「っ!」
「やっぱレモンの味なんてしなかったな」
「なっ、なっ、いきなり何するんだ美綴っ!」
「いやなに、そんな訳無いと思っても気になってな。だから確かめたんだ」
「………まさかアレか。キスはレモンの味でした、とかいう今時少女漫画でもありえないことを
おまえは確かめようとしたのか」
「別に減るもんじゃないしいいじゃん。かたいこと言うなよ」
「女の子がそういうこと言うなよな………」
「おっ、衛宮あたしのこと女の子だと思っててくれたんだ。へぇ、そうかそうか。
この浴衣もまんざら無駄にはならなかったみたいだな」
「な、なんだよ………?」
「いんやぁ、べつになにも。あ、そういえば減るもんじゃないって言ったけど、
あたしアレが初めてだったんだよね。こりゃ減ったわ。衛宮責任とってよ」
「なに取り返しの付かないことしてんだっ! しかもおれだって初めてだったんだぞ!
だいたい責任ってなんだよ!」
「そうかそうか、衛宮も初めてだったか。いや、嬉しいねぇ」
「そうじゃないだろ! だから責任ってなんだ!?」
「いやだね衛宮は。女の子に言わすのかい? ほんとにしょうがないなこの鈍感は」
「なんでみんな鈍感とか唐変木とかいうのさ。さっぱりわからないんだけど。
だからあと責任ってなにさ」
「だから鈍感って言われるんだろ………。はぁ、もういいや。また明日、じゃな」
「あ、待て待て美綴。さすがに俺だってわかるよ、今回は」
「………ほんとか? なぁ、期待してもいいのか?」
「ああ。ようするに美綴はレモン味のかき氷を奢ってもらいたいんだろ?」
「衛宮。明日の朝は病院で迎えてくれ」
「ぐぁっ!?」
それは、なんてことのない日常。
友人とのメールのやり取りのあいだに出来た意味の無い掌編です。
時期的には一年のころかな?
お目汚しでした。