そこに居るのは死
そこに居るのは絶望
そこに居るのは破滅
そこに居るのは……
――咎人――
男はゆっくりとこちらに振り向く
それだけで動けなくなった いや、その男を見た瞬間から動けなくなっていた。
(何なんだ…こいつは…何なんだ!?)
声がでない ガチガチと耳障りな音が聞こえるだけで他には何もない
音を出しているのは自分だとわかったのは歯が噛みあわないからだった
…男が一歩、こちらに向かって足を踏み出す…
たったそれだけの事なのに体が自分のものでは無いかのように震え出す
「ヒィィィィ……」
変な声が聞こえる 他にも誰かいるのかと思い必死で辺りを探すが、誰もいない
「ィィィィ……」
まだ聞こえてくる それが自らが出している悲鳴とも気付かずに必死に探す
何時の間にか男は目の前に立っていた
男の右手にあまりにも禍々しく あまりにも暗い剣が握られていた
ビシュ
妙な音が聞こえた 景色が急に変わる さっきまで男が見えていたはずなのに今は夜空が見えていた
(ああ…俺死んだんだ…)
頭の片隅で理解した…してしまった
視界が真っ暗になる その暗さは絶望を思わせながら…絶命した
「………」
男は終始無言だった 今、喋る事は何の意味も無いから
男の血のような、炎のような瞳が、先程斬ってしまった男を見る
泣いてるような、笑っているような、憐れむような、怒っているような……
そんな表情で先程まで生きていた『もの』を見ていた
「ぁ…………」
何か言おうとして 止める
言葉をかける事はもう無駄だから
夜空を見上げる 先程まで恐怖を体現していたようなモノが無くなり 母親に捨てられた子供のような顔をする男 剣を強く握ると、柄に浮き出ている模様が光り 男の中で何かがごっそりと無くなった
そこには既に表情がなくなり 恐怖と絶望を体現しているような男がいた
『彼の剣は闇で出来ている』
『柄は絶望で 刃は破滅』
『物を斬り、獣を斬り、人を斬り、神を斬り殺し』
『ただ一筋の光もなく』
『ただただ闇が続いている』
『彼の持ち主は常に一人 暗闇の中で咽び泣く』
『故に、彼の持ち主は咎人・・・』
『その剣は無限の闇、そして絶望で出来ていた』
〜〜darkness knight〜〜
序 章
「ん…」
目が覚める 天井には変わらぬ木目 むくりと起き上がる赤髪の青年 大きく伸びをする
「ん〜〜〜〜〜……」
いい朝だ いい朝の日に早く起きる事は気分が良い 今日は何か問題があっても楽に解決できるような気持ちになってくる
たとえタイガーが襲撃してきても跳ね除け……れるわけもないのだができると思う…うん、思うことは自由だ なんか情けないような気もするが
「〜〜〜〜〜……おしっ!」
頬をパンッと叩いて残っていた眠気を覚ます
手際よく布団を片付けると、戦の下準備…ではなく朝食の準備をしに行った
「ん?」
廊下を歩いていると、金髪碧眼の少女がいた
片手を挙げて爽やかに挨拶をする
「おはよう、セイバー」
声に気付きこちらに振り向くセイバー
「おはようございます 早いですね シロウ」
ほがらかに笑いながら返してくる少女
聖杯戦争時、俺と一緒に戦ってくれた最強のサーヴァント、『セイバー』
今はもう、俺がマスターでは無いのだが、俺の剣になることを誓っている
美人で誇り高く優しく強く 3拍子ならぬ4拍子揃っているのだが、
見かけによらず 獅子のようによく食べる いや獅子がよく食べるか知らんけど……
タイガー…もとい藤ねぇと食事になると、競い合うかのように食べる
その有様は正に、『二大怪獣大決戦』ならぬ『二大猛獣大暴食』になる
とにかく食欲が凄まじい もうちょっと控えめになってくれたら……
「シロウ、今とても失礼な事を思ってません?」
半眼でこちらを見つめるセイバー
さすが技能『直感』 あまり失礼な事を思えないぞ
「あ、あははは…はは…は〜……さて、朝食の準備でもしないとな〜」
引きつった笑顔でぎこちなく歩く ジト〜っとこちらをみるセイバーの視線が痛い…
平和だった これからも続くであろう いや続いて欲しいという少年の願い
だが、それを願いは砕かれ、事件は突拍子も無く起こる……
「…シロウ?」
声に振り向くと、セイバーが変な表情でこちらを見ている
「どうした、セイバー?」
グラっとセイバーが揺れる
「……あれ?」
体に違和感を感じる 異常は無いはずだが違和感がする
景色がゆらゆらとする
揺れているのは……自分?
ブシュウ…
胸元に袈裟切りを食らったかのように血が吹き出る
「…グ………ああああぁぁぁ!!」
猛烈な痛みが体を襲い 膝をつく 苦痛で顔が歪む
セイバーが目を見開き…
「シロウ!!?大丈夫ですか!!?シロウ!!?」
こちらに駆け寄り、ビリリっと服を破りながら傷口を見る
「なっ……これは……!?」
刃物で斬られたかのような傷……なのだが…
服は破れてもいなかった
ドタドタと駆け寄ってくる音が聞こえる
気が遠くなり、目を瞑る…闇に飲まれるような感覚が、何故だか絶望を思わせた…
また戦いが始まる
悲しみと怒りと哀れみと…
セイバー 遠坂凛 衛宮士郎
そして…
死をもたらす源の男
炎のような髪をたなびかせる鬼の王
絶望そのものとも言える剣と償いきれぬ罪を背負う咎人
これから始まる戦いは、意味のある戦いなのだろうか?
〜〜序章 end〜〜
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あとがき〜
Zweiです どうもです 初投稿です よろしくです 凛ルートグッド後みたいな設定です
オリキャラととあるゲームのキャラをどうにか出していきたいと思ってます ちなみに短いですが石を投げないで下さい(ああ!!痛いっすよ!!) 楽しんでくれれば幸いであります〜ww
オリキャラ紹介
名称 木葉 雪奈(このは せつな)別名 咎人(とがびと)
性別 男
年齢:不詳
特徴:黒髪で赤眼 髪が腰の所まである
ラ グ ナ ロ ク
武器(サーヴァントではないので宝具ではない):『咎人の剣 存在を滅すモノ』
『黒叡(こくえい)』
ラグナログ(神々の終末だろと言う声はもっともです、すいません(汗))
概念武装に近い、事実上存在しない剣、殺せるはずの無い神を斬り殺した程の邪念、怨念、破滅、絶望等を剣の形にしたモノ どうやって出来たかは不明 一流の魔術師どころかサーヴァントが持っても発狂する程の『形になった概念』コレ自体が無限ともいえる程の力を持っていて全ての力を放出すれば、正に世界の終末が再現できる。一部の能力開放でも『エア』と同等以上の破壊力を持つ 宝具ではないのに宝具以上の威力を持つ剣 黒叡とはワンセット 何故、雪奈が持っているか…持っていられるかは、後々明らかにww
黒叡
ラグナロクに付いている模様 闇の意思ともいうべき物、持ち主に決して手放せぬ呪いと深い憎悪と闇を植付け、対峙者に恐怖を植え付ける概念武装 コレがラグナロクのリミッタ―にもなっている
赤い瞳は胸から血を吹き出した男を見ていた そのまま崩れ落ちるが
「……死んでいない」
ポツリと呟く
余程の強運か…それとも強度な加護が付いているか…
瞳が男に駆け寄る女を捉えた その少し後にまた女が男に駆け寄る
二人とも男を心底心配しながら行動している
男はしばらく目を閉じる
今の光景は自分を狂わすから…
次に目を開くと、そこにはもはや先程の光景は無かった
急に泣きそうな気持ちになった…
自ら失ったモノを持っているあの男が少し羨ましかった…
「……ぐ……あ……!!?」
酷く頭が痛む 続いて胸の中がズキズキと痛み 吐き気を催す 耐え切れず胸を押さえる
「黒……叡…!!!!」
何時の間にか剣が握られていた
ラ グ ナ ロ ク
禍々しき黒い剣 『咎人の剣 存在を滅すモノ』
その剣に描かれている模様が浮き出る
模様が発光し、自分の中の何かがごっそりと消えていくように感じる
「……カ……ア…」
自分の中の様々なものが消え去る
そこにはもはや無表情な男しかいなかった
〜〜darkness knight〜〜
第二話
剣が見える…
その剣はあまりにも禍々しすぎて
その剣はあまりにも暗くて
永遠の闇が剣の形になったようなモノだった
(……なん…だ…?)
カリバーン
ずっと前から見ていた『 剣 』とは違った
それは意思があるかのように蠢いていた
その中で二人の小さな子供が泣いている
悲しみと苦しみと哀れみと怒りと絶望の渦の中で
ぼんやりとした姿なので性別はわからないが、
一人は、雪のように白い髪と、赤い瞳が、
もう一人は、とても長い黒髪と、紫紺の瞳が……
黒髪の方の子供の瞳は、あの禍々しい剣に付いている宝玉と同じ色だった……
白い髪をした子供が剣に吸い込まれるように消えていく
黒髪の子供がその剣を握り締め
剣の中の禍々しい全てが解き放たれた
そして世界が闇に覆われた
妙な夢から目が覚める
「……あれ?」
時を巻き戻したかのように目が覚めたら、天井の木目が見える
何故自室にいるのだろうか? 自分は確か朝食を作る為に洗面所で顔を洗い、そして…
「……!!」
自分は確か胸元から血が吹き出して、その後……
胸に手を当てると、傷など何処にも無かった
「……何だったんだ……一体」
居間に行ってみると遠坂とセイバーが妙に難しそうな顔をしていた
「どうしたんだ?二人とも?」
「「シロウ(士郎)!!」」
声をかけるまで気付かなかったと言う事は相当熱心に話していたのだろう
「士郎、もう体に異常はない?」
真剣な顔で聞いてくる遠坂 ここまで真剣になっている遠坂を見るのは久々なような気がする
「ああ どこにも異常はないけど……」
確信は無いが、そう思う だが、やはり朝にあんな事があったから少し心配なのは確かだ
あの時のように違和感は無い 突然倒れたりはしないだろう
それに何の話をしていたのかも聞きたいし
「それより、二人とも何の話をしてたんだ?」
難しそうな顔をする遠坂
「今、セイバーと話をしていたんだけどね……」
気持ちを落ち着かせるかのように息を吐く
「士郎」
俺の名前を呼び、まっすぐ見つめてくる
「あなた、狙われているかもしれない」
そんなとんでもない事を口にした
大江山
それは立っていた
月を背に、炎のような髪をたなびかせ、そこにいた
自身の身長と同じくらいの棍棒のような物を振るう
[酒呑童子断迷開悟]と刻まれていた石碑が衝撃波で砕け散る
『……頼光』
永き間……待っていたのかもしれない
凄まじい気の嵐が、この者を中心に吹き荒れる
『貴様に自由を…』
いる 我が宿敵(とも)が、ここではない何処かにいる
失った我が角と…自らの誇りにかけて…
『今度こそ…』
闘いの衝動が抑え切れぬ
『晴らす!!!!!!!!』
爆発的な気
周囲の木がへし折れ 草花が散る
ズダン!!!
跳び立った後に小さなクレーターが出来ていた
『頼光ぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!』
夜空に舞っていく鬼
鬼が目覚めた
史上最強の鬼が
鬼の王が
その鬼の名は
『酒呑童子』といった
妙な鎧を着た男が立っていた
何かが目覚めた
だから自分はここにいるのだろう
様々な気を感じる
人形同然であるこの体が、その中の二つに反応していた
一つは、死闘を繰り広げた炎を操る鬼の王
もう一つは……闇……
悲しみと……闇……
男は飛び立つ
滅ぼさなければならない
穢れし闇に……『死』を
その男は飛び立った
鎧の肩の部分には角が、鬼の角が付いていた
源の力を持つ男
『源 頼光(みなもとのらいこう)』は、闇を滅すべく飛び立った
〜〜第二話 end〜〜
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あとがき〜
主人公出番無いですな… しかもクロスオーバーとか書いてないし(汗 それに伝説からえらく外れた二人も脈絡無く出てくるし(汗 とりあえずゲーム『御伽』から出展です 強そうに書いて見たんだけどどうなんだろ? とりあえず次回は主人公活躍させよ…