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「んぁ……は――――むっ、んん……ふぅ……」
 一層に艶かしい吐息と、ねっとりと絡みつくぬめり。
 シオンは膝立ちのまま頭を俺の右腿へとずらして、真横から笛を奏でるように俺の竿を
咥えこんで舌で撫ではじめた。

「うくっ……! シ、シオン……」

 柔らかい唇が、上下からペニスを挟み込んでずるずると擦りたてる。
 おまけにその隙間から突き出た舌が血管の浮いた竿の肌をぺろぺろとくすぐるから堪ら
ない。
 押し寄せてくる快感で放ってしまいそうになるのを慌てて押しとどめる。
 こんなに淫靡な奉仕を一瞬で終わらせてしまっては勿体無い。
 じっくり“おしゃぶり”を楽しんでもらって――――こちらも楽しませてもらおう。
 唇と舌がペニスの根本まで下がり、そこからまた全体を刺激しながら昇ってくる。

「シオン、今度は舌で……」

 囁きが聞こえたのか、シオンは竿の中程まで昇ったところでキスの雨を止ませた。
 もう一度頭を下げ、ペニスの根本、陰嚢の辺りまで来ると、スプーンでアイスクリームを
すくうようにぺろりと舌を跳ねさせる。

「は……ッ……」

 フレンチキッスのようだった優しい愛撫が、娼婦のような濃密さを帯びる。
 ぴたりと竿に張りついた柔肉が、ゆらゆらと左右に蠢きながら唾液の筋を引いて上って
くる。
 下半分を唾液に濡らすと、そこから一気に亀頭の先までぬるりと舌が滑る。
 何度も頷くように顔が縦に揺れて、ぴちゃぴちゃと音を立てながらシオンがペニスを舐める。
 湿り気を帯びた肉茎がてらてらと光って、熱っぽくそれに口付けるシオンはなにか別の
生き物に淫らに求愛しているようでさえあった。
 強烈な愛撫に、尿道から白く濁った先走りが染みる。

「ん、っ……」

 シオンが震えるペニスに鼻先を近づけ、くん、と一度匂いを確かめるように動いた。
 
「くらくら、します……志貴の、においが……こんなに、強い……」
「俺だって、シオンが凄すぎてくらくらしてるよ。
 でも……まだ足りないな。もっともっと、刺激的に行こう」
「はい……」

 頬を赤らめながら、シオンは“あ”の発音をするように口を開いてペニスに近付く。
 吐き出される息、その熱さが敏感になった亀頭に降り注いで背筋が震える。
 そして、ぬるりとゼリーのように柔らかく、ひどく艶かしい感触がペニスの先端をすっ
ぽりと包み込んだ。

「んッ……んむっ――――ふっ、ふぁ……」

 くぐもったシオンの声。
 ちゅぽ、と欲望を直接に刺激するような響きが聞こえて、小ぶりな唇の中で肉の柱が撫
で回される。
 キノコのように膨れ上がった亀頭が、柔らかい口内の肉と密着してぬるぬると摩擦され
ると、まるで大きな舌が蛇のように巻きついて全体を舐め回しているような気分になる。
 女の唇、口を使って性器を愛される。
 その背徳感と、後ろめたさを圧倒的に凌駕する禁断の快楽が、俺を襲っている。

「んん……っ、んふぅ……ぁ――――ンっ……」

 シオンが鼻を鳴らして、新たな刺激が先端部に生まれる。

「く、あッ……!」

 すぼまった唇が四方からきつく先端を圧迫してくるのに加えて、締めつけられて震える
ペニスの先端――尿道の窪みに、シオンの舌先が侵入してきた。
 入口をちろちろとくすぐり、突き出してさらに奥へ進もうとする。

「う……ぁ、くぅッ、シオン……!」

 一体どこから覚えてきたのか、性の経験が豊富とは言えないシオンにしてはその技巧は
あまりにも淫蕩で、それだけに威力は桁違いだった。
 じわじわと染み出す腺液を、下から上に何度もシオンの舌が拭う。
 唇がペニスを咥えこんだまま少しずつ前進して、雁のくびれた部分を通り過ぎる。

「んんッ――――」

 シオンの頭が、俺に向かって滑るように前進する。
 いや、事実俺を咥え込んだ唇は滑って――――ぬるぬると絡みつくように竿を上下から
啜りたてた。
 これまでで最大の、魂から吸い取られそうな、あまりに現実(リアル)な快楽。
 シオンは止まらない。
 それどころか、ますますリズミカルに俺の下で頭を揺り動かす。

「んっ……ふむ――――ぅンっ、はぁ……んっ――――!」

 蜜を集める蜂の熱心さで、可憐な少女が男の器官にむしゃぶりつく。
 その破壊的な情景は、俺の興奮を限界以上に助長する。
 果てたい、シオンに注ぎたいと欲望する一方で、できる限り長くこの光景を楽しみたい
というジレンマがなかなか射精に至らせない。
 いつしか、俺は自ら叩きつけるように腰を使ってシオンの唇の感触を楽しんでいた。

「シオン、もっと舌を使ってみて……」
「んふぁ、ぁン……んぅ――――んんッ……!」

 激しいグラインドに喉を突かれながらも、シオンは辛そうな素振りをせず従順に舌を動
かす。その一途さ、慎ましさが、まるでシオンを支配し隷属させているような暴力的な錯
覚を与えてくれる。

「はぁ――ふぅ、んッ――ンく――――ふっ……!」

 唇がペニスを根本まで飲み込み、きつく締め付けながらずるりと亀頭の先まで戻ってい
く。一度引き抜いてぴちゃぴちゃと亀頭を舐め、横から雁の溝をなぞって、また口の中へ
飲み込む。
 前後する唇のスピードが、次第に高まっていく。
 相乗するように、俺の射精の欲求からもタガがじわじわと外れる。

「く――――ぁっ……」

 頭を白い衝動に浸されながら、ふとシオンの顔を見た。
 
「あ……」

 一瞬、本当に真っ白になってしまう。
 堪えていた射精感も、セックスの最中であるというある種の緊張も、何もかも。
 唇に男性器を咥えこんでいるという淫靡な状況。
 それを鑑みて尚――――ひょっとしたら、その行為があまりに熱心だからなのか、月の
光に照らされて、祈るように目を閉じたまま揺れ動くシオンの顔は、言葉を失うくらいに
綺麗だった。
 どくん、と心臓が高鳴る。

「ん――――志貴っ……」

 シオンが唇を離し、ぼんやりと潤んだ瞳を上目遣いにして俺を呼んだ。
 その言葉で、意識が現実へと帰還する。
 同時に、急速に回復する感覚と再び俺を飲み込んだシオンの唇とがぶつかり合った。
 それだけに、堪えるどころか身構えることさえできず、俺は爆発してしまう。
 ――――白く白く、全身が弾ける。

「――――っ、くぅ……!」

 咄嗟にシオンの頭を両手で押さえて、ペニスに集中した感覚のすべてを解き放つ。
 どく、どく、どく
 電気を流されたように男根が痙攣して、濃密な白濁を止め処なく吐き出す。
 口の中でシオンの舌が揺れて、放たれた精液を喉の奥へと流している。
 なかなか動きを止めないペニスを唇で押さえ、自ら喉を使って白濁の残滓を処理する。

「は――――っ」

 ようやく一区切りがつくと、俺はどっしりと重い息を吐き出す。
 腰を引くと、ちゅる、と小さな水音を立ててシオンの唇が離れた。
 そして、シオンはこく、こくと喉を動かして口の中のものをすべて嚥下した。

「ん……っ。濃い――――ですね。喉に、絡みつきます……」
「今日は特別すごかったから……前戯で満足させられるところだったよ。
 本当に、上手だった」
「あ……ありがとうございます。でも、その……前戯だけでは……」

 行為の最中よりも赤くなって、シオンはもごもごと口篭もる。
 その仕草があんまり可愛らしくて、立ち上がらせたシオンをぎゅっと抱き締めた。
 赤みの差した耳元へ向けて、感謝を込めながら囁く。

「――――もちろん。こんなに良くしてもらったんだから、今度は俺の番だ」

 シオンと連れ添って無人の屋上を歩き、地上をはるかに見下ろせる位置まで来る。
 頑丈そうな金属の手摺が四方を囲っていて、手近なものにフェラチオの後で息を整えて
いるシオンを寄りかからせた。

「楽にしてていいよ。今度は、俺が良くしてあげる」

 シオンがしてくれたように膝を折って、ミニスカートから覗く眩しい太股に顔を近づける。
もじもじと擦り合わされる二つのむっちりとした肉に触れて、少しずつ割り開き、その奥
にある小さな布に触れようとして――――

「――――む」

 そこで、遠野志貴はまたしても悪巧みを思いついてしまった。
 それもかなりエロチックな奴を。

「ね、シオン」
「あ……は、はい。なんでしょうか、志貴」

 甘い息を漏らすシオンと視線が合うと、俺は指を伸ばしてスカートの中に潜らせ、秘所
を守る三角形の薄布、その奥にある肉の亀裂を指で突付く。

「ふぁっ……!」
「シオンのここにしてあげたいんだけど……自分でおろしてみてくれないかな、下着」
「ええっ……!?」

 さすがにシオンもぎょっと顔を強張らせる。
 なにしろストリップの真似事をしろって言ってるようなもので、特にシオンみたいに初
心で芯の強い女の子にはかなりの羞恥だろう。
 シオンは困ったように視線を泳がせながら、小さく抗議の声を上げる。

「さ、さすがにそれは少々、恥ずかしいかと……」

 ……ストレートに“イヤ”と言わない辺りがなんともいじらしい。
 しかし、そういう態度をされるとこっちはますます嗜虐心をそそられてしまう。
 火に油――――むしろハイオクガソリンだ。
 おかげでもっと悪辣なアイデアを思いついてしまったじゃないか。
 
「OK、わかった。やっぱり自分でするよ」

 シオンはあからさまに安堵の表情を浮かべる。
 可哀想だけど、そう簡単には安心させてあげない。

「じゃ……始めるよ。でも、このままだとシオンのがよく見えないから、スカートを持ち
上げててくれる?」

 ――――これが、アイデアその二。
 シオンはまたしてもびくりと身を竦ませるけど、二度目を断るのは気が引けるのか頬を
染めて激しく葛藤しているようだ。
 こんな罠を考えつくあたり、今夜は本当に理性とかが留守になってるらしい。
 でも、それは普段じゃ手に入らない興奮さえも、今夜なら得られるということだ。
 知らずカラカラに渇いていた喉に、ねっとりと唾液を流し込んだ。

「わ――――わかり、ました……」

 シオンは桜の花弁のようにほの赤く頬を染め、俯いたままで首を傾けた。
 俺の目の前で、ゆるゆるとスカートの布地が持ち上がっていく。
 ――――シオンのストリップ。
 その単語は、あまりにも魅惑的で官能的だった。

「へえ……今日は紫か。なんか、すごく色っぽいな」

 ただでさえ短い着衣は、その下に隠れた薄布と健康的な太腿をすぐにちらつかせる。
 シオンの髪と似た淡い紫のパンティが、先端から俺の目に飛び込んできた。
 大人っぽい下着の紫、肌の眩しい白。オーバーニーの深い藍。
 そのコントラストを楽しみながら、ソックスの上から滑らかな線を描く腿を撫でる。

「はっ……ん、あ……!」

 シオンが甘ったるい悲鳴を上げ、形の良い腰を揺らして喘ぐ。
 オーバーニーと下着の間から覗く僅かな素肌は、女性特有の絹に触れるような手触りで
俺を楽しませる。
 指を内へ内へと移動させて、腿の付け根を何度も往復すると、シオンはぞくぞくと躰を
震わせ、何かを訴えるような目で俺を見る。

「じゃ……脱がせるよ」

 スカートが完全に捲れ上がり、紫の布地の全容が俺の前に曝け出される。
 恥じらいながら指でスカートの両脇を抓むシオンの下で、俺はゆっくりと下着に手をか
けて引き下ろしていく。
 煌びやかな装束の内側から、あまりにも女性的な線形と慎ましやかな茂みが顔を出して、
その奥で僅かに躍動する亀裂が淫靡な妖婦の唇に見えた。
 見惚れるのは後にして、一気に膝下辺りまで引き下ろす。

「あ……」

 肌を針のように鋭い夜気に触れさせ、シオンは僅かに身を震わせる。
 でも、そう寒い思いはさせない。
 すぐに温かく――――いや、熱くしてやる。

「ん……もう、濡れてきてる」

 両手でシオンの股を割り、顔を潜らせて秘裂の様子を探る。
 指で触れると、柔らかい入口は既に淡い湿りを帯びて悩ましく貝のように震えていた。
 ――――早く触れてほしいとでも言いたげに。
 オーケー、淫らな姫君。たっぷりと口づけて差し上げましょう。

「ふ……ぅッ」

 舌を突き出して、ぱっくりと割れた秘裂の内側へそれを滑り込ませる。
 敏感な粘膜は、不躾な異物にすぐさま反応して俺を締め付けてくる。

「あ……はっ、志貴が――――入って、きます……!」

 シオンの甘えた声。
 普段は聞かせてくれないような高く艶を帯びた声が、俺を一層凶暴にする。
 もっと、もっと、もっと。
 俺の知らないシオンを、快楽に溺れるシオンを、女としてのシオンを、見せてほしい。
 けれど、今夜は言葉じゃ窮屈で。
 見せてくれと言うより短絡に、獣のように女の器官を舐って求める。

「んぁッ……あ、はっ――――あぁぁっ……!」

 果たして、シオンは熱烈に応えてくれた。
 蠢く俺の舌の動き一つ一つに反応して、襞をひくひくと震わせながら口では快楽の歌を
奏でる。
 
「シオン……もっとだ――――」

 震える腿に何度も口付けながら、両手を後ろに伸ばして剥きだしの尻の肉を荒々しく握っ
て捏ねまわす。
 つきたての餅よりもずっと柔らかく、それでいてぞくぞくするほど肉感的な二つの丸み
は、乳房とは違った触感で俺を興奮させる。

「やっ、ぁ……志貴、そんなっ……両方一緒になん、て……!」

 シオンはいやいやをするように身を捩って、下半身全体を支配する快感にうろたえる。
 それでも抓んだスカートを離さないのは、なんとも律儀な彼女らしい頑張りだ。
 だから。そんなに可愛いことをしてくれるから、

「――――もっともっと、良くしてあげたくなるんだ」

 つつ、と人差し指で尻の谷間に線を描く。
 瞬間、シオンの体がびくりと大きく跳ねた。

「ん、あっ――――!」

 この不意打ちは存外に効果を上げたらしい。
 シオンの震えは一度では止まらずに、小刻みな痙攣が何度か残留した。
 もう一度確かめるように、今度は上から下、下から上に何度も往復する。

「ひぁ……あっ、はぁっ……! し、志貴、そんな、場所をっ……ぁ、んぁっ……!」

 シオンの声には張りがなく、花弁のように開いたスカートが何度かふらふらと下に落ち
かけてきた。
 確かに効いている。
 ――――それじゃ、一緒にしてしまったらどうなるんだろう。
 相手は超一級の錬金術師、ここは実験あるのみ、だな。
 両手でたっぷりと尻の肉を揉み解して、そのまま後ろから押すようにシオンの身体を引
き寄せる。

「きゃ……」

 悲鳴とともに近付いてくるシオンの身体。
 視線の先には、ひくつく秘唇がある。
 見据えた兎を狩るライオンの獰猛さで、俺はシオンの最も敏感な花園へむしゃぶりついた。

「ふぁ――――はっ……ン、あぁんっ――――!」

 ずるり、と舌の大半が熱い亀裂に勢い良く飲み込まれ、同時に視界が暗転した。
 頭に柔らかい二つの圧迫感。
 シオンが快感でスカートを離してしまったんだろう。
 でも、薄闇の中でゆらゆらと動く茂みや太腿は、これはこれで刺激的だ。
 新たな興奮に後押しされて、俺は忙しくシオンの中へ舌を這わせはじめる。

「あぁ……志貴、志貴っ、そんなに……中で――――ン、んぅっ……!」

 スカートの上から俺の頭を押さえつけながら、シオンが身体を固くする。
 背を仰け反らせて、全身を駆け巡る快楽に耐えているのか。
 でも、ここまで来たら我慢する必要なんてないんだ。
 全部弾けてしまっていい。
 俺が、弾けさせてやる。
 激情と感情を乗せるようにして、舌で襞の奥を滅茶苦茶に掻き回した。

「あふ……っ、はっ――――や、あはぁっ……! 志貴、つよ、すぎ――――」

 シオンの声が切なく高まるのに合わせて、柔らかい太腿が左右からぎゅうぎゅうと頭を
挟み込んでくる。
 しかも上からは両手が押し付けられているから、俺は顔を思い切りシオンの股間に埋め
る形で熱烈なクンニリングスを続ける。
 襞を一枚一枚めくるように、肉壁そのものを舐め上げるように、時には舌を槍のように
使って激しく突き進む。
 目の前にはピンク色のシオンの秘裂。
 それしか見えなくて、それを啜り舐めることに没頭している。
 舌先が、膨れた肉芽に触れた。
 
「見つけた――――シオンが、弱い場所」

 サクランボの果実を弄ぶように、舌で突起をぺろりとすくう。
 クリトリスはまさしく感覚の凝固した果実で、シオンはそこへ触れられる度に内側から
泉のように熱い蜜を溢れさせる。
 口の中にぽたぽたと熱したジュースが滴る。
 白い太腿が頼りなく震えて、しつこく愛撫される尻がふるりと揺れた。

「はぁ……はぁ……んッ、し、き――――」

 耳を澄ますと、シオンの荒い息遣いが聞こえる。
 その、飾り気のない人間らしいリズムは、どんな歌よりも心に深く浸透する。
 忙しく高まる呼吸。目の前にあるシオンの最も女性的な部分。鼻腔に入ってくる汗の香り。
どれもがあまりに欲望を刺激する。
 視覚も、聴覚も、嗅覚も。全身が肉の欲望で燃え上がる。
 そろそろホンモノの獣に変わってしまいそうだ。
 だから、その前に。
 駄目押しと言わんばかりに、濃厚なキスを重ねた秘裂を思い切り吸い立てた。

「あ――――んっ、あぁぁぁっ……!」

 緊張が弾けたのだろう、シオンは蕩けきった悲鳴とともに軽い絶頂を迎えた。
 勢い良く蜜が溢れて、喉を潤してくれる。
 でも、全然足りない。
 身体じゅう乾ききっている。
 シオンを高めている間、濡れそぼった秘裂を見てずっと考えていたから。
 早く、一刻も早くこの中でシオンと繋がりたい、思う様貪りたいと。
 本当に、今夜の欲望はどうかしている。
 盛りのついた猛獣か何かになってしまったような気分だ。
 ――――でも、シオンはどうなんだろう。
 俺はセックスの経験が豊富というわけじゃないけど、シオンに比べれば場慣れしている。
 だから、不安とか焦りとかはほっぽりだしてこんな風に夢中になれる。
 対してシオンはお世辞にもこういった男女の機微に通じてはいないし、セックスへの色
々な感情はあるんじゃないだろうか。
 不意に冷静さを取り戻して、ひょっとしたら先走ってシオンを引き摺りまわしてしまっ
たんじゃないかという不安が背筋を駆け抜ける。
 スカートの中から抜け出して、まだ息を整えられないシオンに恐る恐る尋ねる。

「あの、シオン。……今、何を考えてる?
 怖いとか、荒っぽすぎるとか、俺、ちょっと好き放題しすぎたかなって――――」

 言葉は、びし、と突き出された人差し指に遮られる。
 シオンは小さく首を振って、

「疲れも、恐れもありません。
 今考えているのは、志貴のことと――――いやらしい、ことです」

 そう言って、悪戯っぽく微笑んだ。
 


                   

                                      《つづく》