分でそうおねだりするように、マスターの体を動かすように、ほうきの柄
を前後させる運動に移った。

「あ……はぁっ……マスターの……私の中でいっぱい……」

 直線的な動きであるが、男性のペニスを想像して動くそれは、与えられる快
感以上の何かを自分の中で呼び寄せていた。


 セヴンスナイトと契約をする……それはつまり、交わること。
 まだ見ぬその姿、声、そして契約の動き……

 アンバーは惚けた心に少しだけちくりと針が指した様な気がした。


 まだ会えぬあの人を想い、こんな事をしているなんて……
 プリンセスの想い人を、こんな風に一人遊びの道具にしてしまうなんて……
 
 本当にマスターと会えた時、道具を使って処女を捨てた私を軽蔑するかな……
 最初から激しく喘いで感じて、そんな女だと思われてしまうかな……


 アンバーはいつか来る契約のため、何度もこうしてマスターを想い、自慰を
繰り返していた。初めての時はただ痛いばかりで出血し、契約がこんなものな
らばやめてしまいたいとも思った。
 しかし気付けば快感が自分を包み、それは止められないものへと変化していっ
た。契約の時にはマスターを悦ばせたい、そう思う反面の惑い。


 しかし、その事が逆に快感を高め、自分を興奮させていることに気付かなかった。

 ずちゅ……ずっ……

 一層激しさを増す内部のうねりに、空気を失った膣内が激しく柄を締め付ける。
 激しくまとわりつく襞に抵抗するように、亀頭から竿全体にかけてが自分の
内部を強く擦りつけ、強烈な刺激を送りつけてきていた。

「ああっ!ああ!」

 快感による謎の焦燥感。それがアンバーの手の動きを早める。

 じゅぷっ、ぐちゅ……

 激しく波打つような水音が響き、白く濁りだした愛液が股間から亀頭の傘に
よって掻き出される。それがさらなる潤滑となってほうきの柄を呼び込み、さ
らに腿からシーツまでびっしょりと濡らし、はしたない性臭を漂わせていた。

「ああっ! マスター!!」

 嗅覚からも更に興奮し、悲痛なほどの叫び声をあげながら、アンバーがクラ
イマックスに近付いた。
 激しくほうきを上下させ、更に捻り、うねらす。
 同時に空いた手でクリトリスをきつくこね、むき出しになった淫核を爪弾いた。

「いや! いっちゃうう!!」

 アンバーは激しく首を振り内部からのうねりに抗おうとするが、一度沸き上
がったマグマを止められない。

「ああっ、ああーーーーーーーーっ!」

 全身を痙攣させ激しく叫びながら、アンバーは意識を真っ白とさせていった。
 同時に、膣の奥から激しく愛液を迸らせ、男根を強烈に締め付ける。

 ビクン、ビクンと震える体に合わせて最奥に沈めた柄がわななく。それがさ
らなる快感を子宮口に与え、アンバーを更に飛ばしていった。

「あああああああーーーーーーーー!!」

 一際大きな声を上げ、アンバーは背が折れる程に反り返り、ベッドの上で硬直した。



 ……はぁ……はぁ

 やがて、漸く弛緩した体を何とか動かし、アンバーが目を覚ます。
 そうして、ゆっくりと未だ自分の中に埋まっていたそれを引き抜いた。

 ずちゅ……

 はしたなく、いやらしい音を立てて抜け落ちると、男根はてらてらと自らの
愛液に濡らされ、視覚から更に自らを興奮させた。

「あっ……」

 もう終わったというのに、とろりと自分の奥から新たな愛液が滴り、股を伝っ
て落ちた。
 気付けばシーツは愛液が大きなシミとなって広がり、しわくちゃになってし
まっていた。

「ん……」

 けだるい体を起こし、何とか平常心に戻ろうとする。
 ほうきもそれを悟ったか、男根は次第に形を変え、元のまっすぐな柄に戻っ
ていった。

 そうして快楽から醒めてしまうと、訪れてくる罪悪感。

 私、何をしているんだろう……

 酷く冷静になった自分が恨めしく思えてくる程に、先程までの体を駆けめぐっ
た衝動に嫌悪する自分がいた。

 アンバーは自問する。

 どうして私は、こんな事をしているのだろう。

 セヴンスナイトを待つプリンセスのため?
 それとも……自分のため?

 分からない。

 でも、このままではいけないと思う。このままなら、ゆっくりと崩壊の道を
歩み、プリンセスは自分を失ってしまう。
 そうなる前に……私が。

 それは、自分の行動を正当化させようとする防衛本能かも知れない。

「結局……私も恋してる訳ね」

 アンバーはそう自嘲すると、決心を固めていた。
 衣服の乱れを整え、今は何事もなかったようなほうきを構えると、王の間に
向かった。



                                      《つづく》