その身は、剣で出来た聖剣の鞘 第二部第六話 Mセイバー他 傾シリアス


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1: kouji (2004/04/21 23:05:32)[atlg2625dcmvzk84 at ezweb.ne.jp]

第六話「異界突入・邂逅」

25凛視点

「―――さて、聞こえているんだろう?
お姫様の御要望だ、お望みどおり蹴散らしてやれ」

そう言って指を鳴らすバゼット、
その瞬間、『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』もかくやという勢いで閃光が降り注いだ

「「『熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!!』」」

とっさに『熾天覆う七つの円環(ローアイアス)』を展開するマイスターと士郎、
直撃は無いけど、余波だけでけっこうきついのか二人とも歯を食いしばっている
それが済むと、アサシン軍団はものの見事に消し飛んでいた

「凄い、アレだけの数を一瞬で…………」

「威力は『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』と恐らく同等、
ですが、効果のほどは……」

「『突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)』の方が近いな、
それもコントロールできる分、それよかすげぇ」

呆然と感想を述べる私たち、そこへ

ズン! っと、重い音を響かせてそいつは現れた
二メートルを軽く超える巨躯、岩のようなその立ち姿には見覚えがある

「久しいな、イリヤ」

重く響きわたるその声も聞き覚えがあるこの男の名は―――

「ヘラクレス?!
しかも理性があるってことは?!!」

今のって、ひょっとして『射殺す百頭(ナインライブズ)』?

「まさか、アーチャー?」

「いや、『統合騎士(ロード)』だそうだ」

「『統合騎士(ロード)』?」

聞きなれないクラスに首を捻る、そもそも統合って何よ?

「では複数のクラスに該当するゆえの特殊クラスということでしょうか?」

ライダーが横からそういう、ヘラクレスが頷いた所を見ると、それで良いらしい

「あぁ、該当条件は、“四つ以上のクラスの条件をクリヤーした上で『神性』持ち”
であることらしい」

「そんなのこいつ以外になれるかよ」

ランサーが呆れたように言う、
ちなみに彼も『神性』は持っているが該当クラスが三つなので無理だ
アサシンのクラスは該当条件がさほど高くないけど気配遮断に優れた者が該当する、
出来なくは無いけど「相性が悪い」とは本人の弁、私もそう思う

「聖杯には用意できないクラスね、流石は世界、特注のクラスを用意するなんて」

「ったく、こんなのに出てこられた日にゃ俺たちの立場がねぇぜ」

「そう腐るなランサー、裏を返せば、それだけの役者が必要だということだ、
このふざけた茶番劇の幕を降ろすにはな」

そこまで言った時だ

「「■■■■■■■■■■―――!!!」」

「?! 今のは?」

聞き覚えのある咆哮が響く、これは―――

「バーサーカーの声?! それも複数!!」

言ってるそばから本堂の残骸を押しのけて山のような巨人が現れる

「うわっ! なんだアレ?! 全身傷だらけだぞ?」

士郎の言うとおり全身を『アンリマユ』に犯された巨人の全身は血まみれだ、
いくら『十二の試練(ゴッドハンド)』があるとは言え無理やりにしか見えない

「見るに耐えんな」

身構える私たちの前に立ち、ロードが静かに言った
その手にはなじみの斧剣が握られている

「「■■■■■■■■■■―――!!!」」

再び咆哮するバーサーカー、雄たけび上げて突っ込んでくる巨躯、
ロードの身体がその斧剣の間合いに入る

それはすなわちロード自身の間合い―――

「我が剣は不死を砕く―――
『秘剣“蛇神伏せし、業焔の剣(ナインライブス)”』!!」

斧剣に込められた魔力が焔となって巻き上がる
そして吹き荒れる暴風
それは、目視することなど不可能な神速の斬撃だった、
私に理解できたのは、一瞬にして二体のバーサーカーはその不死性ごと殺されていたということだけ

「ヒュドラ退治の伝承にあったな、
不死の大首と無限に再生する首を持つヒュドラを倒すために、
大首を岩の下敷きにした後、残った首は切り落とした後傷口を焼いたとか」

「じゃぁ、あの焔は?」

「不死性を否定する概念武装だろう、
……どうした、アルトリア?」

見ると彼女は驚いた顔をしていた

「ランサー、アサシン(佐々木小次郎)の秘剣を覚えていますか?」

「あぁ、そういや似てなくも無いな」

何のことだろう?

「アサシン(佐々木小次郎)の秘剣って、『燕返し』のこと?」

佐々木小次郎の秘剣といえば燕返しだけど、それと今のがどう似てるのだろう?

「アサシンの秘剣は空間の多重屈折現象を起こしていました、
いまのロードの秘剣も同じ、もっともただ振っただけですら神速と呼ぶにふさわしい動きでしたから、
例えそれが無くともかわせなかったと思いますが」

空間を捻じ曲げて一度に襲い来る神速の剣舞―――

「うわっ、味方でほんとに良かったわ」

それにしても、空間の多重屈折現象なんてほとんど第二魔法じゃない、

「あぁ、うちの家系って一体…………」

私は呆然と呟いた



26士郎視点

バーサーカーの出現した方へ行って見ると、かつて池のあった場所だった

「やはりこの下か、どうする?」

大きな穴と化しているそこを覗きながらマイスターが聞いてきた

「飛び降りるのはチョット辞めた方がいいかな?」

「そもそも人の降りられる高さじゃないし、降りた所で無事な保証も無いわ」

俺の意見に遠坂が答える、まぁ、実際降りられる様な高さじゃないんだけど

「ですが『虎穴に入らずんば虎児を得ず』とも言いますし」

「正面から宝具で飛び込みましょう、
危険ですが、ここから降りるのが最短コースであるのも確かです」

「……それしかないか」

頷く、正直あの穴からだとロードが入らないだろうし、
霊体になれば関係ないけど戦う時は実体化するわけだから広い場所に下りるべきだろう

「ロード、サクラ達を抱えて降りてもらえますか?」

ライダーの言葉にロードが頷いた時だ

「その必要は無いわ」

聞き覚えのある声がして振り返る
崩れかけた境内の方、俺たちが来たほうからそいつは現れた

「ちっ、キャスターか」

赤い外套の魔女、その手には杖が握られている
その先端に―――

「宝石剣!? やっぱり持ってたのか」

「その通りよ、ここで死になさい士郎!!」

しかし、薙ぎ払われる魔杖から発した閃光は俺に届くことはなかった

「一人でのこのこ来るなんて間抜けもいいとこよ、
勝手な真似させると思ってんの?」

俺が投影した宝石剣を振りぬいた姿勢で遠坂が叫んだ

「余計な邪魔を! ライダー!!」

舌打ちしつつ、誰かを呼ぶキャスター、
直後、獣のような動きでそいつが現れた
青銅色のボンテージ風の衣装と蛇の群れを模した仮面を着け、
獣じみた姿勢で此方を威嚇してくるその姿は、
呪われた『メドゥーサ』の姿としてはある意味ふさわしいともいえる

「勿体無ぇな、折角の美人が台無しだ」

隣にいるライダーとそいつを見比べながらランサーが感想を述べる、
続く舌打ちはアイツも違和感に気付いたのだろう

「ライダー、君の魔眼には―――」

「えぇ、『重圧』の効果もあります、本来は高い対魔力を持つ相手に対して、
『石化』の代わりにかかる二次的な効果なのですが」

マイスターの問いに頷くライダー
本来の彼女の魔眼『キュベレイ』は一般的なメドゥーサの伝承よろしく『石化』の魔眼だ、
『重圧』の効果は高い対魔力所有者がその魔力に抗った結果、能力をそがれることで起きる二次的なものだ

「だとするとこれの原因はあの仮面か……
伝説のメドゥーサの髪の蛇は毒霧を吐いたとも言われているしな、
魔眼殺しならぬ魔眼変化か……
キャスターのこともある、ここは私とライダーで引き受けるか」

「なら私もここに残るわ、良いでしょ、マイスター?」

マイスターにイリヤが問う

「サーヴァントとマスターだからな、聞かずともいい、
桜、君も出来る限りでいい、ライダーを支援してやってくれ」

「はい」

頷く桜、それを背に穴に向かおうとする俺たち、
ところが、

「ランサー、士郎達のことお願い、
私もこっち片付けてから行くから」

「遠坂?」

遠坂の言葉に慌てて振り返る俺、

「あれが『遠坂凛』だってのが気に入らないのよ、
大丈夫、『投影』じゃあるまいし、アンタに出来てわたしに出来ないはず無いわ」

自信たっぷりに答える遠坂、
信じよう、俺はアーチャーに勝った、なら俺に出来て遠坂に出来ないはずは無い

「そうだな……勝てよ、遠坂」

不敵な笑みを浮かべて俺に答えると、彼女は俺に背を向けた

「士郎、行きますよ」

呼ばれて俺も遠坂に背を向けて、『槍』を手にそう言うアルトリアに頷いた



27

「『万軍を裂く神速の槍(ロンゴミアント)』!!」

槍を構えて突撃するアルトリアを先頭に、士郎たちは穴へと飛び込んだ

(おかしい……)

飛び込んで暫く、士郎は違和感を感じていた

すでに十メートル以上を落下したような気がするのに、いっこうに地面につかない
目の前には先行するアルトリアの放つ光が尾を引き、下へ下へと下っていく
と、唐突に彼らは地面へと降り立った

「途中の空間がゆがんでいたようだな、誰かはぐれたヤツはいるか?」

言いながら一同を見渡すバゼット

「ランサーがいないな、
まぁ、あいつなら簡単にはくたばらんだろう
―――それよりも、本当にここは大聖杯の中枢地点なのか?」

ちょっとした体育館か何かくらいのスペースではあるが大規模な術式の後は見当たらない

「別の場所みたいだな、多分ここ、俺とアーチャーが戦ったトコだ」

あたりを見渡して、士郎はそう答えた



28

そのころ、ランサーは―――

飛び込んだ直後、彼は何かの気配を感じ、それを追っていた
複雑な隆起も身を隠す場所もない一本道、そこをぬけると広い場所に出た
そこに―――

「へっ、運が良かったって事かな?」

「来たか、ランサー」

セイバーが黒い鎧を纏って立っていた
愛用の槍を構える、漆黒の剣を抜き放ち、目の前の相手も身構える

「律儀なヤツだ、ワザワザこんなトコに呼び出すなんてな」

「…………」

セイバーは答えない、それを肯定と受け取って間合いを詰める
神速の刺突を魔剣が薙ぎ、討ちあわされる互いの得物の魔力が衝突のたびに火花を散らす

“強い”

あの海浜公園での戦いなど、小手調べだったのだと言わんばかりの戦闘力
剣と槍の穂先がぶつかる度に、込められた魔力の爆発に軌跡をそらされ、薙ぎ払われる

放出される魔力の量が桁違いになっている、

あの時も身体を覆うように微かな魔力を放出し続けていたが、
今はそれが陽炎と化している
恐らく、聖杯戦争の折のセイバーの戦闘力、アレを大きく上回るほどの魔力量なのだろう
あの戦争の折、未熟者の衛宮士郎との契約は彼女にとってランクを落とすほどの制限を受けていた、

(それにしたって、生前の実力より上ってのはどうよ?)

アルトリアを思い出す、今のセイバーの魔力は恐らく彼女を上回る
正確に彼女の実力がアーサー王の実力だったかと言えばよく分からないが、
聖杯戦争のサーヴァントのランクから二つも上がるかどうか

(違和感の正体はもっと別のモンってことだな)

さらに数合打ち合った後、間合いを話す

「てめえがこいつを喰らったことがあるかは知らねぇが」

槍を引き身構えるランサー、その身を中心に大気が凍っていくかのような錯覚が起きる

「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルク)』か…………」

身構えるセイバー、“心臓を貫いている”という結果を創ってから繰り出される必殺の槍
制限がかけられた身で放ったとは言え、かつて彼の知るセイバーはこれを逃れている
恐らく、目の前の黒いセイバーもそれは同じ

「知ってたか……
だが、こいつにはもう一つあってな」

言いながら改めて間合いを離す

「こいつが本来の使い方だ
―――行くぜ、セイバー」

「本来のゲイボルクと言うわけか、
ならば―――」

四足の低い姿勢で伏せる、たわめられた四肢に力がこもる、
収束する魔力量は先ほどを大きく上回る
セイバーの剣にも魔力がこもる、

「迎撃する気か、やってみやがれ
―――『突き穿つ死翔の槍』!!」

離した間合いを一気に詰めると、ランサーは宝具を開放した



















黒セイバー
ほぼそのまま桜ルートの黒セイバー、と言うより本人
能力はそのままだが、ネーアの『アンリマユ』は変質しており、
その為か、素のセイバーの面影が時折顔を出す、ちなみにバッドエンド後の為、
彼女にとっての『衛宮士郎』は既に死んでいる

マスター:ネーア
真名  :アルトリア
性別  :女性
身長・体重:154cm 52kg
属性  :秩序 悪

筋力A 魔力A++
耐久A 幸運C
敏捷D 宝具A++

能力
対魔力: B 魔術発動における詠唱が三小節以下のものを無効化する、
      大魔術、儀礼呪法等をもってしても彼女を傷つけるのは難しい
      ……闇属性に染まっているため対魔力が低下している

騎乗:− 騎乗スキルは失われている

詳細:ネーアの連れているセイバーの可能性の一人、
   魔術炉心に本来以上の魔力が供給されている為、
   生前と同等のスペックを持つアルトリアを上回る魔力を持つ

技能: 直感:B 戦闘時、常に自分にとって最適な展開を“感じ取る”能力
         不安定な情緒を無理に安定させている為、直感が鈍っている

    魔力放出:A 武器、ないし自身の体に魔力を帯びさせ、
瞬間的に放出することによって能力を向上させる
膨大すぎる魔力は、彼女が意識しなくても濃霧となって身体を覆う
黒い甲冑と魔力の余波のお陰で、防御力が格段に上昇している

    カリスマ:E 軍団を率いる天性の才能
           団体戦における自軍の能力を向上させる
           統率力こそ確かに上がるが、兵の士気が著しく低下する

宝具:『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』
       人造による武器ではなく、星に作られた神造兵装
       聖剣と言うカテゴリーにおける最高位
       持ち主の魔力を『光』に変換し、収束、加速させ、神霊レベルの魔術行使を可能にする
       放出される魔力は桁違いだが、通過した対象を両断する『究極の斬撃』である
正面の『光の断層』が本来の威力であり、残りは全て余波である
       闇属性に染まっているため、剣の光も黒色となっている

ランク:A++
種別:対城宝具
レンジ:1〜99
最大捕捉:1000人


真アサシン

ロードとして召喚されたヘラクレスの『射殺す百頭(ナインライブズ)』の犠牲者第一号(多数(笑))
本来のアサシンのサーヴァントである『ハサン・サッバーハ』を、
“ハサンという名で受け継がれたアサシンの党首という『個体』”から、
“ハサンという意思の下に統率された『群体』”という形で細分化している
量産型だけに、本来のものよりランクは多少落ちているようだ

あと、いっぱい出てきても真名はハサン・サッバーハです
ジョドーとかカゲとかいうの禁止


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