七夜の大冒険(後編の3)(H M:全員? 傾:シリアス?)


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1: Keis (2001/09/09 02:43:00)[keis28c at netscape.net]

注意!
今回18禁描写あります。






−遠野家中庭

 その後、翡翠は秋葉を部屋に連れて行き、シエルとアルクェイドも部屋へと同行、琥珀は後片付け。

 そして志貴は中庭で夜風にあたっていた。

 夜空を見上げると段々欠け始めた月が煌煌と輝いている。

「・・・今日も月が綺麗だ。」

 小さく呟くとジャケットの内ポケットからジタンを取り出す。

 ジッポで火をつけてゆっくりと吸い込むとまたゆっくりと煙を吐き出した。

 先程秋葉に説明した酒を飲まない理由と相反するような気がするが、志貴はタバコを吸っていた。

 さっきの言い訳はまるきり嘘でもないが、実は飲めないからだったりする。

 喫煙は志貴が酒を飲まない代わりに嗜む悪癖なのである。

「吸い過ぎは体に良くないですよ?」

 後ろから声をかけたのは琥珀だった。

「習慣性になるほどは吸ってない。戦闘中に我慢出来ないようじゃ困るからな。」

 気配を感じていた志貴は驚くことなくそう答えた。

 琥珀は黙って志貴の隣に腰を下ろした。

 しばらく二人で月を眺める。

 そして志貴が吸殻をビールの空き缶に入れた後に琥珀は口を開いた。

「・・・志貴さん。」

「ん?」

「先程の件で少しお話があります。皆が寝静まってから庭の奥にある離れに来ていただけますか?」

「・・・判った。」

 志貴はしばらく考えてから頷いた。

 琥珀は安心したようにほっと溜息をついた。

「それじゃ私は後片付けに戻りますから。」

 そう言ってそそくさと屋敷の中に戻っていった。

 志貴はそれを見送って新たに一本取り出すと火をつけた。

ふぅぅぅー・・・

「どうなることやら・・・」





−遠野家秋葉の私室

「やっぱり琥珀って志貴の事狙ってるのかな?」

「どうでしょうね、腹に一物ありそうですが。」

 アルクェイドもシエルも常人より鋭敏な聴覚で志貴と琥珀の会話を聞いていた。

「でも・・・志貴ってスケベだしねぇ。」

「・・・否定はしません。」

 二人はぽっと頬を染めつつ溜息をついた。





−遠野家離れ

「志貴さん、お待たせしました。」

 志貴の方が先に着き待っていた。

 電気もつけず、ただ障子を開け放って月明かりのみに照らされた青白い和室。

 志貴は何をするでもなく、部屋の真中で胡座をかいてただ月を眺めていた。

 膝をついて声をかけてから襖を開けた琥珀は、その志貴の姿を見て動きを止めた。

 なんともいえない静謐が部屋を満たす。

 志貴の姿は儚げで、そのまま蒼い月光に溶けていきそうに見えた。

「志貴さん・・・」

 琥珀の呟き、それに反応したように志貴は琥珀を振り向いた。

「まあ、入れ。」

「・・・あ、はい。」

 琥珀は立ち上がり、志貴に向き合うような位置に裾を捌いて正座する。

「・・・で?」

「・・・志貴さん。」

「・・・・・・」

「私にお情けを頂戴できませんか?」

 志貴は琥珀の顔をじっと見つめた。

 別に言葉がわからなかったわけではない、ただその意図を探るように。

 琥珀の顔は普段の笑顔の仮面を外し、能面のように何も浮かべては居なかった。

「・・・理由は聞かせてもらえないのか?」

「いくつか聞いていただきたい事はあります。」

「ほう?」

「先程のお話ですが。翡翠ちゃんは綺麗な体のままです。」

「・・・妹可愛さ、にしては8歳頃の娘にとって過酷な決断だと思うが。」

 つまり、琥珀は槙久の劣情を受けていたのは自分だけ、翡翠を守るためだと主張していた。

「憎くはないのか?・・・翡翠、が。」

「いえ。」

 琥珀はすぐに、はっきりと言い切った。

「私が憎かったのは志貴さん、あなたです。」





「ほお・・・」

「あの頃、私は槙久様に監禁され部屋の外に出ることすら許されていませんでしたので、ただ窓から外を眺めていました。」

「・・・」

「志貴さんは四季様と秋葉様、それに翡翠ちゃんといつも庭で遊びまわっていました。」

 志貴は何も言わない。

「そして志貴さんは窓辺にいる私を振り返って『一緒に遊ぼう』という目をするんです。」

 琥珀は懐かしむような目をしていた。

「小さな私をひたすら犯す槙久様は浅ましかった。

 何も知らない秋葉様は愚かしかった。

 私のことを気付いていないフリをする翡翠ちゃんには失望した。

 見てみぬフリをする使用人たちは薄情だった・・・」

 琥珀は淡々と言葉を紡ぎつづける。

「それでも彼らは『憎く』は無かった。私は心の中で彼らの事を嘲笑い返していました。」

「・・・」

「でも志貴さん、あなたは憎かった。あなたがあの目をすることで私は外の世界と言うものを意識してしまった。」

 そこで琥珀は唐突に黙り込んだ。

 二人の間にただただ沈黙が広がる。

「で、俺を殺したいのか?」

「・・・え?」

 急に何を言うのか、という目で琥珀は聞き返した。

「箸、皿、グラス・・・俺のものにだけ薬が塗ってあったな。」

「・・・!」

 志貴の言葉に琥珀は体を強張らせた。

「残念ながら気を巡らせていれば体内から不純物を取り除くのは容易い。」

 志貴も普通に喋りつづけた。

「あはー、さすがですね、志貴さん。」

 琥珀も普段の仮面を身に纏った。

「でも私は志貴さんを殺すつもりなんてありません。」

「なに?」

「塗ってあったのは興奮剤です。」

「さっきも言っていたが、何故俺に抱かれたい?」

「私は感応者ですよ? 志貴さんの能力を上げることで私も含めて全員の命を守る、当然の事でしょう?」

 志貴は考えた。

 琥珀の言う事は信じられない。

 ただ抱かれて能力アップを図るなら態々自分が憎かった事など言うまでも無い。

 何かしら魂胆があると考えるべきだろう。

 だがしかし。

 感応の力、これは魅力的だ。

 志貴は今のままでもシエルやアルクェイドと協力すれば軋間ごときに負けるとは思っていない。

 それでもやはり・・・

 志貴は暫く煩悶した後、

「・・・判った。」

 承諾した。





「それでは、失礼します。」

 そう言って琥珀は志貴ににじり寄ると志貴のズボンに手をかけた。

 ボタンを外し、ジッパーを下ろし、志貴が腰を浮かせると同時に下着ごと剥ぎ取る。

「あら・・・」

 そしてそこで一瞬手を止めた。

 琥珀の知る槙久、四季のソレよりも大きなモノ。

「立派なんですね、志貴さん。」

 そう呟くと琥珀は軽く握り、ゆっくりと柔らかくその手を上下に動かし始めた。

 志貴は自分のモノが琥珀の手の内で屹立していく様を暫く眺めていたがやがて琥珀の腰に手を伸ばした。

「・・・え?」

 志貴のモノを弄るのに没頭しかけていた琥珀が一瞬気付くのに遅れ、その隙に志貴は琥珀の体を持ち上げた。

「きゃ!」

 琥珀が可愛らしい声を上げるのに構わず、彼女の頭を基点に180°回転させ、後ろに倒れこみ、そのまま彼女を自分の上に乗せる。

「し、志貴さん・・・?」

 シックスナインの態勢に持ち込んだ志貴は琥珀の着物の裾をめくり上げる。

「ひゃ・・・」

 琥珀が驚いたような声を出し、志貴は漸く声を出した。

「体液の交換、それが目的だろう? 俺ばかり気持ち良くして貰っては気が咎める。」

 そう言っておもむろに琥珀の股間に口を寄せた。

「そんな、志貴さんはそんな事を気にせずに、あぅっ!」

 ショーツを履いていなかった琥珀の性器に柔らかく口付けた志貴の唇の感触に、琥珀は台詞を途中で断ち切られた。

 志貴は琥珀の花弁の外側に羽のような軽いキスを雨のように降らせる。

 琥珀は今までに無い経験に顔を真っ赤にして身悶えた。

 彼女が知るセックスとは強姦及び奉仕の強制と同義である。

 槙久も四季も人形のように琥珀を扱った。

 濡れてもいない性器にねじ込まれるペニス、琥珀は下腹部に力をいれて機械のようにそれを締め上げる。

 そして彼らは琥珀に与える痛みを無視して抽挿を繰り返し、やがて射精して終わる。

 琥珀もそれを当然のように思っていた。

 だが今宵、初めて志貴によってソフトタッチな愛撫を受け、それに電撃を受けたかのように反応した。

 琥珀は自分の体に走る痺れにも似た初めての感覚−快感に恐怖した。

「あ、や・・・し、志貴さん・・・!」

 志貴のモノを愛撫する所の話ではなくなり、琥珀は志貴の上で悶えた。

 あっという間に琥珀の体は興奮によって紅潮し始め、膣内から愛液を分泌し始めた。

 やがて志貴は舌を使って割れ目を舐め始める。

 腰を抑えていた左手を足を抱え込むようにして使って花弁を開き、長年蹂躙されつづけたとは思えぬほどに綺麗な内側をさらけ出した。

「そんな、志貴さん・・・志貴さん・・・あぁ!」

 志貴が内側を舐め上げ、琥珀は背筋がぞくぞくするほどの快感を得た。

 既に彼女の秘所はしとどに濡れている。

「琥珀、かわいいぞ?」

 志貴はぼそっとそんな事を言うと、空いていた右手を下のほうに伸ばした。

 和服の襟から内側に侵入し、やわやわと胸をまさぐる。

 琥珀は志貴の手の動き以上にその言葉に反応して耳といわず首筋まで赤くなった。

 志貴に触れられる前からとっくにその頂きは硬く屹立している。

 だが志貴はそこに直接は触れず、柔らかく全体を揉みつつ先端を和服の内側に不規則に擦りつける。

「あ、あ・・・ん、あふぁ・・・!」

 琥珀は息も荒く、志貴のモノにしがみ付くように快感に耐えている。

 志貴は右手の動きに同調するように舌も左手も蠢かしている。

 人差し指と薬指で露になった秘所にそっと中指を潜り込ませ、同時に優しく優しく包皮から顔を出しているクリトリスにキスした。

「ひっ! あぁあ・・・」

 琥珀は今までしてきたどんなセックスよりも大きな快感に背を弓のように反らし、軽い絶頂を迎えた。

 荒い息をつく琥珀を慈しむように、軽く体を撫で回し僅かな刺激を与えつづける。

 やがて琥珀が落ち着いてきたのを感じると志貴は再び動き始めた。

 右手はさわさわと乳首を愛撫し、左手は軽く抜き差ししつつ、舌でクリトリスをつつく。

「ふぁ・・・あ、は・・・ん」

 琥珀もまた再び悶え始める。

 だが今度は志貴は更にその愛撫を段々激しくしていった。

 乳首をつまみ、爪弾き、琥珀の中に出入りする指のスピードを上げながら彼女が感じる場所を探り当て、クリトリスを舐めまわす。

「あ、あん、あ、は・・・!」

 琥珀の高い喘ぎ声に絶頂が近付いてきたのを悟ると志貴は膣の中に人差し指をも突き入れ、集中的にGスポットを責める。

 同時に乳首を強めに摘みながら軽く捻り、クリトリスを甘噛みした。

「あ、あ、あ・・・あああああぁぁぁああぁああ!!!」

 琥珀は嘗て無いほどの高みに押しやられ、大きく身を反らせると志貴の上にばったりと倒れかかった。

 志貴は大きく肩で息をする琥珀を自分の上から降ろすと向き直って正面から抱きしめた。

 琥珀も志貴に縋りつくように首に腕を絡めた。

 服越しだがお互いの体温を感じあう。

 やがて琥珀は閉じていた目を開くと直近くに見える志貴の顔に真っ赤になりながら恥らうような笑みを見せた。

「わたし、こんなの初めてで・・・」

 志貴は薄い笑みを浮かべながら言った。

「琥珀、セックスとはこういうものだ。互いに高めあうもので一方的に気持ちよくなるものではない。」

 すーっと一筋、琥珀の白磁のような頬の上を涙が流れた。

「あ、あれ? おかしいですね、わたし、別に悲しくも無いのに・・・涙なんてもう無いと思っていたのに・・・」

「お前は人形じゃない。嬉しい時には涙だって流す人間なんだ。」

 その志貴の温かい言葉を聞いて琥珀は涙が止まらなくなってしまった。

「あ、ひっ、し、志貴さん・・・!」

 そして志貴にしがみ付いて声を上げて泣き出した。

 志貴はそんな琥珀を柔らかく抱きしめ続けた。

 外からは虫の声がずっと聞こえていた。





「すみません、志貴さん。」

 暫くして落ち着いた琥珀はやはり照れたように頬を染めている。

「気にするな。」

 志貴は短く答えた。

「わたしばっかり気持ち良くして貰って・・・今度こそ交換しましょうね、体液♪」

 琥珀は明るく言うと体重をかけて志貴を押し倒した。

「あの、志貴さん、その・・・」

 何か、ひどく言い難そうにもじもじとする。

「どうした?」

「その・・・キ、キス・・・して下さいませんか?」

 顔を真っ赤にしての琥珀のお願いに志貴は笑って答えた。

 まずは軽く、そして激しく。

 お互いに舌を絡めあい、唾液を交換する。

 やがて二人が口を離した時、琥珀はうっとりとしており、その腰はもぞもぞと動いていた。

 それと察して志貴はお互いに残った衣服を取り去り、再び琥珀の体を愛撫する。

 今度は胸の脇や臍の周り、脇腹や手足の指先など微妙な位置を。

 琥珀は今度こそ負けじと志貴の乳首を舐め、やわやわと袋を揉みつつペニスを口に含む。

 手馴れた琥珀の口唇愛撫に志貴は呻き声を上げた。

 それを聞いて琥珀は嬉しそうに笑う。

 だが、志貴による最も感じる場所を外した、だが確実に性感を高める愛撫に耐えられなくなり琥珀は股間を志貴の脚に擦りつけていた。

 やがてお互いに高まってきたことを感じ取ると志貴は琥珀を抱え上げてまた顔を合わせる。

 そして目で確認を取ると深く口付けを交わしながら志貴は琥珀の中にゆっくりと入った。

「うむぅうううう・・・」

 志貴の口の中に琥珀の呻き声が響く。

 お互いにきつく抱き合って体を押し付け合い、性感を高める。

 暫くじっとしていたが、やがて琥珀がその細い腰を動かし始めた。

 見る間にその動きは激しくなっていき、琥珀の声から甲高い喘ぎ声が漏れ始める。

「あ、あ、あ・・・はぁ、あん、あ・・・」

 二人の結合部からは大きく粘着質な音が聞こえる。

 志貴も負けじと琥珀の胸や尻をもみしだき、首筋や耳を責め、時に自分から腰を突き上げる。

 不意に琥珀を抱きしめるとごろっと転がり、今度は自分が上になる。

 そして志貴は自分から激しく腰を使い始めた。

「あ、志貴さん・・・志貴さん!」

 琥珀が髪を振り乱して志貴の名前を呼んで志貴の唇を求める。

 志貴がそれに答え、大きなグラインドを繰り返しつつ呼びかけた。

「琥珀、行くぞっ」

 そして大きく琥珀の中に打ち込むと堪えに堪えていたものを解き放った。

 ペニスが琥珀の中で大きく脈打ち、大量に精液をぶちまける。

「ああぁああぁああぁぁぁぁああ!!!」

 同時にその迸りを受けて琥珀も達した。

 そして生まれて初めて感じたこれほどまでの快感に琥珀の意識はすーっと白くなっていった。

 志貴の温もりに包まれながら・・・





「失神したか。」

 志貴は琥珀を静かに横たえると己のモノを抜き出し、琥珀に布団をかけてから座禅を組む。

 道教の房中術に曰く、陰陽交わるを持って和合をなす。

 志貴は今回これを行っていた。

 本来は接して漏らさず、などというが、志貴はその境地にまでは達していない。

 だが、琥珀の感応力と相まって志貴は大きな力が自分に流れ込むのを感じていた。

 そして同時に痛みをも。

「く・・・」

 頭が割れるように痛い。

「なんだ、これは・・・」

どっ・・・

 視界が斜めに傾いで自分が倒れているのを悟りつつ志貴は思った。

(素っ裸でぶっ倒れるのは勘弁・・・)



続く


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