「秋葉様」

 琥珀はそういって荒縄を取り出す。
 その縄をみるたびに、わたしのオンナが疼く。
 なんて淫らな、などと思っても、わたしはその縄に心が縛られていく。
 肌をつつくような痒みと痛みと――そして悦楽を与えてくれる縄を見つめるのであった。



華 雅 魅 (み)




 わたしはこの時決まって、襦袢を身につける。
いつもは洋服なのに、なぜかこのようなあさましい姿になるときには決まって和服を選ぶ。
和服を着付けすることによって、わたしはいつもとは違う自分というものを許容しているのだろう。
 ――そう思う。
 消灯時間も過ぎ、屋敷からは不必要な灯りが消える。
この広大な屋敷でたった4名しかいないということを改めて強調するような、薄暗くもの悲しい世界を形成する。
 ほんの――ほんの1年もみたない前はここにはたくさん人がいた。
 親戚の人――まぁその中にはわたしの「元」婚約者も含まれていた――も、使用人も多くいて、にぎやかだった。
消灯時間といっても、廊下などの公的なところが落ちただけで、部屋部屋には光と声が満ちており、また使用人たちもパタパタとあわただしく動いていた。
 でも兄さんが戻ってくることが決まったため、わたしは彼らを追い出した。
 わたしが当主だから、といって彼らがさがる理由など何もない。
 いくら当主といっても法律的にはまだ未成年であり、この土地も何もかも他の管理人――まぁこれも親戚なのだが――が管理運営し、わたしは住まわせて貰っているだけ――そういう言い方もできる。
 いくら遠野グループの長女とはいえ、何もかも右から左と動かせるわけではない。
 わたしにあるのは当主という「肩書き」のみ――。
 この遠野家は鬼種の血脈である。
 鬼、なのである。
 それをもっとも表しているのは「軋間家」である。
あの長男――この屋敷に逗留していた――はまったきの鬼、灼熱の紅赤朱である。しかも反転していない。
 わたしも血が濃く、紅赤朱である。反転しかかったが、兄さんが止めてくれた。
先祖の鬼という血を色濃くひいた異形の者――それがわたしである。
 人――ではない。
 だから、社会一般においてはただの小娘でしかないわたしは、遠野の血という点からみれば当主にふさわしかった。
 遠野という名と遠野の血、これによって、わたしはこの血族の当主となった。
 けっしてグループの頂点にたつような存在ではない。
 わたしは――遠野の血脈の上にたつ、反転した者を処罰するという役目を持つ者。
 反転した者を殺せるだの『力』を持つ者。
 人――ではない者。
 だから、父はわたしを厳格に教育した。
 あれは遠野というためではない。ただのお嬢様だから、とか家柄だから、ではない。
 「鬼」ではなく、人として生きるため――そのための教育である。
 反転しないように、ときつく精神を鍛え、人間なのだと思わせる為に――。
 でもわたしはやはり紅赤朱で――檻髪の鬼女、なのである。
 父が死亡して、わたしは兄さんを呼び戻した。
 わたしが人間として生きることを示してくれた、いつまでも守ってくれると誓ってくれた兄さん。
 父がしてくれた教育よりも、その思いがわたしを人間たらしめた。
 心の奥底にある暖かい情と――そして兄さんと共有する命。
 それがわたしが「人間」に留めされてくれたすべてである。
 だから――わたしは逗留していた親戚のものをすべて追い払った。
 いったとおり「当主」だからという理由ではない。
 わたしが兄さんを呼びたかったからである。
 兄さんは――遠野の鬼ではなく、七夜という一族。
 魔を狩る者たちの末裔。
 七夜の血が反応しそうな刀崎家や軋間家などがいては、どうなるかわからない――だから出ていってもらった。
 まぁついでにあの婚約者にも出ていってもらえたのは、とても助かったと思う。
 翡翠が困っていたし、何より、あういう人と一緒に過ごすのはとても辛かった。
あれだけ血が薄い――それは人間であること――ということは兄さんと過ごせるということ。
 あの血の薄さは正直羨ましかった。
 でもわたしは遠野家の生まれ――鬼の血を色濃く引いている。
そうわたしは賭けた――兄さんが、七夜ではなく、兄さんとしてわたしを守ってくれることを。

 その賭けには勝ったが、半分以上負けた。
 兄さんは一人の女性として琥珀を選び、わたしを「妹」として愛してくれると誓ってくれた。
 ――まぁそれでもいいと思う。
 それでも、わたしは兄さんと一緒にいれる、このことが嬉しかった。
 でも、それでも琥珀は羨ましかった。
 ひとりの女性として兄さんに愛される――それはわたしが夢見たこと。
 そしてその琥珀はわたしの使用人――笑ってしまう。
 なんて皮肉。
 これが――罰なのかもしれない。
 でも――それでもいいと思った。
 兄さんといられるならば。
 そしてつい琥珀と兄さんについて話してしまう。
 兄さんのこと。
 琥珀しかしらない「男性」としての兄さん。
 あの抜けていてぼおっとして規律正しい生活もできない兄さんではなく――。
わたしの檻髪にも立ち向かい、一人の男として琥珀のために戦った、雄々しい兄さん。
 いつのころか、わたしは琥珀に依存していた。
 また琥珀に迷惑をかけるのね、などと殊勝なことを思っても。
 依存する心地よさに溺れていった。
 琥珀はなぜかよく――その……閨のことを口にする。
 最初聞いた時はなんのことだかわからかった。
そのうちに兄さんとの逢瀬であることがわかるとそれ以上言わないように止めた。
なのに、次の日にはそのことをもっと尋ねてしまうわたしがいた。

 なんて――無様。
 なんて――愚か。

 兄さんと兄妹として過ごすといったのに、ひとりの男性として見てしまう女のわたしがいた。
 聞くこと――兄さんとの逢瀬、その愛撫、その口づけ、その手先、その嬌声、そのたくましさ――それに魅入られていった。
 いつしか、琥珀の話を心待ちにしていた。
 兄さんはわたしを「妹」としか見てくれない。
 でもわたしに兄さんを「男性」として見てしまう。
 だから――。
 つい聞き入ってしまう。
 想像してしまう。
 兄さんと結ばれるオンナのわたし――。
 なんて、あさましい。
 妄想というべきなのに。
 でも――求めてしまっている。
 男性としての兄さんを追ってしまう、思ってしまう。
 はしたない、と思っていても。
 求めてやまない。
 たぶん――この思いは8年前から続き――そして生涯、身が滅びるまでくすぶり続けるのでしょうね。
















 なんて――未練。
















 でも思いを変えようがなかった。
 わたしが反転しないのは――兄さんのおかげ。
 ――この思い
    この情
    この熱のため――
だからなのでしょうね。
 わたしは琥珀に溺れていった。
 琥珀も受け入れてくれた。
 どちらともなく、わたしは琥珀に溺れ、琥珀は溺れるままにしてくれた。
 だから――わたしは襦袢を着付けして貰う。
 これによっていつもの自分――そう「妹」――ではなく、兄さんを思うひとりの「女性」になる。
 そして琥珀はわたしを愛してくれる。
 たぶん――兄さんの代わりを求めてやまないわたしのために。
 そして今夜も……。
















「では」

 琥珀は縄をもって、襦袢一枚になったわたしの前に立つ。
その宝石色の瞳は妖しく煌めいていて。

「ではまずは大きく股を開いてください」

その直接的な言葉がわたしを辱める。
今の私は下着などつけていない。
なのに琥珀はにっこりと楽しそうに言う。

「さぁ早く――秋葉様」

わたしは目を閉じると、そっとかがみ込み、太股を開いていく。
 ゆっくりと開いていく。
 体が熱い。
 火照っている。
 そして太股を開ききる。
閉じたいはずなのに、わたしは見せつけるように大きく開いてしまう。
あそこをさらしているというのに、でもやめることはできない。
 琥珀はあそこを見つめている。
視線がわたしのオンナに向いていることがわかる。
 その視線がわたしを貫いているかのようであった。

「もぅ濡れていますね」

 羞恥で破裂しそうになる。
 身悶えする。
 アソコに熱が集まり、体中へと広がっていく。
 でも腰の奥は熱くどろどろにとけたものがあり、そこからふつふつと何かがわき上がってくる。
 こうして琥珀はわたしを嬲る。
 兄さんが愛した女がわたしを嬲る。
 兄さんに抱かれたオンナが兄さんを思い乱れる女を嬲る。
 呼吸が荒い。
 肩で息をするようである。
 熱く甘い電気がぴりぴりと全身を駆け抜ける。
 期待を込めてわななく。

「ふふふ、秋葉様」

 琥珀の視線が全身を舐めるようにしていく。
 でもわたしは琥珀のいうとおり、まだあそこを曝したまま。

「ではまずは自分をいじって下さい」

 なんてことを言うのでしょう
 でも――わたしは逆らえない。
その言葉に打ち震える。
ただただ従うばかり。

 なんて――淫らな。

 ゆっくりと自分の指をあそこに這わせる。
恥毛をかき分けて、そっとゆっくりと伸ばす。
その近くでもう熱く潤んでいるのがわかる。
熱が指先にかかり、麻痺していく。
 すっかり濡れていた。
とろりとした雫が花弁からあふれようとしていた。
 そっと肉襞にふれる。
 熱くねっとりとしたものが体を走る。
左手で花弁を押さえ、右手でそっと花心を撫でる。
それだけでとろけていく。
 声が漏れる。
 酔っていく。
 どろどろのオンナが淫らに咲き誇って、強く快楽を求めていた。
 熱く滾った滴がとろりとこぼれてきて、強いオンナの香りがする。
 その花をいじる。
 ねちゃりと淫水の音がする。
 その音がとても大きく響いて、
 その音が琥珀に聞かれていると思うと、
さらに滴が奥がこぼれてくる。
 何度も上下にこする。
 今さっきまで麻痺するようなニブい感覚だったそれは、甘く強くなり――。
 そしてとろけされてくれる。
 奥から内蔵がとろけて出てきそうである。
 淫らな嬌声を上げながら、わたしはただ指でこすり上げる。
 膣の周囲を軽くそして強く。
 そして上の陰核にふれると――今さっきまで走っていた電気がスパークする。
 その快感をもとめて、何度もその宝石を転がす。
 とろりと蜜がどんどん分泌されてくる。
 指がどんどんぬれてくる。
じわじわとした官能の高まりにあわせて、クリトリスをつまむ。
 つまんだ指先を、振動させ、こすりあげる。
 全身を緊張させてよじってしまう。
 わたし滴る涎を舌で拭いながら、喘ぐ。
 悦楽から逃れようとして
 悦楽にもっと溺れようとして。
 背筋を幾度となく、震えが走る。
 膣の回りを撫でるだけで指は入れない。
 ここは兄さんのもの、という意識がどうしても拭えない。
 だから何度も撫であげるだけ。
 それだけだとわたしは物足りない。
 どうしてもとどかない。
 あそこにいきたいのにどうしてもいけない。
 あの真っ白で何も考えられない、脳までも溶けていくような快感に浸りたいのに――。
 どうしても指だけではイけない。
 男性を求めて、淫乱に開発されたわたしの体はそれだけでは物足りないのだ。
 甘いスパークが何度も脳髄を灼く。
 でもそれではいけない。
 そんな小さな火花ではわたしをあそこまで押し上げてはくれない。

すると琥珀はわたしの手を握る。
もっといじりたいのに止めてしまう。
止められてしまった悦楽のうねりがわたしを苛む。
びりびりと躰を苛む。
熱い吐息を漏らしてしまう。

「駄目なんでしょう――秋葉様」

わたしの心を読むように囁く。
羞恥に狂ってしまいそう。

「だからこれがあるんですよ」

そういって荒縄を見せつけるのである。
肌をつつくような痒みと痛みと――そして悦楽を与えてくれる縄。
イきたくてもいけない、このむず痒さに狂ってしまいそう。
その縄が与えてくれるあの高みが、淫楽が、わたしを狂わせる。

琥珀は素早くわたしを縛り上げる。
胸を絞り上げ、腕を後ろ手で縛り、首と股に巻き付ける。
わたしの慎ましげな胸をしぼりあげ、淫らに拘束する。
腕は縛られ自由がきかない。
首と股にあのちくちくとしたものがこすりつけられる。
もっと快感が得たくて股を擦りあわせてしまう。
 これがなんていう縛りだか知らないし、知りたくもない。
だたこれがわたしに愉悦を与えてくれるコトだけを知っている。
 襦袢が乱れたまま縛られたわたし。
 これは
 ――遠野家
    鬼女
    そしてオンナ―― それらに縛られている、わたし。

「似合っていますよ」

琥珀はそういうとわたしの後ろに回り込む。
期待に打ち震える。
最初に後ろのお尻の穴をいじることをいったのは、
わたしなのか――。
琥珀なのか――。
すでに覚えていない。
オンナをどうしても散らしたくなくて、でもイきたい、上り詰めたいわたしにとって、そこは快楽の源だった。
 あぁ
 たぶん――わたしが求めたのね。
 お尻の穴をいじって、と。
 はしたなく、けっして人に見せては行けない背徳なる場所を
 曝して
 いじってもらって
 そして涙を流して喜ぶ
 いやらしいオンナ。

 琥珀はわたしの後ろのすぼまりに指を伸ばす。
 おしりの間をそっと滑らせて、まるで愛撫するよう。
 その感触に、期待をよせるわたし。
 おねだりしてしまいそうになる。
 最初は冷たいローションの感触。
 擦られると痛い。
ヘンなむず痒さと痛みが背筋を走る。
でも同時にジンジンとした気持ち良さが広がってくる。

「もぅ秋葉様――こんなにひくつかせて」

わざわざ言うのだ。わたしを羞恥で高ぶらせるために。
 そしてゆっくりともみほぐす。
やがて、痛いのか気持ちいいのかわからなくなって。
ぽってりとした淫らな熱さがお尻の奥に生まれてくる。
それは前の秘所と呼応して高まり、さざ波となってわたしの躰を駆け抜けていく。
駆け抜けるたびにわななく。
アソコが熱く疼いて、疼いて……。
熱い滴が女陰からこぼれ落ちる。
こぼれた蜜は滴り、内股をてらてらと濡らす。
我慢できなかった。イキたくて、たまらなくて、恥ずかしさも忘れて。

「お願い……琥珀……お願い」

ひくつくお尻の穴をもっといじって欲しくて、ねだってしまう。
 そっと指が入ってくる。
その圧力に。
その痛みに。
その気持ちよさに。
 長く熱い吐息を吐く。
 躰が震える。
そして指がゆっくりと前後に動き出す。
粘膜がこすられる。
  気持ちいい。
恥ずかしい穴が広げられる。
  気持ちいい。
腸液がもれ、ぬちゃぬちゃとイヤらしい音をたてる。
  あぁ、気持ちいい。
  たまらない。
  頭が真っ白になっていく。
  躰がぐにゃんぐにゃんになるほどの強く甘い疼き。
 それが静まって。
 いえ、それが全身に広がって。
 全身を甘く疼かせて、
 頭も躰も、心も、魂も、すべてを
 ぐにゃんぐにゃんにさせる。
 とろとろにさせてくれる。
 あるのはこの背徳めいた官能だけで
 生臭いオンナの香りにむせぶ。
 乳首は痛いほど、とがっている。
 アソコからどんどんイヤらしい液がもれる。
 喘ぐ。
 我も忘れてただかの快楽の中に沈んで溺れていく。

 突然指が抜かれる。
 高まってきたわたしは、たまらなくて、はしたなくおねだりしてしまう。

「もっと……もっと……お願い……」

 軽やかに笑う声。
 その声の冷静さがわたしを嬲る。苛む。
でも、わたしはお尻をふって、せがむばかり。

 すると、入ってきた。
 頭が真っ白になる。

「どうですか、秋葉様?」

返事することもできない。
ただただ悲鳴をあげるだけ。
 指よりも大きいそれは、わたしのお尻を広げてみっちりと入ってくる。
 はしたらない場所が埋め尽くされるこの快感――。
 突然の刺激に何も考えられない。
 涙で目の前がかすむ。
 酸素を求めて口を大きくパクパクさせる。
でも息ができない。
 あまりにもつよい刺激に、わたしの躰は蕩けてしまっていた。
 もしかしたらお漏らしをしてしまったのかもしれない。
 その張り型はわたしの菊門を貫き、中をねとねとに掻き回し、暴れ回る。
 腸壁をえぐられ、内蔵が圧迫される。
 でもそこからは魂さえも消し去ってしまう、まっ白な快感だけがあって。
 あまりにも強すぎる快感に怯えて逃げようとする。
 でも逃げたくても縛られていて逃げられず。
 苦痛なのに――たまらない。
 お尻がまるで秘所になったかのようにわななく。
 そのとき、さざ波みたいな痙攣がアナルから伝わってきて、
 それはたまらなくてアソコがヒクヒクして
 幾度も
 幾度も恐ろしいほどの絶頂がわたしを襲い、
 その快楽は果てしなく
 よせては引くさざ波のように
 幾度も……幾度も……繰り返し……
 わたしは喜悦にわななき、メスの獣として叫んでいた。
















「さぁ秋葉様」

気をやってしまって胡乱なわたし話しかける。
躰はまだぴりぴりと痺れていて
快楽のただ中にひたっていた。
その美酒に酔いしれてしまっていて、
動かすこともできない。
何の反応もできない。
なのに、のろのろと動く。
琥珀の言葉に従って。
胡乱なままに。
まだ――縛られたまま。
すると突然目の前が暗くなる。

「……なに……これ……」

「目隠しですよ」
「目隠しって……」

突然のことにおののく。
しかし琥珀は静かに囁くだけ。

「ふふふ、もっと淫らになりませんか、秋葉様」

琥珀の言葉にどきりとする。
もっと淫らに……その声に感応するわたしの中のオンナ。
ひたっていた淫楽の海のもっと深いところまで連れて行ってくれるという、その琥珀の言葉に疼いていた。
 もっと、もっと、もっと奥に……
 なんてはしたなく
 なんて淫らで
 なんていやらしいところへ――と。

生唾を飲み込むと頷いた。
頷いたとたん羞恥に躰が熱くなる。
でもアソコからはじわりと蜜があふれそうになることを感じていた。

「じゃあこのままちょっと散歩しましょう……」

散歩という言葉に震えが走る。
こんな、こんなあさましい姿で邸内を歩く……
 もしかしたら翡翠と鉢合わせに。
 なんて不潔な当主だと思うでしょう。
その翡翠の視線を浴びていると思うと躰がわななく。
 もし……もし兄さんと鉢合わせでもしてしまったら……。
想像するだけでイきそうだった。
わたしの首に何かが付けられる。
そしてぐいっとぴっぱられる。

 ――これは
「……首輪なの」

疑問を口にした。

「そうですよ、秋葉様」

そして薄く笑う声。

「まるでワンちゃんのようですよ……いえ牝犬ですか」

その嬲る声に熱いのがまた秘所からとろりとこぼれてしまう。

「さぁお散歩ですよ、秋葉様」

その言葉と、首をひっぱられる感触に、

どこまで淫らに堕ちていくのだろうか――

 その恐怖と快感に悦び、躰と心をうち震えさせながら
 一歩、踏み出した。

- Fin -
23rd. May. 2002 #29

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