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「本尊は、そんな二人を優しい微笑で見つめていました。……続く」

 琥珀がそう言ってノートを閉じた。
 秋葉も、翡翠も、志貴も言葉が出なかった。
 琥珀だけが妙にスッキリした顔で平然としている。読んでる最中も妙にリア
ルに感情を込めて朗読していたところを見ると、楽しんでたに違いない。

「きゃー、はずかしー!」

 晶は作品を朗読された恥ずかしさで身悶えしている。

「…………超ハードゲイ小説だったとは」

 志貴は意識を失う寸前まで消耗していた。有彦とのすんごい情事が脳裏に去
来し、吐きそうになっていた。しかも劇中の自分が三十半ばの剥げたマッチョ
というのにクラクラきた。

「瀬尾……」

 妙に押し殺した秋葉の声。

「瀬尾、続きはいつ書くの?」
「……………………涅槃」

 低く翡翠も呟く。

 そんな彼女らを見ながら五臓六腑で胴震いし、志貴は大量に失禁した。