傀儡の夜
阿羅本 景
暗い、がらんとした部屋にほのかな明かりが灯る。
ベッドサイドのランプがシェード越しに柔らかい光を放つが、光は部屋の隅
まで届かない。調度の類が少ない部屋の中のめぼしい家具である椅子の上には、
綺麗に折り畳んだ服がおかれている。
一つは男物服で、無造作な選択のズボンとシャツがある。
そしてもう一つは、きちんと畳まれた冬物の女性の衣服と、慎ましやかな白
いレースのインナー。
暗い部屋の中で、二つの息の音がする。
そして、それに続いて唇が立てる微かな音がする――
「……志貴さん……はぁ……」
「苦しいかった?晶ちゃん」
一組の男女がベッドの上で重なり合い、唇を交わしていた。
上に被さるのは肩幅はさほど広くはないが、しっかりした体つきの志貴であった。
胸の痕が赤く引きつれて痛々しいが、それ以外は青年の身体を見せている。
そんな志貴が腕の下に敷いているのは、ほっそりとした少女であった。腕や
脚は長く細く、胸も膨らみきってはいない。むしろ痩せていて肋骨すらも薄く
浮き上がっていて、志貴の下にあるのが痛々しくも見える。
この少女は言うまでもなく、瀬尾晶という。
「あ、大丈夫です……でも、志貴さんの部屋で……志貴さんに初めての人にな
って貰えるだなんて、私――」
「ああ……俺で良ければね、晶ちゃん……んぅ……」
志貴は唇を晶の頤に触れ、そのまま折れそうな首筋を伝って下げていく。
志貴は腕で身体を支えて、震える晶の首と鎖骨を舌でなぞる。そして、胸元
を隠そうとする晶の腕を見ると、くすりとわらって両手首を握る。
「や……は、はずかしいです……」
「どうして?綺麗だよ、晶ちゃん……」
「その……私まだ、胸大きくないから……志貴さんに見られたら笑われます、きっと」
「……そんなことはないよ、ほら……可愛いじゃないか」
志貴は手首を握って、軽々と晶の腕を両脇に広げる。
志貴に広げられ、まるで十字架に張り付けにされるような恰好で腕を広げて
しまった晶は恥ずかしそうに声を上げるが、すぐにその声が変わる。
「ぁああ……あああんっ、志貴さぁぁん!」
「可愛いよ、ほら、サクランボの種みたいで……ピンク色で……」
志貴は顔を晶の薄い胸に埋め、舌で晶の未成熟な乳首を舐めていた。
軽く甘噛みしながら志貴の頭は両胸を動き、両乳首を交互に愛撫していた。
そして、巧みな愛撫で小さく膨らんだ乳首を舌でつつくと、満足そうに頷く。
「さて、晶ちゃんのおっぱいはこんな風だけど……下はどうなってるのかな?」
「はぁ、はぁ……や、そんな、志貴さぁん!」
腕を押さえたままで志貴は身体を浮かせ、頭を胸から脇腹へ、そして硬く脚
が閉じられた晶の秘所に向かう。
志貴の舌は汚れなき絹のような晶の身体をはい回り、時には跡を残しそうな
ほど強く吸うこともあった。その度に晶の軽い悲鳴のような喘ぎ声が上がる。
「やぁ、やぁっ……そんな……はぁ……ふぅぅぅっ!」
「綺麗だよ……晶ちゃん……ここも……リラックスして」
「はぁ……はい、志貴さん……んぅ……はぁっ」
志貴は脚の間の細く茂った恥丘の上に志貴は口づけをする。そして、舌を延
ばすとぴったり合わせてもまだ隙間のある晶の股間に舌を延ばす。そして猫が
ミルクを舐めるようにぴちゃぴちゃと音を立てて舌を舐める。
「やぁ……ふぅん……志貴さぁん……はぁ」
志貴は晶の握っていた手を離し、膝頭を内側からそっと手を添える。そして
抵抗を感じながらも志貴の手は晶の腿を広げる。
や、と小さな声を漏らす晶は志貴の前に、誰にも見せたことのない女性の秘
華を志貴の目の前に――
志貴は膝を持ち上げ、まるでおむつを変えさせるようなポーズにさせる。
そして微笑みながら顔を寄せていく。
「くす……小さくてするっとしてて、晶ちゃんのが……濡れてるね」
「や、恥ずかしい……志貴さん、そんなまじまじと見ないで下さい……」
「うん、見なければいいんだね。じゃぁこうすれば……」
晶が顔を手で隠して恥ずかしがると、志貴は唇をおもむろに花弁に口づけする。
こうすれば確かに志貴の目からは晶のあそこは見えなくなる。約束を詭弁で
守った志貴は、ぬらりと小振りな晶の陰唇に舌を這わせる。
「やぁ……はぁん、はぁっ、はぁ……ふぅ……はぁ……」
志貴の舌はことさらにぷちゃぷちゃと音を立てて、晶の秘所を舐め上げてい
た。舌を尖らせて処女膜に囲われた膣口を舐めたかと思うと、指を添えてまだ
伸びていない小振りな陰唇の粘膜をねぶる。そして尿道口を舐め、そのまま舌
を上に進めていくと……
「あぁん……ひぃっ、ひゃぁっ、ふぅぅぅん!」
「ここが一番感じるんだね、晶ちゃん……」
小さな皮の被った晶の陰核を、皮の上から志貴の舌はふにふにと揉む。
その度に晶の小さな悲鳴と嬌声が上がるが、志貴はそれを耳で楽しみながら
舌を操っていた。やがて晶が内側から滴ってきて、志貴の口元をすっかり愛液
を汚すようになると、志貴は指でちょん、と晶の秘所を触れる。
指先に、晶の若い唇が吸い付く。そして唾液と愛液に志貴の指先を濡らしていく。
「志貴……さん……ひゃぁぁん!」
「晶ちゃんの……ここも……いいかな?」
志貴は指先を僅かに下げて、奥まった晶の膣口に宛う。
そして指を軽くねじるようにして処女膜の間の小さな口に指を差し込むと……
「きゃぁっ……ううう、あぁぁあああ!」
「御免、痛かった?晶ちゃん?」
背筋をびくんと仰け反らせる晶ちゃんの先日に、指の第一関節を入れようと
して硬い肉の抵抗にあった志貴は、驚いて指を離す。
だが、晶はすぐに赤くなって体を起こし、慌てた志貴に手を振って言いつく
ろおうとする。
「その、志貴さん、あの……ごめんなさい、指とかそう言うのを入れられるの
は初めてで……が、我慢しますから、その、志貴さんのを……」
「無理しなくても良いんだよ、晶ちゃん?」
ベッドの上に裸でちょこんと座り込む晶。それに軽く肩に手を添えて優しく
言い添える志貴。
志貴が眼鏡越しに微笑むと脚の間に手を置いていた晶はベッドから離すと、
ぽすんとベッドの上で横になる。
そして、紅潮した顔を志貴に向けるとかすかな声で、囁く。
「続き……してください」
「……痛かったら無理をしないでいって……こっちも無理はしないから」
「……志貴さんには私の初めての人になってくれるんですから、我慢します。
だから……」
晶はぽそぽそと小声で聞き取れないほど小さく言うと、指を股間に導く。
晶の指は濡れた熱い陰部に触れる。その感覚にかるく震えると、言葉を続けた。
「今日しか志貴さんと一緒になれる日がないから……その……してください」
控えめに脚を広げると、晶は秘部の内側に指を添え、志貴に顔を向ける。
だけども目を合わせられない晶を見て、志貴はトランクスを下ろして硬く怒
張した、男性の象徴を晶の前で露わにする。
その瞬間、晶が軽く息を飲むのを志貴は感じ取っていた。無理もない、箱入
り娘の晶が男性の物を、こんなに目の前で見るのは初めてなんだろうから。
晶は一瞬見とれたように志貴の肉棒を見つめていたが、やがてこくりと頷く。
「志貴さん……私の中に……おねがいします……」
「分かった。じゃぁ……力を抜いて、お腹で息をして」
志貴は晶の脚を割って入ると、正常位の姿勢になる。
晶の内股の奥にある、粘膜の襞の上に亀頭を添えると、晶が下からもじもじ
しているのがわかった。志貴が晶の顔を見ると、晶は一言だけ口にする。
「手を……握って下さい」
「うん。じゃぁ……いくよ」
志貴は両手を晶の手に添え、指を搦めて握り合う。
志貴は腕の下にいる晶を見つめてしばし身体を止めていた。中学生のまだ成
熟していない身体に、男性のものを挿入するのは如何にも酷なように見えた。
だが、晶は震えながらもそれを望んでいる……晶の赤い顔、震える唇、そして
――浮かぶ微かな涙。
――喜んでいるんだろうか?晶ちゃんは
だが、志貴はそれ以上の解答を求めるのは止めた。わからないのだから。
そして、亀頭の先に感じる襞と、硬い肉の抵抗を感じながらも……
「いくよ……晶ちゃん……」
「志貴さん……はぁ……うん……はぁぁぁぁぁぁぁ!」
ずぶり、と志貴の腰が進む。
肉棒は晶のほぐれていない肉を進むと、そのまま口の小さな処女膜と、まだ
誰からも犯されたことのない処女の膣の中に入り込む。
晶の指は折れそうなほど強く志貴を握りしめ、背中を弓なりに反らせて顎を
突き上げると……
「はぁぁっ、うぅ……ぁあああ……いた……」
「……動くけども、大丈夫?晶ちゃん」
「はい、だいじょう……ぶ……だから志貴さんも……ううぁ……ううっ」
志貴の下で、がたがたと晶は震えていた。志貴の肉棒で処女膜がほつれ、鈍
い破瓜の痛みを下半身は伝えてくる。志貴の身体を挟む内股はひきつり、差し
込まれた志貴のペニスでばらばらに身体を引き裂かれてしまうような気までし
てしまう。
でも、晶は気丈に耐えていた。
そんな晶の頬に、志貴は口づけしていた。身体を合わせ、晶の身体に自分の
体温が伝わるように密着しながらも、腰を徐々に動かしていく。
「動いて……ます……志貴さんのが……なかで……うぅぁ……」
「晶ちゃん……すぐ終わるから……だから、少しだけ……」
志貴は腰を、ゆっくりとして深いストロークにする。だが、小さな晶の内側
は志貴の物で満たされており、内側の押し広げられる痛みに身悶えするばかり
であった。
晶は閉ざしていた瞳を開き、自分の上の志貴の顔を見つめる。
真摯な情熱で晶を貫く志貴の顔――自分の初めての男性の顔と吐息を胸の内
に染み込ませて、晶は涙ぐんでいた。
「志貴さ……ん……ぁあああ……はぅん……つ……」
「……すぐに……晶ちゃんっ!」
志貴は晶の手を握ったまま、腕を引き寄せて身体を密着させる。
志貴はストロークを深くし、そのまま腰をぶるりと振るわせる。
「ぁ……ぁぁあああ!」
志貴の肩口に顔を当てて、叫びを漏らす晶。
そして二人の身体はびくり、と一際大きく震えたかと思うと、そのまま動か
なくなる。
二人のテンポの違う息だけが、志貴の部屋の中に響いていた。
志貴の身体の下でもそりと晶は動くと、小さく呟く。
「……志貴さん……好きです……」
《つづく》
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