ごちゃまぜフェイト
注意:元ネタを知らないと楽しめない物も中にはあります。そんな時は深く考えず『そういうものか』と思って下さい。
そして、見ればわかると思いますが――色々とキャラクターが壊れてます。
その1
かっこよくって優しくて、世界にたった一人のお兄ちゃん。
これは、そんなお兄ちゃんのことが大好きな12人の妹達の物語です。
Fate/sister night
〜お兄ちゃん大好き〜
目覚めはいつも快適だ。
体の調子も良く、頭の回転もスムーズ。
今日も、何の問題も無く一日が始まった。
小鳥の囀りを聞きながら、今は何時かと布団の近くに置いてある目覚まし時計を見る。
「7時か……」
いつもより遅く起きてしまったようだ。
さて、早く着替えて居間へ行かないと。
大事な妹達がお腹を空かせて待っているかもしれない。
即座に着替えて自室の襖を開け、元気良く背伸びをして居間へ向う廊下を歩こうとした時、
「あ……おはようございます、お兄ちゃん」
すぐ近くの襖を開けて、一人の少女が俺に挨拶をする。
その人物――金髪の少女が俺の顔を見ると同時に満面の笑みを向ける。
「あぁ、おはようアルトリア」
彼女の名はアルトリア。
俺の妹だ。
俺の義理の父である切嗣は、外国暮らしが長く、そして放浪癖があるため、いつかはこんな事になるとは思っていたが――
「こんな所で立ち止まってどうしたのよ、お兄様?」
思考を無理やり中断された。
背中の方から声が聞こえ、その背中には柔らかい二つの球体の感触。
どうやら、誰かが後ろから俺に抱き付いているようだ。
胸の大きさからいって……おそらく、
「……何だ、凛か」
「何だ、って何よ?」
俺の背中から下りると、拗ねたようにそっぽを向くツインテールの少女――凛。
凛も、実はこれまた俺の妹だったりする。
何やら、この街にやってきてすぐで金の無かった切嗣は、同じ魔術師に幸か不幸か助けられ、助けた変わりに魔力の固まりである精液を提供したのだが――その提供した相手が凛の母親。
しかも、提供する時にご丁寧に中出ししたから出来ちゃった、という男なら泣くに泣けないシチュエーションにより生まれた妹なのだ。
「ねぇ、お兄様。早く居間へ行かない? アルトリアもお兄様の顔を見て呆けてないで、ほらっ」
「あ、あぁ」
「わ、わかっています」
なんとも、そんな状況で生まれた子だからか、妙に自我と自己顕示欲が強く、良い意味でも悪い意味でも仕切ってくれる頼りになる妹だ。
「あ――もう、こんな所にいたの、兄や!!」
居間の襖を開け、コチラへと手を振って廊下を走ってくる真っ白い肌をした少女。
「ん、イリヤ、おはよう」
「うん、おはよう。でも、もうご飯できちゃってるわよ? お寝坊さんね、兄やは」
小悪魔的な笑みを浮かべる白い妖精――イリヤも、俺の妹だ。
イリヤ自身は姉だ、と主張しているがどう見ても妹なので妹なのだ。
「さぁ、皆が待ってるわよ、兄や!!」
イリヤに背中を押され居間へと入った俺は妹達から朝の挨拶を怒涛の如く受ける事になる。
「あ、兄上様。起きたんですね」
ほんわかした雰囲気と笑顔で癒しを与えてくれる妹、桜。
「あまり私の顔を見ないで下さい……お兄ちゃま」
兄である俺よりも長身な事がコンプレックスなドジっ娘な妹、ライダー。
「どうしたの、早く座りなさい兄くん」
落ちついた瞳で俺を見る自称魔術師な妹、キャスター。
「何やってんのよ兄君さま。ぼけーっと突っ立って」
剣術だけなら誰にも負けない妹、大河。
「■■■■■(おにいたま)ーーーッ!!」
いつも元気一杯な体の大きな妹、バーサーカー。
「おいおい、何やってんだよあにぃ。テメェのせいでメシが食えねぇだろうが」
走りの速さなら誰にも負けない妹、ランサー。
「兄チャマ。今日も背後には気をつけるように」
いつでも何処でも俺をチェキしている妹、真アサシン。
「何をやっているアニキ。麻婆豆腐が冷めてしまうではないか」
いつでも何処でも麻婆援助を求める妹、綺礼。
「にいさま、早く座れ。わざわざメシを作ってやったんだぞ」
今じゃ俺よりも台所に立つ事が多い料理好きな妹、アーチャー。
みんな、みんな、俺の大好きな妹達だ。
(元ネタ:シスタープリンセス)
その2
『退屈な学園生活を楽しく送るには、みんなは何が必要だと思う?』
『打ちこめるスポーツ?』
『夢中になれる趣味?』
『まあ、それも確かにアリだけど……』
『オレにはもっと大切なものがある』
『それは……』
「ゴ……ゴメンね、衛宮君……」
目の前の少女が真っ赤になって震えている。
その震えは何に対する震えなのかわからない。
ただ、少女の瞳は、馬鹿じゃないのアンタ、という瞳だった。
「私、人の世話ばっかする人って嫌なの……」
『コイビト』
「――じゃ、じゃあそういう事で……」
ははは、と笑って少女――遠坂凛は逃げるように走っていった。
オレ、衛宮士郎。
高校2年生。
彼女イナイ歴17年と2ヶ月。
今日から失恋記録カウント開始……
フッ……オレには幸せの青い鳥はやって来ないってか?
へへ……夕日が涙でにじんでるよ。
そんなオレをあざ笑うかのように、周りには、イチャイチャしたカップルが沢山。
きっと、春だからだろう。
傍目に見て付き合ってすぐとわかる初々しいカップルが沢山いる。
チクショーーッ!!
お前達、オレの前でイチャイチャするなよーーっ!!
ったく、どいつもコイツも……
「畜生、なんだってんだ……」
「どうした衛宮? 気を落として……」
ふと見れば、隣には心配そうな顔をした男――柳洞一成がいた。
一成はオレを見ると、申し訳なさそうな顔で、
「その……衛宮。落ちこんでいる所を悪いが、ちょっと手伝って欲しい事があるんだ」
「ん?」
ったく、女の子は全然寄りつかないってのに、何でこう一成は寄って来るんだろう?
「実はな……音楽室のストーブがまた壊れたらしいんだ。頼めるか?」
「……あぁ、まかせとけ。そんなモノ簡単だよ」
一成と共に音楽室へ入ったオレは、いつも通り一成を追い出し、魔術を使い作ったストーブの設計図を頭の中へ叩きこみ、悪い個所を見つけ出して直す。
時間にして、およそ10分も無い。
音楽室から出て、一成にストーブが直った事を告げると、
「いつもすまないな、衛宮。お前のおかげでずいぶん助かってるよ」
「こんなモノを直せないようじゃ、お前もまだまだだな」
「それを言わないでくれ。これでもお前には感謝してもしきれないほどの恩を感じてるんだ。いつか、埋め合わせをさせてもらうよ」
そんな一成の言葉を聞きながら、俺は一人淋しく帰宅する事にした。
帰宅してすぐ、オレは布団の上に仰向けに倒れこむ。
虚しい……虚しすぎる……
やっぱ、皆の為になる事なんかしてもイミないよな。
おかげで周りはオレに対して便利屋っていうイメージが強くなってて、今日は勇気を出して告白した憧れの遠坂相手に失恋か……
遠坂も相当オレの事を人の世話ばかりするヤツって思ってたみたいだしなァ。
オレは、本当は普通に彼女作って……明るく楽しい学園生活を送りたいだけなのに……
かといって今さら一成の前でそんな事……カッコ悪すぎて口が裂けても言えないし……
このまま高校3年間、彼女もできず、「右手が恋人」で終わるなんて……
そんな暗いセイシュン、嫌すぎる!!
と、いうか、一緒に住んでいる家族がいない事も淋しい!!
「ああっ!! どーすりゃいんだよ!! もお、誰でもいいからオレの傍にいてくれぇ!!」
『――本当ですか!?』
!?
「な……何だ? 今の声……」
もぞもぞ。
「ン?」
なんか、オレの右手がもぞもぞしている。
おかしい、オレは動かしていないぞ?
……どういう事だ?
オレは疑問に思い、右手を持ち上げ、顔の前まで持ってくる。
すると――
「ん? ……ここはどこですか?」
眠たそうに眼をこすりながら、金髪の少女がオレの服の袖口から出ていた。
小さい。
小さい。
まるで小人のように小さい女の子だ。
「うわああああ!! な……何だ、お前!? 何で袖口から女の子が!?」
「な、アナタは誰ですか。もしや、私のマスター!? なんて巨体の持ち主なのですか!?」
「し、知るかぁっ!! どうでも良いから、早くオレの袖口から出ろ!!」
オレは一気に彼女の小さな体を掴んで引っ張る。
「くっ、や、やめなさい!! 痛いではないですか!!」
少女は抵抗してバタバタ動き回る。
そのせいか……
「あっ」
オレの服の袖がズルリと下りる。
そして、その袖に隠れていた少女の体があらわになった。
……全裸だった。
小柄な体と同様に、小柄な胸が少女の体に付いていた。
小さな柔らかそうな球体に、小さな乳首。
腰は細身で、引き締まった体をしていた。
だが、それから下にはオレの腕があるだけだ。
「……」
少女は無言で自分の体を見下ろす。
恥ずかしさは無いようだが、一瞬だけ『ぽけー』とした表情を見せ、
「私……何でアナタの右腕に?」
「つーか、それはコッチが聞きたいよ!! 何でオレの右手にちちが……」
「ちち?」
「い……いや、違う!! 何でオレの右手が女になってるんだ!?」
オレと少女は一緒に考え込んだ。
考えた。
……でも、答えが出てくることはなかった。
が、少女は思い当たったのか、
「……もしや、とは思いますが……」
その金髪の少女は、むぅ、と考えて、ぽむ、と手を叩き、
「コレがホントの、相棒――つまり、右腕、という事では?」
「……」
「……」
月が、綺麗だった。
セイバーの日々
「ふふ、まさか……衛宮君が私と同じマスターだったなんてね」
少女が自分の右手を持ち上げて、何か呟く。
「微弱な魔力反応を追ってきたら、まさか衛宮君の家に着くとは思わなかったわ……」
「知り合いか?」
「そうね……知り合いといえば知り合いよ……」
その少女は少しだけ赤くなりながらそう右手に告げた。
「片思いか」
「違うわよ!! 両想いよ!! 今日なんて、告白されたんだから!!」
少女の不思議な発言に右手は左右にブラブラ揺れながら、
「ならば、恋人という事では?」
「くっ……それには、複雑な事情があるのよ」
少女は男の事が好きだった。
だが、好きだったのは前からではない。
今日、告白されてから帰宅するまでの間に彼に惚れてしまったのだ。
告白を断った時は『魔術師である私に一般人を関わらせるわけにはいかない』という理由で彼の欠点を指摘して断ったのに、後々考えれば魔術師である事を今まで通り隠せば良いだけの話だし、男の事は前から多少気になっていたし、世話好きな性格も嫌いではなかった。むしろ、大好きだと思う。
「良くはわからんが……凛もあの男の事が好きだ、という事か?」
「そ、そうよ……って、なんでアンタにそんな事を話さなきゃいけないわけ!?」
「いや、すまない。立ち入り過ぎたようだな」
その右手は、くくく、と笑って――何故か満足したかのような顔をしていた。
(元ネタ:美鳥の日々)
その3
今日もアーカムシティに狂気をもたらす闇が舞い降りる。
その度に、彼らはこの言葉を唱える。
悪しき闇を切り払う、正義の剣。光の刃を召喚する気高き呪文を……
「憎悪の空より来たりて、正しき怒りを胸に、我等は魔を断つ剣を執る!! 汝、無垢なる刃―――デモンベイン!!」
その光景はアーカムシティに住む者ならば御馴染みの光景だった。
まさに空を切り裂き巨大な機神がいつものように雄雄しき姿で彼らの元へやってくる――はずなのに、今日は何も起こらなかった。
「……ど、どういう事だ、アル?」
「さ、さぁな……わからん。ただ……」
アルと呼ばれた少女は、目の前を指差す。
「コイツが現れた事が、何か関係あるのかもしれん」
アルの指差す方向を見る男――大十字九郎。
そのアルの指先に九郎が見たものは……
「――問おう。貴方が私のマスターか」
鎧を着込み、不可視の刃を持った金髪の少女がそこにいた。
一方、その頃、ランサーに追い詰められ土蔵へ入りこんだ士郎は、
「……」
「で、でけぇ……」
土蔵をぶち抜いて立っている物言わぬ機神と出会っていた。
「お前、名前は?」
「……」
「デモンベイン。魔を絶つ剣か……」
何故か士郎は会話が出来ていた。
「ッ!? な、なんだ、コイツ!?」
土蔵から飛び出しているデモンベインを見て、士郎を殺そうとしていたランサーは立ち止まった。
「まさか……コレが、今回のセイバーのサーヴァントか!?」
その読みは当たっていた。
まさに、この魔を絶つ剣、デモンベインこそ――今回の聖杯戦争のセイバーだったのだ。
「って、動かせないぞ、どうしてだっ!?」
士郎の悲痛の叫びが土蔵に響いた。
デモンベイン――最強の機神。ただし、力のある魔道書が必要。
the end
(元ネタ:斬魔大聖デモンベイン)
その4
水深51mの海中に浮かぶ近未来の海洋テーマパーク『Avalon(アヴァロン)』。
ここに、なんの前ぶれもなく7人の男女が閉じ込められた。
徐々に失っていくもの:食料・水・酸素。
新たな脅威:深海に棲息する未知のウィルス。
さらに、苛烈な水圧にさらされたAvalonの隔壁は119時間以内に崩壊すると言う。
分厚いガラス窓の向こう側は、濃紺の深い闇……
この閉ざされた空間の中で、限られた時間の中で、次々と起こる危機を乗り越えながら、7人は脱出への道を探し続ける。
「朗らかなバカよりは、ひねくれ者の天才の方がマシだ」
何かをあざ笑うかのように皮肉ばかり言う赤い男、アーチャー。
「正義の味方になりたいなどと軽々しく言うな。そんな夢は今すぐ捨ててしまえ。正義の味方というのは、この世の中で一番最悪な役柄だ。偶然も奇跡も、正義の味方には訪れない」
「俺は……だれ?」
記憶を失った少年。かろうじてわかった事は正義の味方を目指していたという事のみ。
「大丈夫だ!! きっと、すぐに来てくれるって!! 俺達がここにいることは、脱出した人達も知ってるはずだし……必ず、正義の味方かなんかが迎えに来てくれるって!!」
「私は……『凛』。I am RIN!! って、アメリカ人のお客さんに自己紹介するときは、そう言うの。ほんとはもっと長い名前が良かったんだけどね? そう、果てしなく長い名前が」
Avalonでバイトをしている魔術師、遠坂凛。
「魔術師だから詳しいの。私の魔術は、防御の為にあるんじゃない。攻撃の為に、あるのよ」
「仲間? 私は他のみんなとは違います。勝手に仲間扱いしないでくれますか?」
単独行動を好む瞳を隠した女性、ライダー。
「私は……。そうですね。ここで死んでもいいかもしれません。それも、悪くないです」
「剣は切る為に生まれた。鎧は守る為に生まれた。人は戦う為に生まれた。多くの人は、自分が戦う為に生きているとは思っていないでしょう。けれど、私から見れば……人は戦う為に、ただそれだけの為に、生きているように思えます。そういうこと、なのかも知れません」
このAvalonの警備員である少女、アルトリア。
「誰かが私と戦う。その行為があって、初めて私は存在することができる。アーチャー……貴方が戦わないというのなら、私は消えてなくなるのです」
「んもう、使えないわね。きみ。まあ、最初っから期待なんかしてないけどね。私は大河。藤村大河。大河は虎じゃなくて大きな河の大河ね。御願いだから、タイガーなんて呼ばないで」
色んな物をクラッキングするのが趣味な女性、藤村大河。
「待ってるんだ、助けに来てくれるの」
「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。で、こっちが愛犬のバーサーカー」
巨体の男を犬だと主張する雪の妖精、イリヤ。
「できるんだもん。できちゃんだもん。実際できちゃうんだから……しょうがないでしょ?」
理不尽なぐらい理不尽な七人が繰り広げる、生死を賭けた脱出劇が今――始まる。
い
かつて交わした契約と
か
還
る
べ
き
理
想
郷
へ
Fate/ever night
the out of infinity
(元ネタ:Ever17 the out of infinity)
あとがき
とりあえず、考えられるネタを書いてみたけど……そのせいか、ごちゃちるな物になってしまいました。
しかも、結構ネタが少ない事実にショック。うぅ(涙)
とりあえず一つ一つに対するあとがきを。
その1=ただのインパクト作品。絶対に続きは書けない一発ネタ。第一、妹になれるキャラなんてほんの一握りだけだし。
その2=アニメ化記念。ではなく、結構前から考えてたネタ。右腕がサーヴァント、という設定はなかなか楽しいと思うのだが――どうだろう? とりあえず、バトルはギャグにしかならない(想像したらわかると思う)
その3=デモベとのクロスオーバーはもはや基本ですからね。俺も何か書こうと思ったら、こんな物を思いついてしまった罠。
その4=ただ単にハマったから書いただけ、という単純な理由だったのだが……以外にピッタリで良い感じ。配役にも意味があるので、元ネタ知ってる人はちょいと考えて見て下さい。元ネタ知らない人には、ただのゲーム紹介にしかなっていなかったり(笑)