―――その身はただの人間だった。
誇るべき理想を持たず、貫くべき信念も無い。
己を特別だとは夢にも思わず、誰もが凡百の一だと疑わなかった。
胸に抱くは『当たり前の優しさ』と『普通の正義感』。
それは誰もが既に手にしていて、
そして誰もが既に捨てていた。
故にそれらに価値は無く、
だからこそ誰にも汚せない。
その想いは何処にでもある『普遍の光』。
電気でも炎でもなく、ましてや魔力でもない、
それは世界が生まれた時からある輝き。
その心は、
きっと『太陽の光』で出来ていた―――
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―――フェイト/ステイ サンライト―――
■ 第一回 錬金の戦士・冬木市到着 ■
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「みんなが幸せになれればいい」といつも思っていた。
でも、自分はあまり賢くなかったので、
両親の畑仕事を手伝うしかできなかった。
みんな自分をバカだと陰口を言う人もいたけど、別に気にならなかった。
自分ができることを一生懸命すればそれでいいと思っていたから。
でも。
自分が出来る事がバカだから少ないのは、
少し―――哀しかった。
◆ ◇ ◆
―――カズキ視点―――
「―――キ」
ゆさゆさ。と軽く身体が揺すられる感覚。
「――ズキ」
? 誰だろう? 誰かがオレを―――
「カズキ!」
ズビシ!!
「ふぎゃ!?」
いきなり顔面に衝撃と鈍痛。それと同時に霞がかった意識が無理やりクリアになる。
「何時まで寝てるつもりだ」
クリアになった視界の先には怒った顔をしたおかっぱ頭の女の子。
突き出している手の型を見る限り、どうやら顔面への掌底で起こされたみたいだ。
「あ、斗貴子さん。おはよー」
ヒト ツムラ トキコ
この女性の名前は津村斗貴子。
同級生だけど、歳は一つ上の17歳で『戦士』としてはオレの上官にあたる人だ。
以前、【ホムンクルス】という人喰いの化け物から、当時知り合っても無い彼女を庇おうとして
心臓を貫かれて死んでしまったオレ(トホホ……)に【核鉄】を与えて助けてくれた人だ。
そして、オレが錬金の戦士になった後も、迷惑かけたり、助けてくれたりして
ホントにこの人には頭が上がらない。
いつか、この人を支えて助けてあげられるぐらい強くなりたいなぁ……
鼻から頬にかけて一文字の傷がチャームポイント。なのに本人はそうは思って無いみたい。
……不思議だ。カッコイイのに。
「『おはよー』じゃない。目的地に着いた。さっさと降りないと乗り過ごしてしまうぞ」
「え? ……あ、そっか、今オレ電車に乗ってたんだっけ」
そう。
オレは【錬金の戦士】の本部からの指令でヨーロッパから冬木市に向かったとかいう
ホムンクルスを探し出すため、電車に乗ってやって来たんだ。
「はぁ…。いいから降りろ。戦士長はもう既に降りて待っている」
そう言って斗貴子さんは呆れた顔をしながら立ち上がって電車から降りてゆく。
「あ、待ってよ斗貴子さん」
慌ててオレもそれに付いて行く。
オレの名前は武藤カズキ。今年で17歳になる【錬金の戦士】。
破損して使い物にならなくなった心臓の代わりに【核鉄】を胸に埋める事で生きている、
未だ半人前のへっぽこ戦士。
戦士長・ブラボーはオレを【戦士】と認めてくれたけど、二人に比べたら、
やっぱり『まだまだ』という感じは拭えない。
一人前を目指して、目下特訓中の身であります。
「よし、全員ブラボーに揃ったな?」
腰に手を当てて駅前で待っていたのは俺達の戦士長でリーダーでもある、キャプテン・ブラボー。
シ ル バー ス キ ン
いつも武装錬金【銀色の戦闘衣】に身を包んでいる、『常在戦場』を地で行く人だ。
ちなみに本名は秘密。理由は『その方がカッコイイから』。
前に「オレもブラボーみたいなカッコイイ別名でやってみたい」と、斗貴子さんに話したら0.2秒で却下された。
う〜む……何でだろ? カッコイイのに。
やっぱり女の子だからカッコよさの基準が違うのかな? などと考えてたら……
「ん? カズキ、キミ―――」
そう言って斗貴子さんが急に俺の顔を覗き込んできた。
あ、そんなに近づかれるとなんだか気恥ずかしいんだけど……
……ああ、やっぱり斗貴子さんは綺麗だなぁ。
顔の傷もこの人には醜悪じゃなく、むしろこの人の意志の強さを引き立てているようで美しいとさえ思う。
その綺麗な斗貴子さんがオレの目を見ながら告げる。
「カズキ、涎の後が顔に口の周りについてるぞ」
「うえぇ!!?」
ぐはぁ! なんてこった! そんな顔をじっと見られてたの!?
慌てて袖口で口を拭こうとすると、
「ああ、待て待て。ちょっとじっとしてろ」
そう言って斗貴子さんはポケットからハンカチを出してオレの顔を拭ってくれた。
あ、なんかハンカチの清潔的な匂いが気持ちいい……
「――よし。これで少しは見れる顔になった」
拭き終わり、そう言って軽く微笑む斗貴子さん。
「………」
「な、なんだ? その必要以上に嬉しそうな顔は?」
「いやぁ、斗貴子さんはやっぱり優しいなあ、って思って」
「なっ!? ……ば、バカを言うな! そんな事を考える暇があったら今度の事件の事を考えろ!」
そう言うと顔を赤らめながらプイッ、とそっぽを向いてしまった。
斗貴子さんは自分を『女らしくない』と思ってるらしく、今みたいに女らしい所を誉めると必死に否定する。
でも、何気ないしぐさや今のような優しさはとても女の子らしいし、斗貴子さんの良い所だと思う。
いつか自分でその事に気が付いてくれるといいんだけど……
「どうした? カズキ。 さっきからどこかブラボーな程に上の空だぞ?」
ありゃ。思ってた以上に考え込んでしまったらしい。
今度はブラボーがオレの顔を覗き込んできた。
どうしよう……さすがに『斗貴子さんのこと考えてました』なんて言えないよなぁ。
言ったら斗貴子さんにはツッコまれそうだ。
「あ〜……いや、ちょっと変な夢を見ちゃって」
うん。これなら嘘はついていない。
確かにさっき見た夢は間違いなく変だったんだから。
「変な夢?」
「それが、見たことも聞いた事もない場所で、自分が全く知らない人になってた夢」
そう。
あの夢でオレは全く知らない場所で、全然知らない人物になっていた。
夢の中の風景はモチロン、そこに出てきた人達の服装も全然見たことが無かった。
でも……なんというか『あの時の自分』はオレに似てるような気がした。
オレもよく斗貴子さんにバカって言われるし。みんなが幸せならいいと思うし。
それに。
自分の力の足りなさに哀しくなるのも一緒だったし―――
「そうか」
そう言いながらブラボーはフッ、と苦笑して
「だが、今から俺達が立ち向かうのは現実だ」
一転、キリリと引き締まった声で言う。
「そうだ、カズキ。今回の相手はかなり特殊なヤツだ。気を抜くな」
斗貴子さんも真面目な声でオレに活を入れる。
「特殊?」
「ああ」
オレの疑問に斗貴子さんはそう力強く答え、
「今回のターゲットは魔術師の一族【アインツベルン】で造られた【魔術型ホムンクルス】だ」
冬木市の街並みを睨みつけた。
そこにホムンクルスがいるかのような目で―――
―――Interlude―――
……神聖であるべき教会は、今や血の色と匂いによって冒されていた。
そこに居るのは3人。
その場に悠然と立つ長身の神父。
その神父をその視線だけで殺さんと睨みつける蒼い槍兵。
そして、
神の前で己の出した血の池に伏す男装の麗人―――
「ほう。令呪を以ってしても御しきれんとは。流石は光の御子、と言ったところか」
ランサーのマスターを背中から切り捨て、新たなマスターになった神父は、
『マスターの鞍替えに賛同せよ』
―――という令呪の命令を拒否し続ける槍兵を見ても何の感慨もなさそうだった。
「ぐうぅぅぅっ……!」
――ギチギチ――
神経中が令呪に逆らう痛みに悲鳴を上げているのを感じながらも、
その蒼きサーヴァント、ランサーの意識は怒りのみが占めていた。
無論、自分のマスターを裏切り、背中から不意打ちした神父の格好をした男を
八つ裂きにしても足りないほど怒っていた。
しかし、それと同じ位に。
己に対して張り裂けんばかりに憤怒していた。
みすみす主をこんな目に遭わせた己の不甲斐なさに―――!!
「糞が…………っ!!」
……彼のマスターは彼が覚えている限りの女性の中で飛び切りに『いい女』だった。
それは自分の幸運を神に感謝したほどに。
「誰がテメェなんぞをマスターと認めるかよ……!」
容姿、スタイルの良さは当然の如く、何より彼が気に入ったのは意志の強さを映すその瞳。
そして彼女の傍に居て解った、彼女の魔術師として規格外の強さ。
男装し、男口調にしても隠し切れない女らしさ。
そして。
サーヴァント
英霊とはいえ 従者 の身である自分と対等に接してくれるその隠れた優しさに。
「俺のマスターはただ一人……!」
ゲッシュ
だから最大の親愛の印として、彼女に一つの【誓い】を立てた。
それなのに―――!!
「バゼット・フラガ・マクレミッツだけだっ!!!」
ブシュゥゥゥ―――ッ!!
令呪に逆らう反動によって体中から血を流し、血を吐きながらもランサーは渾身の力で叫ぶ。
それは正に『英雄の咆哮』に相応しい壮絶な光景であった。
が。
その壮絶な啖呵も、悪魔の如き神父にとっては……
「ふむ」
と言って無表情のまま顎に軽く手を当てて考えるような動作をさせただけだった。
「……とはいえ、いくら稀代の英雄クー・フーリンといえども、普通なら令呪の縛りに抵抗できまい」
くい。と首を傾ける神父のソレは、まるで予想以上に足掻く虫を観察するかのような仕種。
ゲッシュ
「その抵抗力……【誓い】か?」
「そういうこった……俺は『命を懸けてバゼットを護る』と誓ってるんでね……!
お前の様な糞野郎に下げる頭は持ってねぇんだよ!!」
烈火の如く気を吐くランサーの台詞に、眉の一つも動かさず、
ゲッシュ
「なるほど、確かにその【誓い】ならお前にとって令呪と同等の縛りになろう」
納得した、とばかりに頷きランサーに向き直る。
「ならばアイルランドの光の御子よ。もし、この令呪に従うというなら―――」
そしてその男――確かコトミネとかいう名――は、初めて表情を変えて言う。
バゼット ゲッシュ
「神の御名において『この女を助けてやる』と【誓い】を立てよう」
「な!??」
驚愕に見開かれたランサーの瞳には、
「これならば令呪と誓い、その両方とも果たせよう。 さ、どうするね?」
そう言って口だけを歪めて嘲笑する悪魔の如き神父の貌が写っていた―――
―――Interlude out―――
――――――――――――――――――――――――・・・・to be Continued
一箇所訂正。ブラボーの武装錬金は【銀色の戦闘衣】ではなく【銀鱗の戦闘衣】です。
『色』ではなく『鱗』。
……一話というよりプロローグの前編、といった風情の第一話でした。
まるで武装錬金SSの様になってしまってるのは、原作と違うシーンを描くため。
聖杯戦争前である事と、本来部外者である錬金チームが関わってゆく過程を描くと、
どうしても序盤は彼らが目立ってしまうのです。
しかし、それだけでは単なる錬金SSになってしまうので、Interludeでフェイトメンバーの
原作で書かれていない場面の補完を入れています。
ちなみに錬金の戦士はサーヴァントと比べ『ある一点』を除いて全然弱い存在です。
その『ある一点』もパワーバランスを崩さないよう描きますので、決して錬金キャラ最強とはなりません。
暫く錬金チームの登場場面が多くなるかもしれませんが、
『士郎とカズキでダブルヒーローを!!』を合言葉に頑張りますので、どうか見捨てないで温かい目でご支援ください。
―――オマケ・現時点で提示できる、カズキのステータス―――
■クラス■ 錬金の戦士
■真名■ 武藤 カズキ
■属性■ 中庸・善
■能力■
筋力:C 武装錬金(核鉄)の能力により強化した値。錬金の戦士では平均値。
魔力:E- 武装錬金(核鉄)の影響によって魔力は一般人より低い。
耐久:B+ 武装錬金により強化した値。錬金の戦士でも飛びぬけている。
幸運:A+ カズキが元々持つ幸運値。運のみで一度死ぬはずの状況から生還するほどの幸運。
敏捷:D 武装錬金(核鉄)の能力により強化した値。錬金の戦士では赤点ランク。
宝具:A 武装錬金自体の能力。相対する者によって効果にかなりバラつき(B-からEXまで)がある
■所有スキル■
核鉄:――
己の戦いにおける無意識領域(闘争本能)をエネルギー源とする、技術系錬金術の結晶。
これを持つ者は自身の能力が大幅に増強される。
……が、己の心の在り方次第で決まるため、増強される能力・増強値にはかなりの個人差がある。
■宝具(武装錬金)■
サ ン ラ イ ト ハ ー ト
【陽光の如く輝く魂】(ランク等のステータスは技毎に変化するので無し)
武藤カズキの武装錬金。形状は突撃槍(ランス)。その特性は『飾り布を光エネルギーに変換する』というモノ。
槍というには余りに無駄の多いデザインで、攻撃に使う際の取り回しは悪く、基本的な性能は低いと言わざるを得ない。
あえて言うなら防御に回った時に、その幅広の形状で『盾』代わりとすることが出来るのが救いか。
彼の武装錬金の本領は基本性能ではなく、特性による『必殺技』によるところが大きく、『一発屋』な武器である。
また、武装錬金自体の能力により、『不死』の存在は武装錬金でトドメを刺されると
再生(リジェネレート)による復活ができない。(無論、例外アリ)
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない―――
その時、ハンバーガーショップ『ロッテリや冬木市駅前店』の店員山田洋子(19才)の脳裏には、
その単語しか思い浮かばなかった。
それは『ロッテリや』に伝わる都市伝説、しかも隣の県の一部で騒がれた噂のはずだ。
その噂の名前は「変人バーガー」。
変態衣装で闊歩する蝶仮面の男と、顔すら見せない不審者コート男。
この二人が現れ、注文されたその店は、次から次へと変態が訪れる「変人バーガー」になるという―――
それは唯の噂。
その話を聞いた山田洋子(19才)も大多数の店員に違わずそう思い笑い飛ばした。
それなのに―――
噂の一人『不審者コート男』が自分の目の前に居る。
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない
ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない―――
考える事はそれだけ。
身体が震える。
気を抜いたら涙が出る事を揺らぐ視界でようやく理解する。
既にカウンターには自分しか居ない。
皆奥に退避してしまっている。
薄情な連中だ。
「い………いらっしゃい…………ませ…………」
山田洋子(19才)は勇気を振り絞って、ようやくそれだけを言う。
ご注文は? などとは口が裂けても言えない。
言って注文されたら、この店も「変人バーガー」の仲間入りだ。
(どうか注文しないで―――!!)
それは彼女の偽らざる誠実にして必死な祈り。
だが。
全身コートで不審者オーラバリバリの、その男は。
彼女に向けて一言。
彼女を絶望の奈落に叩き落す言葉を放つ。
「ハンバーガーセット(A)を三つ」
「――――――!!」
ぐらり。
思わず倒れこみそうになる山田洋子(19才)。
だが、彼女は強かった。
(まだ……まだよ! ここで食べずにテイクアウトなら―――!!)
「こちらで……お召し上がりになりますか? それとも『テイクアウト』で?」
『テイクアウト』を明らかに強調する発音で彼女は全身コート男に訊ねる。
ここまで露骨な発言なら、いくら変人でも察してテイクアウトにするだろう。
訊ねた山田洋子(19才)も、状況を固唾を呑んで見守る他の全店員もそう思った。
だが。
現実はそう甘くなかった―――
「 こちらで。 」
「「「「「「ひぃぃぃぃぃぃぃっ―――!!!!!!!」」」」」」
その時、店員全員の悲鳴がハンバーガーショップ『ロッテリや冬木市駅前店』を大きく揺るがした。
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■ ―――フェイト/ステイ サンライト――― ■
- 第二回 ホムンクルス談義 -
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―――カズキ視点―――
「それじゃあ、ホムンクルスって【魔術型】が始まりだったんだ」
バーガーの最後のひとかけらを飲み込んでから、オレはブラボーにそう訊ねた。
―――ここは冬木市内で新都と呼ばれる地区にある海浜公園のベンチ。
最初はハンバーガー屋の中で食べようとしたんだけど、
「「「「「「「お願いです。どうかここは一つテイクアウトで!!」」」」」」」
と、店員の人全員が土下座で『必ず死ぬと書いて必死』に頼むものだから外で食べる事になった。
そういえば、前にも似たような事があった気がするなぁ―――
ソレハ サテオキ
閑話休題。
「そうだ。ホムンクルスとは元々魔術師が己の一族の力を維持し、増幅する為に創造された存在(モノ)だ」
ズズズー。とストローでジュースを飲みきった後、オレの質問にブラボーはそう答えた。
ホムンクルスとは、元々人造生命体の事であり、錬金術師と魔術師の技術提携によって開発されたモノらしい。
当時、錬金術師は無から人間を創ろうとして失敗し、
魔術師は自分の魔術回路を受け継ぐ存在を創ろうとして失敗していた。
ある意味、その二つの外法技術が手を結ぶのは必然だったと言える。
魔術師の一族とは、【魔術刻印】と呼ばれる『魔術に関する一族の遺産』を発展させ、
次代に繋ぐ事によって(魔術的に)発展する存在らしい。
で、それは魔術を使う時の記録媒体(例えるならパソコンのハードディスク?)みたいなものらしく、
由緒ある魔術師はこれを通じて魔術を使うんだそうだ。
『刻印』の文字通り、身体に刻み込む刺青みたいなモノで、それを生涯を掛けて鍛え上げて
自分の子孫に移す―――
と、ここまではいいんだけど、移すべき子孫が元々持つ魔力(魔術回路というらしい)は、
必ずしも祖先より優れている訳ではないらしい。
むしろ確率で言うなら代を重ねるにしたがって魔力(魔術回路)は衰える事が多いという。
ま、考えたら魔術師なんて人種は全体の数パーセントだから、血が薄くなる事は目に見えてるんだけど。
だから、魔術師の一族はサラブレッドの品種改良よろしく、
魔術師同士で結婚させたり、
近親婚で血を濃くしてみたり、
人体を弄くってみたり、
魔術回路を増やす技術を探求したりと、
ありとあらゆる手段で後継者の魔力を高めようと今現在も頑張っているんだそうだ。
その中でも最も歪で異質な方法の一つが【人造生命体(ホムンクルス)】。
魔術で生み出した『ヒトの形をした生物』に、『魔術師本人をベースとしたホムンクルス本体』を寄生させる。
すると、『魔術師本人と同じ魔力を持った魔術師ホムンクルスの誕生』となる訳だ。
しかも、元々魔術師が生み出した『人型』と錬金術師が生み出した『本体』だから、
粘土細工の様に自分達のいいように改造する事ができ、本人以上の魔力、魔術刻印を持たせることが出来る。
「……で、そうして出来たのが【魔術型ホムンクルス】、という訳だ」
「でもさブラボー。何で今は【魔術型】が特殊になってるの?」
「ブラボー! 戦士・カズキ、良い所に気がついたな。 戦士・斗貴子、キミはこの質問に答えられるか?」
「もひひょんでひゅ、ひぇんひひょう」
そう言って答えるのは、ハムスターみたく頬を膨らました斗貴子さん。
「せ、戦士・斗貴子。返事は口の中の物が無くなってからにしてくれ……」
「……ング、了解しました戦士長」
「で、どういう事なの?」
バッコ
「……それはなカズキ。現在【動植物型】、【人間型】のホムンクルスが跋扈している事に関係している」
ある日、ホムンクルスの本体を創っていた錬金術師は気が付いた。
魔術師の手を借りて『人型』を使わずとも、もっと良い素材がこの世に溢れている事を。
―――そう。
【本物の人間】だ。
ただし、今までの『本体』ではベースとしたモノの出来損ないが出来るだけだ。
そこで『本体』自体の基本構造に、『ある化け物』の特性を組み込んだ。
【死徒】と呼ばれるモノ……キミに解り易く言うと、TVや映画で出てくる吸血鬼とほぼ同じな
人を襲って血を啜る、不死の化け物だ。
これにより、ホムンクルスは半不老不死の能力、通常の数倍の身体能力を手に入れた。
だが、その反面―――
「『人喰いが必要な身体になってしまった』……ってワケだね、斗貴子さん」
「その通りだ。 これによりホムンクルスは『人造生命体の研究結果』ではなく、
『化け物を生み出す悪魔の技術』と化したのだ」
「ま、『手段と目的が逆転する』―――技術者の過ちの中でも、
ブラボーにありふれた例の一つだな」
ポス。とゴミをゴミ箱に投げ入れたブラボーは、そう言ってオレ達の会話を纏めた。
そっかー。ホムンクルスと魔術って切っても切れない関係だったんだ。
それにしても魔術って実在してたんだな………
って、そんな事言ったらオレ達の【武装錬金】の方が実在してる事が信じられない存在か。
? アレ?
ということは―――……
「ね、斗貴子さん。それって【魔術型ホムンクルス】は、『人喰い』も『半不老不死』も
『通常の数倍の身体能力』も無いってコト?」
「ああ。魔術型はその魔力を高めるため、それ以外の能力や特性は追加できない」
「それじゃ、わざわざ『錬金の戦士』が斃さなくても―――」
「甘いな戦士・カズキ」
オレの言葉をピシャリと遮ってブラボーは語りだした。
「【魔術型ホムンクルス】とは、『人間の一流魔術師以上』のブラボーな魔術師という事だ。
それはお前でも解るな?」
「……う、うん」
「実はな、『人間の一流の魔術師』はその気になれば町一つを消せる力を持っている」
え? それってつまり……
「ならば、それ以上の魔力を持つ【魔術型ホムンクルス】が『その気』になれば?」
それを聞いて、オレの体温が一気に下がったような気がした。
チカラ
町一つ消すより強力な能力―――
「例えるなら、それは『歩く核爆弾』だな。むしろ【動植物型】や【人間型】の方が危険が少ないとも言える」
た、確かに………それは普通のホムンクルスなんか目じゃないくらいヤバイ。
「魔術師にも【錬金の戦士】に値する組織はあるが、そこまで強力になるとそう手を出したがらない。
……出したら自分達に被害が及ぶからな」
スク、っと立ち上がりながら語るブラボー。
何処と無くその姿から苦々しい感情が滲み出てるような気がする。
「そこで、ホムンクルス関係で我々にお鉢が回って来た、というワケだ」
ブラボーの話を繋ぎながら斗貴子さんも立ち上がる。
「早く探そう! そのホムンクルスを!」
オレも勢い良く立ち上がる!
こうしちゃ居られない。 一刻も早く【魔術型ホムンクルス】を見つけなきゃ!
「ああ! 行くぞカズキ! ホムンクルスを見つけ出す!!」
斗貴子さんも力強く頷く。
「―――で、斗貴子さん。どうやって探すの?」
「……え?」
オレの素朴な質問に斗貴子さんが固まる。
「だって、人喰いもしないんじゃ、事件も起こさないんでしょ?」
「………………あ」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ―――……
冬のからっ風がオレ達の間を通り抜けた。
「と、斗貴子さん!?」
え!? ナニ!? ひょっとして、何もアテが無いの!?
「あー……それは、その、なんだ。 戦士長が……」
あからさまに目を逸らす斗貴子さん。
「いや……そうは言っても……」
悪いけどブラボーはこういう事を深く考えて行動するとはとても―――
「フッ……」
キラリン。
ブラボーは慌てるオレ達を尻目に顔角度斜め45度のポーズで目を光らせながら呟いた。
「二人とも俺が何のアテも無しに『魔術型』を探すと思っていたか?」
((思ってた!!))
オレと斗貴子さんは同時に思ったが、口には出さないでおいた。
「見よ!! このビックリ・ブラボー・アイテム、略してBBIを!!」
ビカァァァッ!!
目を更に光らせながらブラボーが取り出したのは―――
「コンパス?」
「方位磁石……だな」
「否! これぞ本隊から取り寄せたビックリ・ブラボー・アイテム、略してBBIッ!! その名も!!」
「「その名も?」」
「 【魔力探知機】だ!!」
………………。
「そ、そのまんまな名前ですね戦士長……(てっきり戦士長の事だから変な名前かと……)」
「……うむ。流石に本隊の物を勝手に改名するワケにはいかないのでな。
不本意ながらそのままの名前で使用する事になった」
「そっかー。ちょっと残念かも。『ドラ●ンレーダー』とか名づけたかったなー」
「いや、カズキ……別にそのままでいいから……それで戦士長、これの能力と使用法は?」
「うむ。このボタンを押すと一定以上の魔力を探知し、その方向を指し示す」
そう言ってオレ達の前に探知機を突き出しながら―――
「やってみるぞ」
カチリ。
と、ボタンを押した。
「………………」
「………………」
「………………」
緊張の一瞬とはこういうのを言うんだろう。
オレ達は固唾を飲んで探知機を見詰める。
―――五分後。
「……何も起きませんね」
「ピクリともしないなー」
「ま、探知範囲が半径1キロ程だからな。探知範囲に居なかったんだろう」
「ああ、そうですか―――って、半径1キロぉ!!!?」
「ど、どうしたの斗貴子さん!?」
「脅かすな戦士・斗貴子。いきなり何を驚く?」
「幾らなんでも狭すぎでしょう!! これでどうやって探すって言うんですか!?」
「え? そう? オレは結構広いと思うけど……」
「キミはバカか!? いったい冬木市が全長何キロあると思ってるんだ!?」
「え? えっと……銀成市の倍くらい?」
「5倍だ5倍!! 郊外を入れると8倍だ!!」
「うえぇぇ!? そんなに大きいの!?」
「四方を山に囲まれた狭い銀成市と一緒にするな! にしても、どーするんですか戦士長!!
こんなに探索範囲が狭いと―――」
「ま、歩くしか無いだろうな。有名な刑事ドラマでも『捜査は足から』と言っていたしな!!」
ハッハッハッハ。と笑いながら歩いて行くブラボー。
………………。
「ねぇ……斗貴子さん。やっぱりブラボーって……」
「ああ……間違いない。戦士長は……」
((やっぱり何も考えてなかった……))
オレと斗貴子さんは暗澹たる気持ちでブラボーの後に着いて行った……
―――結果。
夜まで成果はなーんにもありませんでした(泣)。
―――Interlude―――
宵闇から本格的な夜へと変わろうかという時刻。
「――――――!!」
この世の物とは全く別の言語と、
「■■■■■■■■■■!!」
この世の物とは思えぬ咆哮。
そして、
ドゴゴゴゴゴッ!!
この世では有り得ぬ轟音が、深山町のほぼ中心に位置する道端で鳴り響く。
その光景を一言で表すなら―――
黒き巨人と紫の魔女が戦っていた。
―――そんな冗談のような光景が現代の、
ましてや日本の町中で起こっている出来事だとは誰が信じよう。
魔女は間断無く紫の光弾を有り得ざる速度で連射し、
それを巨人がまたしても有り得ざる速度で斧剣を振るい、紫弾を弾き飛ばす。
それが、魔女と巨人が出会った3分前から続く、『有り得ざる光景』であった。
「運が無かったわね、キャスター。でも……まさかこんな町中を歩いてるなんてね。
正直意外だったわ。 一体どうして【陣地】から出たのかしら?」
「さあ? 貴女には一生解らないことよ『お人形』さん。
生きながら操り人形の貴女にはね」
バーサーカーのマスターたる少女と、キャスターたる紫の魔女が互いに軽口を叩き合う。
しかし、その顔は決して皮肉な笑顔という訳ではなく、追い詰められている者のそれであった。
それは、本当に不意の遭遇であった。
キャスターは買い物のため。
イリヤは単なる夜の散歩のため。
互いに魔力を隠して夜の町を歩いていた。
―――そして出遭ってしまった。
もし、どちらかが気づいて、もう片方が気づいていなかったのなら。
元々戦うつもりで外出したのではないのだから、『貴女、幸運だったわね』などと
優越感に浸りながら、そのまま素通りしたに違いない。
建前ではあるが、未だ『戦争』は始まっていないし、
どちらも戦闘狂という訳では無いのだから―――
だが、現実は。
互いに超一流の魔術師であるが故に。
互いに一見で正体を見破ってしまい。
互いに全く望まないままに。
互いに全力の戦いへと雪崩れ込んでしまった。
「くぅ……っ!!」
【陣地】以外で全力の魔力弾を連射する反動に、ローブで口元しか見えないキャスターの顔が軽く歪む。
「あうっ……!」
キャスターの全力の魔力弾の爆風に煽られ、イリヤは愛くるしい眉根を寄せる。
それは互いに等しく苦戦しているという証であった。
無論、単純な戦闘力であればバーサーカーの方が圧倒的に有利であった。
キャスターの魔力弾程度ではバーサーカーは仕留められない。
やろうと思えば叩き落さずとも、敢えて魔力弾をその身に受けながら怒涛の如く駆け寄り
紫の魔女に斧剣を叩き込む事は、この黒き巨人には赤子の手を捻る如く簡単なこと。
だが、しかし。
黒き巨人には微風と同じ魔法弾だが、その効果範囲と威力は小さきマスターには余りに広く、強い。
それは巨人を直撃すれば、そのすぐ後ろにいる彼のマスターが爆風で吹き飛んでしまうほどに。
故に、黒き巨人は斧剣で遠くに弾き飛ばす事しか出来ない。
それでも、巨人の小さきマスターは爆風に揺られ、破片に打たれ、辛そうに顔をしかめている。
また、辛そうに顔をしかめているのは魔女も同じ。
威力よりも効果範囲と爆風を重視した魔力弾を全力で打ち続けるしかない。
巨人には全く無効だと解っていながら、そうせざるを得ない。
どちらも相手を追い詰めている様でもあり、追い詰められている様でもある。
それは互いに超一流の魔術師であるが故に、
―――準備さえ出来ていたら、こんなに苦戦しなかったのに……!!―――
互いの胸に秘める後悔の言葉も全く同じであった。
キャスターに準備さえ出来ていたら、バーサーカー等と面と向かって戦り合わずとも
小さきマスターを斃す手段など星の数ほどあったろう。
イリヤに準備さえ出来ていたら、遠くに避難しバーサーカーの枷にならずに
全力の巨人の力でキャスターなど瞬殺出来ていただろう。
しかし、幾ら悔やんだ所でそれも後の祭り。
結局―――
「――――――!!」
「■■■■■■■■■■!!」
ドゴゴゴゴゴッ!!
先程と寸分違わぬ光景が繰り返されるだけである。
……この戦況は最早、キャスターの魔力が尽きるか、イリヤの体力が尽きるかの
『不毛な総力戦』へと発展する以外無いかと思われた。
だが。
運命は更に数奇で予想しなかった方向へと動く。
……カサリ……
「「―――!!」」
その音に少女と魔女、そして巨人が振り返る。
「ヒッ!!」
それは中年の男と女、そして子供―――という『いかにも家族連れ』といった風情の面子。
おそらくバーサーカーが弾いた魔力弾の一撃がキャスターの張った結界の一部を破壊して、
その結界の綻びに運悪く彼らが迷い込んでしまったのだろう。
「う……うわぁぁぁぁっ!!」
男が妻と子供を引き連れ、慌てて逃げてゆく。
人外たる巨人と魔女に睨みつけられたのだ。当然の反応だろう。
「ふぅ……全く……」
銀色の少女が殺気を収めて溜息を吐く。
「……口封じは貴女に任せるわ、キャスター。これは貴女の失態でしょ?
代わりに今日はこれぐらいにしといてあげる」
「な……! それは―――」
確かに結界を張ったのはキャスターだが、破壊したのはバーサーカーのはず。
ならば責は同等ではないか―――
キャスターは少女にそう咎めようとしたが、
「行くわよバーサーカー」
「■■■ー!」
―――ビュォォゥ!!
銀髪の少女は黒色の巨人の掌に乗り、文字通り『跳び去って』しまった。
振り返れば、あの親子連れはかなり遠くまで行ってしまっている。
「クッ……!」
キャスターは歯軋りしながら、寄り代の一部である木片に魔力を込め、己の『サーヴァント』を呼び出す。
「【アサシン】!!」
ヒュゥッ……! と、つむじ風が魔女の前に起こり―――
「―――おや? このような時間、このような場所に呼び出してどうしたのだ主(あるじ)殿?」
堂々かつ飄々たる侍が、皮肉とも単なる確認ともつかない疑問を主に投げ掛けながら現れる。
この場に居る者以外誰が知ろう。
この男こそ、サーヴァント【キャスター】に召喚されしサーヴァント、【アサシン】。
キャスターは、英霊が英霊を召喚するという『有り得ざるルール違反』を
その甚大なる魔力で成したのだ。
「確か私は『山門を護れ』と命令されていたはずだが……?」
再び『ルール破り』の主に訊ねる侍。
その疑問は当然だろう。
ルール違反が故に、マスター自身ではなく柳洞寺の山門を寄り代とするアサシンは
自力で山門から離れる事ができない。
今回のようにマスターによって他の場所に呼ばれても、要たるサーヴァントとしての力を著しく失う。
今やアサシンと呼ばれるこの侍は、一般人に毛の生えた程度の力しか持っていない。
「山門から離れ、我が身が蟷螂の斧と化すを承知で呼び寄せるとは……
はてさて、一体如何なる非常事態かな?」
キャスターは弱っているにもかかわらず余りに流麗たる侍の口調に眉根を寄せながらも、
小さくなってゆく親子連れを指差し、
「あの人間達に見られました。気配を絶って追いつき、『口封じ』をしなさい」
そう言うが早いか空間転移で消え去ってしまった。
「やれやれ……慌て者な主殿だ」
どこか慌てているような主に、どこか悟ったような苦笑を零し、
「とはいえ……ふぅむ。今生に戻った最初の獲物が罪無き親子とは―――
よくよく私も運というものに見放されていると見える」
今度は己に向かって皮肉げに苦笑。
そして気配を経ち、己以上に不幸な人間達の後を追った。
―――Interlude out―――
――――――――――――――――――――――――・・・・to be Continued
全篇、これ解説といった感じの別名『武装フェイト』の第二話でした。
このSSを書くきっかけの一つが、
「武装錬金のホムンクルスの設定って『死徒』に似てるなぁ」―――と思った事でした。
その勢いのまま設定を作ってみたのですが、予想以上に長くなってしまいした。
解説が多い=駄作という事は解っているのですけど、完全部外者の錬金チームを聖杯戦争に引き込むには、
私の実力ではこれ位の設定改変が必要でした……。
また、オマケとしてこのSSのステータスにおける能力値の大雑把な読み方を書いておきます。
若干原作とは違うので、カズキの能力値が高い事への言い訳になる……ハズです。
―――ステータスにおける能力値の大雑把な読み方―――
EX:神話の神々と同等、もしくは勝てるかもしれないレベル。
A:超人の域を超えたレベル。下位の神々に対抗できる力。
B:超人の中でもトップクラス。神に祝福された神話の英雄レベル。
C:人間の域を超えたレベル。いわゆる超人。
D:『ヒト』という種の限界。普通の人間である限り、これ以上の域には行けない。
E:普通の人間。一般人のレベル。
補足1) 幸運だけは『C』を基準に、『A』が最高の幸運、『E』が最低の不運である事を示している。
補足2) 『+』や『-』は、それぞれ表示ランクより 『若干強い』『若干弱い』 という事を表している。
補足3) サーヴァントの能力値は『本気として出せる力の平均』であるのに対し、
錬金の戦士の能力値は『己が出せる最大』を表している。
つまり、同じランクならサーヴァントの方が優れている。
……感想板に指摘された箇所の補足を少し。
―――ステータスにおける能力値の大雑把な読み方の補足その4。
この能力値の読み方や表示は、【このSS完全独自のモノ】です。
原作ではランクは「Aが50」「Bが40」といった様に『ポイント(数値の目安)』ですが、
このSSでのランクは、あくまで『位階(ランク)』です。
例えるなら、会社なら『社長〜平社員』、軍隊なら『将官〜兵卒』の階級のようなモンです。
そして、下仕官と仕官の壁のように『超人(C)』と『人間(D)』の壁は限りなく厚く、
マトモな方法では、決して超える事ができないのです。
……なので、決して原作や他の作品の能力値ランクとごっちゃにしないで下さいね(汗)。
―――キャスターVSバーサーカーについて。
もちろん、キャスターさんの『威力重視の全力魔法弾』ならバーサーカーを(一撃一殺ぐらいは)十分に斃せます。
でもイリヤLOVE親父こと、神々と同位の英雄ヘラクレス様の技量の前には
『絶対に当たらず、確実に捌かれてしまう』のです。
そりゃもー『効く、効かない』以前の問題。いくら強力でも当たらなきゃ豆鉄砲以下。
ソレを一流ゆえに瞬時に見切ったキャスターさんは、初手からマスター狙い―――
つまり『速射性&効果範囲重視』の全力魔力弾を撃ったのです。
▼―――Interlude―――▼
……それは死を告げる声にしては、あまりに澄んだ音だった。
「私とて、このような事で手を汚したくは無いのだが―――」
「あ……あう……あぁ」
それは、男の悲鳴とも懇願ともつかない掠れた声に答えるように呟く。
……それは死神と言うには、あまりに颯爽としていた。
「おぬしは見てはならぬ物を見てしまったのだ……見れば、その命運尽き果ててしまう物を」
そうして、流麗かつ雅な侍は、常識外の長さの長刀を持ち直す。
それは『今から自分達を殺す者』と認識するには、あまりに清廉だったのだ―――
「そ……ん……な、ば……かな」
男は妻と小さな息子を背にしながら、己が身に降りかかった現状を、未だ理解できずにいた。
……否。
できないのではない。
今まで彼の人生で培ってきた経験と常識が、目の前の現実を受け入れる事を拒否したのだ。
―――帰り道に巨人と魔女が戦っていた―――
それを見た時、彼が昨日まで生きた、現実とか常識とかいった『当たり前の日常』は砕け散った。
そして、両方に気付かれ、血走った(まともに目を見た訳ではないが、その時はそう思った)目で睨みつけられ、
男は慌てて逃げ出した。
当たり前の日常へ。
……そう。
日常の象徴、我が家へと。
そして。
その日常の象徴の中に、
『有り得べからざる非日常』が、
音も無く、
入り込んで来た。
……侍。
それは何かの冗談のような……あるいは物語の一編から抜け出たような存在だった。
浄水の如き透明な雰囲気。
それでいて堂々たる存在感。
陣羽織を羽織ったその侍は。
……何かの絵画のように美しかった。
それで霊感や魔力を持たぬこの家の主たる男にも一目で解った。
いや、解ってしまった。
コイツはあの巨人や魔女と同じ『存在』だ―――
そして、その『同じ存在』たる流麗を形にしたような侍は、何か詩を詠うように、
「おぬし達に私怨は無いが……」
非常識な刃渡りの長刀をすらり、と抜き、
「その命、貰い受けに参った」
と、まるで冗談のような言の葉を告げたのだ。
―――そして数秒後の現在。
侍は現実にこの家の住人を居間の隅に追い詰めていた。
「何故……?」
男の頭に浮かぶのはその一言のみ。
なぜ俺達がこんな目に!?
何か悪い事でもしたというのか!?
久々の家族サービスにと、家族で外食したのが悪かったのか!?
あの曲がり角を覗いてしまったのが悪かったのか!?
それとも……
「……いや、何も悪くはないのだ」
男の思考を読んだかの様に雅な侍は言葉を紡ぐ。
「ただ―――」
そして、哀しそうに軽く目を伏せ、
「ただ……運が悪かったのだ……」
侍は常識外の長さと美しさを持った刀をすい、と流れるように構える。
それは侍から放たれる殺気に、武道を知らぬ男にさえ、
その刀が自分達の首を一瞬で刎ねるだろう―――
と、嫌が応にも理解させられる。
「だ、誰か……」
助けて。
男は他人の目につかない自分の家に逃げ込んだ事も忘れて祈った。
助けて。
それは、何も縋る物が無い故の精神だけによる最後のあがき。
助けて。
……だが。
そんなものが来るはずも無い。
「覚悟」
侍は弓の弦を引くかのように、刀を持つ手を引き―――
「彗星―――」
ぴたり。
庭の方から聞こえてきた『非常識』な声と単語に、侍の動きが止まる。
「―――」
男と侍は声のする方へ目を向け―――
その刹那。
「ブラボー脚!!!!!!!!!」
ガシャァァァァァン!!!!!
掛け声と同時に全身をコートで包んだ男が、ガラスを突き破りながら―――
「な……?」
侍に向かって蹴足の体制で飛び込んで来た!!!!!!!!!
▲ ―――Interlude out――― ▲
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■ ―――フェイト/ステイ サンライト――― ■
- 第三回 開戦前夜(前篇) -
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―――体は剣で出来ている。
血潮は鉄で 心は硝子。
幾たびの戦場を越えて不敗。
ただ一度の敗走はなく。
ただ一度の勝利もなし。
担い手はここに孤り。
剣の丘で鉄を鍛つ。
ならば我が生涯に意味は不要ず。
この体は無限の剣で出来ていた。
◆―――士郎視点―――◆
「はぁ―――ぁ、はぁ、はぁ、あ―――!!」
そのまま気を失いかねない目眩に身体をくの字に曲げて耐えた。
「あ―――くそ、また、失敗、か―――」
エミヤ シロウ
夜、いつもの土蔵の中で『今日も』衛宮 士郎は【強化】の魔術に失敗した。
……それも当然だ。
さっきの俺は雑念が入り過ぎていた。
手には強化したはずの鉄パイプ。
しかし、強化したハズのそれはプラスチックのようにひび割れていた。
ポイと投げたら、ガラスのように粉々に砕けてしまった。
……近年稀に見る最悪の失敗だ。
いや、本当の『最悪』は自分の身体が、さっきの鉄パイプのようになる事だけど。
『鉄パイプの強化』に関しては、強化のハズが弱体化に堕ちてしまった。
だから最悪の失敗。
『誰かを助けるという事は、誰かを助けないという事。
正義の味方っていうのは、とんでもないエゴイストなんだ―――』
それが雑念の内容であり、
オヤジ エミヤ キリツグ
死んだ養父でもあり、俺が目指す『正義の味方』でもある衛宮切嗣の口癖。
ここ最近、魔術の鍛錬の度に浮かんでくる言葉。
「だから、今日はいつもより早目から修練を始めて集中させる時間を長くしたってのに―――」
……結果はご覧の通り。
まさに文字通り『散々』だ。
集中できたどころか、むしろ普段より深く考え込んでしまった。
その理由は、やっぱり―――
「……先輩?」
「おぅっ!?」
マトウ サクラ
ギギィ。と音を立てて扉を開けながら後輩兼、藤ねぇ同様の半居候である間桐 桜が土蔵に入ってきた。
マズイ。
ひょっとして魔術を使っている所を見られたんじゃ……?
魔術は秘匿しなければならないってのが、大前提なのに―――!!
やっぱり、鍛錬は皆が寝静まった夜中にやるべきだったぁ!!
「さ、桜、もう帰ったんじゃ、なかったのか?」
「ええ、そのつもりでしたけど……藤村先生にお風呂に入れって強引に引き止められちゃって……」
くっ……藤ねぇめ……
なんだって、こういう時に引き止めるかなぁ?
『明日の朝食、藤ねぇだけおかず一品減らしちゃる』などと、藤ねぇへの実行不可能な
仕返しを考えながら、桜の様子を眺める。
…………………………ふむ。
ふむふむふむ。
不幸中の幸いか、雰囲気から察するに桜は別に何も見てないようだ―――
「それより先輩、何か苦しそうな声を出してましたけど……大丈夫ですか?」
「!!」
ギャワー!
見られては無かったけど、しっかり聞かれてました―――!
「え……あ、その……アレだ、アレ」
「アレ?」
ヤバ。思いっきり不審な目で見られてる。
「その……悩み事があって……ホラ、知恵熱が出てたんだ」
「悩み……って、また『正義の味方』関係ですか?」
ドンピシャリ。
「お? よく解ったな」
「というか先輩が悩む理由は、それ以外ありません」
む。
桜にふふん。と、得意げな顔でハッキリと言い切られてしまった。
いや、確かに人助けした際、クラスメートから『偽善だ』とか『それって違うんじゃない』とか言われた時。
俺は、何度か桜に『正義の味方』って何だろう―――って相談した事はある。
けど……
そうハッキリと自信満々に断定されるとなんだか悔しい。
で、少々反論する事にした。
「な、なんでさ。 俺だって、『正義の味方』の事以外にも色々悩みはあるんだぞ?」
「じゃあ、具体例を言ってみて下さい」
「例えばだな―――」
「た・だ・し、『食事の献立』と『藤村先生関係』以外でお願いします」
「え? あ、えっと―――……」
………………。
「御免なさい、桜さん。 わたくし、『正義の味方』の事で悩んでおりました」
たっぷり1分程悩んでから、正直にぺこりと頭を下げる。
「はい。 素直でよろしい♪」
俺に勝利した(?)桜はとても嬉しそうに笑った。
……って、俺、『正義の味方』以外、『食事の献立』と『藤ねぇ関係』しか悩みが無いのかよ……
「なるって決めてから5年も経つのに……」
桜を横に座らせて、
「いまだにどうすれば『正義の味方』になれるのか全然解らないんだよなぁ……」
それから少しの雑談を前置きにしてから、
「桜は『正義の味方』って、どうやればなれると思う?」
俺はそう切り出した。
「そうですか……」
桜は俺の横に座って、何か深刻な顔でしばらく考え込んで―――
「先輩は……今でも、十分『正義の味方』だと……思います」
なぜか、
桜は、
消え入るような小声で、
そう答えた。
「え? それは無いと思うぞ? だって俺は誰も―――」
救っていない、
そう言おうとした時。
「でも……私は……『今』、幸せなんです」
表情が見えないくらい顔を伏せながら、そう呟いた。
「え?」
……? 何か話が飛んでいないか?
「先輩がいて、藤村先生がいて、その中に私が居る―――私はそれで『幸せ』なんです」
「桜……?」
俺は少し心配になって桜の顔を覗き込もうとした。
「これからも……ずっと一緒に居ていいですか? この家に居てもいいですか?」
その直後、顔を上げると同時に、きっ! と、音が出るくらいに真剣な表情で俺を見つめながら訊ねてきた。
「あ、ああ……モチロンだ。良いに決まってるだろ」
その勢いに圧倒されつつも、コクンと頷く。
「良かった……それなら、私は大丈夫です」
そう言って桜は立ち上がる。
「へ?」
また話が飛んだような……
「それじゃあ先輩。おやすみなさい」
にっこり。
満面の笑み、といった感じで桜は足取りも軽く帰ってゆく。
そして、
そんないつもと違う桜の後ろ姿が見えなくなってから―――
「えーっと……? どっちが相談を受けてたんだっけ……?」
ひとり、そんな事を考えていた。
▼―――Interlude―――▼
◆―――斗貴子視点―――◆
「ブラボー脚!!!!!!!!!」
ガシャァァァァァン!!!!!
戦士長は、掛け声と同時にガラスを突き破りながら―――
「な……?」
驚きで目を見開く侍に向かって蹴足の体制で飛び込む!!
―――【彗星ブラボー脚】。
これは戦士長が渾身で水平飛び蹴りを放つ時の掛け声。
ちなみに、上空に飛び上がって急降下しながらの飛び蹴りは『流星ブラボー脚』と言うらしい。
……正直、どっちも恥ずかしいので改名して欲しいのだが。
―――それが最高のタイミングで、そして最高の速度で、あの侍に迫る。
ドォン! という衝撃音と共に壁が粉砕し、粉塵が舞い上がる。
「やった!」
その瞬間、一緒に庭から戦士長の飛び蹴りを見たカズキが歓声を上げた。
私も、口にこそ出しはしなかったが同じ気持ちだった。
嘘の様に整った侍の顔と、戦士長のブーツが触れる直前までを
ヒトの限界を超えた私の目は捉えていた。
あの男がどんな化物であろうと、あの瞬間で、あの状態と体勢から躱す事など不可能―――
「いやいや―――」
なのに。
「気配は察しておったのだが―――」
その流麗な侍は。
「魔力を持たぬようなので無視しておったのが間違いっだった」
顔に傷一つ付けておらず。
マ サ カ ツワモノ
「真逆、おぬしの様な 兵 が飛び込んでこようとは。お陰で避けるのが刹那遅れてしまった」
欠けた右肩の陣羽織を眺めながら、涼しげに。
「どうやら、今生に降りての初仕事。……思うたよりも愉しめそうだ」
嬉しそうに……
そして、詠うように戦士長に語りかける。
「…………」
戦士長は無言のまま、この家の家族達を庇うように立つ。
敵の前に在っても饒舌な戦士長が―――無言。
声が出ないほど驚いているのだ。
無理も無い。
必中のタイミングと速度で繰り出した一撃を、あんな涼しい顔で躱されたのだ。
続いて居間に飛び込むつもりだった私とカズキも、
「そんな……」
「…………」
その男の異常さに、庭から一歩も動けずにいた。
「しかし……」
言いながら、ゆらり……と風にそよぐ枝葉のように優雅な動きで向き直り、
「蹴足の速度と威力は兎も角、躱しついでに放った我が一刀を弾くとは―――」
続いて放たれた涼しげな侍の呟き。
「「な!?」」
その言葉の意味が、私とカズキを同時に驚愕させる。
あの一撃を避けただけでも『想像の外』だというのに……!!
この剣鬼はコンマ0.1秒を切るあの瞬間に回避と同時に―――
攻撃まで仕掛けていたと言ったのか、あの剣士は!!?
「魔力が無いのだから魔術師でもなければサーヴァントでもなかろう」
そう、飄々とした口調と雰囲気で言い、
「……おぬし、 一体何者だ?」
眼光。
優雅な微笑みを浮かべていた優男が一変。
カオ
抜き身の刀のような鋭い視線と 貌 で戦士長を射抜く。
その威圧感に、
私は、
その視線を向けられた訳でも無いのに、
不覚にも足が震えた。
そんな獅子をも射殺すような眼光を受けて―――
「フッ……」
キラリン。
コートと帽子の奥に隠れる瞳が、怪しく光った気がした。
「あ。」
ヤバイ。
戦士長と長く行動を共にした経験が、さっきまでとは違う意味の危険を私に知らせる。
「……知りたいか?」
いや、別に言わなくてもいいです戦士長。
……というか、お願い。 言わないで。
「ならば教えてやろう!!」
バッ!
「錬金の戦士が戦士長!!!」
ババッ!!
「 キャプテン・ブラボ―――ッ!!! 」
ビシィィッ!!!
特撮もかくや、というポーズを決めて、自分の名前をのたまう戦士長。
私の耳に、特撮番組のテーマソングらしきモノが聞こえたような気がした……
いや、絶対に幻聴なんだが。
……それにしても、だ。
戦士長……
……黙っていたのは……
名乗りを上げるタイミングを計っていたのか―――!!!!!!!????
「同じく錬金の戦士!!」
バッ!
「はぁ!?」
「戦士長が部下!!」
ビシ!
「 武藤ッ!! カズキッ!! 」
ビシィ!!!!
「成り立てにつき、目下特訓中ッ!!!」
バシィィィッ!!!
「カズキィッ!!?」
隣に居たはずの私の部下は、いつの間にか居間に入ってポーズを決めていた。
しかみ、何気に戦士長より1ポーズ多く。
「キ―――」
キミもか?
キミもなのか!?
キミも『あちら側』へ行ってしまうのか!!??
思わず声を上げてツッコミを入れそうになった時―――
「………」
チラ。
侍が無言のままこちらを見た。
……え?
「………」
チラ。
戦士長が何か言いたげな目でこちらを見る。
ええ?
「………」
チラ。
カズキが何かを待っているような瞳でこちらを見ていた。
えええ―――!?
その時、ブラボーの後ろ。
「う。」
両親の影から、
「うあ」
顔を出した子供と、
「うあ……」
目が―――合ってしまった―――……
「う……あ……」
ああ、少年……
頼むから、そんな期待に輝く瞳で私を見ないでくれ……
「うああ―――……」
そんな『お姉ちゃんはしないの?』って表情で私を見ないで―――!!
そして気が付けば。
居間に在る全ての瞳がこちらを見ていた。
「う……うあ―――っ!!!」
やればいいんだろうっ! やればっ!!!!
「れ、錬金の戦士ッ!! 津村 斗貴子ッ!!」
ビシィ!!
半ばやけくそでポーズをとって名乗りを上げる。
「「「うむ。」」」
三人とも満足そうな顔で大きく頷く。
うんうん、と。
あの子も嬉しそうに頷いている。
……少し、泣けた。
「……実に見事な名乗り。正に眼福」
見事か!? アレが見事なのかぁ!!??
そんな涙目の私の行き場の無い苦悶を余所に―――
「そうも見事に名乗られたのなら、こちらも名乗るが礼儀よな」
そう詠いながら。
流麗を人型に現召させたかのようなその侍は。
「我が名は―――」
スイ……と、流れるように超長なる刀を振るいながら名乗りを始めた。
「聖杯戦争に喚ばれし、サーヴァントが一人―――」
それは、あまりに優雅だった。
同じ『名乗り』であるというのに……
同じ意味を持つ行為だというのに……
どうしてこうも違うのか。
「アサシンの―――」
その余りの優美さに、
思わず、
引き込まれそうになった、
私の思考は―――
「 ―――佐々木 小次郎 」
その一言で、全て凍りついた。
▲ ―――Interlude out――― ▲
■――――――――――――――――――――――・・・・to be Continued ■
チャラッチャチャラチャ♪
誰だ♪ 誰だ♪ 駄目だ…………(BY 某フラッシュ
―――という訳で(?) 通称『武装フェイト』ステイ サンライトの第三話でした。
(前篇)となっているのは、この話がプロットではコレの倍でした。
このSSは詩的改行を多用するので、文字数の割りに長く感じてしまうので、
前後編に分けました。
―――武装SS指摘について―――
あんまりにも「武装SSだ!」という声が多い(当然だと思いますが……)ので、少々言い訳を。
ネタバレに近い話をすると、第1話の冒頭、
―――その身はただの人間だった。
……から始まる一連の謳い文句(?)。
実はこの文、【全てがカズキの事を指しているのでは無い】のです。
大体、魔術師で無いカズキはこんな呪文は言いませんし、作者的にも言わせません。
それに『舞台』『バトル』『ラスボス』これの全てがフェイト世界に則っていますので、
武装SSとして別掲示板に乗せても「フェイト板にカエレ!」とか言われてしまいます。
●主人公側の人間が3人増えた事による、原作三ルート全てのラスボスの登場、撃破。
●それに伴う三ルート全ての総括、全ての問題解決(真のハッピーエンドを目指す)。
●『武藤カズキ』という友を得る事による『衛宮士郎』の原作とは違う成長。
『英霊エミヤ』とは全く違う「正義の味方」への目覚め。
―――これらを目標として物語を描きたいと思っています。(もちろん『武装錬金』の宣伝も兼ねてはいるんですが)
……ですので、もうちょっと長い目でこのSSをご支援下さいませ。
よろしくお願いします。