Fate/Black Knight (M:無し 傾:シリアス 注:独自キャラ有)


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1: 左京 (2004/04/05 17:13:06)[edda.d-cross at docomo.ne.jp]


それは、一つの国の終わりだった。

地にはおびただしい屍が倒れ、その墓標の如く無数の剣の残骸が突き刺さっていた。

風は血臭を含んで唸り、夕日は全てを朱に染めている。

すでに、死者しかいないような世界。


そんな、生きるものなどないような世界に二人の騎士が対峙していた。


一人は青い衣の騎士。
銀の鎧を纏い、金の剣を携え、多くの騎士を屠ってきただろうその姿はしかし衰えを見せず、なお美しい。
その碧緑の瞳は、苛烈な殺気を以って眼前の騎士を睨んでいる。
もう一方は黒い衣の騎士。
黒い鎧を纏い、漆黒の剣を構えたその姿は、夕日の光に染まって地獄から這い上がってきた幽鬼のようであった。
青い騎士の視線を静かに受け止める瞳は黄銅なれど、その顔立ちは青い騎士を鏡に映したかのように同じだった。
両者は沈黙のまま対峙し、日はゆっくりとくれつつある。

「これが……」
先に沈黙を破ったのは青い騎士だった。
「これがお前の望んだことか?」
叫ぶ騎士の周囲には見渡す限り屍がある。
この戦争でほとんどの騎士が死んだ。
守り手を失ったこの国は、このまま滅亡するだろう。
その原因を作り出したのは己にあれど、戦端を開いたのは彼である。
だから問いかけた。
だが・・・
「あぁ、こんな馬鹿げた国が滅びるんだ。これ以上の望みなどないさ。」
その嘲る様な答えは、彼女にとって許すことなどできるものではなかった。
即座に走り、黄金の剣をもって黒騎士に斬りかかる。
それを自らの剣で受け止めつつ、黒騎士は言った。
「さて、始めようか“父上”。この丘から出れるのはただ一人なのだから。」

そして、一つの国が終わりを迎えた………。


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