それは有り得たかもしれない物語 そのにじゅうさん


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1: 久遠 (2004/04/09 23:31:25)[kuon_kurotuki at passport.net]

  
 注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。

 注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。

 注意3:これは電波による二次被害作品です。

     fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。

 
 以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。





    











 



 

        それは有り得たかもしれない物語 そのにじゅうさん


 side by 凛
 
 
 「へー、さすがねバトラー。

  ヘラクレスがクラスの重複をしてることに即座に気づくなんて。

  ふふ、誓うわ。今日は、一人も逃がさない」


 そんな馬鹿なことがあるだろうか。

 クラスの重複?

 しかもヘラクレスなんていう化物がそれをしたって言うの!?


 ……勝てない。

 前回の戦闘だって狂化をされてなかったのにあれだけ苦戦したのだ。

 なら、とれる手段は一つだけだろう。

 ギリッ!

 不甲斐なさで自分を殺してしまいそうだ。
  

 そして意を決して我が執事に死刑宣告の如き命令を――


 「凛、先に衛宮邸に帰っていろ。

  料理は間桐桜が作るとしても食卓にお前達がいないのでは大河が暴れそうだ」


 ――この執事は……少し涙ぐみそうになる。

 
 「ふん、解ってるなら話は早いわね。任せたわよ」


 「なっ!? リン! 貴女はバトラーに死ねと言うのですか!?」


 セイバーに詰問される。そんなことは解っている。

 あのヘラクレスと戦えば、おそらくバトラーは消えてしまう。

 だと言うのに、


 「む、セイバー。君は私が"あの程度の輩"に負けると言うのか?」


 我が執事はそんなトンデモナイ事を口にした。


 「おい、アイツに勝てるのかよ?」


 「ふん、愚問だな衛宮士郎。

  我がマスターがアレを倒し尽くせと言うならそれに答える。

  それが執事というものだ」


 士郎の問いにも一瞬の停滞も無く答える。
 

 「へー、わたしのヘラクレスに勝つつもりなんだ」


 イリヤスフィールの嘲りを含んだ声、


 「でも、無理ね。さっきも言ったけど……一人も逃がさないわ」

 
 その言葉の意味、

 まさか!?


 「凛、どうやらお互い帰るのが遅くなりそうだな」


 ヤレヤレといった仕草で私の考えを肯定してくる。

 
 「どういうことだよ遠坂?」


 「既に結界を張られてるってことよ。

  私たちだけ先に逃げるっていう手段が取れなくなったわ」

 
 そう、つまり我が執事は足手まといを三人抱えて戦闘をしなければならないのだ。

 もっとも、私は彼の枷になるつもりは欠片も無いが。 

 

 side by セイバー


 巨人と赤い閃光のぶつかり合いが私の瞳に飛び込んでくる。

 自分以外の戦闘を見ることなど幾たびもあった。

 なのに、今までこれ程までに歯痒いものはなかった。

 現在の自分は足手まといでしかない。

 リンも最初は何かをする気だったのだろうが今は何も出来ないでいる。

 私は……本来バトラーと共に戦場に在れる筈だというのに……。
 
 
 「 I am the bone of my sword (我が骨子は捻じれ狂う)

  偽・螺旋剣(カラドボルグ)!」
 
 
 彼の声で思考の海から浮かび上がり、信じられないものを見る。

 弓兵であるヘラクレスに対して剣とはいえ弓で射ったのだ。


 「ふざけるな、執事……!」


 怒声を伴ってヘラクレスの剣がその矢を叩き落とそうとする、が。

 
 「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 
 その途端矢が爆発する、Aランク級の攻撃力をもったソレ。

 隣にいるシロウやリンも唖然としているのが解る。

 だが、
 
 
 「穿て! ゲイボルク!」


 彼は止まらない。


 「斬殺せよ! 死刑執行人(エグゼキューショナーズ)!」


 本気で十二回倒しつくす気なのだ。


 「燃やし尽くせ! 深紅の支配者(クリマゾンマスター)!」


 やはり前回のアーチャーの如き仕業だ。

 もっともアレはこのように能力までも引き出してはいなかったが。
 

 「もう何でもいいからやってしまえ! 宇宙銀河ブレード!」


 今、変な言葉が聞こえたが幻聴だろう。

 視線を向けるとヘラクレスがいた地点を中心に爆煙に包まれている。

 如何にヘラクレスといえどただではすまない筈だ。

 だというのに、


 「……今度はこちらの番でいいのか?」


 悠然とそんな言葉を告げてくる。

 そんな馬鹿な……アレだけの攻撃を受けてまだ無事だと言うのか?


 「くっ! 令呪を発動させたか……!」

 
 幾分の疲れを含ませてそう言う。
 
 ……そうか! 

 サーヴァントに対する強制権であり、

 刹那的な命令なら恐ろしいほどの能力の強化すら出来るもの。


 「驚いたわ、バトラー。貴方がここまで強いとは思ってもいなかった。
 
  おかげで令呪を一つ使うはめになったじゃない」


 イリヤスフィールは事も無げにそう言う。


 「ふぅー、まさか全て防がれるとはな。

  誇るがいい、ヘラクレス。

  今の攻撃を防ぎきったのはお前で……百数十人目だ」

 
 ……は? あの攻撃を他に百数十人もいるというのですか!?

 場違いにもそんなことを考えてしまった。
 
 
 「……貴様の強さの理由は数多の強者達との戦闘によるものか」
 

 「その通りだ。どうも自分よりも強いものと戦闘する機会が多くてね。

  それもこれも歴代の我が主が喧嘩っ早いのが原因なのだが」

 
 先程と同様にヤレヤレといった仕草をする。

 それにリンも含まれるのだろうか?


 「そうか……。無駄話が過ぎたな、終わりだ」


 そう言いヘラクレスが弓を構える。

 有り得ないほどのプレッシャーに気圧される。

 狂化によって前回よりも宝具のランクが一つ上がったせいか!?


 「ナイン――


 その真名をもって私たちを、いやバトラーを滅殺せんとする。

 嫌だ、彼が消えてしまうなんて!

 私は形振り構わず彼の側に駆け寄ろうとして、


 「ほう、我が来る前に余興を始めているとは躾けがなっていないな」


 聞くはずの無い声を聞き、驚いて後ろを振り向くと、

 何時開いたのか解らない扉の向こうに、前回のアーチャーが悠然と佇んでいた。


 
 ふぃん




 あとがき

 どうも久遠です。

 ちょっと、いえ、かなり短いですがここで切ります。

 似非金ぴかさんの言うとおり、ギルッチ参戦……ちょいとUBWが入ります。

 バー作さんが喋っているのには突っ込み不要です。

 喋らんとキャッチボールが出来んのですよ。
 
 どうか笑って、もしくは見なかったことにして見逃してくれると助かりますです。

 >死刑執行人(エグゼキューショナーズ)
  深紅の支配者(クリマゾンマスター)
  黒○剣とやらに出ていた武器……らしい。

 >宇宙銀河ブレード
 魔界戦記ディス○イア 私はやったことがございません。


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