事前に一応
所謂オリキャラは出ませんが全力でお壊れ系ですので念のためご了承下さい
「またブラックチェリー団がでたそうだよ」
「今週もう三回目だなぁ…暇なこった」
商店街の八百屋と魚屋が溜息をつく。
冬木市。
神戸のパチモノとかいうと代行者が粛清に現れると噂される、
西洋風の新市街と和風の佇まいを見せる旧市街が奇妙な調和を見せるこの街に。
今日も剣戟の響きが木霊する。
「あははははっ、戦闘員(アサシン)ども!ボクの為に美少女を攫ってくるのだぁ!」
どこから見てもアレげな軟派なエセ軍服衣装の優男が微妙にテンパった哄笑を上げながら
戦闘員に指示を出す。
「…」
イーだのキィーだのも言わない無愛想な黒尽くめに髑髏面の皆さんがもっさりと
辺りの一般市民を追いまわしている。
こう見えてこの戦闘員ども、冬木のお巡りさんでは歯が立たない。キショいし。
「慎二、貴方のためではないでしょう」
慎二と呼ばれた青年の傍らに控えていた、黒く煽情的な衣装をまとった長身の美女が
溜息をつく。
「いいんだよ、結果的には一緒だろう?」
聞く耳を持たないっていう好例で慎二は歪んだ笑みを向ける。
「爺さんだって別に怒りはしないじゃないか。いいからライダーは黙ってこのエリアの
結界を維持していろよ」
ライダーと呼ばれた美女が再び、さっきよりは大きな溜息をつきかけたその時。
「…何者です!」
ライダーが急に目線を近くのビルの上に向ける!
「そこまでだ、悪のブラックチェリー団!」
「わたし達の目の前で懲りもせず悪さをする以上、覚悟は出来ているわね?」
その視線の先で見得を切るのは青と赤。
きらめく金髪をなびかせる青く古風な衣装に時代がかった鎧をまとった少女と、
紅い外套をまとったツインテールの少女。
「くっ…お前ら、またしてもボクの邪魔をしにくるのか!」
歯軋りをしつつも割と抜け目無くライダーの影に隠れている慎二。
「バカ慎二、今日こそ二度とそんなバカな真似をしでかせないように、
骨の髄まで反省って言葉を叩き込んでやるわ」
赤い外套の少女は目線を青い少女に向けて。
「さぁ、行くわよ、『士郎』!」
と、どうにも相手に似つかわしくない名前で呼びかけた。
「ああ…って、遠坂。この『格好』の時はお互い名前で呼ばない約束だったんじゃ」
一瞬たたらを踏むと、少し困ったような顔で振り向く『士郎』。
「あ…。ってもう細かいこと言わない!言っちゃったものはしょうがないでしょ!?
いいから行くの!今すぐ!さぁほら!」
衣装よりも顔を赤くしてまくし立てる相方に『士郎』と呼ばれた少女は苦笑ひとつ。
「じゃぁさっさと終わらせよう。慎二、遠坂の言い分じゃないけど人に迷惑をかけている
お前を見逃すことは出来ない。誰だか知らないけど黒幕と手を切って二度とこんなことを
しないと誓うなら…」
「うるさいうるさいうるさい!ボクに指図をするんじゃぁない!」
ヒステリックに慎二が叫ぶと
「お前ら!その二人を生かして返すんじゃないぞ!」
もっさりもっさり。
黒服戦闘員が一斉に二人の立つ建物のほうへ向き直った。
「じゃぁ遠坂、援護は頼んだ」
「頼まれてあげるわよ」
と笑みあうと、次の瞬間。
「さぁ、死にたい奴からかかってこい!」
士郎は青い旋風と化した。
この戦いがいつから始まったのか誰も覚えていない。
っていうか最近は特に気にする者もいない。
それは最初のうちは、ヘンな格好の人々が大立ち回りをしているのだから、騒ぎも起きた。
そりゃあもう大騒ぎだった。
しかして人間は慣れる生き物。
多少の怪我人は出ても死人が出ないどこか不可思議な戦いが続き、
いつしか皆が慣れてしまえば冬木の風物詩となってしまっていた。
…そこ、いいのか?とか言わない。
で、とりあえず。悪事を働く集団はBC(ブラックチェリー)団と呼ばれている。
…いや、負けモードになると慎二が通信機に「そ、そんなぁブラックチェリー様!」
とかリミッター解除で叫んでるんで、すぐに定着しただけだったりするのだが。
とりあえず首領の正体は内緒。良い子の君たちと僕たちとの約束だ!
…その一方で。
それを阻止する謎の二人組(自称)は、朝の児童向け番組の撮影と勘違いした
いたいけな子供たちの応援から呼び名が決まってしまった。
「がんばれー、マジカルレンジャーフォース!」
…と。
色以外に共通点は無かったのだが、子供はえてして不条理なあだ名付けちゃうもんだし。
初めての戦いでマスクとかせずに飛び出すものだから、遠坂さんと『金髪の少女』は
正義の味方やってるんだー、とか一発で街の隅々まで知れ渡るし。
7層に及ぶ被ってきた猫の層を一撃で剥がされちまったな、っていうのは
クラスメートの美綴嬢の弁であるが。
…とりあえず遠坂、色々とドンマイ。
Fate/戦え!聖杯戦隊マジカルレンジャーフォース
これは聖杯の力を巡って戦いを繰り広げる正義の味方『マジカルレンジャーフォース』の
勇気と友情と若干ラブの物語である!
…多分。
第1話『日常(1)』Closed
次回予告
衛宮士郎はモグリの魔術使いである。
ある日、言峰と名乗る男から「お前の養父の遺品について話がある」と連絡を受けた士郎は
いぶかしみながらも教会へと足を運ぶ。
言峰の最後の言葉に誘い寄せられるかのように。
「正義の味方を目指しているのだろう?切嗣の後継者よ」
しかし彼は知らなかった。教会で待つ、大いなる悲劇を。
遠坂凛は、生粋の魔術師である。
ある日、遠ざかるよう尽力していた兄弟子から「聖杯戦争について話がある」と呼び出される。
10年越しの悲願の時が迫ったことを知り、緊張と高揚に包まれる凛。
しかし、彼女は知らなかった。
既に聖杯戦争は彼女の知る聖杯戦争ではないことを。
次回「Fate/戦え!聖杯戦隊マジカルレンジャーフォース」
第2話『その日、運命に出会う。』
ご期待ください
言峰「そして司令は私」
士郎&凛「「な、なんだってー!!?」」
↓後書き
※ SS初書きなのでご指導ご鞭撻の程をよろしくお願いします。
※ Fate本編の章タイトルだけからこんな話を妄想する自分って… _| ̄|○
※ こんな世界観ですが楽しんでいただけましたでしょうか
※ 次回予告は、続きが許されるならということであります、サー