「よし、少し体を倒してみてよ」
シエルは従い、魅惑的なヒップが志貴に突き出されるような向きになる。
本来であれば、少しばかり周囲から引っ張られる形で、閉じていた肛門を開
き気味に志貴の視線に晒す事になるのだが、今は志貴の仕打ち故にそれは避け
られていた。
しかし、それ以上に恥ずかしい眺めをシエルは志貴に見られていた。ビニー
ル皮膜の線が肛門から延び、微かに中から樹脂球が透け見える。
直腸から抜け出た分は真っ白だった表面を微かに曇らせて無造作に紐をつけ
て転がっていた。
志貴は指にかけたままだった引き輪を軽く引っ張った。
球の重さに撓みながらもほぼまっすぐと線がぴんと伸びる。
ゆっくりと志貴は線を引く。
おちょぼ口のように先を少し尖らせていた肛門が、内から押されて縦に横に
伸び、皺を伸ばしていく。
穴自体も引きつるように延び、開いていく。
そこから、白い樹脂球が顔を覗かせる。
みりみりと音がしそうな志貴の力と抵抗との均衡。
そして、ある一点で志貴の力に屈するシエル。
盛り上がった穴の縁がさらにぷくりと膨らみ、ふっと抵抗の彼岸を越え、倍
増するスピードで卵を生むように、樹脂球が転げ落ちる。
さっきのでは指に伝わる感触とシエルの表情と体を強張らせる動きで、間接
的にしかわからなかった様子、今は間近で見ることが出来る。
志貴は生唾を呑み込み、ある種おぞましい眺めであるそれを、魅入られたよ
うに食い入るように見つめていた。
「たまらないな、この感触」
視覚的な快感と共に、シエルから伝わる動きでペニスも痺れるような刺激を
受けていた。
さらに二つほどシエルに産卵させると、志貴は満足そうに溜息まじりの声を
こぼす。
「ね、先輩はどうだった? ねえってば?」
シエルは腰を折って顔を床に伏せたまま。
排泄行為じみた真似を、好きな異性に晒しているのだから当然かもしれない
が、志貴はそんなシエルの心情に気づく様子も無い。
そして、志貴はシエルの繋がったままの秘処の上に手を伸ばして、無造作に
触れ、硬く膨れた肉芽を指で弾いた。
「きゃううん」
「先輩ってば」
「恥ずかしくて、遠野くんの顔なんて見られません」
「でも、こんなに濡れちゃってるよ。先輩、恥ずかしい真似されると感じちゃ
うものね」
「うう、遠野くんが悪いんです。私のこと、こんなに……」
志貴はその非難交じりの言葉にも悪びれる事無く、シエルを指で弄っていた。
あるいはそれがシエルを宥める行為だったかも知れない。
肉芽を指で転がし、指先で包皮を半分ほど剥いては戻す、そんな急所を的確
に攻める志貴の愛撫にシエルは甘い声を洩らす。
「じゃあ、先輩も休憩終わり。続けようよ、ね」
あまりな言い草ではあったが、腰を掴んで体を引き起こすと、シエルは逆ら
う事無く動き始める。
リズミカルに腰が前後に動き、軸となる志貴のペニスに律動の快感を伝える。
しばし志貴はそのシエルの抽送を味わっていたが、上下する白いお尻の動き
を見ながら、指から垂れた線に動きを伝えた。
また一つ、樹脂球が産み落とされる。
「あんん、遠野くん、ダメ……」
「いいから、続けてよ。集中していれば気にならないだろう」
ちらと背後を見てシエルは溜息をつき、また腰を振り始めた。
志貴はその動きに合わせるようにして線を引き、そしてまたシエルの動きと
はちぐはぐなタイミングで手を動かす。
むしろ、シエルが体を浮かせる時に力を抜けさせたり、シエルが行為に没頭
しようとするのを見透かしたように、後ろの穴で何が起こっているのかを思い
出させたりと邪魔する方を楽しんでいた。
三分の一ほど球がせり出した処で動きを止めてみたり。
皺が伸びかかったまま、固まっている。
シエルは意識しているのかいないのか、腸と肛門は収縮してその異物を再び
呑み込もうとする。
そうすると志貴は少し引く力を強める。
その均衡の果てに、また球が排出される。
シエルが何とか恥ずかしさから気を逸らそうとすると、めくれて凄いよ先輩、
などと囁いたり、克明にそこの描写を聞かせたりして、シエルに泣き声を上げ
させる。
「あーあ、奥まで入れたヤツ凄い有り様。真っ白だったのがこんなに汚れてね
とねとになって。あとで全部先輩に舐めとって綺麗にして貰おうかな」
そんな言葉に恥辱のあまり、泣きそうにすらなるシエル。
しかし、そんな普段とは違う様子に、志貴はさらに高まっていく。
「もう終わりかな」
志貴は呟き、シエルが深く体を沈め、また伸び上がろうというタイミングを
捉えて、強く線を引いた。
一気に球が三個立て続けに引き抜かれる。
「ああああッッッ!!」
シエルはあっさりと絶頂を迎えた。
志貴の体に馬乗りになった形が崩れ、前に突っ伏してしまう。
志貴にしても、終わりを迎えるまでもう少しの状態まで来ていたが、シエル
を可愛がるのにより気を取られた為、機を逸していた。
今は、あれほどきつかったシエルの膣内も多少弛緩状態であって、志貴は無
理せず小休止にした。
穴こそ閉じているが、ほぐれているシエルの後ろをじっと眺め、その姿勢の
まま、膝を立てて強引に上体を起こすと、跳び箱の上を手で探った。
感触で探し当ててそれを手に取ると、先端で軽くシエルの少し爛れた後ろの
穴を探る。
シエルはしばらく伏せていたが、その感触に後ろを振り向いた。
志貴の指とも違う硬質な感触。
シエルの目に、志貴がそれを後ろへ入れようとしているのが目に入る。
バイブレーター。
それもアナル用には想定されていない、前に入れるのも困難に思えるほどの
長さも太さも尋常でない一品。
「無理です、そんなの。遠野くん、やめて下さい」
はっとして息を呑み、慌ててシエルは抗議する。
いくらなんでもそんなのは無理です、と目が恐怖の色を浮かべている。
「先輩なら大丈夫だよ。ちゃんとほぐれているし、ほら……」
「あああ……」
太いバイブがみしみしと本来意図されていない器官へ潜っていく。
悲鳴を上げつつも、確かにシエルはそれを受け入れていた。
脂汗を滲ませ、肛門の周りが引きつり切れそうになりながらも。
志貴はシエルの苦悶をまったく気にする事無く、いやそれどころかよりいっ
そう熱を入れて、その目を疑うような挿入作業に没頭していた。
「入ったよ、シエル先輩。さすがだね」
「うう……」
「ああ、こっちも圧迫されて凄いよ、膣自体もぎゅって収縮している」
「苦しい……です。動かないで、遠野くん」
「ああ。俺は動かないよ、俺はね。……そら」
躊躇いなく、志貴はバイブの底にあるスイッチを入れた。
ヴウウーーン。
低い唸り声がシエルの肛門より発せられた。
「ッッあ……」
悲鳴にすらならなかった。
シエルは体を硬直させたまま、喉を仰け反らせる。
「先輩? 感動して声もないか。
確かに、凄いやこれ。こっちにも振動が伝わって、これだけでもイっちゃい
そうなくらい」
先ほどのアナルビーズの比ではなかった。直腸の拡張によって膣道も強く圧
迫され、挿入中の志貴のペニスも強く力がかかる。
そしてさっきはなかった直腸の挿入物自体の動き。
樹脂球を引っ張り出す時の感触も心地よかったが、今の機械によるうねりと
振動は志貴のペニスの幹から亀頭にかけて、異様な快感を絶え間なく与えてい
た。
さらに、失神したようにぴくりとも動かないシエルの体であったが、体内は
そのバイブレーターの存在を受け入れようと反応している為か、勝手に蠢き引
きつり、志貴をやわやわと刺激していた。
「ダメだ、こんなのいつまでももたない。動くよ、先輩」
志貴はシエルの腰を掴むと腕の力で上下に揺り動かし、同時に自分でも腰を
動かし始めた。
がくんがくんとシエルの上半身が揺れる。
「ああ、遠野くん、嫌、あああ……」
力なく声は出すが、快楽を追い求める事に夢中な志貴はそれを省みない。
むしろ、シエルが反応したと見て、過酷に要求すらした。
「遊んでいないで、先輩も動いてよ」
「うぅ、ふぁ……」
残酷なまでの物言い。
それでもシエルは膝をがくがくとさせながら、志貴の動きに合わせて体を揺
すり始めた。
志貴が突き上げた時には自分も沈み込み、志貴が腰を落とした時には腰を浮
かせる。
激しい動きで、志貴もまた苦しそうな顔をする。
それでもまったく動きを止めない。
シエルは、次第に息も絶え絶えな様子から、その二穴責めを受け入れ、明ら
かに快感を伴っている喘ぎ声を洩らし始めた。
二人の繋がった部分から愛液が白く濁って腿を伝っていた。
肉がぶつかる音と、粘性のある水音。
喘ぎ声と荒げた呼吸音。
志貴が抜き差しする時のくぐもった音と、低いモーター音。
それらが絡まりあい、淫靡な音楽を奏でる。
「遠野くん、私も、もう……」
「俺も、先輩の中、いっぱい注いで上げる」
「ふぁッ、と、遠野くん……」
「先輩、いくよ……」
最後の一突き。
腰を浮かせた状態で、びくびくと志貴の体が動く。
シエルは完全に脱力した状態でそれを受け止める。
「凄い、いっぱい出てる……。遠野くんが溢れてる」
熱に浮かされたようにシエルは呟き、自分も志貴に貫かれた秘裂から、霧吹
きのように飛沫を飛ばし、崩れ落ちた。
「大丈夫、先輩。あーあ、いくらなんだってこんなの無理があるよ。少し切れ
ちゃっているし」
「平気ですよ、こんなの。ああッ、遠野くん、そんな処……」
シエルは志貴によって仰向けに寝かされていた。
そして志貴はシエルの足元にしゃがみこみ、シエルのぐしょぐしょになった
秘裂を拭っていた。
性交の跡が痛々しく、愛液と精液、潮吹きの跡で、脚までぐっしょりとなっ
ていた。
そして志貴は、バイブを強引に挿入して血の滲んだ後ろの窄まりを舌先で舐
めていた。
空いたままの肛門には、ぬとぬとになった腸液も滲んでいたが、気にしない
で、そっと優しく舌を使っている。
先ほどまでの、シエルを単なる快楽の道具のようにしていた名残りはまった
く消失している。
代わりにあるのは、悔いるような表情とシエルへの気遣いに溢れた様子。
シエルもまた、被虐に泣いていた様子とは雰囲気が変わっている。
志貴は顔を上げると、恐る恐ると言っても良い調子で、シエルに訊き返した。
「俺に舐められるの嫌?」
「そんな事ありませんけど、奥から抉り出されて汚いでしょう? そんなの遠
野くんに舐めさせるなんて」
「そうだね、ちょっと臭うかな。嘘、嘘だよ。全然嫌じゃないから、これくら
いさせてよ、ね?」
「はい……」
傷口を気遣い、ちろちろと血と汚れとを舐め取る舌は、純然たる愛撫ではな
かったが、それ以上に志貴の優しさと愛情をダイレクトに伝え、舐められてい
るシエルを陶然とさせた。
「傷、治ったみたいだ」
「遠野くんのおかげです」
放っておけば人間離れした回復能力で、そんな僅かな傷など消えると知って
はいたが、志貴に対し心からの礼を述べる。
志貴もまた、くすぐったそうにそれを受け入れた。
「先輩」
志貴は肛門を舐めた唇を拭いもせずにシエルに近づけ、シエルもまた何の躊
躇いも見せずに唇を寄せた。
くちゅと水音が洩れる舌を絡め合うディープキス。
互いの舌を追いかけ、相手の歯も口蓋の粘膜も舐め尽くす舌技の果てに、唇
が離れた時には、二人ともトロンとした酔った目になっていた。
「気持ち良かったですか、遠野くん?」
「とってもね。でも、体育倉庫で、それも先輩を玩具みたいにして苛めてする
のって、ちょっと……」
「でも、興奮しませんでした?」
「した。でも抵抗感があるのにそうなって、ちょっと自己嫌悪と言うか」
「ふふ。私がお願いしたんですから気にしなくていいんですよ」
「まあ、そうだけどさ……」
志貴達がこうして学校内で、シエル言う処の「素敵なインモラル体験」をす
るのは、そう珍しい事ではない。
だから、体育倉庫でと誘われた時にも、志貴は頷きはした。
しかし、ブルマー姿のシエルに、物陰に引っ張り込まれて、ボールローター
を挿入するよう懇願され、「今日はいろいろ小道具を持ってきましたから、は
したない先輩をいっぱい苛める趣向はどうですか」などと囁かれた時は少し志
貴は躊躇した。
躊躇して、そしてシエルの健康的な、そしていやらしく目に映るブルマー姿
をじっと見つめ、「そのままの姿で来るんですよ、シエル先輩」と命令口調で
告げた。
シエルは嬉しそうに頷き、志貴が手にしたローターを入れやすくする為に、
下着ごとブルマーを下ろし、自分の指で秘裂を大きく開いたのだった……。
「でも遠野くん、まだ満足してませんよね」
「え、あはは。一目瞭然だね。でも、いいよ、先輩もそんなだし……」
「すみません」
シエルが申し訳無さそうに頭を下げる。
あまりに絶頂時のイキ方が激しすぎたのか、まだぐったりと力が抜けて、す
ぐに相手をさせるのは無理そうだな、と志貴は判断していた。
「でも、遠野くん。代わりと言いますか、面白い趣向を用意してあるんですよ」
「えっ?」
《つづく》
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