『そのいち』
俺、衛宮士郎は、今日一日の間に非常識な出来事に遭遇しまくりだった。
それこそ、「藤○弘は冬木の闇に○○○を見た!」って感じで。
いや、魔術師の視点から見たら、常識の範疇かもしれないが・・・
簡単に言えば、魔力の塊である者二人の、思い出しただけでも全身が総毛立つ戦いに見とれている最中、
その片方に見つかり、それこそ「秘密を知るものはコロス」ってな感じで追いかけられた。
命からがら家に逃げ帰ってきたかと思いきや、編み笠をかぶった男はしつこく踏み込んできて、
錫杖を烈風の如く何度も突いてはしとめようとする。
その一撃はガラスを砂の如く裂き、柱を大きく穿ち、
気まぐれの振った一撃は俺を吹き飛ばす衝撃波を巻き起こす。
強化しか能のない三流魔術師の俺が出来た事は、辺りのものを強化し、
使い捨てで受け止めつつ逃げる事。後のことは考えていられない。
ほぼ間違いなく、俺はあれを倒せないし、あれから逃げ切る事も出来ないだろうけど。
それを繰り返しつつ、あるいは追い詰められたと言うべきか―――倉に逃げ込んだ。
「怖かろう恐ろしかろう。」
編み笠の男はまるで爬虫類のような笑みを浮かべ、錫杖の先を突きつけてじりじりと歩み寄る。
俺はそれに呼応してじりじりと後退するのみ。手にはさっき拾った鉄パイプ。
これを強化すれば、一発くらいは持つか―――!
「どれほど強き壁を張ろうとも・・・」
底冷えのする声を無視し、パイプに魔力を通したとき―――
「む、何奴―――!」
「な―――!」
いきなりの事。倉の中が光に包まれる。
「この光・・・最後のサーヴァントかっ!
一時下がるとしよう・・・跳躍!」
やがて光は止み、目を凝らすと、編み笠の男の姿は影もカタチもなく、
代わりに存在するのは、赤き鎧に身を纏い、青白き光を放つ剣を持った、
威風堂々たる姿でそびえ立つ騎士が―――!
「―――問おう、お前が俺のマスターか?」
―――俺は、運命と出会った。
なかがき
やっちまいました。
とはいっても、Fateをやったのは3ヶ月前。
もう覚えていないので、説明で変わりないところは大方飛ばそうと思っています。
ちなみにこれでプロローグが終わりではないので。まだ下に書きます。
我が家の事情で一回のパソ起動時間が短いので。
追伸。
そうとう台詞回しがおかしいですが、その辺りはまあご容赦いただけると。
『そのに』
さっきまでの恐怖体験の反動からか、居間に戻った俺はガクンと膝から崩れ落ちた。
気が抜けたと言うのだろうか、そのまま倒れこんで眠りにつきたい衝動に駆られる。
「マスター、大丈夫か?」
だが、その声に俺は意識を取り戻す。
多少渋めの、かつ若い男の声。
そうだ、まだ眠る前に、聞きたいことが山ほどあるじゃないか―――
「そういえば、どうして俺をマスターなんて呼ぶんだ?
そもそも、お前は誰なんだ?この手の甲についた・・・」
と言って、俺はそこにある赤い痣を見せる。
「これは何なんだ?
俺の気が確かなら、光が出てきてお前が現れた時に、痛みと一緒に―――」
「落ち着く事を勧める、マスター。
一つずつ、マスターの疑問を解消していくことにしよう。」
長い金色の髪が揺れるとともにため息一つ、青年は肩をすくめた。
数十分の後に、大体解った。
今この町を巻き込んで起きようとしているのは、聖杯戦争と呼ばれる代物。
その目的や概要を聞いて、彼はサーヴァントのセイバー、と名乗った。
そして、本来サーヴァントはマスターとの契約の際、レイラインを通じて魔力を供給されるらしいのだが・・・
「・・・俺は、繋がってないと。」
「不完全な契約が原因だろうな。令呪によって契約自体は認められている。
それに、マスターは―――」
「あ、ちょっと待ってくれ。俺はマスターって言われるほどまともな魔術師じゃないし、
何よりなんか気分が変だ。
俺の名前は衛宮士郎。士郎って呼んでくれ。」
「了解した。士郎だな。」
あ、なんかこのセイバー、礼儀正しくていいかも。
「さっきの続きだ。士郎は、運がいい。
俺の体は特殊でな、その魔力は殆ど要らない。」
「・・・どういうことだ?」
さっきの話だと、サーヴァントは魔力で存在し、活動するから、
魔力が補充されないといつか消えるんじゃ―――
「補足すると、俺に必要な魔力はこの体を維持する物と、動力炉を補助するための物。
普通に戦っても、ゆうに一ヶ月は単独行動可能だ。
ただ・・・」
「ただ?」
「それには条件がつく。俺に必要なのは魔力ではなく、むしろ魔力も要るが、それよりも、
―――電力だ。」
「な、なんだって―――!!」
まるで某MMRのような驚き方をしてしまった。
無理もない。まるでその言い方だと、自分がロボットだと言っているようじゃないか―――!
「この体は機械、動力は核融合炉。
それらをリンクさせ、宝具を機能させるには魔力と言う潤滑油が必要になる。
魔力が切れてしまえば、電力MAXでも宝具を起動させることは出来ないようになっている。」
「ん?なっているって、どういう意味だ?」
「聖杯からの知識で、そう説明されただけだ。
不本意ながら、俺は、いや今回の聖杯戦争は、イレギュラーが発生しているらしいのでな。」
あとは、簡単に説明が終わった。
自分は、恐らく未来の英霊?である事。
?がつくのは、自分の死んだ記憶がないこと。
それから、真名。いわゆる、サーヴァントの本名。
「俺は、ゼロ。レプリロイドだ。」
「これからよろしく、ゼロ。」
そして、一緒に戦っていこうという決意表明の握手。
正義の味方を目指すものとして、殺しあうなんて事、止めさせてみせる―――!
『そのさん』
いんたあるうど
士郎がセイバーを呼び出したその時、冬木のとあるホテルの一室。
そこでは、奇妙な光景が発生していた。
「止めろ、アサシン!貴様・・・俺を殺す気か!?」
二人の男が向かい合う。
一人はマスターである、黒いスーツに黒のサングラスの男。
「アイツが・・・この世界に降りている・・・。
幸運だ・・・アイツとはけりをつけなければならない・・・。」
もう一人は黒いコートに身を包んだ、金髪の青年。
アサシンと呼ばれた青年は、右手をズボンのポケットに突っ込み、左手のナイフをちらつかせた。
「オマエには用はない・・・。いや、お前の組織にも、か・・・。」
「マスターであるこの俺を裏切るのか、アサシン!」
「元から組んだ覚えもない。
アイツと決着をつけることの前に、聖杯戦争など些細なことでしかない。」
「あ、アサシン・・・いや、優希堂!」
というと、マスターは腕の袖を捲り上げ、令呪を見せる。
それを見て、アサシンは心底呆れ、ナイフをあさっての方角に放り投げる。
「ふん、所詮―――」
「―――その程度の存在か、ユウキドウ。
同じ俺ながら、悲しいものだ。」
悲観しながらの声は、後に一つの呪文を紡ぎ出す。
「ダビデは琴を弾いていた・・・
サウルの手には槍があった・・・
サウルは槍を投げつけて・・・
わたしはダビデを壁にでも・・・」
「ゆ、優希堂!おのれ・・・!
『マスターの命令に逆ら―――』」
「オレはダビデを突き刺してやる・・・
たとえ再びかわされようと・・・」
その瞬間、二人しかいなかったはずの部屋には、一人分の存在がぽっかりと消え去ってしまった。
「さて・・・魔力供給はどうするか・・・」
その顔には、笑顔が張り付いていた。
どうやって奴を倒そうかという、歓喜の笑みが。
まずセイバー。
クラス:セイバー
マスター:衛宮士郎
真名:ゼロ
性別:男性(に設定)
身長・体重:不明
筋力 B 魔力 E
耐久 B 幸運 D
敏捷 B 宝具 A
固有能力
空間転移:C
自分のみ。しかも転移場所も地面のあるところだけ。
つまるところ空中へは無理。
二段ジャンプ:C
大体5〜6mまで飛べる。
所有宝具
「野望を蹴散らす魂の叫び(ゼットバスターフルチャージ)」:B
銃から直径二メートルほどのエネルギー弾を撃つ。
チャージに約3秒かかる。
「身を守りし刃(シールドブーメラン)」:C(防御はB+)
前方防御。B以下の攻撃を防ぎきる。
「闇夜を切り裂く蒼き剣(ゼットセイバーフルチャージ)」:EX
剣の乱舞で切り刻む。もしくはエネルギー放出してぶつける。
チャージに15秒以上要る。
未来の世界において、一般レプリロイドや人間を弾圧するイレギュラー達と戦い抜いた英雄。
得意技は刀、銃、壁蹴り。
一説で波動を使う格闘家と戦ったと言われているが定かではない。
次はアサシン。
クラス:アサシン
マスター:ユウキドウサトル
真名:優希堂悟(セルフ)
性別:男性
身長・体重:不明
筋力 D 魔力 E
耐久 E 幸運 E
敏捷 E 宝具 EX
固有能力
科学:B
多分凄いと思われるが、はっきりしない。
所有宝具
「第三の瞳(レムリアフォース)」:D
対象の過去や未来の事を少しだけ解るときがある。
本家と違って弱いので同じ時間軸、同じ並行世界限定。
「0次元存在(セルフ)」:EX
限定された条件下で、その世界軸でのみ対象の存在を根本から消し去る事が出来る。
条件はかなり厳しく、ある意味最弱の宝具。
クラス別能力は設定の問題(イレギュラー発生)でアーチャー2人除いて発動しません。
『そのさん』
いんたあるうど あうと
って、ちょっと待て。
俺は、正義の味方を目指しているのか?いつそんなことを言った?
そもそも、前から気になっていた。
俺は、本当に、衛宮士郎という一個の存在なのか―――?
「士郎。」
「―――ん?あ、ああ悪い、セイバー。
何だ?」
「士郎は、聖杯戦争にこれからどんな目的で挑む気だ?」
「・・・そうだな。
多分、サーヴァントは倒してもマスターは倒さないかもしれない。
人殺しをする気は、俺にはない―――」
「・・・どうした?」
と問うて来るセイバーは、居間に正座していた。それはいい。別にいいんだ。
首筋からコンセントまで伸びている、黒い紐の存在を抜きにすればの話だが―――!
「・・・これか?言うまでもなく、充電だ。」
マジですかっ!?電気代を食うのか!?
「ちなみに、一日につき8時間だ。」
・・・家計、大丈夫かな(涙)
ああ、そういえば聞くのを忘れていた。
さっきの説明じゃ、英霊は聖杯を求める目的があるとか。
じゃあ、セイバーの理由はなんだろう?
「セイバーは、聖杯をどうして求めるんだ?」
「俺はそんなものは要らない。
俺には、欲しいものが見当たらない。」
「じゃあ、何で英霊なんかになったんだ?
聖杯を求めて、世界と契約したんじゃないのか?」
「言ったはずだ、イレギュラーだと。
俺は聖杯と接触した覚えはない。」
ああ、そんな事を言ってたっけ・・・。
さて、今晩はどうしよう・・・。
さっき編み笠の男に空けられた穴から出てくる風が、滅茶苦茶寒いし・・・。
それに、色々あって今日は疲れた。よし、決定。
「よし、今日はもう寝る。」
「なら、俺が警備しよう。
マスターを守るのは、サーヴァントの務めだからな。」
「ありがとう、セイバー。」
セイバーが男でよかったと思う、このときは。
女だったら・・・・・・考えたくない。
というわけで、俺が寝る部屋の中、セイバーは充電しつつ静かに座り込んで警備してくれた。
『そのよん』
いんたあるうど
「答えは得た。大丈夫だよ遠坂。オレも、これから頑張っていくから」
そういい残し、俺はあの世界から消えた。
あっちの俺は、もう大丈夫だろう。遠坂もいるし、俺はオレを乗り越えた。
だから、いま体にかかっている浮遊感も、妙に心地よく感じる。
さて、今度はどんな人間に召還されるのか―――
「なんでよーーーーー!?」
ふと気がつくと、オレは何処かの居間にいた。
何となく見覚えのある破滅的空間に、何処か聞き覚えのある少女の声。
ああ・・・まさか・・・。
一瞬の後、ドアを蹴り込んで入ってきた少女の顔を見て、俺はツッコミを入れた。
『やっぱりかーい!』
無論、心の中でだ。俺もまだ死にたくはない。
いや、英霊なのに死にたくないと言うのはおかしいか。
これからともに戦う相手が衛宮士郎の成れの果てと知ったとき・・・怖いな。
ともかく、オレがそう考え込んでいる間に遠坂が何事か話してきたのは解っている。
だから、オレはこう答えてやった。以前のとおりに。
「開口一番それか。これはまた、とんでもないマスターに引き当てられたものだ」
やれやれ・・・世界もまた、戯れが好きなものだ。
『そのご』
その後、以前の掛け合いをほぼ同様にして、居間を片付けさせられた。
「了解した。地獄に落ちろマスター」
無論、この言葉を忘れずに。
ちなみに、今回は令呪を使わせると言うへまはしていない。
どんな悪魔でも、対処法さえ解っていれば怖くはないからな。
「・・・誰が悪魔よ」
「・・・・・・・・・・・・フッ」
ボコボコにされた。
こういうときだけサーヴァントの耐久力を上回る攻撃を繰り出すのは反則ではないか?
さて、もう一度この時代―――いや、平行世界か―――を戦うわけだが、
別に衛宮士郎を殺そうとは思わない(無論助けようとはもっと思わない)。
ならば・・・どうするか・・・願いもないしな・・・。
―――遊ぶか。
最低限はやって、後は散々からかう事にしよう。
敵も、味方も。
「何か、不穏当な事考えてない?アーチャー」
「気のせいだ、凛」
そして、3日後。
予定通り、オレは凛と学校の偵察に向かった。
一つ気になるのが、この平行世界では、学校に結界が張られている訳ではなく、
その代わりに謎の行方不明事件が多発しているとの事だった。
どちらにしろ、魔力が充満しているため、凛に打診してこうして夜の偵察に来たわけだ。
何かいればもうけものだったが―――
校門から入ったときに、いきなり遭遇した。
「一夜にて 天津国まで伸びゆくは 瓢の如き宇宙の螺旋」
そこには、編み笠をかぶり、錫杖を持った男が立っていた。
気配から、相手がサーヴァントだとは解った。
だが、まさか聖杯が、こんなものを呼び出しているとは―――!
「我が主のため、貴様等には礎となって貰おう。
―――滅!」
「アーチャー!」
「解っている!」
前回とは全く違う、聖杯戦争が始まろうとしていた。
『そのろく』
編み笠の男は杖の先を向け、オレの方に踏み込みを開始した。
その速度は高速にして躊躇いなく、確実に敵を倒すと言う意思を乗せたもの。
トレース、オン
「―――投影、開始」
対するオレも、迎え撃つべく陰陽の刀を片手ずつに顕現させる。
長年で一番使ってきた、相棒とも言うべき武装。
そして、相手の射程圏内に踏み込むと同時、敵は高速の走りを乗せた神速の突きを繰り出してきた―――!
「む!」
「ほう・・・」
ギィン!と金切り音が交差する。
双剣を交差させた中心点に、杖の先が重力を乗せて来る。
以前と姿正体は違えど、これはランサーと推定する。
「アーチャー、ちょうどいいわ。
手助けはしない。貴方の力、見せてもらうわ」
「至極承知!
私の姿、のんびりと茶でも飲みながら見てもらうとしよう!」
言われるまでも、ない―――!
ランサーは鍔迫り合いをする気は毛頭なく、オレが防いだと見るや否やすぐに引き戻し、
コンマ未満の返しの打撃を再び発す。打撃す。撃ちまくる―――!
全て急所にまみえんとする先端を、秒間の後にはオレの双剣が全て返す。
元より、我が剣術は護る事に特化されたもの―――!
・・・だよなあ。
それはともかく、一発たりとも双方とも、体への着弾を許してはいない。
ランサーが撃ってはこちらは下がり、好機と見てオレが踏み込めば杖を薙いで牽制する。
ランサーが薙いでは刀を犠牲にして防ぎ、突かれては新たな刀で弾く。
ランサーの撃ちは当たれば鉄をも穿つ一撃必殺、うかつに前には出られず。
ランサーの薙ぎは巻き込まれれば大木をもへし折る一撃粉砕、容易に潜り込む事かなわず。
全く、以前のランサーが勝ち残れなかった理由が不思議でならない。
・・・意外と、あの性格によるものが原因と思うのだがな。
その繰り返し、どれほど経ったろうか。
二十まで数えていたのだが、それからはめんどくさくなって止めた。
「中々やる」
その言葉とともに、ふとランサーは大きく跳躍して後方に引く。
以前は確か、此処で宝具を使おうとしていた。
今回はそうはさせない。衛宮がいないときの為に、備えはしておくものだ。
跳躍0,2秒後、ランサーは空中に浮き上がったばかり。
オレは刀を消し、弓を構える姿となる。
0,3秒後、オレの片手には弓が。もう片方は肘を曲げてゆっくりと引き込む体勢。
0,4秒後、空いた片手には西洋剣の柄が。
「――――I am the bone of my sword(我が骨子は捩れ狂う)」
その刃は、螺旋を描いていて。
0,5秒後、やっとランサーの浮上停止。
だがこちらの矢は準備完了システムオールグリーン、発進0,1秒前!
それに気づいたランサー、表情を変える。笑みから怪訝へ、怪訝から驚愕へ。
だが、幾らサーヴァントといえど重力に縛られた存在、方向転換など出来ようはずもない!
「――――偽螺旋剣(カラドボルグ)、ファイアー!!」
「ファイアーって何よ!?」
凛のセリフへの解説は、しとめた後に返すとしよう―――!
「――――ブロークンファンタズム(壊れた幻想)、ストライク!」
ランサーのジャンプから一秒後、校庭に爆裂音が響き渡った。
なかがきそのに
微妙にアーチャーさんはっちゃけてるなあ(ヲイ
多分読んでる人以内と思うのでかなり好きに書いております。
『そのなな』
「・・・ちっ、逃したか」
「アーチャー・・・」
爆風が風に巻かれ、消えていった後、編み笠の男は忽然と姿を消していた。
確かに、今ので殺れるとは消し炭ほどにも思っていない。
やつがオレの予想通りの相手ならば、ランサーの能力にあれがあるはずだからだ。
「・・・聞いてもいいかしら?」
後に聞こえるのは、柔らかな北風の音と、震える我が主の声。
寒さに震えている訳ではないのだろう、声の芯はしっかりしている。
やれやれ・・・答えてやるか・・・。
オレはむかつくポーズ(旧凛命名)を取り、凛に向き合う。
「何かあるかね?凛。
ランサーを倒しこそしなかったが、私の力は十分に解ったと思うが」
「ええ・・・それについては十分に解ったわ・・・。
けどよ!
ファイアーって何!?」
「やれやれ・・・それこそ愚問だな」
「――――何ですって?」
凛は睨みをきかせ、怒りを押さえた声をぶつけてくるが、オレは動じることはない。
それにしても、全く、凛は男の夢というものが解っていない。
これに関しては、あの衛宮士郎ですら賛同するだろう。
「ヒーローが技を撃つときに叫ぶのは、王道ではないかグハアッ!!」
「あんたそれでも昔の英霊かあっ!!」
凛・・・そのツッコミ速度はナイスだが・・・
「具現化できなくなるほどダメージを与えるのは・・・どうかと思うがね・・・」
「――――えっ?マジ!?」
「・・・では、暫しさらばだ、凛」
・・・これは、半分嘘だ。
ただ、今回は近くに人影を確認できなかった(オレとか)し、
カラドボルグに魔力を使いすぎたため、休みたかったからだ。
・・・不覚にも、衛宮士郎はこっちからは見えない場所にいたことが後に解ったのだが。
いんたあるうど あうと
いんたあるうど2
あの弓使い、なかなかの腕だ。
それに主と思われるあの少女の堂々たる姿、見事。
我の宝具で主のみを片付けるのは容易い。
が、それでは余りにもつまらぬ。
ここはもう少し、戦いを楽しませて――――
「・・・ふん、鼠が紛れておったか」
今我がいる建物の陰から、逃げ出す人影。
赤き髪の少年。
誰であろうと、見たものは生かすわけにはいかぬのがこの戦争の道理。
「この場にいた不幸、冥界で嘆くがよい。
――――滅!」
いんたあるうど2 あうと
あとがき
やっとプロローグ終了。
というわけで士郎宅に凛が来ませんでした。
原因がね・・・うん・・・
次回、第一話です。