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「……これがちょーきょーなのねー」
情事の後で、アルクェイドが感慨深くこう漏らした。
図らずも公園で青姦、それも最後は駅弁スタイルで……アルクェイドとえっ
ちをしてしまった俺は、ポケットティッシュで濡れた秘部を拭っていた。
そんな俺の股間を、じーっとアルクェイドは見つめている。こいつはスカー
トを下げてしまっているけども、横に寄った大きな皺が皺が明らかに変なこと
をしていた証になっている。
それに、こいつは綺麗にした様子がないんだけど……
「……なんか変か?アルクェイド」
「……ちょーきょーだったらここで『お前の恥ずかしい液でどろどろの俺のち
んこを舐めて綺麗にするんだな』とか言わないの?」
そんなとんでも無い事を口にするこいつに、俺は思わず苦笑してしまう。
「一体何処でそんなボキャブラリーを手に入れてくるんだか……
……いや、流石にそこまでは。アルクェイド、お前もほら」
「あー、志貴……ありがとね」
俺から残ったティッシュを受け取ると、アルクェイドはスカートの中に手を
入れてごそごそと股間を拭っている様に見えた。何枚目かのティッシュでおお、
と何かを思いついたかのように感慨の声を上げると、俺の方に楽しげに一言。
「ぱんつ履いてこなくて、役に立ったねー」
「……そういうもんかな?でも、その長いスカートだとあんまりパンツ履いて
て履いて無くて変わりないような……」
なにか、アルクェイドの言うことがいちいち可笑しく思える。
俺はズボンを上げて、まとわりついた草を払う。公園で青姦になってしまっ
た……でもいつもより気持ちよかったのは事実であり、こう、癖になりそうな
のが怖い。
アルクェイドの奴もどうなのかな……と思ってちらと顔を見ると、こいつは
少し恥ずかしそうなはにかみを浮かべていた。
「……ねぇ、志貴……これからも……」
「これからも、何?」
「私のこと、ちょーきょーする?」
そう聞かれて俺は一瞬答えに窮する。
するしない、じゃなくって……これを調教と言うんだろうか?と。それに、
最後の方はなんとなくこいつに主導権を握られてた様な気がするし、アルクェ
イドがパンツを履いてこないと言う先手を打たれたわけだから、そう言う意味
だと調教されていたのは俺かも知れない。
……何かよく分からなくなってきた
「……わからない」
「……志貴らしい答えね。でも、私は嫌いじゃないよ?こういうの」
アルクェイドが嫌いじゃないと言ったのは、今日みたいなプレイなのかある
いは俺の答えの仕方なのかもよくわからなかった。でも、調教して涙ながらに
嫌がられるよりは遙にいい。
こんなばからしくものんびりしたやり方もあっても良いんじゃないのか……
俺はそんな風に思えた。世間では調教と言わないだろうな、でも何というのか。
「志貴は私をこんなふうにしちゃったんだから、責任とってちょーきょーして
貰わないと」
「そういうことになるなぁ。でも、俺がお前を調教しているんだかお前が俺を
調教させているのか……よく分からないけど」
「……どっちでも良いよ、志貴ー」
アルクェイドが俺の方にすすす、と近寄ってくると、ぱっと腕を伸ばして
俺の身体に抱きついた。
「おおっと……お姫様、大胆ですな」
「ねーねー、次はどういう風に私をちょーきょーするの?マタナワとか?歯磨
き粉をあそこに塗るとか?それともお散歩?」
「バイブとか持ってないからなぁ……どうする?」
「なんでもいいよー、あ、でも他の人が見ている前でえっちでとか、そーいう
のはヤダよ」
思い出したようにアルクェイドは口を尖らせるが、俺も笑って答える。
「馬鹿……お前みたいに可愛い女の子の恥ずかしいところを、他の奴に見せる
もんかって」
「だよね……好き、志貴ー」
「好きだ……お前を……」
アルクェイドが、俺が唇を寄せる。
ちゅ、と音を立てて二人の唇が触れるが、すぐに離して二人でおでこをくっつけあう。
「今日は……うちで続き、する?」
「よろこんで……でも、調教とかそう言うことを抜きにして、お前が欲しい」
「うん……いこ、志貴!今日もたっぷり愛して上げるから!」
「こっちこそ」
ふふふ、とどちらからともなく笑う。
そして腕を搦めて二人で歩き出す。調教とかどうなるか分からないけども、
アルクェイドといっしょならなんだっていい……俺はこいつに責任云々じゃ
なくイカれてるから。
「……あ、鳩だぁ……」
アルクェイドが指さす先に、公園の地面から飛び立つ鳩たちがある。
俺はぎゅっと肩を抱きしめると、そちらを見ながら話しかける。
「平和だねぇ……この町も、おれたちも。こんな事をしてられるほどに」
「ほんと……大好きだよ、志貴ー」
《おしまい》
《後書き》
どうも、阿羅本です。今回はアルクェイドでHでしたが、お楽しみ頂けましたでしょうか?
いや、やはりアルクェイドはソフトSMがよく似合うというか、「俺色に染めてぇ」と
いうこのかわいらしさがあるから三冠達成できたのかと思う今日この頃です(笑)。
こう、調教しているんだかされているんだかよく分からないと言うのがある意味
SMの醍醐味なのかもしれませんが、鞭とか使えないだろうなー、とか(笑)
というか、アルクェイドは可愛いですな、うむ、書けば書くほどそう思います(笑)。
ほのぼのとしていいHが書けたなぁと……いやいや、いいものです、はい。
それでは皆様、お付き合いいただき有り難うございました。
でわでわ!!
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