俺は、激しく腰を打ちつけるように秋葉を責め続けている。
もう3回目だから、秋葉も少しは慣れてきたみたいだけど。
それでも、ほんの1時間前まで処女だった秋葉には、拷問に近いだろう。
なにしろ、剥き出しの傷口をずっと擦られ続けているんだから。
だが――――
それも、秋葉自身が望んだことだ。
秋葉は、俺とアルクェイドの付き合いを認めた。
その代わりに、兄さんの手で逝かせてください、と哀願したんだ。
もちろん、俺とアルクェイドと琥珀さんとで、秋葉をさんざん焦らすような
真似をして、無理矢理そう言わせるように仕向けたわけなんだけど。
「あ…兄さん……私…もう…もうだめですっ!あ、あぁぁぁぁぁっ!」
秋葉の背中が反りかえる。
「くっ……」
俺も、限界が近い。
それでも、なんとか、秋葉が逝くまで――――我慢しよう。
「に、兄さん、一緒に、一緒に…きて…くださ…い。ふ、ふあぁぁ――――」
まさに秋葉が最後の絶叫を上げようとした時。
誰かの腕が、俺の腰に巻きついた。
そのまま、強引に後方に引っ張られる。
まだ元気なペニスが、秋葉の中からすっぽ抜けた。
「あっ!……ひ……っ!そんな……っ!」
またもや絶頂に達する寸前で放り出された秋葉の悲鳴。
「あ…うぅ……っ!」
びゅくっ。
ペニスが脈動し、精液が空中に白い筋を引いて飛んだ。
白濁液は、ぱたぱたと軽い音を立てて、秋葉の薄い翳りの周囲に散った。
「はぁ――――はぁ――――う……っく。はぁ――――」
秋葉とした3回の3回とも、俺か秋葉が逝く寸前に邪魔が入っていた。
つまり、俺が秋葉の中に射精しようとすると、その寸前に、アルクェイドが
さっきみたいに強引に引き抜いてしまうわけだ。
最初の1回は、まだ秋葉が初めてで、俺に貫かれただけでぐったりしていた
ような有様だったから、特に影響はなかったんだけど――――
2回目で秋葉もある程度慣れたからと、今度こそ快感を覚えさせようとした
勝負の3回目がこれでは……
男はとりあえず射精しちまえば終わりだけど、結局1回もまともに逝かせて
もらえなかった秋葉なんて、半ばヒステリー状態に陥っているようだ。
琥珀さんが秋葉の前に屈み込んで、一所懸命宥めている。
俺は、ゆっくりと後ろを振り返った。
「……アルクェイド、いい加減にしてくれ。これで3回目だぞ?」
俺の表情を見て、まずいことをした、ということだけはわかってくれたのか
アルクェイドは俯き加減に小さな声で答える。
「う。だって、志貴が妹とするのは仕方ないってわかってるんだけど――――
でも、志貴が妹の中に出すのだけは、なんだか癪なんだもの…………」
「理由になってないぞ、そんなの」
「あたりまえでしょ!わたしにだってどうしてだかわからないんだから!」
トツゼン、アルクェイドが理不尽な怒りを爆発させた。
つくづく、猫みたいなヤツだ、と思う。
「あのなぁ、アルクェイド……」
軽い眩暈を覚えながら、アルクェイドに、秋葉に謝るように言おうとして、
まだ下半身丸出しの情けない格好のままだということを思い出した。
そんな状態では、なにを言っても説得力がない。
なにを言うにしても、ぱんつくらいは履かないと。
膝までずり落ちていたズボンを、ぱんつもろとも引き上げる。
ベルトに手をかけた時――――
不意に、アルクェイドが口を開いた。
「わたし、志貴にしてもらう時、本当に愛されてるんだなって思うのよ。
志貴がわたしの中に出した時に、一番愛されてるんだなって思うのよ。
つまり、志貴がわたしの中に出すのって、志貴の愛情表現なんでしょ?
だから、志貴が妹の中に出すのは嫌なの。それだけは嫌なの。
志貴はわたしの物だから、志貴の愛情もわたしだけの物じゃないと嫌なの」
なんか文句ある?
そうとでもいいたげに、アルクェイドは腰に両手を置いて俺を睨んだ。
文句はないけど、ひとつだけ説明しておく必要があるように感じた。
「あの、アルクェイド…さん?ひとつ大きな誤解があるようなんですけど?」
「え?なにが?」
きょとんとした顔で、アルクェイドが身を乗り出してくる。
こいつは、本当に大人なんだか子供なんだか、よくわからん。
中で出すのは別に愛情表現ではないんだよ、というごく当たり前のことを、
どうすればコイツに納得させられるんだろう?
そう思いながら説明を始めようとした時――――
「あ、あはぁっ!……あ――――――っ!」
秋葉の、絶頂の叫び声が応接間に響き渡った。
仰天して振り向くと、琥珀さんが秋葉の脚の間でなにかしていた。
つまり、琥珀さんは、ヒステリー状態の秋葉を宥めていたわけではなくて、
秋葉を指で逝かせようとしていた、ということらしかった。
いや、それも宥めることのうちかもしれないけど。
「あ……ふ…………はぁ……」
両手を膝の間に突っ込んだままの秋葉が、ゆっくりと横倒しに倒れ込んだ。
そのまま、ひくひくと肩を震わせている。
今度こそ完全に完全に逝っちゃったんだろう。意識はほとんどないようだ。
蒸しタオルの汚れていない面で指を拭いながら、琥珀さんが立ち上がった。
「これでもう大丈夫ですよ、志貴さま、アルクェイドさま」
そう言ってから、ニコニコ笑いながら言い直す。
「奥さまってお呼びした方がよろしいですかー?」
「アルクェイドでいいわよ」
アルクェイドは至極あっさりと応じた。
その辺のこだわり、コイツにはちっともないんだよな。
さっきまで床にへたりこんでいた翡翠が、しゃんと背筋を伸ばした。
「では、アルクェイドさま、明日以降志貴さまのお部屋をお訪ねになる時は、
窓からではなく、玄関よりお越し下さい。わたしたちがご案内しますので」
そう言って、ふかぶかとお辞儀をする。
アルクェイドは、ちょっと困ったような笑みを漏らした。
「あはは。次からはそうするね」
くすくす笑いながらアルクェイドと翡翠のやり取りを聞いていた琥珀さんが
ちらりと秋葉のドレスを見てから尋ねる。
「ところで、アルクェイドさま?せっかくのドレスが汚れちゃいましたけど、
どうされます?こちらで洗っておきましょうか?」
確かに、秋葉の着ているドレスはくしゃくくしゃに着乱れ、あちこちに俺の
精液や、アルクェイドと秋葉の愛液の垂れた痕が点々と残っている。
これでは、洗うなりドライクリーニングに出すなりしないと駄目だろう。
しかし、琥珀さんの質問を聞いて、アルクェイドはなぜか目を点にした。
「ええっ!ドレスなんて洗えるの?」
「もちろんですよ。さすがにうちの洗濯機では難しいと思いますけど……
ドライクリーニングに出しますから」
琥珀さんの説明を聞いたアルクェイドは、ゆっくりと俺を見て、一言。
「……………びっくりした」
後で聞いたら、アルクェイドがああいうドレスを着ていた頃は、まだろく
な洗剤もなく、洗濯と言えば叩き洗いだったから、ドレスが汚れても洗うな
んて出来なかったらしい。
汚れたら、古着屋に売る。
買った方は、多少の汚れは気にしないで着る。
もっと汚れたら、解体して端布として使っちゃう、というわけ。
琥珀さんに秋葉の世話を任せて、アルクェイドと部屋に戻った。
廊下を歩く間、アルクェイドはずっと俺の腕を抱えこんでいた。
歩き難かったけど、アルクェイドが上機嫌だったから、まぁいいか。
「ところでさ、アルクェイド」
歩きながら、そっと声をかけた。
「なに、志貴?」
「ドレスがクリーニングから戻ってきたら、だけど……」
「だからなに?」
「また、着てみせてくれないかな?ドレスを」
言い終わると同時に、アルクェイドは嬉しそうに笑い出した。
「あははは。そんなに気に入ったの、志貴?」
「ああ。ドレスがな」
「むっ。だったら、着てあげない」
まぁ、この辺のリアクションは、お約束だ。
「そうか?ドレスを着たアルクェイドとしてみたかったんだけどなー。
そうそう、ドレスが汚れるといけないから、中で出してやるよ」
こそっとアルクェイドの耳元で囁いた。
「な……っ!」
たちまち真っ赤になるアルクェイド。
その次の瞬間――――
俺のすぐ背後から、物凄く冷ややかな声が聞こえてきた。
「志貴さま、人前でそのようなフェチな発言はおやめになった方が――――」
「わ、わぁっ!翡翠!気配を消して背後に忍び寄るのはやめてくれよ!」
俺が思わず叫ぶと、翡翠はじろり、と俺を睨み返した。
「わたしは応接間からずっとおふたりと一緒に歩いておりました。
志貴さまに忍び寄るようなことはいたしておりません」
ふかぶかとお辞儀をして、琥珀はすたすたと廊下を去って行った。
翌朝――――
「夜になったらまたくるね、志貴」
まだ暗いうちに、アルクェイドは帰って行った。
やっぱり、窓から。
「――――あ。もうこんなことしなくてよかったんだっけ」
窓の外から、枝葉の揺れるがさがさという音と一緒にアルクェイドの呟きが
聞こえたような気もしたんだけど、いかげん疲れ切っていた俺は、半分眠りに
落ちかけていたから、よくわからない。
次に目が醒めた時――――
どういうわけか、全く身体が動かなかった。
さらに、妙に下半身がすーすーするような気がした。
「う――――あ、あれ?」
「お目覚めですか。――――おはようございます、兄さん」
秋葉の声。
今日に限って、翡翠ではなく秋葉が起こしにきたのか?
それにしても、身体のあちこちが痛い。
昨日、そんなに無理したかなぁ?
そんなことを思いながら目を開けた。
そのとたん、控え目に言っても、仰天した。
ベッドの上に、ロープぐるぐる巻きで転がされていた。
ついでに、パジャマはぱんつもろとも膝の上まで引き下ろされ、下半身が、
昨日あれだけ活躍したのに今朝は今朝で元気に朝立ちしているナニカまでが、
丸出しにされていた。
そしてベッドの上には、より正確には俺の腰のあたりを跨ぐような格好で、
秋葉が膝立ちしていた。
ちなみに秋葉が身に着けているのは、喉元のチョーカーと、肘の上まである
白い長手袋。そして、ガーターベルトとガーターだけだった。
ショーツは着けていない。
「あ、あの…秋葉…さん?そそそ、その格好は?こここ、これは一体?」
この場合、さんをつけるのは、犬がお腹を見せるのと一緒だ。
「ふふふふ。いいざまね、兄さん」
秋葉が、文字通り虫けらを見るような、冷たい目をして言った。
「兄さんがいけないんですよ。昨日、私は、兄さんの手で逝かせて下さいって
お願いしたのに、結局逝かせて下さらなかったんですから。
でも、今なら。昨日さんざん邪魔してくれた泥棒猫はいませんし、兄さんも
これなら逃げるなんて出来ませんわね?
さ、兄さん、翡翠が起こしにくるまで、たっぷり時間があります。
昨日のお約束通り、満足させて頂きますよ?」
秋葉が、俺の意思とは無関係にがちがちに固くなっているモノを掴む。
力加減もなにもなしに、ぐいっと。
そして、ゆっくりと腰を落としてくる。
よく見ると、秋葉の指先が微かに濡れ光っている。
そして、秋葉の内腿も、まるでバターでも溶かしたようになっている。
つまり、俺を縛って転がしておいて、自分の指で準備していたんだ。
つくづく、自分自身の寝起きの悪さが恨めしい。
などと悠長に後悔している暇なんてない。
秋葉がさらに腰を落とし、亀頭がねっとりと熱い感触に包まれる。
「待て、秋葉!おまえちょっと変だぞ!」
「変?変ですって?……それはそうでしょう?
初めてだったのにあそこまで焦らされれば、私でなくても変になります。
――――ああもう!」
最後の罵声は、角度が合わなくて上滑りしたことに対してだ。
「やめろ、秋葉!なんで、なんでこんなことをするんだよ?」
「決まっているでしょう?昨日、私にあんなことやこんなことをしておいて、
途中で放り出したりするからです。
私、昨晩は一睡も出来なかったんですよ。身体が火照って。
自分の指で慰めても、効き目はありませんでした。
私は、兄さんじゃなければ駄目なんです。だから――――」
ぐっ、と。
秋葉が、角度を調節しながら腰を落とした。
俺のペニスが、秋葉の膣内にするりと呑みこまれて行く。
「ふふふ。これから覚悟してくださいね、兄さん」
「か、覚悟って、なんの覚悟だよ?」
これ以上なにかする気なのか?
なんだか一抹の不安――というより、差し迫った危険を感じて聞き返した。
秋葉は、ゆっくりと腰を使いながら、危ない笑みを浮かべて、言った。
「私をこんな女にした責任、ちゃんと取って頂きますからね」
おしまい
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