―――…… 「んっ……ふっ……」 声が、聞こえる。 何かを堪え、押し殺している声だ。 わたしこと、黒桐鮮花はその声で目が覚めた。 枕元に置いてあるデジタル時計は、日付が変わったばかりである事を示している。 声は続いている。 声の他に、ベット全体が軋んでいる音も聞こえている。 ふと、考える。 音はこの部屋……――――――黒桐鮮花と浅上藤乃の相部屋から聞こえている。 藤乃が「数日間だけ行方不明に」なった事件の後、橙子師や藤乃のお父さまが裏で手を回して「藤乃の信頼できる友人である黒桐鮮花」を同室にした。 つまり、今この部屋には黒桐鮮花と浅上藤乃しかいない筈だ。 もっとも、この部屋に忍び込んだ第三者がいるなら話は別だけど。 声は私の真上、二段ベットの上から聞こえてくる。 このまま眠りの世界に潜りこんでも良かったのだけど、何となく気になった。 二段ベット上段に付いている転落防止用の柵に手をかけて、懸垂の要領で上段に顔を出す。 「藤乃……?どうしたの?」 ――――――――― ―――あり、えない。 目に飛び込んできたのはパジャマ姿の藤乃と、 藤乃の股間から生えていた「何か」だった。 断っておくけど、わたし達は女だ。 つまり股間から生えているモノなんてないはず。 だと言うのに藤乃にはソレが生えていた。 ――――――ありえない。 「あ、鮮花ぁ……」 戸惑ったような、甘い声を上げて藤乃が上体を起こす。 当然、ソレは反り返っているのだから、天を向いて屹立するわけで…… 「……っ!」 わたしは叫び声を喉の奥で殺すのに精一杯で、柵から手が離れている事に気づかなかった。 手を放せば、後は重力に引かれて落ちるだけ。受身なんて取る暇は無い。 鈍い音が響いて、わたしは気を失った。 …………―――か ……――ざか 「―――か……ざか…鮮花、起きて」 意識が戻ってくる。 確か藤乃が何かをしていて、藤乃に、訳のわからないモノが付いていて……… きっと、悪い夢を見ていたんだろう。たまたま寝過ごしていて、藤乃が起こしてくれているに違いない。 だけど、現実はそう甘くなかった。 起き上がろうとして、動けない事に気付く。 「え?ちょっと藤乃!?」 藤乃はのしかかるようにして、わたしを押さえつけていた。 「少し、お話をしましょう」 そう言うと藤乃はとんでもない事を話し出した。 自分がつい先日まで無痛症という病気だったこと――― そして痛覚が戻って殺人を犯してしまったこと――― 式との殺し合いで命を助けられて、無痛症に戻ってしまったこと――― また、式か。 まったく、あのバカシキはどこまでわたしの生活をかき乱せば気が済むんだろう。 忌々しいったらありゃしない。 「それでね、橙子さんからお薬を戴いたの」 「―――薬?」 「無痛症を治すお薬。普通はステロイドとかを投与するらしいけど、 『それでは時間がかかりすぎる上に、既に間に合わないだろう』 ってお薬を調合してくれたの。それを飲んだら痛みが戻ってきて吃驚しました。魔法使いみたいだなぁって思っちゃった」 呆れた。色々不思議な特技がある人だとは思っていたけど、まさか薬の調合まで出来るとは思わなかった。 それも、魔法の薬の、だ。 「それでね、直ったのはいいのだけど、副作用が出てしまったんです」 「副作用?」 訳がわからず鸚鵡返しに尋ね返す。 藤乃とは文字通り寝食を共にする仲だけど、副作用に苦しんでいるような素振りは無かった。 「ええ、橙子さんが言うには 『完全に治せる代わりに、ある物が生えてくる。恐らく身体の中で一番敏感な器官だ』 って…………それが、コレ、です……」 そう言って、藤乃はパジャマを脱ぎ出す。 呆然と私が見ている内に、結局下着まで脱いでしまった。 「ちょっ……藤乃なんのつもり……―――――― ―――…………な、な、何よ『ソレ』!?」 ――――――流れるような黒髪と磁器を思わせる真っ白な肌 ―――豊かで柔らかそうな乳房 同性のわたしが見ても羨ましいほどのプロポーションだ。 だけど、驚いたのはそんな事じゃない。 藤乃のアノ部分から、女性の身体にはありえない「ソレ」が生えていたら誰だって驚くってもの。 わたしだって一応年頃の女の子だから、その、そういった本くらいは読んだことがある。 けど、写真で見たことはあっても、実際に見るソレにはやっぱりショックを受ける。 ピンクが掛かった皮に覆われてて、先から少しだけピンク色をした部分が覗いている、その器官―――――― そもそもなんで藤乃にこんな物が付いているんだろう。 式あたりなら生やしていてもおかしくなさそうだけど。 はっきり言って、藤乃には似つかわしくない。 「ですから、コレが副作用だそうです。 いえ、コレ自体も副作用には違いないのですけど、 本当の副作用はコレが、その…………た、勃ってしまって、辛くなることなんです」 そういう藤乃は息を乱してモジモジしている。 「それで………今までは自分でしてたのですけど、橙子さんが 『どうしても辛くなったら、鮮花にしてもらえ』とおっしゃっていたので………」 絶句するしかない。なんだって橙子師はこんな副作用のある薬を与えたんだろうか。 一応「良家のお嬢様」なわたしはそんな詳しい知識なんて持っていない。何を考えているんだろう、あの人は。 「ちょっと、藤乃。悪いけどわたしには出来ないわ。第一やり方が分からないんだから」 「ええ、橙子さんもそう言っていました。そしたら鮮花に着せておけ、と服を渡されたんです」 「……?服が、どうしたっていうの?」 「その服を着ている限り、鮮花は言う事を聞いてくれる、って………鮮花が気を失ってる間に着せておきました。ほら」 そこでようやくわたしは、自分がどんな格好をしているのか気付いた。 黒のサテン生地にひらひらしたレースとフリルが付いている服………いまでは本でしか見たことが無いような典型的なメイド服だ。 「鮮花ぁ…………」 甘い声を上げて藤乃が覆い被さってくる。 逃げようにも、上から藤乃がのしかかって来ているから避けられない。 「んっ・・・」 キスをされる。 くどい様だがこれでも恋する女の子なのだ。ファーストキスは幹也にあげたかったのに。 いや、これはノーカウントじゃないだろうか、藤乃は女なんだし………うん、そう思おう。 そんな事を考えている内に藤乃の舌がわたしの舌を突っつくようにして絡んでくる。 粘液の音がやけに大きく聞こえる。てうか、藤乃、上手いってば。 比べた事が無いから分からないけど、舌の微細な突起を責めるようにして絡めてきたり、嬲るような動きが妙に気持ちよく感じられた。 藤乃は舌を絡ませつつ、鮮花の胸をまさぐる。 なんでもルーン魔術を仕込んでいるから、鮮花は逆らえないらしい。 橙子特製というメイド服は簡単に胸の部分を開くことができた。 パジャマ姿だったからか、ブラジャーは付けていないらしい。藤乃のものよりも小振りな胸が露になる。 「鮮花の胸、かわいいです…………」 「ちょっ…………やめっ……」 唇から首筋、鎖骨、胸と唇を這わせる。 鮮花の少し熱をもった肌を、唾液が汚していく。 頂点に着いた。薄桜色の乳首は鮮花自身のように可愛らしい。 舌で転がしてみる。 「ぁっ……!」 びくん、と鮮花の身体が跳ねる。 その反応が面白くて何度も何度も繰り返していたら、乳首が硬くなってしまった。 「鮮花、感じたんですね……」 「違っ……」 「ウソをつくのはよくないですよ」 「うぅっっ…………」 赤ちゃんがするように吸ってみたり、軽く噛んだりしてみる。 その度に鮮花の身体はぴくんぴくんと震えて反応を返してくれる。 片手で一方の胸を揉みながら、もう一方の手で下の方に手を伸ばしていく。 滑らかなお腹をつたって、内股から鮮花の場所に指を這わせる。 可愛らしいレースがついたパンティーの中心には、はっきりそれとわかるほど染みが出来ていた。 「こんなに濡らして…………やっぱり感じてたんですね」 「っ……感じて、なんか…………」 顔を真っ赤にしながら否定する鮮花があんまりにも可愛かったから、薄い布越しじゃなくて、直接触る事にした。 柔らかい茂みを掻き分けて人差し指と中指で滑った場所を弄る。 恥丘や突起の近くを撫でる様に触ったりしていると、鮮花の腰がもぞもぞ動いていることに気づいた。 「……ねぇ、鮮花。ホントに、感じてないですか?」 「…………うぅっ」 鮮花は唇を噛みながらふるふると首を横に振った。 どうして、こんなに可愛すぎるんだろう。 「じゃあ……ここはどうでしょう?」 中心からやや上部にある突起を指で弾く。 「ひぁっ…………!!」 ひときわ大きく、鮮花の身体が跳ねた。 「ここが感じるんですね……じゃあ、舐めてあげます」 「ちょっ…………そんなとこ、きたなぃ………ふじのぉ……やめ……」 くるり、と身体の位置を反転させて、布越しに鮮花のそこを吸った。 自然、鮮花の目の前にはわたしのアレがあることになる。 「鮮花、わたしのも舐めてください…………」 可愛らしい下着を鮮花の足から抜きながら話し掛ける。 腰を浮かせて脱がせやすくしてくれたあたり、鮮花も結構乗り気みたいだ。 「え…………?ぅん……」 こくん、と頷いて、鮮花はわたしのソレに唇を寄せた。 「んっ……ふっ……」 鮮花の柔らかい口内にわたしのものが含まれる。 鮮花の口の中は暖かくて、わたしのアレはまだ皮を被っているというのに……気持ちよすぎて腰が跳ねてしまった。 負けずとわたしも鮮花を舐める。鮮花は突起が弱いらしい。 ちっちゃな豆みたいなそれは、ぷっくりと膨らんでつやつやと光っていて、怒ったときの鮮花みたいで可愛い。 舌の先をすぼめて擦るようにして往復させる。 鮮花のお腹にわたしの乳首が当たって、そこからもぞくぞくした感覚が這い上がってきた。 例えるならそれは、何かの試合みたいなものだろう。 どちらが先に耐え切れなくなるか。脊髄を這い上がってくる感覚に、先に脳が焼けてしまった方の負けだ。 ―――結局、わたしが勝った。 鮮花は咥えていた「わたし」を口から出してしまって、一際大きく跳ねてから小刻みに震えてぐったりとしてしまった。 口から出る時に、歯に当たってしまったらしく少し痛かった。 少し不満、わたしはまだイッていないのに。 「あ、先にイったんですね…………」 鮮花は答えない。ただ荒い息を吐くだけだ。 「わたし、まだイってないんですよ……見てください…………こうすると、気持ち、いいんです……」 片膝を立てて自分のそれをしごきたてる。 鮮花の唾液と、自分の腺液が混ざり合ってくちゅくちゅと、いやらしい音を立てた。 「ぁ…………」 ゆっくりと鮮花が身体を起こしたのを見て、わたしはある事を思い立った。 たしか橙子さんから「皮を剥いたときは痛いが、その分快楽は大きくなる」と教えてもらった記憶がある。 鮮花なら、きっと剥いてくれるだろう。 「ほら、鮮花…………舐めて……剥いて、下さいね……」 「え………………むく…………?」 呆、とした声で聞き返してくる。 「そう…………これから鮮花の中に入るんですから、綺麗に剥いてください」 理解してくれたようだ。わたしがソレを近づけるとゆっくりと舐めてくれる。 舌の感触が背骨を走って脳に訴えるけど、今は無視しないといけない。 今からもっと気持ちよくなるんだから。 「んっ……んふっ…………」 鮮花が舐めながらゆっくりと、わたしの皮を剥がしていく。 引きつるような痛みと、鮮花の舌から送られてくる快楽が混ざり合って、知らず鮮花の頭を掴んでいた。 「あ、鮮花…………剥き終わったら……全部……丁寧に舐めてくださいね……」 痛みが徐々に引いていく。 それに反比例するように今までとは比べ物にならないほどの快感が背中を走る。 まだ残る、かすかな痛みでさえ気持ちよく感じてしまう。 くびれの部分を鮮花の舌が這って、生えてから今まで溜まっていた垢…………恥垢というらしいものをこそげ落としてくれる。 舌の動き自体は拙いけれど、初めて味わうほどの気持ちよさのほうが勝っていたし、 なにより鮮花がしてくれているという事実だけで達してしまいそうなほどの電気が背中を疾る。 舌が先端の割れ目をなぞったのを感じてから、鮮花の口からそれを抜いた。 ……………………なんというか、グロテスク。 皮を被っている時は可愛らしささえ漂っていたのに、こんなにグロテスクになるとは正直予想してなかった。 鮮花も初めて見るようで目を丸くしている。 でも、確かに凄く気持ちが良かった。今まで自分でしていたのが霞んで思えるくらいに。 「鮮花……わたし、もっと気持ちよくなりたいです…………」 そう言って、わたしは鮮花を再度押し倒した。 既に身体に纏わりついているだけの橙子製メイド服を脱がせて、膝で割るようにして足を広げさせる。 メイド服を脱いだからか、そこでようやく鮮花は正気に戻ったようだ。 「やめ……止めなさい藤乃っ!あなた、自分が何をしているのか分かってるの!?」 自分がこれから何をされるか理解したらしく、声に珍しく焦りが浮かんでいる。 そんな鮮花が凄く可愛い。 「ええ、わかってますよ。鮮花と繋がるんです…………わたし、もっと気持ちよくなりたいです…………」 「だ、駄目。藤乃、止めなさいっ」 「あ、動かないでください…………位置がずれてしまいます」 じたばたと腰を動かされるせいで、うまい具合に合わせられない。 自分の先端から出ている粘液と鮮花から出ている液でぬめぬめと滑ってしまう。 「……は、初めては好きな人としたいじゃない」 鮮花の足を抱えるようにして位置を合わせた。 「わたしは鮮花のことが好きです…………鮮花はわたしのこと、嫌いですか?」 「す、好きだけど…………そういうのとは……やっぱり初めては……み、幹也と…………」 なにやら口篭っているけど、これ以上は待てない。 鮮花の唾液と愛液、わたし自身の腺液―――三種類の液に塗れたわたしのそれは、もう限界だった。 腰を進めるようにしてゆっくりと挿れていく。 鮮花の中はとても狭い。少し進んだ時点で急にきつくなってしまった。 「んっ……――――――……だめっ!やめてぇっ!!」 少し引いてからもう一度進めると今度はうまく行った。 熱い襞が並んだ中をゆっくりと進めていくと、また引っかかる。 無視して押し込むと、何かを引き摺るような感覚がして一気に最後まで入ってしまった。 「あぁっっ―――!!いたっ…………!藤乃ぉ……止めて…お願ぃ…………」 「止めてって言ってるくせに、鮮花の中、凄く熱くて……えっちなんですね………」 鮮花の襞(なか)が痛いくらいに締め付けてくる。 ゆっくりと引くだけで、脊髄を電気が駆け抜けていく。 「鮮花、気持ちいいです…………もっと、気持ちよくさせてください」 掻き分ける様にして、腰を引いていく。 体液が僅かな気泡と一緒に溢れ出てくる音がする。 少しだけ引いて、また突き入れる。 「いたっ……やめ…………ぁ……」 ほんとうに、同性のわたしから見ても、可愛らしい悲鳴だ。 あんまりにも可愛いかったから、鮮花を抱きしめてしまった。 乳房同士が押しつぶし合って、鮮花のとわたしの乳首が擦れあう。 鮮花と繋がっているところからは、頭がおかしくなりそうなくらいの感覚が――― 鮮花と擦れあっているところからは、くすぐったいような感覚が――― それぞれ波みたいに押し寄せてくる。 「……鮮花、気持ちいいです…………こうすると、気持ちいいんですね……」 「やぁっ……痛ぃ…………」 まだ痛いらしい。 わたしのときは痛みどころか感覚さえなかったからよく分からないけど、きっと痛いんだろう。 やっぱり自分ばっかり気持ちよくなるよりも、鮮花も一緒に気持ちよくなって欲しい。 仕方ないので橙子さんから貰った薬を使うことにした。 綺麗な小瓶に入っているソレは、なんでも快楽を強制的に引き起こす媚薬というものらしい。 ぬるぬるするローションを繋がっているところに垂らして、腰を動かす。 ぬちゃぬちゃといやらしい音がやけに大きく聞こえてくる。 そうして突き上げている内に、鮮花の声に艶が混じり始めた。 「ぁっ……な、なんで…………あうっ……!」 「鮮花、気持ちいい?わたしも気持ちいです…………」 鮮花は堪えるように自分の指を噛んで声を殺している。 まったく、どうしてそんなに可愛いんだろう。 鮮花の身体を抱え上げるようにして腰を突き上げる。 ちょうど抱き合うような格好は鮮花の中に深く埋没するみたいで気持ちよかった。 鮮花の口から漏れる喘ぎ声が脳を溶かすのを手伝っているみたいだ。 耳からも鮮花を感じられる。 きゅぅっと締め付けられるような感じがする。 それが限界。 「鮮花……わたし……もう……イってしまいそうです………… ……全部、中に出してあげますね……」 「やだっ……そ、外にっ………… …………ぃやぁっっ!!」 どくんっ、と弾丸のような精液が鮮花の最奥で吐き出されると同時に、 鮮花はびくん、と仰け反ってベッドに倒れこんだ。 どく どく どく ―――――――――止まらない。 一人でしていた時の何倍もの量の精液が鮮花を満たしていく。 頭から血がすーっと退いていって、目の前が白くなって、意識が一瞬遠のく。 これが、気持ちいいということ? 吐き出すだけ吐き出したわたしのそれを、鮮花の中からゆっくりと引き抜いた。 自分のそれは鮮花の初めての証と、自分の精液で汚れている。 「あ、血……鮮花、初めてだったんですね……わたしも、です…………」 ごぽり、と冗談みたいな量が鮮花の入り口から薄紅色の泡沫と一緒に溢れ出てくる。 「あ……溢しちゃダメ、ですよ…………」 藤乃は溢れ出てきた血混じりの精液を掬い取ると、自分の男性器の下にある女性器に塗りこんでいく。 「ぁ………………………………」 「これで鮮花と一緒、ですね……………………」 呆けたように声を漏らす鮮花を見ながら藤乃は微笑んだ。 一日目:終 二日目に続く 両儀"色"祭会場に戻る |