Fate/dark requiem 1 前編 (M:独自キャラ 傾:多分ギャグ)


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1: 仮面の棒人間 (2004/04/12 14:57:21)[joker at sun.px.to]



※注意。この話は(多分)第3回目(あたり)の聖杯戦争です。
なのでほとんど独自キャラしかいないので嫌な人は見ない方が良いかもしれません。










―――ほんの、何気ない会話がきっかけだった。





「なあ、遠坂」

「―――なによ」



いつもの如く遠坂が俺に魔術講座をしている時に、なんとなく、ふと思いついたことを質問してみることにした。

……遠坂は何故か不機嫌そうだ。



「そういえば前回とか前々回とかの聖杯戦争ってどんなのだったんだ?」

「…いきなり変な事聞くのね」

「いや、なんとなく聞いてみただけだけど」

「まぁ、いいわ。じゃあ何回目か忘れたけど、一番凄かった聖杯戦争の話教えてあげるわ」



なんて、遠坂は意味有りげに俺を見てくる。



「一番凄かったって、もしかして被害がか?」

「そんなんじゃないわ。ある意味凄かったのよ」

「ある意味?」



「―――あんたみたいに、トンデモナク素人の魔術師がマスターになった話よ」










 Fate/dark requiem 1 前編















―――いつもの夢を、見ている。



父さんがいて、母さんがいて、兄貴がいて―――無邪気に笑っている俺がいた。

だが俺の本体は違う場所にいて、そんな光景をただ見ているだけだった。

だから頭で冷静に理解できた。



―――こんなのただの馬鹿馬鹿しい夢だ。



だから夢の続きは常にひとつ。

俺に存在を否定された夢は砂の城の様に簡単に崩れ落ちた。



―――パンドラの箱を開けてしまったかのように。










朝の日差しで目が覚める。

「……む」

どうやらまた目覚めの悪い夢を見てしまったようだ。
両親が死んですぐは何度も見た夢だが、最近はあまり見なくなった夢だった。





―――俺の両親は10年ほど前に亡くなった。

10年前、この柳洞寺は文字通り燃え尽きた。

そして残されたのは俺と兄と数人の坊さんだけだった。



俺はその火事の時も、その後も、ずっと泣かなかった。

いや、泣かなかった、というよりも泣けなかったのだ。

とても悲しい筈なのに泣けなくて、ただこんな悪夢を繰り返していた。

黒こげの柳洞寺が今の様に建て直されてもなお。





そして俺が朝からそんな暗い空気に浸っている中突然。







「ハロー剣!起きてるか〜?」



……なんて場違いなヤツが部屋に入ってきた。







「…ったく、空気ぐらい読め馬鹿」

「剣。朝からのんびり茶飲みながら言っても説得力ないぞ」

「うるさい。別に俺はのんびりしている訳じゃない。ただ茶を飲んで落ち着いているだけだ」

「……そんなに変わんないぞ、どっちも」



今俺と会話中の朴念仁は相良 慈郎(さがら じろう)。

俺の幼馴染みにして柳洞寺に住み着いている悪霊……もとい居候だ。



先程の空気読めないどっかの馬鹿は柳洞 一茶(りゅうどう いっさ)。

信じたくないが俺の兄貴だ。



そして俺が柳洞 剣(りゅうどう つるぎ)。

「黙っていれば美人なのに男口調で乱暴なので全て台無…ぐはあぁっ!!」



うるさい死に損ないに裏拳を一発いれてやった。

……動かない。屍のようだ。



「剣。一茶本当にヤバいぞ、コレ。全然動かない」

「……そのくらいでそいつが死ぬなら苦労しない」

「まあ、それもそうか」

「そうだ。ほっとけ」



柳洞寺の朝は、いつもこんな感じで始まる。

一茶が馬鹿言って、俺がツッコミいれて、慈郎が流す。

なので柳洞寺の朝はいつも騒がしい。

まあ、騒がしいのは一茶だけなのだが。



「む、そろそろ時間か」

いつも一茶のヤツが馬鹿をやっているので俺たちはいつも時間ギリギリまで飯を食っている。

故に俺と慈郎はいつも朝練に遅刻して美綴に冷ややかな視線を向けられる。

今月はほぼ毎日遅刻しているので今日あたり早く行っておかないとまずいだろう。



「なんだ剣、もう行くのか?」

「ああ。あの馬鹿が起きないうちにな」

「はは、そりゃ名案だ」



なんて馬鹿な会話をしながら玄関を出ようとした。

すると。



「あれー?剣達何処いったー?」



なんて声が今から聞こえた。



「…走るぞ慈郎」

「了解」

慈郎の返事を聞いた瞬間俺は玄関を飛び出した。



「あー!剣、待て!!兄を置き去りにするのか!?」

「もちろん」



最後にそう振り返って言い、全速力で駆け出した。










「ハァ――ハァ――ハァ――」

「―――相変わらず、お前ん家の、階段、多すぎ、だろ」

「―――うる、さい。黙れ、居候の、くせに」



お互い息を正しながら文句を言い合う。

いつもなら柳洞寺から家まで走ったって息は乱れないが、今日は別だ。

ただ一茶から逃げてきただけの筈なのに、何故か後半からただの競争になった為だ。



「それにしても、今日は早く着いたな。うわ、まだ10分前だぞ」

「ふん、このくらい本当なら当然だ」



遅刻常習犯の俺は10分前という現実に一瞬感動してみたが、馬鹿らしいのでやめた。



「あれ、でも弓道場鍵開いてるぞ」

「美綴でも来ているのだろう」



そう言って弓道場の扉を開く。










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