「志貴さまのものを、綺麗にして差し上げます……」
「んっ、ぉああ……」


 今度は翡翠の口の俺のペニスは飲み込まれる。
 くちゅくちゅと唾液を含めるようにして俺の肉棒を舐める翡翠。まるで舌で
くびれまでこびり付いた汚れを落とそうとするかのように、執拗に……

 敏感なままの性器を舐められる快感に思わず我を失いそうになるが、俺は何
とか堪えて目を秋葉と琥珀さんに向ける。

 俺が振り返ったときには、琥珀さんはベッドの上に腰掛けていた。そしてそ
の膝の上に秋葉を俯せに横たえさせると、ちらりと俺の方を見て笑う。
 片手で秋葉のメイド服のスカートをたくしよせながら、琥珀さんは俺に答えた。

「お仕置きですよ、志貴さん……メイドにはお尻たたきがお似合いですね」
「ひっ、琥珀……許して、そんな、お父様にもされてたことがないのに……」
「あはは、今は琥珀さまって呼ばないととだめですよ、秋葉ちゃん。うふふ……」

 俺の目の前で、秋葉のお尻までスカートがめくり上げられる。
 ターターベルトとストッキングの白と、秋葉の肌がむき出しになる。腰で琥
珀さんはスカートを丸めると、お尻を被った白いショーツに手を掛ける。

「はい、脱ぎ脱ぎしちゃいましょうねー」
「ひゃぁぁん!」

 するっと絹のショーツは秋葉の肌とストッキングの上を走り……膝まで丸まっ
た布きれが下げられた。琥珀の上に秋葉はすんなりとした白いお尻を剥き出し
にし、うつぶせに屈辱と唇を噛み締めている。秋葉は首を俺の方に向けて救い
を求めるが――

 俺はしゃがみ込む翡翠にフェラチオされている。
 射精後にふにゃりとなっているペニスは、翡翠の舌の上で転がされていた。
 でも秋葉の目には、きっと琥珀さんが俺をしゃぶっているように見えるんだ
ろう……

 秋葉は救いを求めて視線を俺から翡翠に彷徨わせるが、無駄だった。
 俺は苦笑いすると、琥珀さんに頷き掛ける。

「琥珀さん……そのままお尻を?」
「はい……そうですね、何回にします?」

 琥珀さんはすべすべの秋葉のお尻をなで回しながら、俺に尋ねてくる。
 秋葉の臀部の上を円を描くように撫でていたかと思うと、手首を曲げて秋葉
の足の付け根に手を進める。そして今や露わになった秋葉の秘所を指で弄って

居るんだ……と思う。

「んぅ……あああ………許して、琥珀……さ……ま……」
「あは、志貴さんの精液を美味しそうに飲み干した上に、こんなにあそこをど
ろどろにしちゃう秋葉ちゃん……貴女の身体がわるいのよー、ほら、こんな風に」
「ふぁぁあん、ああああ!」

 ぬちゃぬちゃ、といやらしい水音をことさらに立てる琥珀さん。
 俺は片目でそのお仕置きの光景を見ながら、ふと目線を下げる。そこには目
を閉じ、夢中になってちゅぱちゅぱと俺のペニスをしゃぶる翡翠の姿が……

 ふ、とまるで淫魔のような考えが頭を過ぎる。
 普段ならそんなことを思いもしない、淫らで意地の悪く巧妙な仕置きのアイ
デアが……

「琥珀さん?こうしよう……いま、翡翠が俺のモノを舐めてるよね」
「はい、翡翠は美味しそうに志貴さまのを戴かれてますね……」
「使用人の責任は連帯責任、翡翠が俺のモノを硬く出来るまで、琥珀さんは秋
葉のお尻を叩き続ける……どう?」

 ああ、自分で口にしても、何という悪辣で淫乱で自分勝手な……この場の乱
れた空気が俺の中を乱して、こんな愚にも付かないアイデアを思いつかせるの
だろうか?
 だが、その言葉は秋葉と翡翠にあからさまな反応を生んでいた。

 秋葉はぎょっとして俺の方を見つめる。
 翡翠も眼を見開いて、俺を上目遣いに見上げる。
 琥珀さんは……微笑んで、秋葉のお尻に這わせた手を離した。

 ひ、と悲鳴が秋葉の口から漏れた――様な気がした。

「……それは良い考えですねー、志貴さん、すごいですねー」
「いや、それほどでも……」
「じゃぁ、秋葉ちゃんも翡翠も……ふふふ、楽しそう……じゃぁ」

 琥珀さんがすう、と肘を上げて腕を掲げる。目の色がアンバーブラウンの妖
しい光に彩られる。
 俺は翡翠の髪に手を這わせて、そっと語って聞かせた。翡翠は俺のペニスを
銜えたままだったが、俺の提案にたまげてしまったかのようで、舌の動きが止
まっている。

「翡翠……秋葉が可愛かったら、お前も頑張るんだ……」
「そぉれ!」「きゃぁぁぁ!!!」

 パシーン!と小気味よい音が響き渡った。
 それはまるで、徒競走の号砲みたいに感じられた。その音と共に翡翠は止め
ていた舌を動かし初め、頭まで動かして貪欲に俺の逸物を貪り始める。

 秋葉の白いお尻に、琥珀さんの掌が炸裂する。
 そして、秋葉の喉から漏れる悲鳴、呻き。

「それっ!それっ!」
「ひゃぁん!きゃぁぁぁ!やめてっ、やめてぇぇ!!」

 パン!パン!と短い間隔で弾ける琥珀の殴打。
 その度に秋葉は背中をのけぞらせ、悲鳴を上げ、涙を流している。
 秋葉のポニーテールの髪が振るわれ、狂乱に舞う。

 その音を耳にしながら、一心不乱に俺のペニスを口舌愛撫する翡翠。
 舌は秋葉の比ではなく細かく動き、俺の裏筋から鈴口を撫で上げる。唇をす
ぼませて俺の軸をしごき上げる。こんなテクニックが翡翠にあったのか?と思
うほどの技巧。
 まるでこの衣装の持ち主である、琥珀さんが乗り移ったかのような――

「あああっ!ああっ!痛いっ!やめてぇぇ!琥珀!」
「琥珀さま、ですねー、それ!」

 パアァァァン!とひときわ高い肉の音。
 まるで蝦ぞりのように、秋葉の身体が跳ねる。

「兄さんっ!にいさぁぁん!」
「志貴さまってお呼びしないとだめですよー、もう一回お仕置き!」

 ひねりを加えた琥珀さんの一撃。
 真っ赤になり始めた秋葉のお尻に、波打つほどの衝撃が走る。

 秋葉をいたぶる琥珀の嗜虐的な言葉。
 身悶えし、悲鳴を上げる秋葉。
 息詰まるような淫らなお仕置きの風景。

 そんな音が、悲鳴が、声が、空気が俺を興奮させる。
 なぜこんなに興奮させるかが分からないほどに――
 翡翠の唇には、硬くなりつつある俺の肉棒が上下する。

「やめてっ!あああ!ふぁぁぁぁ!」

 秋葉の涙が粒となって宙を舞う。
 そんな秋葉と嬉しそうな琥珀さんを見ながら俺は腰を振ると、ずぬり、と翡
翠の唇から俺のペニスが抜け出した。

 パシン!パシン!という音と俺の心臓の鼓動がシンクロする。
 俺の脈動は股間にも伝わり、どくん、とその度に大きく硬くなるような……
先ほど秋葉の口に、喉に出したのが嘘のような……

 宙を指して佇立する、俺の肉棒。
 翡翠は恥ずかしげにその目の前の肉棒を見つめて、口づけをする。
 ちゅ、とぬめった唇が亀頭に触れると――あの、肉を打つテンポを取った手
の音が止んだ。

 しくしく、という低い泣き声と、乱れる様々な息の音だけが部屋に満ちる。
 汗と吐息と淫液と、興奮の脈動の満ちるこの空間で俺は――

「……そこまでだね、琥珀さん。翡翠は……頑張ってくれたよ」
「ええ、お友達想いですわね、翡翠は……感謝なさいな、秋葉ちゃん」

 真っ赤に腫れ上がった秋葉のお尻に優しく手を這わせる、琥珀さん。
 秋葉はぐったりと項垂れたまま、垂れ落ちる前髪に顔を隠して動かない。初
めてのスパンキング行為に翻弄され、苦痛と屈辱の中で打ちひしがれているの
か……
 
 秋葉は俺と琥珀さんの言葉を聞いているんだろう。でも、声一つ上げない。
 俺がふと心配になって琥珀さんに目配せを送ると、あちらは心配はしていな
いようだった。軽くうなずきを返されると、琥珀さんの視線は俺の顔から腰の
当たりに……

 足下の翡翠も、目の前のペニスをぽーっと琥珀色の瞳で見つめている。
 二人の視線の中にある股間は、いきり立って今にも入る場所を探して居るか
のような……この部屋の中の異様な空気に反応し、臍まで反り返るように。

 秋葉は翡翠のメイド服で、お尻をむき出しにむせび泣く。
 琥珀さんは浅上女学院の制服で、秋葉を弄んでいる。
 翡翠は琥珀さんの恰好をして俺の逸物に奉仕して……

 ――ああ、この部屋の中の狂った空気の中で。

 俺はまたいきり立ったペニスを晒したまま仁王立ちになる。
 このまま我慢することなど出来るはずもない。だから、誰かのどこかに……

「まぁ、志貴さんもご立派に……じゃぁ、秋葉ちゃんのお仕置きの仕上げ、お
願いできますか?」
「仕上げ?」

 俺が尋ねる。
 琥珀さんはそれにすぐに応えず、まずは秋葉の肩を引いて身を起こさせた。
 生まれて初めてお尻を叩かれる、それも俺や翡翠の目の前で……屈辱と苦痛
によって正体が抜けたようにぐったりした秋葉の身体を、琥珀さんは向かい合
わせになるように膝の上に座らせる。

 琥珀さんの姿を覆い隠すように、秋葉は俺に背中を向けていた。
 首はぐったりと琥珀さんの肩にしなだれかかり、精気がない。色の濃いメイ
ド服と真っ白なエプロンの背紐が組み合わさり、印象的な色合いを見せている。

 外の光は燦々と窓から射すのに、俺の目には……ベッドの上に黄昏の弱かっ
た光が射しているようにしか見えない。その中で琥珀さんは秋葉の背中に手を
回し、腰にたくし上げられたスカートをまた持ち上げて――俺の目に映るように――

 秋葉は足を開いてしゃがみ込み、手の跡も痛々しいお尻を俺に向けて晒している。
 そして、足とお尻の付け根には、微かな陰毛と濡れそぼった秋葉の襞が、開
かれた足に引っぱられてぱっくりと……

 琥珀さんは秋葉の顔の横で、俺を見て笑う。
 俺もそれだけでなにをいわんとしたのかを理解した。くしゃっと翡翠に頭を
撫でて口から陰茎を引き抜くと、ゆるゆると秋葉の背中に近づく。

「なに……琥珀さま……志貴さま……」

 どことなく虚ろな秋葉の問い。それの答えは、琥珀によって囁かれた。
 俺は秋葉の背中に、腰の高さを合わせるように……きっと翡翠と琥珀さんに
よって秋葉のあそこは滴るほどに湿りっているのだろう。

 はやく、このペニスを差し込まないと……焼き千切れてしまいそうな。
 ただ俺の鼓動だけが、リズムを打っている。合わせるべき琥珀のスパンキン
グ音はなく、この鼓動に合わせる新たなリズムを俺の心臓と身体は欲している。

 そう、それは秋葉の身体で刻め――

(To Be Continued....)