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かちっ、かちっ
道場の中から竹刀のぶつかる音が響く。時折、ぱん、ぱんと時折聴こえて来
るのは士郎がセイバーから攻撃を喰らった音だろう。
道場の中は蒸し暑く、セイバーも士郎も汗を流している。
セイバーの隙を狙いつつ士郎は踏み込むが、それをセイバーは軽くいなす。
「くっ、はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
「どうしたんですか、シロウ。踏み込みが成っていませんよ。」
セイバーは士郎を睨む。士郎はよろよろと立ち上がり再びセイバーに向かっ
て竹刀を構えた。
お互いににらみ合う時間が続く。二人とも一歩も動かない。
セイバーは士郎の顔を見た。
セイバーの目の前に昨日の光景がちらちらと浮かび上がる。激しい士郎と凛
のセックス。そのことを考えただけで身体が火照り、反応してしまう。シロウ
に抱かれたい、その思いで頭の中が一杯になる。士郎と交わって、そして士郎
も私のマスターに…
スパァーーーン
景気のいい音が道場に響く。その音の発信源はセイバーの額と士郎の竹刀。
ものの見事にセイバーの額に竹刀がヒットしている。
「〜〜〜〜〜〜。」
セイバーは手から竹刀を落とし、あまりの痛さに両手で額を押さえて蹲って
しまう。すぐに士郎はセイバーの元に寄り安否を確かめる。
「だ、大丈夫か、セイバー。」
「うう、顔を狙うとは酷いです、シロウ。」
「すまん、セイバーがあまりにも無防備だったから誘っているのかと思った。」
士郎から見ればセイバーが手加減をして、打って来いと言っているのかと思
ったのだ。だから士郎は容赦なくセイバーに打ち込んだ。そして、その結果が
これ…。
幸いにもセイバーの額は傷一つ無い。持ち前の直感で何とか直撃は回避した
ようだ。
士郎はセイバーの手を持ち“よかった”と呟いた。
手を握られたセイバーはぼっと顔が赤くなる。
「少し、休もう。喉も渇いたし。」
「そ、そうですね。水分を補給することも大切ですし…。」
士郎はそう言うとセイバーと一緒に道場の隅に行き、冷たい麦茶を口に含む。
士郎の隣にはセイバーが正座をしてじっと座っている。注いだ麦茶を飲ますに
じっと固まっている。
心なしか顔が赤いように感じられる。
それを見た士郎は心配そうにセイバーに尋ねた。
「セイバー、本当に大丈夫か?今日のセイバーは絶対におかしいぞ。顔も赤
いし絶対に熱があるぞ。熱中症にでもなったか。さっきからぼうっとしている
し…。」
士郎はセイバーの額に自分の額を重ねた。
「なっ、シロウ。」
「動くな、セイバー。」
士郎がそう言うとセイバーはピタリと止まった。セイバーの耳に士郎の吐息
が聞こえる。士郎の顔が近くにあるだけでセイバーの鼓動が激しくなる。だん
だんと熱が上がっていくのをセイバーは感じていた。
少しして、士郎はセイバーの額から離れた。
「セイバー、熱があるぞ。そうでなくとも今日のセイバーは絶対におかしい。
食欲もなさそうだったし。今日はこれでやめて、ゆっくり寝たほうがいい。」
士郎は、セイバーの手を取り部屋へと連れて行こうとする。しかし、セイバー
は、
「い、いえ、大丈夫です。少しぼうっとしてしまっただけですから。」
と言うが士郎は聞き入れず。困った顔で、
「セイバーに倒れられたら俺が遠坂に殺されるからな。それにセイバーは無
理をする傾向があるから。ちゃんと休まなきゃだめだ。」
そう言って、士郎はセイバーを抱きかかえた。いわゆる、お姫さま抱っこで
ある。
「や、降ろして、降ろしてください、シロウ。」
ますます顔を赤くして、じたばたと暴れるセイバー。それに慣れているのか
士郎は気にせずセイバーを運ぶ。じっとりと、汗が染み込んだお互いの服が吸
い付くように重なる。それは、何かとても淫らであった。
結局、セイバーは士郎に運ばれて部屋で寝かされてしまった。窓を全開にし
ているが、やはり日中は暑い。額の上に置いてある濡れタオルが唯一暑さを紛
らわせてくれる。あの後服を着替えて布団の中に入った。20分おきぐらいご
とに士郎が濡れタオルを取替えに来る。そして、今も士郎はセイバーの濡れタ
オルを取替えにやってきている。
「少しは良くなったか、セイバー。」
「は、はい…。」
士郎の問いにセイバーは答える。元々熱などは無いのだが、純粋に心配して
くれることがセイバーにとっては何よりも嬉しい。
士郎は氷水で冷やした濡れタオルをセイバーの額の上に置く。回収したタオ
ルを持って、部屋から出て行こうとする。
くいっ
士郎の服を誰かが掴む。ここにはセイバーと士郎しかいないのだから掴んで
いるのはセイバーである。士郎はセイバーの方に振り返り聞いた
「どうしたんだ、セイバー。まだ、何かいるのか?」
「いえ、あの…。一人では退屈なので…。」
セイバーがそう言うと士郎は微笑んでセイバーの枕もとに座った。
――――
それから士郎とセイバーは色々と話をした。昨日はどうだった、商店街で何が
あったとか、本当に他愛の無い話。やがて、話は昨日の夜の話に及ぶ。
士郎が凛との魔術の修行の話をしはじめた。セイバーは最初は黙って相槌を
打つだけであった。やがて、士郎の話が終わろうとした時にセイバーは口を開
いた。
「昨日は、遅かったですね。凛と士郎は本当に熱心ですね。」
「ああ、本当に凛の熱心さには感心するよ。付いて行くのが精一杯でさ。」
さっきの言葉はセイバーなりの皮肉。士郎にはそれは通じていないようだ。
当然か。士郎は昨日の行為をセイバーに見られていることは知らないのだ。
「シロウ、昨日は何をしていたのですか?」
「何って、魔術の修行だけど…?」
「いいえ、聞きたいのはその後のことです。」
「後って…。」
そこまで聞いた士郎は答えに詰まる。魔術の修行の後にしていたこと、それ
は只の一つしかない。士郎はその行為を口に出すことは出来ず、ただ口篭もる
だけだった。
セイバーはそんな士郎を見つめ、徐に口を開いた。
「あの、その、言えない事だという事は分かっています、シロウ。だから、
その……、昨日、リンにしていたことと同じ事を……私にもして…いえ、させ
て下さい…。」
「なっ、セイバーそれは…。」
「すみません、シロウ。私は昨日見てしまいました。だから、昨日の事は知
っています。凛との…その、性行為の事も…。」
セイバーの眼は熱に浮かされたかのごとく潤み、その眼差しは強い意思を持
ってシロウに向けられている。汗に濡れたセイバーの身体は既に灼熱。己が内
から溢れる熱に身体は応え、息は少し荒くなる。
士郎は何も言わない。ただ、セイバーの赤く染まった顔とその潤んだ瞳を見
つめている。いつものセイバーではなくか弱さを滲ませたセイバー。只それだ
けでも新鮮なのに、劣情を含んだ瞳。その瞳が士郎を狂わせる。さしずめ、淫
の魔眼か…。そんなものがあるとすれば今のセイバーの眼はまさにそれ。士郎
の内に欲情が芽生える。その感情を押し留め、口を開く。
「セイバー…、見てたのか…。」
「はい、すみません。シロウの帰りが遅いので心配で…その…。」
セイバーはそこまで言って口を閉ざした。セイバーは寝返りを打ち士郎に背
中を向けた。
ほんの少しだけ無音の時間が流れた。士郎はその時間を断ち切るかのよう
に口を開く。
「いつも、待っていてくれたのか、セイバー。」
「……はい。」
消え入りそうな声でセイバーは答えた。
その一言にどれだけの意味があるのだろう。士郎は、今まで気が付かなかっ
たセイバーの想いを理解できたような気がした。彼女の想いは元マスターであ
った士郎を守る事だけにあらず、その身を捧げると言っても過言ではないだろ
う。そこまで士郎のことを…。
その想いは何時からか――。士郎には出会った時からその想いはあった。セ
イバーは何時からだろう。…それは分からない。だが、セイバーが士郎を慕っ
ている事に違いは無い。そのことだけでも、士郎の心は溢れ返る。
士郎は、そっとセイバーの頭に手を置いた。ゆっくりと優しく、撫でてやる。
セイバーはもう一度寝返りを打って士郎へと向き直った。
「シロウ。」
「すまないセイバー。やっぱり、俺は守られてばっかりだ。それに気が付か
なかった俺は、セイバーのマスターは失格だったんだな。」
「そ、そんな事ありません。シロウは…シロウは今でも私のマスターです。
サーヴァントがマスターを守るのは当然です。その、私の“ほんとう”の“マ
スター”は、シロウだけです。たとえ私が必要とされていなくても私はシロウ
の傍にいたい。だから…。」
「ばか、必要ないわけないだろう、セイバーが居てくれるだけで俺は嬉しい。
それに、俺はセイバーの事が好きだから。」
その言葉を聞いたセイバーは身体を起こし両腕で士郎をひしと抱きしめた。
頭を士郎の胸につけ鼓動を感じる。どくん、どくん、士郎の大きな鼓動がセイ
バーへと伝わる。その鼓動にあわせて、セイバーの鼓動も早くなる。
士郎の汗の匂い、鼓動、熱。セイバーは触れ合う事で全てを感じていた。
士郎もまた同じように感じている。それは、媚薬に似た甘い香り。お互いの
理性を蕩けさせて枷を外す。そして、セイバーは震える声で呟いた。
「シロウ、シロウ……。私にも貴方を感じさせて欲しい。だから、リンと同
じようにシロウに抱いて欲しい。私を、シロウだけのものにしてください。」
「いいのか、セイバー。俺なんかで…。」
「はい、私にはシロウしか見えませんから。」
「セイバー…。」
士郎はセイバーをきつく抱きしめた。セイバーの匂いを身体に付けるかのよ
うに密着させる。
「ん、苦しい…シロウ。もっと、優しく…。」
「あ、ご、ごめん。」
士郎はゆっくりと腕を外した。セイバーも同じように腕を緩める。
士郎はセイバーの顎にやさしく手を添え、唇を近づけていく。それに応える
ようにセイバーは両目を閉じ、力を抜いた。
温かい唇が触れる。味は、少ししょっぱい。しかし、そんな事もお構いなし
に士郎とセイバーはお互いの唇を貪る。舌を絡ませ、くちゅ、と漏れる唾液。
それをぬぐう事もせずに重ね、差し入れ、絡ませる。流れ込む唾液をお互いに
嚥下していく。それは、何物にも勝る媚薬。飲み込むたびに身体は熱く火照り、
お互いを求める欲求はさらに強くなる。
「んん、……はぁ、はぁ、はぁ。」
「はぁ、はぁ、……。」
触れ合う唇を離し、再び重ねあう。そして何度目かのキスの後、お互いの唇
を舐めあった。潤んだセイバーの瞳。その瞳は士郎を見つめている。言葉はも
う何も要らない。後は、ただお互いの身体を重ねあってそれを確かめるだけ。
「えいっ!」
「セ、セイバー…ちょっ…。」
突然セイバーは士郎を布団の上に押し倒した。士郎の上に馬乗りになり、士
郎へと倒れこむ。もう一度、軽いキス。士郎の耳元に軽く息を吹き微笑む。
それは、今まで見た事の無いようなセイバーの笑み。艶と無邪気な幼さ。そ
のいずれも兼ね備えた笑み。それは騎士王ではなく、一人の少女としての笑み。
押し倒された士郎は身体を起こそうとするが、吹きかかる息で力が抜けてい
く。
「セイバー、何…を…。」
「シロウはじっとしていて下さい。私だって、殿方の悦ばせ方は知っていま
す。だから、シロウは何もせずにじっとして下さい。」
そう言うと、セイバーは右手で士郎の身体をなぞりながら下腹部へと滑らせ
ていく。やがて手は小高い丘に到達する。ズボンの中ではちきれんばかりに大
きくなったそれを愛しそうにゆっくりと撫でる。撫で上げる度に士郎の身体は
小さく跳ねた。それを見たセイバーは、ズボンのジッパーを下ろし、士郎の分
身を開放させた。
「…!」
士郎のペニスは跳ね上がり、天井に向いている。セイバーはそれを見て喉を
鳴らした。ペニスに右手を添えて熱を感じる。火傷しそうなくらい熱い。それ
を確認したセイバーは右手をゆっくりと上下に動かす。動かすたびに士郎の口
から声が漏れる。それを、セイバーは嬉しそうに眺める。
鈴口から溢れた液が幹を伝わりセイバーの手に到達する。それもお構いなし。
液は潤滑油となりすべりを良くする。
「シロウ、気持ち、いいですか。」
「あ、ああ、凄く…いい。」
それを聞いたセイバーは微笑んでこう言った。
「それでは、もっと気持ちよくしてあげます、シロウ。」
セイバーは右手を離し、身体を起こす。方向を180度変え、もう一度士郎
に跨る。
セイバーの目の前には濡れた士郎のペニス。液に濡れたそれはグロテスクで
あるが、セイバーにとっては可愛く見えた。
「それでは…」
セイバーは根元からゆっくりと先端まで舌を這わせた。同時に、陰茎の液を
舐め取っていく。頂上に到達すると今度は麓へ。セイバーは夢中でその行為を
繰り返した。
溢れる液は止まらない。セイバーの舌に合わせて滝のように流れる。
セイバーは舐めるのを止め、先端を口に含んだ。徐々に口の奥へと沈め、吐
き出す。その速さは微小。しかし、それも慣れて来ると徐々に速くなる。
―――これが、シロウの……、おいしい…もっと、もっと、欲しい
セイバーは士郎の味を味わっていた。
液を吸い上げ、先端を舌で弄る。陰茎は大きく膨れ上がり跳ねる。
それは、射精が近い事を物語っている。
「セイバー…、もう、もう、だめだ。出るから、離…し。」
士郎の声は聞こえない。セイバーはただ、士郎のモノを貪る。
「だ、だめ…だ、セイ、バー…。」
「!!」
一際大きくなり、弾けた。熱い白濁液がセイバーの口の中を蹂躙する。セイ
バーはそれを喉を鳴らし嚥下していく。
―――これが…シロウの…。すごい…
恍惚とした表情でセイバーは口を離す。
「すまない…、大丈夫か、セイバー。」
士郎はセイバーを見た。セイバーの口元から流れる白濁液が淫猥さをより一
層強くする。
「謝らなくてもいいんですよ、シロウ。私は、嬉しいのですから。」
そう言ってセイバーは立ち上がり服を脱いだ。小柄な身体、華奢な腕に膨らみ
かけの胸。まだ幼さの残る身体はほんのりと赤く染まっていた。秘裂からは淫
水が溢れ出し、内股を伝う。その姿は例えようの無いほど鮮烈で、淫靡でこれ
から為される行為に士郎のペニスは再び鎌首を上げた。
「シロウ、私を見てこんなにしてくれたのですね。」
それを見たセイバーは嬉しそうな声を上げる。
「これで、私をシロウだけのものに…」
そして、士郎のペニスの上に立ち、ゆっくりと腰を降ろしていく。その表情は、
恐れと歓喜、両方が入り混じっていた。
「まて、セイバー…。それは…。」
初めてでは辛い…、と士郎が言おうとしたがセイバーの秘裂とペニスとの距離
はゼロ。先端に柔らかい花弁が押し当てられている。滴るほど濡れたそれは、
ゆっくりと士郎のペニスを飲み込んでいく。
「あ、はあぁ・・・ああああ、ん、あぁぁ…。」
少し進むたびにセイバーの嬌声が漏れる。濡れているとはいえ痛さに眼に涙を
浮かべる。しかし、セイバーは止まらない、いや、止めようとしない。
ぷちっ、という音が聞こえた。秘裂からは赤い液体が一筋流れている。進める
度にセイバーの息が一際荒くなる。
「セイバー、辛いだろ。一回、抜いて…。」
その言葉を否定するようにセイバーは首を大きく振った。
きつく狭い膣は士郎のペニスの侵入を拒む。それでも、セイバーは自分の体重
をかけ飲み込んでいく。徐々に徐々に、秘裂が士郎のペニスを飲みこんで行く。
やがて、セイバーの秘裂は士郎のペニスを根元まで飲み込んだ。両膝と両手で
身体を支え、息をつく。
「シロウ、これで私たちも…一つに…。嬉しい…シロウ…。」
「だ、大丈夫か…セイバー。」
セイバーは無言で頷く。士郎には、それがやせ我慢だと言う事は分かってい
る。
それでもセイバーは健気に士郎を求める。
「シロウ、もっと私にシロウを感じさせてください。」
そう言ってセイバーは腰を動かそうとする。
「あ、れ…。」
力が入らない。かすかに動いてはいるが、初めてのセイバーにとって体を支
えることだけで精一杯。それを見た士郎は膝を立てて、
「セイバー、膝に背中を預けて。」
優しくそういった。言われたセイバーは立てられた膝に背を預けた。それを
見た士郎は両手で身体を起こす。そうしてセイバーを抱き寄せた。セイバーを
少し浮かせて胡座をかく。セイバーに負担がかからないように士郎は抱き上げ
支えてやる。
「ほら、こうすれば少しは楽だろう。全くセイバーは無茶をしすぎだ。」
「シロウ…少し恥かしいです。」
そう言ってセイバーは俯いてしまう。結合部を露わにしたその姿。秘裂から
流れる淫水。その光景がより一層の恥辱を駆り立てる。
「俺だって恥かしい。でも、こうした方がセイバーをよく見れるから。」
「ばか…んんっ。」
セイバーの唇を士郎は塞ぐ。セイバーは士郎へと身体を預けた。
ゆっくりと唇を離し、セイバーの耳元で士郎は囁いた。
「セイバー、動くよ。力、抜いて。」
「はい…。」
セイバーは一言そう言葉を返し、体の力を抜く。
士郎はセイバーの体を抱き、ゆっくりと上下させる。
「んああ、ああぁ…。」
その動きに内襞は擦られ、掻き回される。奥に当たる度に身体により一層強
く甘い痺れが走る。それは何度も何度も身体中を駆け巡る。やがて、秘裂は淫
水が溢れ滴り落ち、身体には汗が浮かぶ。それに合わせるように士郎の動きは
速くなる。それは獣が求めるような激しさ。
「シロウ、シロウ、シロウ…。もっと、強く…。」
その声に士郎の動きがさらに激しさを増す。入れられ、奥を突かれ、掻き回
され、痛みが全て快感へと変わる。
セイバーの体が震える。
「シ、ロウ…、もう、もう私…。」
セイバーは泣いて懇願する。その意味を汲み取った士郎は、
「じゃぁ、一緒に…。」
セイバーの耳元で囁いた。
尚も挿入の速さは上がる。時折、滑って秘裂から抜けそうになるそれをセイ
バーは離さない。
きゅっと、セイバーの膣が強くしまる。それに応えるように士郎のペニスは
膨れ上がった。
「うあああぁぁぁ…シロウ、シロウ…。んん、あ、あああぁぁぁぁぁぁぁ…
…」
「セイ、バー…。」
セイバーの体が大きく震え、身体を反る。それと同時にセイバーの膣へ白濁
液が放たれる。熱く煮えたぎったそれは、止まらない。セイバーは薄濁液の熱
さで感じた事のない絶頂へと上り詰めた。白濁液はセイバーの膣を満たしても
なお放たれつづける。収まりきらなくなった白濁液は秘裂から流れ落ち、布団
に染みを作る。
「お腹が…あ、熱い…。」
うわ言のようにセイバーは呟く。セイバーの両手はしっかりとシロウを抱き
しめ絶頂の余韻に浸る。士郎もまた、同じく余韻に浸っていた。
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あの後、後始末に奔走していたのは言うまでも無い。凛が帰って来るまでに
お風呂に入り、布団のシーツを洗い、布団自体も変えた。
そそくさと昼ご飯を食べ。なんとなく過ごしてもう夕方。凛が帰って来た。
夕食は珍しく凛、セイバー、士郎の3人だけだった。藤ねぇと桜は部活の打
ち上げで夜は来ないと連絡があったためである。
それで3人だけの食事になったのだが、何故か凛の機嫌が悪かった。薄々と
士郎とセイバーの関係に気が付いていたのかもしれない。セイバーはおかわり
をする時でも士郎の顔を横目でちらちらとしか見ていないし、士郎は茶碗をセ
イバーに渡す時には妙に顔を赤らめている。それを見て何も無いと思う方がど
うかしているのだが…。
凛は夕食を食べ終えると、士郎の方に向き直った。
そして、
「士郎、あんた、ばれていないと思っているでしょうけど、セイバーを泣かせ
たら承知しないわよ。それと、……。」
凛はそこまで言うと今度はセイバーの方も見て顔を赤くして、
「今度するときは、私も呼びなさい。只でさえセイバーとリンクしているんだ
から火照りを押さえるのは大変だったわ。私がしている時は切ってたからセイ
バーに影響はなかったけど。」
と言った。
『え?』
間抜けな声がステレオで聞こえた。どうやら凛は全てお見通しのようである。
二人は激しく狼狽するが、それにも構わず凛は続ける。
「そうだ、士郎。いい事教えてあげようか。」
「な、な、何だいい事って。」
「昨日セイバーは覗き見してドアのところで、オ…。」
「あああああああああああ、リン、そ、それは〜。」
身を乗り出し、セイバーは凛の口を塞ごうとする。しかし、凛はひらりと
避け勝ち誇ったかのように言った。
「知られたくなかったら、セイバーもするときは私を呼ぶ事、分かったわね。」
「………はい。」
弱みを握られた上に、マスターに逆らえないセイバーはしぶしぶ頷いた。
「それと、士郎。これから大変よ。」
「大変って、何が。」
「だって、今日からは私とセイバーの二人を愛さなくちゃいけないんだから。
手を抜いたりすると後が怖いわよ。」
満面の笑みで微笑む凛。しかし、その笑顔には嬉しさと、優しさがあった。
結局、凛も士郎とセイバーのことが好きなのだから、これはこれで良いのか
も知れない。
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時間は流れ、既に日付は変わり部屋の中は月明かりに照らされ、ほのかに蒼
白い。
今日の夜はセイバーと一緒。今日だけは二人きりにしてくれると言うので二
人で寝ている。
セイバーには腕枕。そして、士郎に寄り添うようにして眠るセイバー。昼の
出来事が嘘だったかのような静かな夜。しかし、セイバーが今横に居ると言う
事はあの行為は紛れも無い事実。思い出すだけで、士郎の顔は赤くなる。
「起きているか、セイバー。」
なんとなく士郎は呟いてみる。
「はい、シロウ。」
目を開け、士郎の方を向いて応えるセイバー。
それ以上の言葉は無い。言葉以上に触れ合う温かさが心を通わせる。
無言の時間が流れる。
徐にセイバーが口を開いた。
「シロウもこれからずっと私を傍に置いてください。」
「ああ、俺もずっとセイバーと一緒に居たい。」
その言葉を聞いたセイバーは眼を閉じて士郎に寄り添う。そして――
「それと、二人きりの時は、アルトリアと呼んでください…。」
アルトリア…、それはセイバーの真名。その名を教えるという事は、セイバー
…いや、アルトリアが本当に士郎を慕っている証拠。そして、アルトリアが1
人の少女として生きる事を決めた決意の表れであった。
士郎はセイバーを優しく抱いた。
「ああ、おやすみ、アルトリア。これからも、ずっと一緒に。」
「はい、シロウ私も一緒に。そして、誰よりも愛しています。」
そう言うと、アルトリアは士郎に軽く口付をした。
夏の終わりでも夜は短い…。だから、この時だけ士郎はアルトリアだけを愛
した。
刻々と夜は更けて行く。風も無く、聞こえる音は虫の声。
その声は二人を祝福しているオーケストラの様。
その演奏を聞きながら二人は熱を感じ合い、眠りに落ちていった。
[了]
―――後書き
ええ、凛グッドの後のセイバー18禁SSでした。しかし、…セイバーは難
しい。
今回はセイバーが士郎を想い、求める事で少女へと還っていくと言うものを
書きたかったのですが、表現できていないかもしれません。誤解釈もありそう
ですし…。
セイバーの1人えちから始まり、後半は士郎の上に跨っていました…。折角、
騎乗位スキルが〜という話題(?)が出ていたので使いたいな〜と思いいれま
した。最後まで士郎の上に乗せたかったのですが、経験薄、というか無いセイ
バーではちときついかなと思い、座位に…。因みに騎乗→座位に移行可能かと
言うのは分かりません。ああ、何を言ってるんでしょうね…自分。
とまぁ、半分欲望に任せて書きました。書きたかったんです、セイバーの一
人えち……ああ、石を投げないでください。
それと、1人えちのところはわざと凛×士郎を持ってきました。
そこはかとなくセイバーさんがえろくなっていますが、普通のセイバーが好
きですよ。
質的には自分はどうこう言えないので、楽しんでいただけたら幸いです。
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