「い……ク、アルクェイド!」
志貴は突然アルクェイドの最奧に強く打ち込むと、アルクェイドの子宮目掛
けて大量の精液を吐き出した。
ドクドクと、打ち出すようにして精がアルクェイドに放たれる。
「ん……!」
アルクェイドはそれを感じ、腰を震わせる。ぎゅうと膣壁が収縮し、自然に
志貴のそれを中に送り込もうとする。
びくびくと、何度も、何度も。
その迸りは、とどまる事を知らなかった。
放出が収まるが、志貴はもっと繋がりが欲しかった。
アルクェイドの膣からペニスを抜くと、くるりとアルクェイドをこちらに向
かせ、そのまま後ろの樹に寄りかからせる。今度はスカートの前をたくし上げ、
アルクェイドの手に持たせる。
「ん……」
アルクェイドは背中に樹を感じる。そして、ふと繋がっていた部分を眺めると、
そこにはスカートの下から露わにされた自分の秘裂と、そこから流れ出す愛液と白濁。
その淫靡な光景にいけないと思いつつも、アルクェイドも興奮する。
そして、新たに挿れられようとする志貴のペニス。
「来て……」
自然に声を出し左手で後ろ手に樹を支え、背中を反らせて腰を前に出して志
貴を誘っていた。
少し高く開かれたその淫唇。志貴は右手でアルクェイドの左足を担ぐと、そ
の中心で息づく淫靡な花に狙いを定め、今度も一息にその入り口を貫いた。
「ああっ!!」
貫かれ、志貴への愛おしさから一気に登り詰めるアルクェイド。ひくひくと、
膣がすでにおかしくなりかける。
「ア……ルクェイド!」
志貴はその腰を掴み、息をも付かぬ勢いで穿つ。下から突き上げ、その体を
破ってしまうかのように、アルクェイドの膣を蹂躙する。
「ああっ!ああん!!志貴ぃぃぃ!!」
アルクェイドは叫び声にも似た喘ぎ声を上げ、志貴を体全体で受け止める。
壊されてもいい、その許せる気持ちが更にアルクェイドを高く高く昇らせていた。
「ふぅ……むっ……!!」
唐突に、志貴が唇を押しつけてきた。アルクェイドは迷わず舌を絡め、互い
の唇を引きちぎってしまうかのように激しいキスを交わす。
下だけでなく、もっと「触れ合っていたい」……その思いだけで、ふたりは
ただ互いの唇を貪っていた。
唾液を流し込み、歯をなぞり、舌を絡ませる。
その、互いの舌が鳴らすぴちゃりぴちゃりという音と、互いの性器が鳴らす
ぐちゃぐちゃという音。
この広い森で、互いの息と、その音だけが全てを支配していた。
志貴は、ピストン運動の動きを緩めようとはしない。普段息を付く場所でも、
それさえも惜しいかのように動き続け、そのアルクェイドの膣の動きを感じていた。
いつしか頭が酸素を求め、急激に感覚が薄れて痺れるようにボーッとしてき
た。それでもそれが快感で飛んでいけそうな感覚に、構わず腰を打ち付ける。
「あん!あん!!」
アルクェイドはその動きに合わせるように、リズミカルに喘ぎ声を上げていた。
しかし、時に小さく時に激しく、テンポは一定でもその声の大きさはまちまちだ。
こちらも段々と息が続かなくなってきて、声も絶え絶えのものとなってしまう。
それでも決して止めようとせず、志貴の求めるままに受け入れ、自分も志貴に
今まで以上の繋がりを求めていた。
「ああ!だめ!!」
それでも遂に、アルクェイドが一番高いところに飛びそうになる。
「アルクェイド!」
志貴が、同じく限界を感じ、最後のスパートに入る。火が出そうな勢いで、
アルクェイドとの結合部を一気に擦り立てる。
「志貴!一緒に、一緒に来てぇ!!」
その動きに、最後の一線を越えさせられる。
「あっ、ああああああああああーーーーーっ!!」
断末魔の悲鳴を上げるようにして、アルクェイドは体を大きく反らせる。せ
り出した腰が、互いの結合部を大きく刺激し、それが志貴にも最後のひと突き
となった。
「アルクェイド!!」
残された酸素を使い果たし、その最奧に激しく突き上げると
ドクン!ドクン!!
堰を切ったように、僅かな間に溜め込まれた精液が大きな奔流となってアル
クェイドを襲った。
びしゃりと、その子宮に直接流し込むような激しい打ち出し。それはアルクェ
イドを全て満たしても、まだ止まらなかった。
「あああああ……」
達した体に更に最奧に愛する物の精液を注ぎ込まれ、アルクェイドは感動の
あまりに痙攣を起こしていた。
ぴくぴくと、膣のきつい収縮にまだ残っていた精液を吐き出す。びくりびく
りと、腰が砕けんとばかりに奧に突き込み、全ての精を流し込んでいた。
「ああ……」
どちらの声ともつかないそのその囁きは、まるで力尽きる時のそれのようで。
互いにそのまま、ずっと動けないままでいた……
「はぁっ……」
先に息を吹き返したのは、志貴の方だった。
アルクェイド深く貫いたままだったそれを、ゆっくりと膣から引き出す。
「あん……」
その感触に再び煽られ、アルクェイドが目を覚ます。そして
「あっ……」
ごぼり、と抜け落ちたペニスが蓋となっていた志貴の精液が、足下の草に垂
れ落ちる。それは背後の樹の樹液のようで、生と愛を感じさせる強い証だった。
「志貴……」
アルクェイドが、志貴を見つめる。
ほんの5センチ前に、愛する人の顔がある。
志貴は、酸欠にクラクラしながらも、そんなアルクェイドに向かって精一杯笑ってやる。
「愛してるよ」
「私も、誰よりも愛してる」
そう言って、ふたりは唇を合わせた。
「アルクェイド……」
唇を離し、志貴が呟く。
「もっと、したい……」
その言葉に、アルクェイドも頷く
「うん、私も……」
もっと、もっと、もっと、もっともっともっと繋がりたい。
忘れられないこの時を、いつまでも志貴と共にしたい。
そう思うと、求めずにはいられなかった。
「じゃ、さ。今度は部屋で……しようか?」
改まって志貴が赤くなりながらそう提案する。
「うん……」
アルクェイドは、こくんと頷く。
「じゃぁ……」
と、志貴はそんなアルクェイドの腰を掴むと、一気に横向きにお姫様抱っこ
で抱き上げた。
「あっ……」
アルクェイドが声を上げる。
「絶対、離さないからな」
志貴は熱い目でアルクェイドを見つめた。
「うん、絶対離さないで……」
アルクェイドは、嬉しさのあまり半泣きになりながらも、笑ってそう答えた。
「じゃぁ……あれ……?」
すとんと、腰が抜けたように志貴がその場に座り込んでしまう。
忘れていた酸欠で、頭がぐるぐると回っていた。
「ふふっ……志貴……大丈夫?」
アルクェイドが笑って志貴を見る。
「……ちょっと脚が立たなくなっただけだよ」
志貴は笑ってそう言うが、正直危ないところにいた。
「ほら……志貴、私が」
アルクェイドは逆に志貴を抱きかかえると、すっくと立ち上がった。
「私が、屋敷まで運んであげる」
そう言うと、ゆっくりと歩き出した。
「ははっ、姫を守る騎士が姫に抱えられちゃ、お話にならないな……」
志貴はそう冗談づく。
しかし、アルクェイドに抱えられて、その心地よい感触と香りが酸欠と相ま
ってゆっくりと意識の帳を下ろしていくのが分かった。それを留める事もせず、
ゆっくりと瞼を閉じる。
「志貴、寝ちゃうの?でも安心して、絶対に私はあなたの側を離れないから……」
そう強い決心の籠もった声に安心して、志貴は夢に落ちていった。
夢。
白馬は俺に撫でられるまま、立ちつくしている。
そうして、優しく俺に微笑みかけたかと思うと、ゆっくりと光となった。
そして、俺の体の中に入り込んでくる。
もう失わない、その温もり。
胸の中で確かな力となった想いに、もう迷う事は何もなかった。
「あ……」
志貴は目を覚ますと、目の前には慈しむ表情のアルクェイドがいた。優しく
抱きしめ、志貴だけを見つめるその赤い瞳が美しかった。
「おはよう……」
志貴が優しく笑いかけると、アルクェイドはにっこりと笑い
「うん、おはよう」
いつも以上の声で返してくる。
「いい夢、見れた?」
アルクェイドはそう聞いてくれる
「ああ。もう二度とあんな夢は見ないよ」
そう告げて、あの夢の景色を思い出す。
「そうだ……」
「志貴、こんな所にあるの?」
「ああ、恐らく。俺の記憶が確かなら……」
あれからすぐ。
俺達は遠野槙久……親父の書斎に来ていた。
部屋に付く、本棚の本を片っ端から調べ出す。
夢に出てきた風景。
それは、幼心も美しいと感じていた風景……
それが、この書斎のどこか、小さい頃に親父の目を盗んで見入ってた記憶があった。
「くうっ、一体何処だったかな……」
と、手に取ろうとした1冊の本を落とす。それを拾おうとして腰をかがめた瞬間……
本棚の最下段、1冊の画集が目に入った。
「……これだ!」
俺は本を掴むとソファに跳び、座るももどかしくページを次々とめくる。
懐かしい絵が次々と思い出される。その中に……
「……あった」
感慨で、それしか声も出ない。
ソファに座りじっと見やり、改めてその情景を夢の中の景色に一致させる。
東山魁夷「白馬の森」(1972)
青を基調とした、夜の森の風景。
その中に幻影のように浮かぶ、1頭の純白の馬。
こちらを見つめ、何を語ろうとしているのか。
それは、作者にしか分からないのだろうか。
その瞳に吸い寄せられ、俺も思いを巡らせる。
「志貴?」
黙っている志貴の後ろから、覗き込むようにアルクェイドが絵を見て、同じ
く声を詰まらせる。
「これ……」
じっと見つめ、それからゆっくりと志貴の後ろからページをめくる……
「あっ……」
1枚の絵でその手が止まる。
東山魁夷「朝の聖堂」(1969)
湖に反射する聖堂。
人里離れたようなその森に浮き立つような建物。
「この風景……私の住んでいた所に似ている……」
そう言うと、じっと眺めるようにそれを覗き込んでいた。
「ああ……これは作者がドイツ・オーストリアを描いた作品の1つらしいよ」
前後のそんな解説を読み、俺が付け加える。
「なんだか……絵で出会えるなんて……」
感慨深そうなアルクェイド。懐かしさもあるのだろう。
「そうだな……2人で行ってみたいな」
俺がアルクェイドの手を握ると、後ろからソファ越しにギュッと抱きしめるアルクェイド。
「……うん」
そうして、穏やかな時は流れていった。
〜後書き〜
アルクと志貴のちょっとせつない系のお話。
志貴はアルクェイドを再び失う不安に駆られていたのでは?と思い書いてみました。
夢の中に出てきた風景。というか最後に種明かししてますが、僕は作中に出
てきた東山魁夷(ひがしやま・かいい)という画家が世界で一番好きなのです。
日本画家とはいえその枠を越えた描画。有名なのは奈良唐招提寺・御影堂障
壁画ですが、それともう一つ、青を基調とした作品群は他の画家のどれをとっ
ても類を見ず、とにかく美しいです。昔から絵を描いていた母と共に大好きで、
画集を読んでは感慨にふけったものでした。
先生は惜しむらくも1999年に亡くなり、一報を聞いた時はとても悲しみ
ました。去年の夏、ご存命の内に何とか行きたいと思っていた、長野県信濃美
術館・東山魁夷館を訪れ、本物の先生の絵を間近で見て、涙を流した物でした。
今回はその絵の中の一枚、「白馬の森」をモチーフとして書いてみました。
流石に馬だとまずかろうと、タイトルは白姫の森(はっきのもり)といじらせ
て貰いましたが。
この絵を含む連作「白い馬の見える風景」の19作品の内いくつかのタイト
ルをこのSSの中にも混ぜ込んでみました。先生の作品は検索すれば画像もあ
ると思いますので、是非探してみて下さい。
この作品を、アルクェイドを心から愛する皆様と東山魁夷先生に捧げたいと
思います……
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