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「あっ……」
 ゆっくりとシオンを横たえると、志貴はもう一度優しく唇を奪っていた。
 二人はプールにある女子更衣室に来ていた。そこのベンチにタオルをひき簡
単なベッドに見立てて、そこで愛し合う事にした。
 初めてはいる場所に軽い興奮を覚えていた所為もあり、志貴は先程より積極
的にキスを繰り返す。逆にシオンはいけない事という意識が強まったのか、最
初の積極さは影を潜め、志貴のキスを受け入れるような形になっていた。
「ん……ふ……、志貴、大好き……」
 キスの合間にも視線を交わし、シオンは志貴にもっととおねだりをする。
「あっ……」
 志貴もそれに応えるようにしてシオンの口内に舌を差し入れ、好きなように
吸わせていた。
 ちゅ、ちゅ、ちゅ……
 志貴の舌を包み込むようにしてシオンの口内は暖かく、唾液を垂らすとシオ
ンは嬉しそうに全て飲んでくれる。時折こくんと喉が動く感覚がいやらしく、
もっとそれを感じたいとシオンを味わい続けた。

「ん……あ……いや、もっと……」
 いったん唇を離すと、シオンが切なそうに志貴を見る。締め切られた部屋の
中は熱く、それだけで思考が鈍っている気がしたが、それよりも志貴の与えて
くれる気持ちよさに回路がオーバーヒートしていく。
「シオン……」
 二人の唾液で光る唇を目の当たりにして、志貴がそこへ舌を擦りつけるとく
すぐったそうにシオンが身を震わせた。一瞬快感に強ばってはすぐに弛緩する
姿は、欲情を強くそそる。
 志貴の唇はシオンのお願いをわざと流し、首筋に移った。ちょっとだけ塩辛
いシオンの汗がアクセントとなって舌を刺激し、唾液の筋を後れ毛が張り付い
たうなじから耳たぶにゆっくりと往復させる。何度か繰り返していくうちに志
貴を抱き締める腕の力は緩んではぎゅっとするを繰り返し、どこが感じている
のかを感じ取れた。

 そうしながら、指はさらなる刺激を求めてシオンの胸を触る。
「あっ……」
 シオンが胸を触られて鼻にかかった声を上げる。
「シオンのここ、固くなってる」
「や……志貴の意地悪」
 胸は小さめの水着に少し窮屈にされていて、膨らみは押しつけられ柔らかさ
を少し隠していたが、その分隆起するかわいい乳首を隠す事が出来なかった。
先端は既に水着の上からぽっちりと浮き上がり、志貴が触れるとコリコリと絶
妙の感触を返した。
「ふぁ……くすぐったい」
 厚めの生地で、シオンに与えられる志貴の指の感触は鈍いものだったが、逆
にじんわりと広範囲に広がるようで気持ちがいい。
「あっ……あっ!」
 水着の上からカリカリと爪の先で引っかかれると、ビクンと跳ねるようにし
てシオンが体を震わせた。
「ん……だめぇ……」
 志貴が水着の上から舌を這わせてシオンの乳首を舐めた。水よりも温かい唾
液の感触がじんわりと胸の先端から広がると、触れられた所から熱が伝搬して
いった。
「ここからでも分かるよ……シオンはかわいいなぁ」

 突起の感触に気分を良くした志貴は、更に指をシオンのお臍から下に伸ばす。
「確かここから……っと」
 と、丁度腰の辺りでむずむずと志貴がシオンの下腹部をなぞっていた。
「え……あっ……!」
 シオンが一瞬どうしたのという表情を浮かべたが、すぐにそれは喘ぎ声に変
わっていた。
「ほらあった……スク水は水が流れるようにここが空いてるんだよ」
 と、志貴は水抜きの切れ込みから手を伸ばし、シオンの一番敏感な場所に触
れていた。
「志貴、どうしてそんな事……あっ、ああっ!」
 シオンの疑問符も、志貴が指をつぷと自分の中に沈めて優しく愛撫する快感
に消えてしまう。いきなり直接触られて、気持ちよさに溶けてしまいそうだっ
た。
「ふふっ、もうこんなに感じてる」
 くちくちと音を立てながら志貴の指を飲み込んでいくシオンに、志貴は興奮
を覚えた。少しずつ体をずらすと、指をいったん引き抜いてシオンの膝を開い
た。

「あっ……」
 すっと消えた気持ちよさに切なさを覚えて目を開けると、志貴が大きく開い
てしまった脚の間でシオンの股間をじいっと覗き込んでいた。
「いや……」
 シオンは恥ずかしさに瞳を逸らすが、その脚を閉じる事は出来なかった。視
線を感じてしまい、きゅっと内股に力は入るが志貴がそうさせてくれなかった。
「……」
 そんなシオンのそこに、志貴の視線は釘付けにされていた。
 先程思っていたとおり、そこは濡れていて……シオンの可愛い部分を浮かび
上がらせていた。
 髪の色と同じ紫のヘアが薄く張り付いていて、その下には肌色とは少し違う
色遣いの筋が小さく切れ込みを透かしていた。
「や……見ないで……」
 手で顔を覆い、恥ずかしさに消え入りそうなシオンの声。扇情的な光景に志
貴の満足は次々と満たされていった。
 直接見るよりも、こうやって隠されている方が何倍もエロティックに感じる
のは何故だろうか。
 異常な心理に息をのんでしまうのをぐっと堪え、志貴は冷静を努めてシオン
に語りかけた。

「……シオン、濡れてるね」
 それはシオンの羞恥心をより高めるには絶好の言葉だった。
「そ、それはプールの……」
 かあっとなり、シオンが狼狽えたように言葉を続けようとする。もちろん本
当にそうであると分かっていたのだが、志貴はそんな予想通りのシオンの反応
を楽しむようにして
「へえ、嘘つくんだ」
志貴は人差し指を割れ目にあてがい、ゆっくりと上下させてシオンを意地悪な
瞳で見上げていた。
「ほら、またじゅくって濡れてきた」
 と、志貴はぷちゅりと指を押し込む。じわりと水滴が志貴の指を伝うと、志
貴はくんくんとにおいを嗅いだ。
「ん……シオンのにおいがする」
 そうでないにも関わらず、志貴は煽るようにそう言うと
「や……」
 消え入りそうな声でシオンが涙顔になった。しかし、志貴に見られているそ
こはじゅんっと内部が熱くなって、じんわりと愛液を布地に染み込ませていく。
 少しシミの濃さ広がったように感じて、志貴がそこへ鼻を近づけた。そうし
て鼻先でシオンの花びらから先端にすりすりと触れさせながら、あえて鼻をひ
くつかせてにおいを嗅ぐ仕草を大げさにしてみせた。
「ほら、ここからシオンの女の子のにおいがいっぱいする」
「やあっ、だめぇ……」
 恥ずかしさにシオンは手を押し当てて志貴を押し返そうとするが叶わない。
逆に微かに腰が動く度に鼻先が微かに愛撫をしてしまい
「くうん……っ」
志貴の思い通りに声を上げてしまうのに気付かず、それが志貴を満足させてし
まっていた。

「ね、シオン。どうして欲しい?」
 志貴は確かに潤い始めたシオンのそこへ舌を触れさせると、水着の上からな
ぞる。塩素を含んだそれとは違う、甘い香りのするシオンからの確かな反応に
気持ちは昂ぶる。
「ん……言えない……そんなの」
 シオンは指の間から志貴を見下ろしていやいやをするが
「じゃぁ、やめちゃおっかな?」
志貴が体をスッと離してしまうのを見て、ビクンと体を震わせて反応した。
「やっ……や、め、ないで……」
 普段からは想像し得ない声でシオンが泣きそうになって、志貴にお願いをし
た。
「……じゃぁ、どうして欲しい?」
 そんなシオンに理性が飛びそうになりながらも、志貴ははやる気持ちを抑え
て尋ねた。
「……し、て……志貴ので、して……」
 シオンは言わないと志貴が何もしてくれないのが怖くなって、羞恥心にどう
にかっなってしまいそうになりながら声を漏らしていた。
「うん、ならシオンのお願い通りに……」
 その言葉を聞く事が出来て満足した志貴は、顔を上げるとシオンのそこを隠
していた水着をずらして露わにさせた。

 水と愛液ですっかり濡れていた花びらに、志貴も我慢の限界を迎えていたペ
ニスをあてがう。
「あ……」
 シオンがそれを見つめている。やっと訪れる感覚に身を委ねて、志貴の亀頭
が触れた小陰唇がぴったりと張り付いたようだった。
「いくよ……」
 そう志貴が合図をすると
 つぷぷ……
 志貴の大きなペニスがゆっくりとシオンの花びらに飲み込まれていった。

「ん……あああ……」
 辱められて、そしてずっと待ちこがれていた志貴のそれを受け入れ始めて、
シオンは膣をきゅうっと締め付けながら迎え入れた。ぎゅっと志貴が下に敷い
てくれたタオルを左手で掴んで、首を反らしながらいっぱい与えられてくるペ
ニスの存在感に身を強ばらせて震えた。
「ん……入ってるよ……」
 半分くらい来たところでシオンが志貴を見つめると、志貴は嬉しそうに微笑
んで
「うん、シオンの膣、これだけでもすっごく気持ちいいよ」
そう言ってくれたので、余計からだが熱くなってしまった。

「は、はぁぁ……」
 最後に志貴が一番奥までペニスを入れてくれると、シオンは嬉しさに心がい
っぱいになっていた。
「うん、ううんっ……いっぱい、志貴のおちんちんがわたしの中に……」
 自分の中で大きく張っているそれに、喜びが最高潮に達すると自然と気持ち
よさに涙が零れた。
「動くよ……」
 志貴はあまりの気持ちよさに発射してしまいそうになり苦笑しながら、腰を
動かし始めた。
「く、うっ……ううんっ……」
 ずっ、ずっと腰が前後するたびに、シオンがまとわりついて離さなかった。
シオンの襞全体がずっとそれを待ちこがれていたかのように、入ってきた異物
であるはずの志貴の亀頭を、茎を優しく締め付けていた。
 すでに沢山に溢れていた潤滑液が滑りをよくして、行き来するペニスに絡み
ついていた。
「ああ……シオンの中、こすれてる」
「わたしも志貴のがずんずんって来て……あっ」
 二人は互いの気持ちよさを確認すると足と腰とを絡ませあった。きゅっと締
め付ける膣に合わせて、志貴がペニスを何度も何度も抜き差しすると、その動
きにシオンの体が自然に反応して、腰をもっと感じるように動かしながら内部
の襞も無意識に蠢かせていた。

「はぁ……ああぁ……」
「くっ……よすぎるよ……」
 シオンの動きに翻弄されそうになりながらも、主導権を離すまいと志貴が賢
明に動く。
 水着をつけたまま、そこだけをずらして交わる姿に志貴は背徳感を覚え、亀
頭が抜けそうになるまで引き抜くと、傘の張った部分がシオンの水着に触れて
気持ちよくなるのに興奮を覚えた。
「あっ……志貴、いいよ……」
 シオンが呻くように快感に喘ぎ、首を横へ傾けながら
「んああっ!」
 ずんっと奥まで差し込まれた瞬間、ざわざわと大きな波が全身に広がるよう
な気持ちよすぎる感覚に顎を上向かせて、首筋のラインを美しく志貴に見せて
いた。

「くっ……」
 志貴はその反応に思ったよりも早く絶頂が訪れそうだった。その瞬間をまだ
意識していなかっただけに、陰嚢から広がってくる気持ちよさに、シオンにど
こへ出せばいいかの言葉をかける余裕もなかった。
 気持ちよくなりたい、そしてできれば熱いところへぶちまけたい。でも……
 その一瞬の躊躇を、彷徨わせた視線が解決していた。

 ふと、シオンの下腹部に位置を定めると、志貴は先程より人一倍激しく腰を
前後させた。
「あっ、ああっ! 志貴、志貴ぃ!!」
 その新たなリズムでのより奥まで響く強烈な感覚に、シオンも高まりを覚え
た。腰の所から、さっきまでのじわじわでなくぶつかるような志貴の打ち付け
と共に大きな快感が訪れる。
「あっ、んんっ!」
 志貴がどうなってるのか、なんて分からずにシオンが叫び声をあげるのを見
て、志貴の限界が越えた。
 最後、火の出るかのようなピッチで腰を打ち付けると、瞬間シオンの膣から
ペニスを引き抜いて先程手を差し込んだ水抜きにペニスを無理矢理押し込んだ。
「ひああっ!」
「……かぁっ……!」
 二人が声にならない声を上げて、シオンは亀頭を思い切り抜かれた感覚に絶
頂を迎え、志貴は水着で擦れて亀頭が刺激される感覚に欲望を放出した。
 びゅっ、びゅっ
 志貴はシオンの柔肌と水着の無機質な触感に心を奪われながら、シオンの下
腹部からお臍の辺りにかけた水着の膣で精液を吹き出した。
「ん……あ、あ……?」
 シオンが快感に気をやりながら志貴の精液の迸りを不思議な場所に感じてい
る。ぴいんっと張りつめたシオンの体がより一層反り返ると
「……ん、くうっ」
 水着の間から抜け出た志貴のペニスがびいんと宙を向き、残りの精液を全て
シオンの水着の上にぶちまけていた。
 ぱたぱたっと、どろどろの液がシオンの真っ白な水着の上に白い濁りを落と
した。

「あ……」
 シオンが擦りつけられていた志貴のペニスの感覚を失うと、はぁはぁとまだ
荒い息を整えながら瞼を開けた。
 目の前には満足したような表情を浮かべながら志貴が腰を離していて、シオ
ンを見つめて微笑んでいた。
「ん、ふっ……志貴……」
「シオン……」
 二人はただ呼び合うと、笑った。
「志貴……凄く、良かったです……」
 シオンはそんな志貴を見ると、愛おしさで素直な言葉が出ていた。それを言
ってしまうと改めて恥ずかしくなってしまい、首を横に向けて視線を逸らした。
「シオン、俺も良かった……凄い興奮した……」
 そんなシオンの顔を手でこちらに向けると、志貴も同じように微笑んで言葉
を発し、それから優しく口づけた。
 先程の激しいキスではなくても、心のこもったキスは暖かくて違う喜びをシ
オンは感じていた。
「志貴、大好き……」
 改めてそう言うと、心がいっぱいに満たされるのを感じて幸せだった。



「ん……」
 それから、シオンはしばらく喜びを噛み締めて心地よい気怠さに身を任せて
いたが、ふと気付くと志貴が自分のお腹の辺りに手を触れているのが分かった。
「どうしました、志貴?」
 少し体を起こしたシオンは、そんな志貴を不思議に思う。
 志貴はシオンのお臍の辺りで八の時を描くようにして人差し指を動かし
「いや……どっちも白いなぁ、って」
少し苦笑してそこを見ていた。
 シオンもその動きに合わせて視線を動かすと、そこには自分の水着と……よ
く見たら、志貴の欲望の証がいくつか飛び散っていた。
「う、ん……」
 この白いスクール水着を見て、改めて志貴との熱い交わりを思い出すと、か
あっと再び身が熱くなるのを感じた。
 あ……わたし、志貴とエッチしたのか……
「あ、そういえば、ここも……」
 そうして思い出したように更に下の方に自分の手を伸ばすと、さっき志貴が
水着の中で放っていた精液を感じる事が出来た。
「ん……いっぱい出たんだね」
 少し力を入れてぐにぐにとそこを円を描くように触れると、中で志貴の精液
がくちゃくちゃと自らの体に塗られていった。
 普通ならこんな得体の知れないドロドロの液体をかけられたら、その感触は
気持ち悪いはずなのに、どうしてか今のこの感覚はとっても愛おしく思えた。
志貴がわたしの体で感じてくれた証なんだ……そう思うと、一度燻っていた女
の熱が、不思議にもう一度自分の中で火を起こし始めていくのを認めてしまっ
ていた。
「ごめんな、変なコトしちゃって」
 志貴はそれを見て悪い事をしたと思ったのかすまなそうにする。確かに常識
的には少し変態じみた結果だけど、シオンは自分もこんな格好をしているのだ
からあいこだと思った。
「いいよ……志貴が気持ちよくなってくれなかったら、わたしはもっと後悔し
ていますから」
「ありがとう……気持ちよかったから、つい……」
 そんな志貴を見ながら、シオンは思った。
 志貴を気持ちよくできた事には満足できた。
 でも、わたしは確かに気持ちよくなれたけど、完全には満足できてなかった。
 女というわたしはなんて我が儘なのだろう。
 でも、それは志貴の所為でもあるのだけれど。
 それは……

 そこまで考えた時、志貴の言葉がシオンに何かを気付かせていた
「あーあ、これじゃどこに飛んだか分からないよ。白に白、意外な弊害だなぁ。
待って、今拭いてあげるから……」
 志貴は苦笑して自分のそれに触れないようにしているようだった。
 確かにこれでは分からない。
 ……同色だから分からない、か。

 あ……と、シオンは思いついた。


                                      《つづく》