「僕」は「興味」を知らなかった。
友達が「遊んでて」も何故おもしろいのか、何故楽しめるのかわからない。でも、僕も面白く笑わなきゃならない。だって「おもしろい」事だから。
母親が「庭の手入れ」をしていて何が楽しいのか、何がいい事なのかわからない。でも、僕も楽しく笑わなきゃならない。だって「楽しい」事だから。
父親が「釣り」をしていて何で笑えるのか、何で魚が釣れたのがすごいのかわからない。でも、僕もすごいっと驚かなきゃならない。だって「すごい」事だから。
人が何故「食事」を楽しまなければならないのかわからない。でも、僕も楽しまなきゃならない。だって「食事は楽しむもの」だから。
人が何故「楽しい」事をしなければならないのかわからない。でも、僕も楽しい事をしなければならない。だって「人は楽しい事をするもの」だから。
人は何故「名前」が必要なのかわからない。でも、僕も名前が必要だ。だって「人には名前があるもの」だから。
人には何故「感情」があるのかわからない。でも、僕も感情が「なければ」ならない。だって「人は感情がある生き物」なのだから。
僕はなぜ生きなければならないのかわからない。でもみんな生きてるから僕もいきなきゃならない。だって「僕も人間」だから。
だけど、
どれ一つとして「僕」からやろうとしたことは無い。
何でかわからない。やる気がおきない。いや、もともと僕にとって「やる気」なんてものは無い。
こんな事を考えている時点で僕はやはり「人間」なのかもしれない。
そんな事を考えている時ある男に出会う。
名は切嗣<キリツグ>
彼は自分の事を魔法使いと言っていた。
初めて「気になった」
気になって気になってしょうがなかった。
僕は彼に興味を持った。
初めて知った「感情」の意味。
もっと知りたかった。もっと教えたかった。自分の事、相手の事。
もっと、もっと、もっと。
初めて感じた「生」きる意味。
「幸せ」を知った。「幸せ」だと感じなければならない訳でも無い。ただ、いつの間にかそれを知っていた。
「面白い」を知った。「面白い」事は今まであったが一つとして「面白い」と思った事は無い。ただ、いつの間にかそれの意味が分かっていた。
「楽しい」を知った。「楽しい」とは何なのか考えた事は何度もあるが「答え」が見つかった事は無い。ただ、いつの間にか答えが見つかっていた。
「すごい」を知った。「すごい」とはどう理解すればいいのか分からない。ただ、いつの間にかそれを理解していた。
初めて「名前」の必要さを知った。「名前」を呼ばれる、それがどれほど大切な事を知った。
今まで存在した「何も無い僕」は消えて、新しい「僕」がそこにいた。
楽しかった。
しかし、そんな時間は長くは続かないものと言う。
事実僕もそうだ。
「ある」事件によりキリツグが僕から消えた。
その時から僕は「悩んだ」。
初めて悩んだ。
初めて僕は僕を「後悔」した。
僕は「僕」を封印した。
そして僕は変わる事にした。
笑った。
驚いた。
泣いた。
興味を持った。
ココロから「僕」を表そうとした。
でも、
僕は「僕を表す方法」知らなかった。
それは「何も無い」時と同じ。
でも、あの時とは違う。
僕は「楽しさ」を知っている。
「興味」とは何なのか知っている。
だから僕はあの時と違う。
そうして僕は今まで努力して生きてきた。
しかし、
今の僕は本当に「僕」なのだろうか?
もしかしたら違う「僕」なのかもしれない。
僕は「僕」が作った「感情のある人形」なのかもしれない。
わからない。
僕は僕で僕は僕。
わからない。
僕は「何なんだ」?
ある世界に居る男 第一部 "part6"
「GUAAaaaaAAA亜あぁぁぁあああ!!!!!」
金髪の男が大地を掻き毟る。
「何よここぉ!!屋敷がおっきぃくせにジャンクフードしかないじゃないの!!」
ズンズンと廊下で歩いているヒカリの声が聞こえる。
「ぐぉぉぉぉOOOOOOOOOOOO!!!!!」
金髪の男の体を掻き毟る。
「まぁいいじゃない!お茶請けのせんべいはあるんだから!!」「え!?どこに?!」
ティアさんが大声で答える。
それに反応したのか走って戻ってくるヒカリ。
「GAaaaaaaAAAAAAAA!!!!!!!」
男の体が変化したり戻ったり。
「そういえば・・・・・・外で叫んでる『あれ』どうするの?!近所迷惑じゃない?!!」
「大丈夫よ!周りに聞こえないように結界張って置いたから!」
「・・・・・・お二人さん、よく平気でいられるね」
僕は耳を塞ぎながら呟く。
1-1、『美女と野獣曰く、魔女と獣人』
何故こんな状況になったのかな?
自分でもわからない。
なにより、
「せんべいって何か久しぶりだなぁ」
ぱりっと煎餅を頬張るヒカリ。
「あら?昔の日本はこういう茶菓子が主流じゃないの?」
ずずずっとお茶を味わうティアさん。
「私は育ちが特殊でね。それに英霊になった後もあまりこういう物食べる機会が無いのよね〜」
煎餅を見ながら懐かしむように語るヒカリ。
「へぇ・・・・・んじゃ今のうちにたくさん食べておいたら?どうせただなんだから、ね?」
茶を置いて煎餅を頬張るティアさん。
「それもそうね!過去は過去!今は今!今のうちに味わっとかないとね!」
そして持っていた煎餅を一口で食べるヒカリ。
・
・
・
・
・
なにより、
敵同士だったのに何故こんな仲が良くなっているこの二人がわからない。
僕は魔術師関連以外ではその辺にいるその他大勢の一般人と同じだと自分で思っている。
普通の人だったらこんな状況で何をしているのだろう?
やはり僕と同じように静かに隅で包帯グルグル巻きで体育座りをしているのだろうか?
いや、やっぱり狂っちゃうだろうなぁ。
なんせ外には・・・・・
庭を見る。そこには、
「愚大おおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」
大声を上げながら地面にクレーターを作る男が一人。
はぁっとココロの中でため息。
この状況になったのは30分程時を遡る事になる。
1-2、
「おせぇおせぇ。俺はまだ息も上がってねぇぞ」
男は楽しそうに笑いながら喋る。
速い。
戦ってから1時間ぐらい走っただろうか?
僕の魔眼でさえ完璧に追いつけない程の速さ。
僕は近距離戦闘に関してはかなりの自信がある。
いや、実際に負ける気がしない。それぐらい実績もある。
が、
今この目の前にいる男には勝てる気がしない。
圧倒的に強すぎる。
攻撃も当たらない。
これほどの実力・・・・・どこの英雄だ?
「ばっか、じゃない・・・・・あんな、の、追いつける、はず、ないじゃないの!」
息を荒げに大声を上げるヒカリ。
同じ英霊である彼女でさえ追いつけないなんて・・・・・・
彼女はこれでもアサシン。その速さは伊達に忍者の頭領についていたわけじゃない。
そんな彼女が追いつけないのだ。僕が追いつくはずない。
なら・・・・・・・これを使うしかない。
「ヒカリ、少し、時間を、作って、くれ、ない、か?」
彼女は構えながらこちらを向く。
「少しっ、て、どの、くらい?」
「1分・・・・いや、40秒、だけ、でも、いい・・・・・」
少し、少しでもあれば・・・・
「わかっ、た。その、かわり、この、状況、何とか、してよ?」
そして、
「ふぅ・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
彼女が走って行く。
「お?特攻か?」
男は彼女の方を向く。
その隙に・・・・・
マジック スタート ■■■ オールワンパワー
「魔術 開始 & 魔眼 全力壊放」
壊放する。
目が段々見えなくなっていく。
代わりに見えるのは「流れ」
風、液体、魔力、氣、電波、脳波 etc etc
「目」だけを壊放する。
脳がパンクする程痛い。
だが、ここは耐えらなければならない。
彼女が僕を信じて行ったのだ。
ここで、
ここで倒れるわけには行かない!
マジック フィニッシュ
「魔術 終了」
と、同時に
「カハァ!!」
ヒカリが僕の横まで吹っ飛ばされる。
男はこちらを見ている。
「楽しませてくれよ?何をしようとしてるかわからんけどよ」
気づいてたのか・・・・・
「まぁそんな顔すんな」
しかも敵に励まされるし・・・・・・
「まぁ・・・・いいや、早く殺りたいんだろう?ならそっちからくればいいさ」
「ほぉ・・・・・いいぜ。」
瞬間、
目を集中させる。
男の周りに流れる「風」、男に流れる「血」、男の中で回る「魔力」、男に流れ出る「氣」、etc etc
そして瞬間的今までの経験で相手を予測。
男が消える。
僕は斜め左にバッグステップ。
轟
と風の流れる音。
「!!・・・・よけれるとわな」
男は感心したように頷く。
「だが、」
瞬間
目を集中させる。
男の周りに流れる「風」、男に流れる「血」、男の中で回る「魔力」、男に流れ出る「氣」、etc etc
そして瞬間的今までの経験で相手を予測。
男が消える。
僕は側面に飛ぶ。
轟
と流れる音。
「惜しい!」
と聞こえた時、
背中にダンプカーが衝突したのかと錯覚するほど衝撃が走る。
ガッ?!
背中に感覚が無くなる。頭が真っ白になるほどの■■■。
ヤバイ
■タ■ ヤバイ
イ■■
ヤバイ
■タイ
ヤバイ
イタ■
ヤバイ
イタイ!
後ろを振り向く。
そこには金髪の男が一人。
「何で・・・・見切ったはずなのに・・・・」
「一発は100%避けれるみてえぇだが、連続的には無理だな。」
そう、確かに一撃は確実に避けれる。が、二撃はさすがに不可能に近い。
なんせあの光速。
「目」がついてっても、「体」の方がついてこない。
「じゃ、さよならだ」
銃口が僕の頭を捉える。
「情けだ。一発で逝かせ―――――――」
ドスッ
男の腹から光が走る。
それは鋭利な光を放つカタナ。
カタナが男を貫いていた。
1-3、
スッとカタナが抜ける。
「大丈夫?」
カタナを収めてヒカリが手を伸ばす。
「ごめ・・・・・背中痛くて立てない」
さっきの男の一撃が聞いたのか背中がすごく痛い。
「もう、しょうがないわね」
彼女が僕の肩に手を貸す
そして彼女が僕の手を握る
・・・・初めてかも、手握ったの。
「そういえば、いつの間に後ろに?」
「私はアサシンって行ったでしょう?違う相手に集中している敵の後ろに忍び込むんなんて楽勝よ!」
と彼女は自慢するかのように胸をはる。
その時、
「離れさい!!!」
何かに引っ張られる。
「ガァ?!」
背中に激痛が電流のように駆け巡る。
イタイィィィィィ!!!
と、
怒轟
後ろから爆音が聞こえる。
後ろを振り向きたいが背中の痛みで全然動かない。
「大丈夫かしら?」
女の人の声。
が聞こえた瞬間浮いていた体が重力が戻る。
え?と間の抜けた声を上げた瞬間また背中を地面に打つ。
「?!#$бл」
背中を抑えて悶絶。もう頭の中は真っ白さえもない。
「何故私達を助けたの?」
ヒカリの声が聞こえる。
上を見上げたいのだが痛みで動けない。
僕も質問したい事があるのだが声が出ない。
「別にあなた達を助けようとした訳じゃないわ。私は唯「彼のために」あなた達を助けただけ」
女の人の声がヒカリの質問に答える。
「彼って・・・・・あそこで悶え苦しんで地面にクレーター作ってる『彼』?」
首をギリギリと擬音がなるようなスピードで見る。
そこには狂ったように暴れる金髪の男が一人。
すごい。
単純こんなことしか思いつかない程すごい。
男が地面を殴りつけた瞬間、小型クレーターが一つできる。
これぞ馬鹿力って奴か。
「そうよ。彼は『あの』状態を嫌ってるもの。・・・・・たぶん『あの』状態ならあなた達は瞬殺でしょうけど、彼はそれを『望まない』わ」
彼女は何かを思い出すかのように、語るように喋る。
「何故?彼は私達を殺したいんでしょう?なら嫌いも好きも関係無く一発で殺せるほうがいいじゃない」
首を回してヒカリを見る。
彼女は純粋にそう思っているだろう。
暗殺者<アサシン>の大体は表に出ず、出来るだけ敵に気づかれずに『一瞬』で殺す「モノ」達。
だから彼女にとって無意味としか取れないのだろう。
でも、
僕には何となくわかる。何故あの男は『その』姿にならないのか。
それは・・・・・・
「彼は『自分』のままで戦いたいのよ。それに彼は『あの』姿を嫌ってるって言ったでしょ?ほんとは我慢できるはず何だけど・・・・・まだ『慣れてない』のかしら?」
「意味分かんないわねぇ。まぁいいけど、んじゃ――――――」
瞬間、
小刀を抜こうとしたヒカリの周りには3匹の・・・・・式神?!
「・・・・・使い魔にしては高度すぎるよな」
「あら?英霊を扱うよりは楽よ?やってみる?」
強い。この魔術師は強い。
肌で感じるほどの魔力。
高度な使い魔を一気に三匹も作り上げる技術。
何よりこの状況でこれほどまで冷静でいること。
僕でも勝つことは不可能に近い。
「いや・・・・・ヒカリ、降ろしておけ。死ぬぞ」
彼女は警戒したまま小刀を降ろす。
「英霊だけでも勝てないのにその主<マスター>まで英霊を軽く捻るレヴェル何て・・・・ほんとこの世の中不平等で出来てるわね」
「あら、私には英霊みたいに宝具が有るわけじゃないし、彼らのような身体能力は無いわ」
彼女は嫌味も無く言いぬく。
確かに見た目でそれほど強そうには見えない。
「そんな使い魔召還してる時点で『化け物』、いや『魔女』よ」
「えぇ、その通り。私は『魔女』よ。と、立ち話も何だからあの屋敷に入らない?」
彼女はキリツグの家を指差す。
そのまま彼女は歩いて屋敷に行ってしまう。
「なっちょっ!「あぁ、そうそう私の名前はティア・フラット。通称はさっき言った通り『魔女』ね」
そう笑顔で振り向いて言った後また歩いて屋敷に向かう。
・・・・・・ちょっとドキドキしちゃったよ。
「何なのよ!もう!!」
そう言ってちゃっかり警戒を解いて追いかけているヒカリ。
どうなってんだろ?と心の中で考えながら屋敷に向かった。
2-1、『人形』
と言う事が40分前にあったとさ、
「ほんと、芸達者ねぇ」
ヒカリが感心したように頷く。
僕はずっと彫像のように動かない。なぜなら、
「はい。お手」
と式神にお手をさせるティアさん。
とてもじゃないが見ていたい風景じゃない。
それにずっとこっちを見てる式神が一匹。
・・・・・狙われてるのか?
「はい。おすわり」
トスンと音が鳴る。ちゃんと座ったらしい。わぁとヒカリの拍手も聞こえる。
・・・・・使い魔ってこんなものなのだろうか?
しかも一匹がドンドンこっちに近づいてくれるし。
「ふぅ・・・・・もういいわよ」
とさっきまでいた式神が消える。
一様命の危機は去った。
「案外疲れるのよ?これ。魔力も使うし」
んじゃやらなきゃ良かったのに・・・・・・まぁ言えないけど。
「ごめんね。式神見たいなんて言って」
ヒカリはほんとにすまなそうに謝る。
・・・・・顔は笑ってるが。
「いいのよ。私も暇だったしね」
ティアさんはウインクをする。
・・・・きれいな人だなぁ
「ん?そろそろ終わったかしら?」
ティアさんが立ち上がって庭を見る。
確かに叫び音が聞こえない。
・・・・なんで気づかなかったんだろう?
「すまんすまん」
金髪の男が頭を下げながら入ってきた。
あれ?????
「あの・・・・・」
「ん?何だ?」
男がこっちを振り向く。
「傷痕は如何したんで―――」
「無い」
やっぱり
「あなた何者?傷跡がたった40分で消えるなんて」
「俺は・・・・獣人<ライカンスロープ>。傷跡は『さっき』ので消えちまったぜ?」
ライカンスロープ?
聞いたこと無いぞ?
「獣人・・・・・物の怪か」
「あぁ、しかも人間によって作られたな」
え?作られた?そんなことはありえない。
現代科学は不可能だし。
魔術協会じゃこれほどのモノは作れるはずが無い。
錬金術でも無理だよな。
聖堂協会でも不可能だと無理だと思うし・・・・・
ん?待てよ?彼の着てるもの、装備は如何見たって現代風。
でも現代では作る事は不可能。
しかも英霊。
・・・・・・・・如何なってるんだ?
「彼は古代人によって作られた『生物兵器』の子孫なのよ」
と、ティアさんが言った。
「生物兵器?その子孫?それって・・・・・・」
と、答えようとしたら、
「そう。あなた達も知ってると思うけど、かつて古代人は我々では到底追いつかない程の科学力を持っていたの」
彼女はまた座って語りだす。
・・・・・・僕が言おうと思ってたのに、
「それらの中には英霊の宝具も在るほどよ」
「そう、そんで俺の祖先もその科学力で作られた『モノ』ってわけだ」
彼は上を見上げながら呟く。
その表情は凍っている。
「そうね。だから彼には人間には到底追いつけない反射神経と身体能力があるのよ。・・・・・・本当は彼は英霊じゃないの、唯の亡霊なのよ?」
え?
「えぇぇぇえぇっぇぇ!???嘘よぉ?!!!だって私達英霊は『世界』と契約した力よ?それなのに唯の亡霊に負けるなんて・・・・・」
何か落ち込んでるし。
・・・・・・僕にも何か言わせてくれ・・・・・
「英霊だからと言って強いとは限らないじゃない。もしかしたら唯の亡霊の方が強い可能性もあるのよ?」
ティアさんが立ち上がる。
・・・・・やっぱきれいな人だなぁ。
「そろそろ行くわ。まだあなた達以外にも『参加者』はいるしね」
「俺も今日はもうさすがに戦えないしな。腹も減ったし」
そういって・・・・・・・ジャンさんも立つ。
・・・・・そうだ!
「あの・・・・・ちょっといいかな?」
「ん?何かしら?」
「手を組みませんか?僕達は聖杯は要りません。だから――――」
「いえ、私はあなたと組まないわ」
え?
「なん「なんでだ?別に聖杯はいらねぇって言ってんだから良いじゃねぇか?」
僕のセリフが・・・・
「そんな事じゃないわ。私はあなたと『組みたくない』の」
なっ。
彼女の表情が凍っていく。
2-2、
「私は『人形』とは組みたくないの」
彼女は感情の無い声で言う。
それは僕の触れてはならない『ココロ』の奥底
「・・・・・・・・・・・・」
「私は『あなた』とは組んで良いわ。でも、私は『中身の無い人形』とは組みたくないの」
それを彼女は躊躇無く言う。
聞いてはいけないのに聞いてしまう自分。
聞いてしまったら僕は・・・・・・
「・・・・・・・なんで」
「私は長く生きててね。人の見る目あるのよ」
「・・・・・・・・・・・・・・僕は『人形』なのか?」
それは自分が一番分かっている『はず』の疑問。
だが『僕』にはわからない。
だから聞いてしまう。答えを聞きたく無いはずなのに。
「さぁ、でも私の目から見たら貴方は本当の『本物』じゃないわ。なんせ貴方の中の『ココロ』、空っぽだもの」
・・・・・・・・・・・・・・・
「『貴方』は作られたモノ。『本物』の貴方は何処に居るの?」
・・・・・・・・・・・・・僕は。
「まぁいいわ。それは『貴方の探すもの』よ。頑張って探してみなさい?案外答えは簡単かもしれないわよ?」
そういって彼女は庭から出て行く。
ちゃんと”お邪魔しました”も言って。
「お、おい!まてよ!」
ジャンさんも追いかけて行ってしまった。
急に静かになる。
僕とヒカリ。二人だけの空間。
・
・
・
・
・
・
・
・
「ねぇ、バース」
ヒカリが僕に話しかけてくる。
久しぶりに聞いた『僕の名前』
『それ』は僕の名前じゃないのに久しぶりとかんじてしまう。
「何?」
「私は『あなた』の事は知らないわ。でも・・・・・・」
彼女は天井を見上げる。
「私は『あなた』のこと、信じてるわよ」
そして僕を見る。
「『あなた』のこと・・・・・他の誰でも無い『あなた』のことをね」
彼女は微笑む。
それを聞いた瞬間。僕は何ともいえない、感じた事の有る、覚えていない感覚を感じる。
あぁ、そうだこれは『うれしい』ってやつだ。
『僕』が感じた。僕が『僕』になって初めての感覚。
うれしい。
うれしいから、
僕も微笑んで、
ありがとう
と返した。
つーづく
あとがき
ども。ん?です。
見てくれた皆さんありがとうです。
久しぶりの更新です。ほんと久しぶりです。
・・・・・・主人公全然活躍しなくなってきたよ・・・・・・・しかも今回TYPE−MOONキャラ出てないし・・・・・・
最初はもっと違う感じだったような・・・・・
まぁそんなことは気にしない気にしない(ぇ
そんなことより後もう少し(2,3話ぐらい)で第一部終了です。
何かドンドン下手になってる感じもしますが頑張って完結させる気満々なんで
期待しないで待っててください。
でわ。