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「んぅ……ふふふ、瀬尾……」


 晶は秋葉の秘所に口づけする。
 微かに濡れた、血の薫りのする秋葉の身体の一番奥の襞に唇を触れると、熱
い肉襞に思わず我を忘れて晶は吸い付いていた。
 唇と身体を暖めるためか、それとも秋葉を愛撫するためか……晶はただ夢中
で、秋葉の秘裂を吸い続けた。

「あ……瀬尾……そこ……ふふふ、覚悟は出来たようね」

 立ったまま僅かに脚を開いて、秋葉は晶の口舌奉仕を受けていた。
 ひとしきり冷たい晶の舌を感じると、秋葉は晶の顔を離させて今度は自分で
タイルの床にしゃがみ込む。
 秋葉は腕を伸ばすと――晶の身体を抱きしめる。

「先輩……ああああ……はぁぁぁぁ……」
「私の人形にお成りなさい。瀬尾、可愛い人形に……私と兄さんに愛される……」

 秋葉の身体のぬくもりが晶に伝わると、晶が緊張した身体を緩ませる。ただ
抱きしめられているだけなのに、とろんととろけてくる瞳。
 秋葉はひしと晶を抱きしめていたが、つと首を動かし、晶の首筋を舐める。

「ああ……先輩……」
「晶……貴女に契約の印を付けて上げる。安心して良いわよ、兄さんには分か
らないように……ここに……」

 秋葉は首筋を舐めると、肩口から首筋を舐める。
 抵抗も疑いも示さない晶の身体、そして秋葉は――その歯を立てる。
 つぷ、と音を立てて秋葉の牙は晶の首筋に食い込んだ。

「ああ……ああああああああ……」
「美味しいわ、瀬尾。貴女の血は……きっと兄さんと同じくらいに
 これから楽しませて上げるわ。貴女も、兄さんも」

 軽く血を吸うと、秋葉はその首筋に舌を這わせる。
 見る見るうちに歯の食い込んだ傷跡はふさがって行くが……晶はただぼーっ
とタイルの上に座り込んでしまっていた。

 ――どうなっちゃうんだろう?私

 晶は漠然とした不安を覚える。だが、悩んだとしてももはや生殺与奪の全権
は先輩であり、主人である秋葉に握られてしまっている――
 思い悩むべき時はすでに過ぎ去ってしまったのかも知れない。今はただ……

「さて……立ちなさい、瀬尾。長居が過ぎるとそろそろ兄さんが怪しみ出すわ」

 秋葉はぱっと腕を離して立ち上がる。そして、カランに近寄るとシャワーノ
ズルを手に取り、再び蛇口を捻る。
 その素振りにびくり、と脅える晶であったが、すぐに秋葉が出しているのが
お湯であると分かる。

「さて……そうね、兄さんには……ふふふ、楽しくなりそうね?瀬尾」

 奥歯の底に企みを含めて秋葉は笑う。
 晶はただ黙ってのろのろと立ち上がると……無言で頷くばかりであった。
 傀儡の紐を握る、この艶やかな先輩に――

            §            §

 女の子のお風呂は長いと知っていても、それは長すぎるように志貴には思わ
れた。
 布団の上に横たわりながら晶を待ち、あやうくうとうとしかけてしまった志
貴であったが、晶が戻ってきたら眠り込んでいる光景を想像し、頬を叩いて目
を覚まそうとする。

 ――そんなみっともない真似は見せられないな

 そう思いながらしばし待つ志貴ではあったが、やがてベッドから腰を上げて
立ちあがる。

「そうか、どうせ誰もいないんだから一緒にお風呂に入れば良かったな」

 迂闊だった、と思う志貴であったが、今からでも遅くはない。
 志貴はスリッパ履きで部屋を横切り、廊下に出ようとすると……こつこつと
控えめにドアがノックされる。

「晶ちゃん?」

 志貴はそう答えるとドアに手を掛け、扉の向こうの人間を迎え入れようとする。
 薄暗い廊下の向こうから飛び込んできた、小さな人影――
 どすっ、と志貴は胸に飛び込む身体を感じる……それは晶だった。

「晶ちゃん……お帰り」
「志貴、さん……」

 晴れない顔で晶は胸に顔を埋め、震えていた。
 ぎゅっと志貴の胸に手を当て、目を瞑って頬を志貴の胸に寄せる。志貴の名
を呟いたきり黙り込んでしまい、そのまま戸口でしばし志貴の腕の中で立ち尽
くす。

 志貴は、明るくない晶の表情を見て首を捻る。そして、もしかして自分に処
女を捧げたことを悔いているのかと思い始め、心配して顔を覗き込む。

「……どうしたの?晶ちゃん?不安なことでも?」
「志貴さん……志貴さんは、私の事を好きでいてくれますか?」

 それは志貴には問わずもがなの言葉であった。
 初体験の後でナーバスになって居るんだ、と思った志貴は軽く笑いを浮かべる
と、風呂上がりの晶の身体を抱き上げる。志貴の嗅覚は晶の湯気を感じていた。

「……きゃっ……ぁあ……」
「そんなこと、心配しなくてもいいよ……好きだよ、晶ちゃん」

 志貴は晶の身体を軽々とベッドまで運ぶと、そっと横たえる。
 そして、そのまま上に被さって――晶の桜色の唇を奪う。

「……先輩、好きです……それに……私のことを愛して下さい、私の分も……
……先輩の分も……」

 晶の小さな呟きは、最後は呼吸にかき消されて志貴の耳には入らなかった。

 志貴には聞き取れるはずもないし、今この瞬間にも……志貴の部屋の扉の向
こうには、背を着けて嗤う秋葉の姿があろうことなど知る由もない――
 天を仰ぎ、流せぬ涙を流して笑う秋葉。

 払暁の来ない、傀儡の夜は始まったばかり――

                               《FIN》







【あとがき】

 どうも、阿羅本です。今回は晶ちゃんをちょーっといじめてみてしまいましたが、
如何でしょうか……鬼?悪魔?みゅ?救いがない?(笑)

 いや、阿羅本にしてはちょっとダークに行ってみるかー、とおもって秋葉の狂恋
を晶にぶつけるという形にしてみたのですが、どっちかというと秋葉SSみたいな
……で、でもちゃんとしあわせな晶ちゃんの処女喪失シーンを書いてみたので、
一応は晶ちゃんSSやなぁ、と……(笑)

 いや、秋葉はヤッパリ切れるとおもしろーい(笑)。ちなみにシャワーの水から
熱を略奪していますが、実際出来るかどうかは……まぁ、作劇上晶ちゃんをいぢ
めるためにはこれくらいやらないと、と(爆)
 あ、このSSでは晶ちゃんの仕様は「処女・お赤飯前」ですー(仕様て……:笑)

 きっとこの後、毎晩志貴に抱かれた後に秋葉にすすられに言ったり、その内
に秋葉と琥珀さんが視姦されるなかでえちさせられたりとか、子供が出来ちゃっ
たら秋葉と志貴の子供として育てられるとか、そーゆーダークな妄想ばかりが
……ああああああああーッ(笑)

 なんか、自分でも晶ちゃんフォローを書かなくちゃいけないような気になって
みたりも(笑)

 皆様、今回もお楽しみ頂けましたでしょうか?
 感想などがありましたらぜひともお聞かせ願いたく……

 でわでわ!!

                                 2002/2/24 阿羅本 景