Sword Strike 3


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1: NAO (2004/04/23 21:29:40)[naosan at isis.ocn.ne.jp]



遠野3

「で、兄さん、そちらの方を紹介していただきたいのですけど」

顔は普通だが言葉には威圧感バリバリで秋葉が聞いてくる

「それにしても、おかしなものを呼び寄せると言ったけどこれは極端すぎるわよね」

先生、貴方が言った事は間違いなく当たってました

とか考える前に紹介しなくちゃな

「この人は俺の先生・・・・・色々と教えてもらったし、何より今の俺があるのはこの人のお蔭だ」



「志貴ったら信頼しきってるわね」

「遠野君は彼女の本性を知らないみたいですね」

いきなり、アルクェイドとシエル先輩がそんな事を言ってくる

「あらあら、貴方たちまだまだ子供ねぇ。」

先生の大人の意見はまぁ、置いといて

バチバチと手に魔力を集中するのはやめてください

「それで、本日はどう言ったご用件でいらっしゃったんですか?」

「ああ、そういえば言ってなかったわね。私が来たのは貴方たちの意思を確認するためよ」

秋葉の質問にさらりと先生が答える

「何の意思ですか?」

俺の質問に先生がニヤリと笑ったような気がした

「これから貴方たちが向かう冬木町、あそこにまた”聖杯”が現れるの。

それを手に入れる戦いに参加するかしないかの意思よ」

・・・・

俺も先輩に聞いただけだけど、今年の初めにあそこで”あちら側”の戦いがあったらしい

最終的にはその聖杯とやらの破壊で幕を閉じたらしいけど、かなりの戦いだったと言っていた

「私たちには聖杯を手に入れる資格は無いはずだけど?」

アルクェイドが食って掛かる

そういえば、使い魔を召還した魔術師のみがその資格があるとか聞いた気がする

「今回は違うのよ、前回のようなバッタモンじゃなくて本物の”聖杯”なの」

「それをどうして俺達が手に入れる必要があるんですか?」

先生は静かに目を瞑る

「志貴、この頃体に変化が出てきてるでしょ」

・・・・変化?

そんなのは覚えが無いのだが


「どうやら自覚が無いみたいね」

「それはどういうことです?

またロアみたいな奴が遠野君を狙ってるって事ですか?」

シエル先輩が質問する

「いいえ、違うわ。原因から言うと、そこのお姫様なんだけどね」

くいっと顎でアルクェイドを刺す

「この吸血鬼!遠野君の血を吸ったんですね、吸いやがりましたね!」

シエル先輩はもはやまともな言葉使いが出来ないほど取り乱してる

「落ち着きなさいって、今説明するから」

チュンとシエル先輩の眼前を掠め、開いた窓からマジックミサイルが飛んで行く

予備動作無しでとんでもない魔力が込められていた

確かに、この人は凄い

「あー、志貴も現実逃避はやめてくれないかしら」

ポリポリと先生が頭を掻く

「で、話を続けるけど、吸血鬼との性交渉って吸血行為と変わりないって事知ってる?」


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


「もう、はずかしいなぁ・・・・・・」


まぁ、一人だけ間違えた反応をしてるけどそれ以外の俺を含めた人たちは沈黙

俺だって意思を保ってるのがやっとだ

「その中でも貞操を捧げた場合は話が変ってくるの。

わかりやすく言うと、命の等価交換をしてるって事ね

だから、今の志貴は夜になればかなりの力があるはずよ

最終的には等価になるから、あと数年もすれば志貴にかなうのは私たち魔法使いしかいなくなるでしょうね」

確かに、去年のタタリの後は平和な日々で戦うなんて事はしなかったな

「そんな事あるはずありません!」

シエル先輩が怒鳴る

「いえ、その話は本当です。そうでなければバンパイアハーフなど生まれるはずが無い」

シオンが静かに答える

そうそう、シオンは太陽の光が苦手らしいから彼女がいる間はカーテンを閉め切っていたりする

窓は空いているからたまに風でカーテンが揺れて光が漏れるが、直接光に当たらなければ大丈夫らしい



「シオン、今の話し本当なの?」

「はい」

シオンは冷静に答える

秋葉の目に涙が浮かぶ

そして、暫くの沈黙


「今回の賞品は”聖杯”だと聞きました。ならば、私は人間に戻れる」

シオンが沈黙を破った

「そうだな、このメンバーなら負けないだろうし、やってみるか」

とりあえず、そんな楽観的な答えを言ってしまう

まぁ、自滅の危険性は間違いなく高いんだが・・・・・・


「そうね、兄さんも元に戻って平和になるわね」

秋葉も気を取り直したのか笑いながら答える

「で、秋葉の願いって何なんだ?」

素朴な疑問、でもその答えは想像できないものだった

「もちろん、他の女性に兄さんが三行半をたたきつける事です」


ああ、秋葉。

お兄さんは既に聖杯を手に入れる気が薄れたよ




衛宮2

「ご馳走様、それじゃ帰るね」

藤ねぇがイリヤと共に家を後にする

ほんと、昼飯だけ食いに来るなんて傍若無人にもほどがある

「先輩、私も今日は用事がありますから失礼しますね」

桜も帰るらしい

「夜は来るのか?」

「えーと、今日は無理かもしれません。ごめんなさい」

少し気まずそうにしてる

「いや、気にしなくて良いよ。

別に強制してるわけじゃないんだし」

「そうですか、とりあえず来れるようにがんばって見ます」

ガッツポーズをする桜

「ああ、それじゃ気をつけてな」

「はい」

元気に答えて、走り去る桜


「あら、衛宮君たら人によって態度が変るんだ。ふーん」

満面の笑みを浮かべて俺に声をかけてくる遠坂

「あんた、私はともかく桜の告白を断ったんでしょ?

それなのにそうやって捕らえておくなんて、アンタ以外の奴がやったら八つ裂きにしてるわよ」

本気の殺意が遠坂から感じられた

「別にそう言うわけじゃない、それに断ったって言うよりも、まだ心の整理が出来ないから保留してるだけだって」

「だから、そっちの方がもっと酷いって言ってんのよ!

私も桜も他に好きな人を見つける気になれないでしょ」

私も?

「遠坂、お前・・・・・」

「あっ・・・・・」

遠坂は口元に手をやり、顔を真っ赤にして”くー、何でこんな事を言ってんのよ”なんて呟いてる


「なんじゃ、出迎えかと思ったら痴話喧嘩の最中か?」

俺の後ろにいつの間にか老人が一人立っていた

「どちら様ですか」

「ふむ・・・・そちらの娘に手紙で連絡を入れておいたはずなのだがな?」

老人は遠坂のほうを見る

「え、あ、あああ。

すすすすっすうすすすうす」

「遠坂、落ち着けって」

俺の言葉で深呼吸をする

「すみません、もういらっしゃってるとは思いませんでした

こ、此方にどうぞ」

あのー、此処は俺んちだと思うんですが

既に俺には家主としての立場は無いのでしょうか

「では、失礼する」

あんた、手紙に”衛宮邸”って書いてたんでしょ?

俺の立場わかりますよね?



ああ、思えばこの人にして遠坂ありき

あの性格の大本は此処が出所だったのか

「士郎、お茶を用意して!」

「ああ」

拒否できない自分が少し恨めしい



伽藍の洞2

「橙子、此処の結界も殺すのか?」

目の前に”衛宮”表札のかかっている家

先程出て行った三人の女性

一人は一般人

一人は、違和感があった

そして、もう一人は・・・・アレは殺す対象だ

幹也たちがいなければ有無を言わさずにナイフを突き立てていただろう

体中に走る悪寒は並大抵のものじゃなかった

「式、此処は堂々と入るべきだ。

中にいるとんでもない奴をお前だって察知できるだろ?」

確かに、結界から漏れてくるこの感じ

あのバカ女に似てる

いや、似てないか。

此処までアイツは威圧的じゃなかった

明らかに此方を挑発してる

「幹也と鮮花は此処に残ってろ」

それだけを言って門を潜る

「いや、お前たちも来い。下手すれば黒桐が役に立つかもしれん」

・・・・マジか?

とりあえず争いにならないように祈る事にしよう


「こんちは」

ガラリと玄関を開けて声をかける

「あ、お客さんだ」

「私に任せて、すぐに追い返してくるから」


奥のほうからそんなやり取りが聞こえる

追い返せるもんならやってみろってんだ

「すみません、今取り込み中なので勧誘はお断りです」

現れた少女の腕から黒い弾が放たれる

悪寒、アレは受けたらまずい

「シッ!」

一閃、ナイフで弾の線を引く

弾丸と違って視認できる速さで助かった

「え!?」

目の前の少女は呆然と立ち尽くす

「いきなりそんなものぶっ放すとはご挨拶だな」

相手は隙だらけ、一呼吸で殺せる



「まて、式」

「何でだよ、先に手を出したのはあいつだぞ」

「アイツが今回のターゲットだ

それにしても、忠告したのに無謀だな。天才とか言われて溺れてる奴の典型的なタイプだ」

ふぅ、と橙子が紫煙を吐く

「じゃあ、貴方が・・・・・」

「そう言うことだ、お邪魔する」

橙子は自分の家のように靴を脱ぎ捨てて家の中に入っていった



流石に私も呆然としていたら奥のほうで橙子が大声を出した

「なんだと!?

なんで”宝石”のお前が此処にいるんだ!」

なんか、どっかのバカ女に橙子が始めてあったときと似てるなぁ。

なんて思ってしまった












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