閉じられた薄暗い部屋の中に、二人の女の荒い息遣いだけが響く。
 一人は快楽と消耗のため。
 そしてもう一人は快楽と興奮のためであった。
 二度目の排泄は殆ど水であり、汚れていた床を洗い流していた。
 更にキャスターによって制御された水球によって洗われ、床にもセイバーに
も汚れの面影は残っていない。

 だが、先ほどまでの出来事は当然洗い流せるものではない。
 セイバーは殆ど抜け殻になったようにぐったりとし、キャスターは既に秘所
をぐしょぐしょに濡らしていた。
 しかし、宴はまだ始まったばかり。更に多くの愉しみがこの先にはある――
――。
 それを想うだけで、キャスターは身震いを止めることが出来ない。無論、悦
びのためである。

「……さあ、まだ始まったばかりよセイバー。これからたっぷり時間をかけて、
もっともっと貴女を可愛がってあげるわ……」

 そういってキャスターはセイバーへと口付ける。


「んっ……ぁ……、ん………」


 もう抵抗する気力も無いのか、それとも完全に放心しているのか。
 セイバーはキャスターに逆らわず、自然に唇を重ねていた。
 唇が触れ合うだけだったそれは、次第に舌を絡ませあう行為へと発展してい
く。

「ぁ…は、ちゅ、……んっ……。貴女の、おいしい……」

 恍惚とした表情で、うわ言のように呟くキャスター。
 そして更に激しく舌を絡めていく。

「は……ん、んっ……ぁ、ん………」

 セイバーもそれに対抗するかのように、舌を絡めていく。
 この時にセイバーは気付いていたのだろうか。
 あれだけ自分を苦しめてきた原因である令呪の縛りが、殆ど薄らいでいるこ
とに。
 当然それは、令呪の支配が緩んだからではない。

 ……縛りに抵抗しなければ、受けて入れてしまえば、苦痛などが発生する事
はないのだから。

 そうして数分が過ぎ、やっと二人は離れた。
 最初の段階よりも更に、息遣いは荒くなっている。
 一つ違うのは、その原因が二人とも『興奮』であるということだけ。

「……セイバー。貴女を縛っている私の魔術を解くわ。そうしたらドレスを脱
いだ後に、壁に向かって手をついて四つん這いになりなさい」
「…………は、い……」

 半ば夢見心地のセイバーは、殆ど反射的に答える。
 まるで、本能で快楽を得る術に従っているかのように。
 背中のボタンを一つ一つはずし、腰にあるリボンを解くと、ドレスは簡単に
脱げた。
 白いガーターを身につけただけの姿は、むしろ全裸よりもいやらしく、自分
の興奮を高めていく。
 そしてそのまま壁に手をつき、指定された通りの格好になった。

「足をもっと開いて。……そう、お尻を高く上げなさい。よく見えるようにね
……」

 艶の篭った声でそう言いながら、キャスターはブラとショーツを外していく。
 こちらも黒いガーターをつけただけの姿になり、その白と黒の対照的な姿は、
とてつもなく蟲惑的であった。
 そしてセイバーの後ろまで来ると、膝立ちになってセイバーの秘所へと顔を
近づけていく。

 先ほどの長いキスのせいか、セイバーの秘裂はとても濡れていた。
 刺激した肛門は若干赤くなっていたが、今はすっかりと閉じた蕾になってい
る。
 そんな様子をよく見ながら、キャスターはセイバーへと話しかける。

「綺麗な薄桃色ね、貴女のココは……。お尻の穴も、同じ……。
 毛は薄めなのね……クリトリスも、また小さい……。
 でも、もうびしょびしょになってるわよ……」
「だめ、です……そんな、ことを、言わない、で………!」

 それを聞いたセイバーの顔に、どんどん血が上ってくる。
 肉体がどう反応しようとも、羞恥心だけは無くなる事は無い。
 当然、性交の経験が無いセイバーにとって、自身の「女」としての部分を詳
細に語られることは、何よりも耐えがたき事だった。
 だがそれに反応するように、セイバーの秘所は更に濡れ、淫靡さを増してい
く。

「ん……もうダメ、我慢できない……。貴女のココ、おいしそう……」

 そういってセイバーの尻に手をかけ、割り開いていく。
 閉じていた蕾が広がり、また開かれていく様はとてもいやらしいものだった。

「ひ、広げては、だ……めっ………」

 懇願ももはや懇願として聞き入れられることは無い。
 キャスターはそのまま、愛液に濡れたセイバーの秘裂を舐めあげる。
 瞬間、セイバーがまるで電撃が走ったかのように震える。


「ひっ……く、ん……! や、そ、そんな、だめ、きたなっ……!」


 その声を無視して、丁寧に丁寧に舐めあげていく。
 更に、まだ包皮に包まれているクリトリスを舌で刺激する。
 その瞬間、セイバーの身体がびくっ、と動いた。

「はっ……や、だめ、そこ……お、かしく、なっ……!」

 言葉が終わらないうちに、今度は舌を膣内へと侵入させる。
 まだ何物をも受け入れたことの無いそこは、舌であろうとも容易に入ること
はできず、更に内壁によって舌も締め付けられてくる。
 深いところまでは入れられないと悟ったキャスターは、入り口付近を丹念に
刺激する。

「そ、そんなに……同じと、ころ、ばかり………っ!」

 次々に染み出てくる愛液を、キャスターはごくん、と嚥下する。
 それに気付いたセイバーは、羞恥と興奮の為に顔を真っ赤にしていた。

「そっ……そんなもの、を、飲む、なんて……」
「んん……貴女のお汁、とっても美味しいわね……。ずっと飲んでいたいくら
い……。
 だけど、そろそろメインディッシュにいかないとね……」

 そういってキャスターは、秘裂の更に上にある窄まりに舌をあてがう。

「なっ―――そ、そこは、そこは汚い! 止めて下さい、キャスター!」

 だが、その声も虚しく。
 薄い桜色の、普段は絶対に人目に触れないであろうそこに、

「は……あ、うっ、や、はいっ、はいって、くる……っ!」

 指や水ではなく、他人の舌が侵入していった。
 そしてその中で舌先を動かしてみると、それに応じるようにセイバーの身体
が跳ねた。

「あ、う、ひぃっ……うご、か、さ、ない、で……っ!」
「ん……ちゃんと綺麗になってるわね。それに、濡れてる……これなら大丈夫
ね」


 そういって一度、セイバーの股間から顔を離す。
 少し離れてみると、セイバーの膝ががくがくと震えているのが見えた。
 身体中が赤く色づき、呼吸も荒い。

「ふふ、もうしっかり準備はいいみたいね。
 ……でも、これからもっと刺激が強くなるんだから、気をしっかり持たない
とダメよ?」

 嗜虐的な笑みを浮かべたキャスターも、息が荒く身体は火照っている。
 そしてその手にあるモノは、最初にセイバーに見せたあの魔具であった。


「さあ、行くわよセイバー。……しっかりと身体を支えてなさい」


 そういって先端の真珠を摘み、セイバーの蕾にあてがい力を込める。
 つぷ、という音とともに難無く玉はセイバーの中へと侵入していった。

「ひっ………うんっ……! ……や、だめ、あ、ああ………」

 一つ、また一つと、真珠がセイバーの中へと入っていく。
 玉が入るたびに、言いようの無い異物感と快楽が押し寄せてくる。
 段々と大きくなっていく玉に比例するように、セイバーの声のトーンも苦し
げに、しかし確かな艶を含んだまま高くなっていった。

「もう……これ、以上は……っ、はい、ら、ない……っ!」
「あら、弱音なんて貴女らしくもない。
 まだ半分と少ししか入ってないわよ。もっと頑張りなさいな」

 右手で掴んでいた玉を今度は左手で押し込みながら、キャスターは右手を振
り上げる。
 そしてその手を――セイバーの尻に叩きつけた。

「あひっ――――――!」

 突然の痛みに、セイバーは甲高い声をあげる。
 白雪のようなそこが、みるみると赤く染まっていった。
 そして間髪いれずに、今度は左の尻を平手で叩く。

「主人に意見をするような悪い子には、おしおきをしないとダメね。
 ……ほら、ちゃんと飲み込みなさい」

 右、左、右、左と止まることなく平手を叩きつけていく。

「いたっ、いっ、あっ、やっ、んっ!」

 もはや涙声に近い悲鳴が、聖堂の中に木霊する。
 キャスターは平手打ちを五往復程してやっと手が止めた。
 しかし何度も叩かれた尻は真っ赤になり、痛々しいほどに腫れていた。

「無様ね、セイバー。お尻の穴を真珠で犯され、尻を叩かれ涙を流す。
 ……『剣の英雄』が聞いて呆れるわ。騎士の誇りとやらは何処にいったのか
しら?」

 今度は言葉でセイバーを責める。
 扇情的な光景と、今セイバーをいたぶっているという快感で、キャスターの
声にも震えが走る。
 先ほどまで尻を叩いていた右手は、いつの間にか自分の秘所に伸ばされ、自
分の快感を高めようとしていた。

「くっ…………うっ……」

 全てが事実なだけに、セイバーは何も言い返せない。
 それどころか、キャスターに叩かれた部分が疼き、異物が入ってくるという
嫌悪感すらも、今のセイバーは『快楽』として感じていた。
 それは令呪に縛られた身体ゆえか。それとも、


―――セイバーの精神に、何らかの変化が起こってきているのか。


 そのことに、セイバーは気付かず――ただただ、荒い息を吐き出すだけであ
った。

 そういうしているうちに、まだ入っていない真珠は一つだけとなった。
 だが最初は一センチに満たなかった玉が、今は三センチに近くなっている。
 今まで入れられた真珠で広がることには慣れているとはいえ、流石にこの真
珠は簡単に飲み込める大きさではなかった。

「さあ最後の一個になったわよ、セイバー。でも、この大きさを無理矢理入れ
ると裂けてしまうかもしれない。そんなのは嫌でしょう?私だって、そんなこ
とで貴女を傷つけても愉しいわけではないし。
 だからこれを入れるには、貴女の協力が必要なの。わかるかしら?」

 右手で自分の秘裂を犯しながら、キャスターはセイバーへと囁きかける。

「…………は、はい……」

 弱々しい声で、セイバーが返事をする。
 それを聞いて、キャスターは更にセイバーに囁く。

「そう、いい子ね……。
 貴女は少し力を入れすぎているから、まずは力を抜いて。
 そして―――自分の両手で、お尻の穴を広げなさい」

 それは更に屈辱的なポーズになれ、という命令であった。
 普段のセイバーなら、絶対にそんな命令は受け付けなかっただろう。
 更に責められる前のセイバーなら、令呪の命令でなければ聞かなかったかも
しれない。

 ―――だが、セイバーは素直にその命令に従った。

 壁についていた手を、自分の尻へを伸ばす。
 すると当然、身体を支える手がなくなるため、セイバーの頭は下がることに
なる。
 そうなれば、セイバーの視界に見えるのは。

「――――――っ!?」

 キャスターの肢体と、己の秘所であった。
 今までは壁を見て、必死に耐えていればよかった。
 だが、これでは『自分が今されていること』をどうしても見ることになって
しまう。
 それに耐えられなくなったセイバーは目を閉じて――

「ダメよセイバー。しっかりと目を開いて見なさい。
 ――自分が今、何をされているのかをしっかりと、ね」

 荒い息を吐きながら、キャスターが命じる。
 そんなキャスターを見つめたセイバーは、その言葉に従った。
 というよりは、明らかに発情しているキャスターを見て、目を離せなくなっ
たというべきだろうか。
 それほどにキャスターの肢体は蟲惑的であり、そしてその姿が自分と重なっ
ていく。

(……私も、あんないやらしい顔をしているのだろうか……?)

 それを思うと、身体の火照りが一層強まった気がした。

「ふふ、本当にいい子ね、セイバー。
 ……じゃあ、ご褒美に最後の一個を入れてあげる……」

 キャスターは右手を自分の秘所から離し、指についている愛液を真珠に塗り
つけた。
 ぬらぬらと光るその真珠を、セイバーの蕾に押し当てる。


「さあ、これが入ったら準備は完了よ。
 ……魔具として作られたこれの、本来の使い方を試してあげる。
 ふふ、愉しみでしょう?」


 キャスターの右手に、力が篭る。

「あ、ああ、ああああ……」

 丁度半分まで入った真珠は、今までの抵抗が嘘のようにするりと吸い込まれ
ていった。
 最後に残ったのは、直径三センチほどの輪っかだけである。
 その輪を指先に引っ掛け、キャスターはセイバーへ話しかける。

「ついさっき説明したことを覚えているかしら?
 これは処女の魔力を吸い出すもの。それはもちろんサーヴァントである貴女
にも有効よ。
 ただし、吸い出す量は対象の持つ魔力量に比例するの。そして魔力を吸収さ
れる時には、脳が苦痛をやわらげるために快楽物質を分泌するわ。
 ……さあ、貴女が魔力を吸収されるときは、どれほどの快楽になるのかしら」
「…………そん、な、コト……」

 キャスターに次ぐほどの魔力を、セイバーは持っている。
 それはつまり、恐ろしいほどの快感に、自分の身がさらされるというコト―
―。

「もちろん、吸い尽くしたら貴女は消えてしまうから、その辺は私が制御する
けれど。
 ……狂わないように、頑張って頂戴」

 その顔に浮かぶのは、実に愉しそうな―――微笑。

「っ! や、やめ―――」
「"****(透糸、固定)"」

 懇願の声を、容赦なく遮る魔術発動用の呪文。
 その瞬間、真珠の一つ一つがセイバーの身体に『根』を下ろした。
 無論物質的なものではなく、魔力で編まれたものである。

「さあ、これからこの魔具を引き抜くわ。同時に、貴女の魔力も引き抜かれる。
 ……単純な肉体の快楽と、魔力によって引き起こされる快楽に耐えられるか
しら?」
「―――――――――」

 恐ろしい。
 自分がこの後、どうなってしまうのか。
 もしかすると、自分という存在が、理性という最後の砦が。
 ガラガラと音を立てて崩れてしまうかもしれない――。


「さあセイバー、覚悟はいいかしら?
 前人未到の快楽を、とくと愉しみなさい」


 そうして、セイバーの中に入った魔具が引き抜かれていく。


「はぁあああああああああああああああああ!!」


 一瞬にして達する。
 玉が一個抜けるたびに、恐ろしいほどの快感が押し寄せてくる。
 そして、その波は止まる事がなく、何度も何度も絶頂を迎える。


 最後の真珠が引き抜かれた瞬間、

 セイバーは完全に意識を失った。




(To Be Continued....)