注意1:基本的には月姫とFateとのクロスオーバーです。
注意2:主人公は『古い朱と救世主』の主人公を採用しております。。
注意3:Fate本編と若干展開がことなるかもしれませんが、ご了承ください。
さて、1人の少年がこみかめを抑えながら難しい顔をしている。
それは仕方がないことであり、少年の目の前にいる老人は勝ち誇ったような顔をしていた。
「それで、今から冬木市に行ってこいと?」
「そうじゃ」
「いや、そう面と向かって言い切られても困るんだが」
少し汗を掻きながら、少年は何とか答えた。
「そもそも、日本はお主の故郷じゃろうに」
「いや、そうなんだが・・・」
別に行くことに問題はなかった。
最近では、埋葬機関も自分のことを放置することに決定したのだから。
問題があるとすれば。
「アルトルージュはどうするつもりだ?」
目下の問題は、一緒にいるアルトルージュだろう。
「そんなもん、お主でどうにかしろ」
「・・・・・・・・・・・」
やはり目の前の老人は勝ち誇ったように笑う。
それを見て、少年は軽い殺意を覚えた。
「いつか・・・殺してやるからな」
「そう言うでない」
突然、老人は真面目な表情になった。
「今回の聖杯戦争には裏がありそうなのじゃ」
「裏、ね。なら、あんたが行けばいいだろうが」
「いや、儂が行ったら冬木市の管理者たちが混乱するだろうが」
「まぁ、そうだろうな」
「そこでじゃ。まだ死徒27祖になったばかりのお主に出向いてもらいたいのじゃ」
「だから、アルトルージュはどうするんだ? 絶対について来ようとするぞ」
「だから、お主がどうにかしろ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
結局、話は1歩も譲らない。
時間だけが過ぎていく。
「・・・一緒に連れて行くでいいか?」
「仕方がないのう・・・時間がないのじゃ、それで妥協してやろう」
「妥協しているのは俺のほうだ」
そう言って少年は老人に背を向けた。
満月の闇の夜に一際目立つ、その紅と蒼の瞳。
「すぐに発つ。協会の方は、そっちでなんとかしてくれ。絶対に文句を言ってくるだろうからな」
「それは心配いらぬよ。すでに話はつけて来ている」
それを聞き、少年は苦笑いをした。
「まったく」
本当に仕方がないと言わんばかりの表情。
「じゃアルトルージュに話をつけてくる」
「頼んだぞ、ネオよ」
「あんたが言うな、ゼルレッチ」
【魔道元帥】や【宝石】の異名を持つ史上最強の魔法使い。
キシュア=ゼルレッチ=シュバインオーグ。
そして、【救世主】や【タイプ・アース】の2つ名を持つ事実上世界最強の生命体。
ネオ=ナナヤ=ブリュンスタッド。
死徒27祖の第3位と第4位の静かな邂逅だった。
あとがき
え〜と、ネオは私の二次小説である『古い朱と救世主』の主人公です。
まだ完結していませんが、って言うか次回で最終回であり、ネオが生き残るのは決定しましたので、書いても問題ないかなぁと甘い考えで書いております。
ちなみに、ネオのステータスをFate風に現したら次の通りになります。
キャラ設定。
真名:ネオ=ナナヤ=ブリュンスタッド
年齢:少なくとも500歳(ただし活動時間は半年程度)
外見年齢:17歳
2つ名:救世主
タイプ・アース
紅と蒼の聖賢
死徒27祖:第3位
使用可能魔術:“空想具現化”マーブル・ファンダズム
固有異界“闇夜の世界”ザ・ダークナイト
魔術回路数:メイン100、サブが各50、総数600以上。
魔力総量:セイバーの15倍
常備装備品:『闇ノ夜』
武器解説:ネオがゼルレッチに頼んでゼルレッチの知り合いに作ってもらったナイフ。
刃渡りは約13cm、全長は20cm。
刃にはゼルレッチ特製の刻印が施されており強度を凄まじく上げている。
キャラ解説
七夜一族が朱い月の血と当時一族最強の女性とを媒介にして生み出した対魔殺戮生命体。
その後、宿敵と戦い一度殺されるものの『星』の根源に触れ『星』に再構成される過程で朱い月の情報を組み込まれて誕生したタイプ・アースの究極の一。
ポテンシャルを全開にすれば、朱い月を遥かに凌ぐ能力を持つ。
事実、ゼルレッチと一度戦った事があり、最後に『固有異界』を発動して勝っている。
七夜暗殺術も少しだけ使える。
その本質は神祖に限りなく近く、限りなく遠い存在。
アルトルージュとは恋仲であり、千年城で暮らしていた。
身長:175cm 体重:60kg
容姿:髪が耳に掛かる程度に伸びており、少し細身。
また、片目が紅であり片目が蒼と言う異端的な目(オッド・アイ)をしている。
空想具現化を使用すると紅眼が金に、固有異界を使用すると蒼眼が銀に変化する。
学生服をも要したような裾が足首まで在る黒いコートを着ている。
またサングラスを常備していたが、今はしていない。
筋力A+++ 耐久A++ 敏捷EX 魔力EX 幸運A 宝具EX
属性:中立 善
全てにおいて規格外。
(固有異界を展開すると、全てのステータスがEXとなる)
スキル:対魔力A(ただし、魔力がA以上の敵に対してはランクが1つ下がる)
直感A
最小回避A++
暗殺技能B
こうやって書いてみると、無茶苦茶人外ですね。
まぁ、人じゃないしいいか。
かくして、ネオとアルトルージュは冬木市に辿りついた。
冬木市の状況を確認して、ネオとアルトルージュは愕然とした。
「完全に『異界』だな」
「そうね・・・さすがは、聖杯戦争かしら」
「まずは冬木市の地形を確認しよう」
そう言って歩き始めるネオ。
「ちょっと待ってネオ」
それをアルトルージュは止めた。
「なんだ?」
「歩かずに、あなたが『星』のデータバンクから冬木市のデータをロードすればいいだけじゃない」
「まぁ」
そう言ってネオは照れながら笑みを浮かべた。
「たまには、ゆっくり歩くのもいいさ」
それを聞き、アルトルージュは笑みを浮かべた。
「ふふ、そうね」
そう言って、ネオとアルトルージュは歩き始めた。
◆
ネオとアルトルージュは、そこに現れた。
柳桐寺。
「これが、大聖杯か」
柳桐寺を見ながら、ネオは呟く。
「どう?」
「・・・・間違いないな、聖杯の中身は『アンリマユ』だ」
「『この世の全ての悪』ね。またとんでもないものに汚染された事だわ」
「たしか、何代か前にアインツベルンがルール違反で使った復讐者が原因だろう」
「そこまでして、勝ちたいものなの?」
「だろうな。聖杯は根源へと続く道を開く門のようなものだ。魔術師なら、そりゃ勝ちたいだろうな」
「理解に苦しむわ」
「それを言ったら終わりだろう」
笑みを浮べながら、ネオは改めて柳桐寺を見る。
と、ここで何かに気付いた。
「どうしたの?」
そんなネオを見て、アルトルージュが尋ねた。
ネオは、黙り少しだけ場所を移動した。
「・・・微かにだが、この辺に別の気配がある」
「別の気配?」
「ああ・・・・この気配はサーヴァントだな」
「英霊?」
「いや、反英霊のようだ。でも、悪い感じはしない」
そう言って少し辺りを探索した所、草陰に隠れた場所に紫色のロープを羽織った女性が倒れていた。
「この倒れているのがサーヴァント?」
「姿からして、キャスターだな」
そう言ってネオとアルトルージュは女に近づく。
「どう?」
「消えかかっている。それに、意識がないようだ」
「所々に血がついてるわ。別のサーヴァントと殺り合ったのかしら?」
「ちょっと待ってくれ」
そう言ってネオはしばし眼を閉じる。
数分して、ネオは眼を開けた。
「・・・どうやらそうらしいな。だが、この血は戦った相手のサーヴァントのモノじゃない」
「じゃ、自分の?」
「いや、マスターの血だ。どうやら自分のマスターを殺したらしい」
「自分のマスターを? どうして」
「こいつはマスターに忠義を尽くすつもりだったらしいが、そのマスターの性根が捻じ曲がっていてな。
相当罵声を浴びせられて、夜な夜な女として弄ばれたらしい」
「で、見限って殺した。と、言うわけね」
「ああ。ついでに、コイツの真名はメディアだ」
「裏切りの魔女・・・ね」
「どうする?」
「ここまで来たのよ。ちょうどいいわ、私たちも聖杯戦争とやらに参加しましょう」
「・・・・マジか?」
「マジよ」
平然と受け答えをするネオとアルトルージュ。
「それはいいとして、どっちが契約をするんだ?」
「私がするわ。言い出したのは私だし、何より私は血と契約の支配者だからね」
「わかった。それじゃ、頼む」
ネオがそう言うと、アルトルージュは頷き、倒れているメディアの頬に手を当てた。
途端に、アルトルージュの瞳が紅から金色に変化する。
「我、血を代表せし者、我、契約を支配する者なり」
アルトルージュとメディアを中心に巨大な魔法陣が現れる。
「我が名において、彼の者と契約を結ぶ」
その瞬間、アルトルージュの右腕を凄まじい激痛が襲った。
「くっ!」
悲鳴を噛み殺し、契約を結ぶアルトルージュ。
すでに、魔法陣は消えていた。
「契約完了よ」
「わかった。それじゃ、俺たちも行こう」
そう言ってネオはメディアを背負うと歩き出した。
「で、何処に行くの?」
率直な疑問。
「ホテルだな。メディアは・・・まぁ、アルトルージュの魅力の魔眼で何とかしてくれ」
「はぁ・・・人使いが荒いんだから」
「そう言うな」
笑みを浮べながら、ネオとアルトルージュはその場を後にした。
あとがき
この話に出てくるアルトルージュの口調はなんとなくメディアに似ています。
って言うか、アルトルージュの普段の姿は20歳前後です。
まぁ、理由はネオの血を飲んだからですね。
では