「と、いうわけで今回皆に集まってもらったのは他でもない衛宮士郎とあの忌々しい
女狐が友達以上の関係にあるという事の事実関係を確かめるためだ。」
聖杯戦争も終わり、桜の花が満開になった4月某日、秘密裏に開かれたこの会合・・・・
目的はただひとつ『衛宮士郎と遠坂凛の関係をあらわにする』である。
ここに集まったのは、
この会の仕掛け人である、武芸百般に通じ学校で逆らってはいけないランキング
TOP3入りは確実と言われる美綴綾子。
堅物で有名で現生徒会長。とあるところでは衛宮にべったりでそっちのけがある
のではないかといわれる柳洞一成。
二年生ながら学校で遠坂と並び評され、各所にファンが多く、家事全般を得意とするが、
そのじつ、切れると黒くなってしまう・・・もとい、見たものが記憶から完全抹殺
するという微笑を浮かべるといわれる間桐桜。
つややかな紫色のロングヘアーのきれいなお姉さん・・・もとい、眼鏡の似合う
絶世の美女、しかし実態は、士郎の部屋に夜な夜な忍び込み精をむさぼって悦にはいって、
桜から魔力配給をしばしばカットされてしまっているライダーことメデューサ。
そして、なぜか生きていて元マスターのきれいなお姉さんと再契約できたと笑っている
ランサーことクー・フーリン。
この一癖も二癖もある5人が今回のメンバーとして集まってきた。
「でも、もう明白じゃないのか?嬢ちゃんとあの小僧が一緒に帰ってるとこも見たしよ。」
とランサーが言うと
「しかし、あの女狐が衛宮の弱みを握って操っているのかも知れぬ。いや、
そうに違いない!」
と、なんとも言い訳っぽい答えが一成から返ってきた。
「あたしも、遠坂から聞いたときは耳を疑ったが、まあ、今考えればうちの学校で
あいつの彼氏をできるのはあいつだけだったのかもしれないとも思ったがな。
それでも、調べてみるのは面白そうだ。」
と、美綴。それを聞いた桜は、
「主将がそういうのであればお手伝いさせていただきます。いいわねライダー」
「桜がそういうのであれば従いますが、カットした物を戻していただかないと
とてもではないですが動けません・・・」
苦しそうにライダーはうめいた。
「しょうがないわね・・・期間限定よ」
「助かります・・・・」
ライダーは持ち直したもののなんとも恨めしそうにうめいた。
全員の協力が決まったところで、一成が
「俺が入手した情報によると、衛宮と遠坂が次の日曜に新都で買い物をするとのことだ。」
みんなが驚くなか美綴が、
「へぇ、どこからそんな情報手に入れたの生徒会長さん?」
形容しがたい笑みで聞いてきた。
「うむ、兄貴・・・いや、葛木先生が藤村先生がつぶやいてるのを聞いたらしい。
(一瞬美綴の笑みがあの女狐にみえたが・・・気のせいであろう・・・)」
「ならほぼ間違いないな・・・。なら、そこをつけて見るのはどうだ?」
と美綴。
「むっ、尾行は好かんがこの際いたしかたないか・・・・。しかし、一言に新都といっても
広い・・・やはりここはいくつかの組に分けて探すのが一番ではないかと思う。」
「そうだね・・・、さすがにあの広い新都で二人を見つけるのは難しいかな。
じゃあ、グループ分けしよ。」
「俺はマスターと行く。あの女こういうことは好きそうだからなw」
と、楽しそうに言い放つランサー。
「では、私は桜と行きましょう。なにかあったときに桜一人では心配だ。」
とライダー。横でライダーをすごい顔で睨んでいる桜は見なかったことにしよう・・・。
「じゃあ残りの、生徒会長とわたしはペアで行動しよう。」
「まってくれ美綴、能率を考えるのならやはりわれらは一人づつ行動したほうがよい
のではないか?」
それを聞きなぜか顔をしかめたあと、苦笑するように
「それじゃ何?一人であの遠坂に見つからず尾行しきれると?それにあなたも衛宮と似たり寄ったりでお人よしなんだから
一人で尾行なんてさせたら何が起こるかわかったもんじゃないわw。
それでもし見つかって計画がおじゃんになったら遠坂になに言われるかわかったものじゃないよ?
それでもいいの?」
「うっ・・・・・それは・・・・わかった、私は美綴と行動しよう。」
その回答に満足したのか美綴は、
「それじゃランサーは水族館のある西のほうを調べて。桜たちは宝石店や
ブランド品を扱った店の多い東側ね。私たちは駅前から中心部にかけて調べる。
これでいいわね?」
確認するように美綴が周りを見ると全員がうなずいていた。
「では、各自用意をして次の日曜日健闘を祈ります(ニヤリ)」
何か不穏な笑みを浮かべながら言い放った。
これにて会議はお開きになった。
各々生徒会室から引き上げていった。
「生徒会長ちょっとまって」
帰ろうとしたときそんな声がした。
「まだ何かあるのか美綴?」
振り返ってみるとそこには小悪魔のような微笑を浮かべる美綴女史がいた・・・。
「生徒会長は日曜どんな服を着てくるつもり?」
小悪魔は心底楽しむようにそんな事を聞いてきた
「そんなの決まっておろう、学生である以上それに見合った服、制服で行くに
決まっておろう。」
何の迷いも無くこう答えると、
「・・・くっ・・・・くっ・・・くっははは〜は〜・・・ひぃ〜おかし・・・
まさかここまで堅物だったとは・・・」
などと、笑い転げているではないか、
「何かおかしいのか?」
「くっくっくっ・・・いや、堅物だとは思ったけどそこまでとはね・・・、
それじゃいうけど、そんなんで新都なんて歩いてたらまず間違いなく周りの注目を
一身に集めることになるよ・・ひぃ〜おかし・・・」
むっ・・・いわれてみれば日曜にしかも新都で制服など着てるものはいないかもしれぬな・・・・・
「しかし、制服以外の普段着となるといつも和服なのでまったくわからんのだからどうしようもあるまい?」
そうなのである、俺はきるものに関してはむとんちゃくである。
「・・・ほんとなの生徒会長?」
「こんなことで嘘をいってもしかたあるまい・・・」
「は〜・・・それじゃ、年子の弟がいるからその服を貸してあげる」
「いや、それは悪い」
「あのね、人の好意は受けとくものよ。それとも何?生徒会長は今回の尾行を失敗させたいの?」
・・・それはまずい・・・失敗すればあの女狐からどんな仕打ちを受けるかわからん・・・・
「わかった・・・それではお言葉に甘えるとしよう。」
「そうそう、それでいいの。それじゃ土曜日の学校帰りに私のうちについてきてね。」
「わかった」
「それじゃ、今日はもう遅いから帰りましょ」
「そうだな、かなり暗いから気をつけるのだぞ」
「生徒会長もね。それじゃ」
「あぁ、また」
そうして、帰路についた。
続く