注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。
注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。
注意3:これは電波による二次被害作品です。
fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。
以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。
それは有り得たかもしれない物語 そのにじゅうに
side by 凛
何かを忘れている。
それが何なのかは解らないがとにかく忘れている。
ドドドドドドーーーー!!!
地響きをあげて何かが近づいてくる。
……どうやら致命的なことを忘れていたようだ。
「シロウーーーー!!! お腹すいたーーーー!!!」
叫びながら藤村先生がやってきた。
「あれーー? バトラーさんは?」
キョロキョロと居間を見回して尋ねてくる。
どうやら藤村先生はバトラーがお気に入りらしい。
「バトラーさんなら今日は調子が悪いからって部屋で寝てますよ」
さっきまでの色々な事が無かったかのように朗らかに嘘をつく桜。
うん、さすが私の妹だ。
「あれれ、桜ちゃんもしかして痩せた?」
「えっ?」
桜がそう驚いてから急に洗面所へ行ってしまう。
ちなみにライダーは先程から消えている。
「うーむ、バトラーさんが寝込んでるならお見舞いに行こうかな」
そう言って居間を出て行こうとして、
「あれ? バトラーさんって何処で寝てるの?」
基本的なことを聞いてきた。
まずい、サーヴァントであるバトラーは今霊体になっていて寝ているわけではない。
「タイガ、バトラーのお見舞いなら落ち着いてからの方が良いのでは?」
そうセイバーが言うと、「それもそうよねー」と言って藤村先生は座った。
ナイスよ! セイバー!
今のうちに、
「凛、私は衛宮士郎の部屋の隣で寝ていよう」
そう小声で話してくる、またもや先を越された。
その後は大体何時も通りの食事風景だったと思う。
……セイバーがバトラーが居なくてちょっと不機嫌だったり。
桜が戻ってきてからおかしなくらい笑顔だったり。
何時も通りだろう。
side by ライダー
サクラは大事をとって今日は学校を休むこととなった。
私もサーヴァントとして当然それに従う。
彼は無理をしたせいか今は霊体になって休んでいる。
セイバーも昨日の私との戦闘で魔力を多大に消費したのでシロウとの稽古はしていない。
リンは今私と居間でTVを見ている。
シロウはおそらく土蔵か何処かにいるのだろう。
「ねえライダー、貴女着替えなさい」
唐突にリンがそう言ってくる。
「何故ですか? 私はサーヴァントですから服装は関係ないのでは?」
その服に概念武装等が施されているのなら別だが。
「何言ってるのよ。
貴女素材がいいんだからしっかりとした服を着ればバトラーもいちころよ」
「まかせましたリン」
私は即答していた。考えるまでもない。
彼に気に入ってもらえるのなら服装ぐらい幾らでも変えてみえよう。
リンは私が即座に答えたことにしばし唖然としていたが直に意地悪そうな顔をする。
「へー、やっぱ貴女もバトラーのこと好きなんだ」
彼女がサクラの姉とはとても思えないほど性格が歪んでいる気がする。
それからネチネチと姑の嫁いびりの如く口撃された。
あとで彼に言って何とかしてもらおう。
服についてはリンが彼の所にいってから直に大量の服を持って戻ってきた。
リンが言うには「アイツって四次元ポケットでも持ってんじゃないの」だとか。
ところで服のサイズがどれも私に合ったのはどうしてなのだろう?
しかも下着までしっかりとサイズが合っていた。
極めつけは眼鏡だ。
私が宝具を一つ使用して抑えていた魔眼を完璧に制御できる眼鏡。
リンが選んだ服を着てこの眼鏡をかけた姿を見せたところ、
彼女がしばらく石化したように固まった。
やはり私の素顔が見るに耐えないと言うことなのか?
少し憂鬱になったがリンが言うには見惚れていたとか。
その後リンに言われて彼にこの格好を見せに行くと。
「ほお、やはり美人は何を着ても綺麗だな」
と、言われた。
……私がしばらく思考が停止したのもしょうがないと思う。
セイバーがその隣で「私にも服を……!」等と言っていたが気にならない。
私は幸せでぼーっとしていたのだから。
故に気がつかなかったのだ、シロウが居なくなっていたことに……。
side by 凛
迂闊だった。
ライダーの着せ替えに集中してたからって士郎が家から出たのに気づかないなんて!
どうやら士郎はイリヤスフィールに連れてかれたらしい。
セイバーが言うのだから間違ってはいないだろう。
だとするとアインツベルンの森、ここからだと結構時間がかかる。
「どうバトラー? 戦闘はできるかしら」
「厳しいな、まだ槍を使った影響が残っている。
加えて相手がヘラクレス、厳しいな」
コイツが真面目に言うのだからそれは本当のことだろう。
「セイバーとライダーはどうなの?」
「私は無理ですね、剣も鎧もおそらく維持できない。
出来るとしたらこの身を盾にするぐらいでしょう」
「私の方も無理です、今戦闘などすれば魔力の枯渇でサクラが危険になる」
そうすると八方塞がりだ。戦闘は出来ない。
かといってあのアーチャーから戦わないで逃げ切れるとも思えない。
「凛、この場合私が単独で衛宮士郎を助けに行ったほうがいいと思うが」
……それは私も考えた、足手まといの私たちがいるより彼一人の方が成功率が高い。
だけど、
「いけませんバトラー!
シロウは私のマスターなのですから貴方が危険な目に会うよりは私が行くべきです!」
「そうです、貴方一人で行くべきではありません!」
と、こうなるわけね。
どうしよう、迷ってる場合じゃない。
直にはやられないだろうけど士郎が危険であることに変わりないのだ。
side by エミヤ
ふー、結局こうなる訳か。
今俺たちはアインツベルンの城の前まで来ている。
オレと一緒に来たのはセイバーと遠坂。
桜とライダーは家でお留守番だ。
ライダーが散々駄々をこねたが必ず帰ると言って納得させた。
その際セイバーが膨れていたがなんでさ?
先程イリヤとヘラクレスが城を出て行ったがアレがフェイクであることは知っている。
だがどうしようもない、じっとしていても意味がないのでどの道入るしかないからだ。
と、その時あの豪華絢爛な子の声が聞こえた。
「どうしたのバトラー」
「いや、今ここではない何処かで私を捻くれてるだの言った輩がいたのでね」
今度会ったら、嫌いなものを食わせまくってやる。
そう思いながら正面から入っていく。
衛宮士郎はオレが前に閉じ込められたところに今回も居た。
ただ違うのはベットの中に隠れるなどと言うアホなことをしていたことだ。
セイバーと遠坂に説教されていたが自業自得だろう。
しかしこの様な状況で微笑ましいことだ。
さて、問題はこの後。
オレの時はここでアーチャーはヘラクレスを六度殺して消えた。
ここに来るまでにオレは回復しているから戦闘は問題ない。
だがヘラクレスがアーチャーな時点で歴史と大きく違っている。
まあ、なるようにしかならないのだが。
そしてロビーにでて、階段を下りて数歩進んだ所で声がかかる。
「――なぁんだ、もう帰っちゃうの? せっかく来たのに残念ね」
振り向いた先には白の少女と巨人。
「こんばんわ。あなたのほうから来てくれて嬉しいわ、バトラー」
ぬ、確か前回は遠坂に話しかけてたような気がしたが。
「私にそれを言うのか? 本来なら凛に対して言うセリフではないのか?」
「ふふ、アーチャーがどうしてもあなたとは決着がつけたいんだって。
もっともわたしもアーチャーにその分のお願いをしたけど」
そう言ってさらにクスクスと笑うイリヤ。嫌な予感がする。
「アーチャー、約束通り――
――狂いなさい」
「うおおおおぉーーーーー!!!!」
イリヤの声に答えるように意思ある咆哮をあげるヘラクレス。
そして奴から今までを超えるプレッシャーが放たれる。
まさか!
「イリヤスフィール! 君は……いや、アインツベルンの仕業か!
たわけが! 聖杯戦争のルールに違反するなど!」
「へー、さすがねバトラー。
ヘラクレスがクラスの重複をしてることに即座に気づくなんて。
ふふ、誓うわ。今日は、一人も逃がさない」
その声と共にヘラクレスが剣を出す。
状況は前回よりも更に悪化したようだ。
ふぃん
あとがき
どうも久遠です。
バーサーカー登場! ……いやっはー! どうしよう!?
こんなんに勝てるんかい!? って言うか無理矢理設定です。
どうか笑って、もしくは見なかったことにして見逃してくれると助かりますです。
>クラスの重複
私的設定です。
アーチャーとバーサーカーのクラスの両方の特性の良いとこ取り。
狂化されながらもアーチャーとしての理性も持ち合わせるため宝具が使える。
簡単に言えば宝具が使えるバーサーカー。
……どうしましょうこんな奴?