青い光に包まれていた俺の体が急にその光から抜け出すように霧散し、俺は辺りを見回すとそこは雑然とした都会の風景とは違うどこか懐かしい匂いのする
森の木々たちに囲まれたお寺だった
「ここは、何処なんだ?」
それが俺の第一声だったゼル爺に渡された記憶を頼りに思い出してみる、一つ一つの記憶の中からより鮮明なものを選ぶ為慎重に手繰り寄せる
「あった、そうかここは柳洞寺か・・・確かにここはちょっと他の場所とは違うな」
そういって俺は石畳の階段に腰を下ろしこれからのことを考えることにした
「それにしてもどうサーヴァントと契約するかだな、俺には英雄に縁のあるものなんて持ってないし生身で闘うには少しきついからなぁ」
「そうか、それでは生身で闘えるか某と戦って見るか?」
突然の声に俺は後ろを振り向くことなくその場所から飛び退いた、そして俺の座っていた場所から更に上の柳洞寺の門の辺りで一人の剣士が立っていた
「てめえ、誰だ!」
「誰だとは心外だなさきほど君自身が口にしていたではないか」
俺が口にしていた?もしかして
「お前、サーヴァントか!!」
「いかにも、某はアサシンのサーヴァント佐々木小次郎だ」
「!!、お前、馬鹿か?自分の真名は普通伏せるだろうが!」
このサーヴァントは俺を人間だと思って馬鹿にしているのか?と思いつつ剣の間合いに入らないように距離を保っていたやさき佐々木小次郎と名乗るサーヴァントは
信じられないことを言ってきた
「馬鹿にしているわけではない、そんなことより某のマスターにならんか」
こいつ、何考えるんだ?もうマスター俺なんて必要ないだろ
「お前、もうマスターがいるから現界してるんじゃないのか?」
「そうだな、もうマスターはいるなでは一つ提案させてもらおう」
「何だ?」
「うむ、もし某が貴殿に勝ったら貴殿には某のマスターとなってもらうどうだ?」
こいつは一体何を?俺が勝ったなら分かるが何故お前が勝ったらなんだ?わけがわからん、しかもマスターがいるのにおれにマスターになれだと?
「あぁ、具体的にいうと貴殿の能力によって某の契約を”■■■”してもらう、といったところか」
「お前、何で俺の能力を知っている?」
俺の能力を知っているのはごく僅かだしかもここは18年前なのだから知っているはずが無い、それに俺に敵対しあれを見て生きていた奴は絶対に”いない”のだから
つまりあいつは俺以外の他の誰かに教えてもらったってわけか
「何、簡単なこと貴殿がこちら側に来る数刻前にだな・・・」
「待て、それはもしかして老人で眼は赤、髪の毛は白髪じゃなかったか?」
もし、俺の予想が当たっていたら帰ってからその俺のことを”教えた”爺さんを絶対に怒鳴ってやる
「うむ、そうだがよく分かったな?」
「俺の予想が当たった・・・か、ゼル爺め・・・」
「ほう、貴殿も知っているのか」
「あぁ、よ〜く知ってるよ、でもそれでどうして俺と契約する気になったんだ?」
「簡単なことだ、あの突然現れた魔導元帥に頼まれたのだそれに某はより多くの敵に我が剣を味合わせたいしな」
これで辻褄が合った、あの佐々木小次郎とかいうやつの口ぶりから察する辺りあいつは今のマスターの令呪もしくは召喚の時の不手際でこの場所を動けない
しかし自分の剣を試してみたいと思っていた所にゼル爺が来て俺の能力の説明をしあとは実力で判断しろとかいったんだろゼル爺にもホトホト困ったもんだ
「はぁ〜疲れる、それならそうと始めから教えてくれたっていいよなゼル爺も」
俺がため息をつき思案しているようなそぶりをしていると
「考えているようなところ悪いがはやく闘わんのか?」
「へっ?なんでだ?話は爺さんに聞いてるんだろあとは俺がお前の契約を”■■■”して俺がお前と契約するだけだろ?」
「そういうわけにはいかん、あの魔導元帥には貴殿と闘ってこの聖杯戦争を受けうる実力があるのか試してやって欲しいと言われたのでな」
「またそれによって貴殿の実力が某の納得するものでない場合はどんな処遇にしてもかまわんともいっていたしな」
「やっぱり、そういう手はずだったか」
ゼル爺もめんどくさい事するよな行く時には頑張れ見たいな事を言っておきながらこれだ少しはこっちの身にもなって欲しいもんだ
「そうか、じゃあ愚痴ってもしょうがないなじゃあ行くぞ小次郎、但しあの能力も使うから俺のサーヴァントになる前に”死ぬ”なよ」
「やっと、やる気になってくれたかではこちらも本気でいかせてもらう某のマスターになる前に死ぬなよ真導」
闘いが始まった相手の獲物が異様に長い刀に対してこちらの武器は親父に貰った七つ夜だけだリーチなら言うまでもなく向こうが上だが、小回りが効くのはこちらが上
よって俺の戦いの第一歩はどうやってあの魔剣じみた剣術をかいくぐって小次郎の懐に入るか?ということである
「真導、貴殿が勝つには某の懐に入るしかないぞ?さあ、早く掛かって来い」
「ふん、こっちの手の内はバレバレかでもな余裕ぶってたらあとで後悔するぜ!!」
俺は自分自身に気合を入れて小次郎の間合いに入った
「真導、それは愚策というものだぞ?」
そう小次郎がいうと俺の目の前には奴の刀が迫っていた、俺は逃げることなく真っ直ぐに突っ込み刀が当たる直前で半身だけ体をずらし小次郎の懐に入った
「何?サーヴァントの剣を避けただと?ありえん人のみでそのようなことをすれば死んでしまうぞ?」
「おあいにく様、俺半分人じゃないんだ」
「そうか、お前は確か・・・そういうことなら手加減はなしだ」
小次郎はとたんに奇妙な構えに入った、しかしこの間合いでは何も出来るはずがないそう”普通”の人間ならば
「無理だよ、もう避けられない」
「どうかな?」
小次郎の口が笑ったように吊上がると小次郎は正しく人外の動きでまた長刀を振るえる間合いを取った
「でたらめな動きしやがって!」
俺の当たるはずだった攻撃は空を切り俺はこの攻防を体験してようやくサーヴァントの恐ろしさを知った、確かにこんなやつらに人間が敵うはずがない
俺が悪態をついていると突然小次郎の周りの大気が凍ったような錯覚に陥った、そして俺は確信した
「宝具、だな」
「その通り、我が燕返し味わってみろ」
小次郎がその言葉を言い終わる前に俺は自分自身を保つ為に世界から力を汲み取ろうと眼を閉じた
「準備ができるまで待っていてやる、いつでも来い」
そんな小次郎の言葉さえも耳に入らないほど俺は集中していた、これほど集中できたのはあの事件から初めてだこれならば魔眼を発動しても
大丈夫だろうそして俺は眼を開き自分自身を世界につなげる為の言葉を紡いだ
「”The eye which controls establishment”―確立を律する眼―」
そして俺はゆっくりと小次郎の前に歩いていった
「ふん、貴殿はサーヴァントよりも化け物ではないのか?」
「そうかもな」
そういうと俺は一気に小次郎との間合いを詰めに掛かった、しかし小次郎はそれを読んでいたらしく俺の動きにあわせて燕返しを放っていた
だが俺もそんな事は始めから分かっていただからこの一撃ははっきりいって”俺が自分自身で放った一撃”となんら変わりないのだ、つまり俺はこの攻撃を
読んでいてもうすでに小次郎の目の前にいる者はなく俺は小次郎の後ろ立ち七つ夜を首筋に当てていた
「決着、だな」
「そうだな貴殿の勝ちだ、その実力ならばうまくやればセイバーも打倒できるだろうこのような無名の剣士なんぞさっさと殺してセイバーのところにいくがいい」
「セイバーか・・・確かに最高のサーヴァントは魅力的だけど俺は最強の方が安心して背中を預けられるんだよね」
小次郎が驚いた顔でこっちを見上げ不思議そうな顔でしかし微笑を浮かべながら口を開いた
おっ、さすがに気がついたか?
「そうか、バーサーカーか確かにあれは能力面では今回最強だな」
と一人でうんうんとうなずいていた、そんな様子に痺れを切らした俺はついに言ってやった
「バーサーカーでもないし、ましてやランサー、ライダー、アーチャー、キャスター、セイバーでもない」
俺がそういうと小次郎はしばらく、むむっといった顔をし驚愕の表情で俺を見上げた
「やっとわかったかこの鈍感男」
「鈍感とは心外だなしかしいいのか?某は貴殿が望むような最強ではないぞ?」
「んなわけね〜よ、俺が手合わせした中でもお前は最強の部類だ俺が魔眼の能力を使ってなかったら間違いなく
死んでたんだよしかも俺の援護には一番適しているし何より気が合いそうだ」
俺が少し顔を赤くしてそういうと小次郎は微笑を浮かべ
「そうか、了解したマスターではまずこのキャスターとの契約をその魔眼のもう一つの能力で”殺し”てくれんか?」
「あぁ、今からやるよ、ちょっと待ってろ」
そう俺の能力はまず一つに深淵の魔眼つまりさっき小次郎に仕掛けた魔眼だな簡単にいうと確立に干渉する魔眼って所、もう一つは母さんと親父から受け継いだ能力を
あわせた直死の具現化ってやつだな、けどこれには弱点があってまず、確立に干渉して直死の魔眼の回線を開かなきゃならないいつもこれに失敗して死にそうになっちまうんだよな
それに発動する場所も選ぶ、死の雰囲気が濃いほど成功しやすいし、薄ければ失敗、まぁ利点といえば親父みたいに無理して点や線を視ても頭痛にはならないってことと
深淵の魔眼との併用であるはずのない点や線を作れるって所かな?その気になれば世界自体も殺せるなとまぁ、ここまで来ればリスク自体は中ていど何だけどこれの最大の
弱点といえば上で言ったように雰囲気に影響されるってことだ点や線がいくら平気で見えても例えば時間の概念なんてものの点や線は普通見えないだろ?それを無理に視ようとすればさすがに俺でも死んじまう、でだそんな普通は視えるはずの無い点や線を自然に何の弊害も無く視えるようにしようとすれば俺個人じゃ到底無理だだからその為に世界から力を
汲み取ったり、深淵の魔眼との併用なんかをして死を創らなくちゃならないそれが俺の能力なんだけどそんなありえない死を創造するには時間が掛かるってわけそれこそ30秒も
かかっちゃうんだな、だからこれが俺の最強の能力であり最凶の弱点なんだな
「よしっ、小次郎どうだ?」
「あぁ、ちゃんと契約は切れたようだでは改めて」
「我は主を守る壁、剣すべてになり確実に主を勝利に導くことを誓うそれを認めてくれるか」
「認める」
とたんに俺の右手が光りだし俺の手の甲には何かの紋章が浮き出てきた、恐らくこれがサーヴァントを律する令呪なのだろうそして俺が自分の手の甲を見ていると小次郎が
「契約は完了したな、マスターでは急いでここから逃げるぞ」
「なんでさ?別に急ぐこと無いだろ?」
「某はマスターの手によって前のマスターとの契約を切られたということは」
「前のマスターが追ってくるってわけか」
「いかにも、しかも前マスターはキャスターだここで闘うには分が悪い」
「そうだな、マスターがキャスターだったんならここでは分が悪い一旦下に下りるぞ」
「うむ」
そういって俺達は柳洞寺を駆け下り静かな住宅街にでた
「マスターよここまで来れば大丈夫だろう、キャスターはかなりの慎重派だ」
小次郎がそういうと改めて俺は周りを見直し小次郎のほうに歩み寄った
「そうだなどうやら追ってこないようだな」
そうして俺は一つの違和感に気がついたのだった
「自己紹介がまだだったな、俺は七夜真導よろしく、俺のことは真導って呼んでくれ」
「うむ、では真導、某はアサシンのサーヴァント佐々木小次郎だ某も小次郎と呼んでくれてかまわん」
「えっ、いいのか真名で呼んでも?」
「かまわん、某には宝具などないあるのはこの魔剣燕返しという技のみ」
「燕返しじたいが宝具か・・・よしわかったよろしくな小次郎」
そういうと俺は小次郎に右手を差し出しがっちりと握手をした
それから俺達はこれからの作戦会議をしていた
「俺達だけじゃ辛いものもある、ここは誰かと同盟を結んだほうがいいな」
「真導のその意見には賛成だがあてはあるのか?」
小次郎の言葉を聞いた俺は笑ってこういった
「あぁ、あるよゼル爺さんと俺と俺がいる時代つまり今から18年後だなここに来た時この土地にゼル爺さんの弟子の祖先がいたからな」
「なるほど、でその相手の名前とは?」
「遠坂凛っていう名前ついでに場所も分かるぞ一度その家にいったことがあるからな」
「では行こう真導の言っている輩もいつ死ぬかわからんからな」
そういうと俺達は遠坂の家に向かって走り出した
その道すがら俺は奇妙な光景を眼にした金髪の女の子が血だらけだったり、オレンジ色の髪をしている男なんて見るからに死んでいる、
しかも近くにはツインテールの髪の少女までいた俺はすぐにツインテールの髪をしているのが遠坂凛だと言うことが分かった
「小次郎予定変更あのでかい家の所まで行くぞあそこに遠坂がいる」
すると小次郎も気付いていたらしく
「わかった」
とだけいってついてきた
そして物語は聖杯戦争へ
It continues to next time.
作者の感想:第2話ですついに物語は聖杯戦争に
まぁ、第3話は遠坂さん、衛宮士郎君との初顔合わせです
小次郎の口調は少しおかしいかもしれませんがご了承下さい^^;
作品についての質問なども受け付けますのでよろしくお願いします
最後に私の作品を読まれたり感想をくれた方ありがとうございます^^
これからも精一杯頑張ります